37話

第37話:花占い


「私は、サックスに…」
すぅっ…と決意したように息を吸い込み、真剣な眼差しでそれ――ある意味、彼女の運命を決定づける物――を見つめ…そして、始める。
震える指先で、それでもしっかりと掴んでいく。ゆっくりと、ひとつずつ無くなっていく。
「会える、会えない、会える、会えない」橙色の花びらが足元に散っていった。
エリア。彼女はどこかずれている。

死んだはずの自分が何故ここに立っているのか、何故こんなゲームに参加させられているのか…
考えた、考えたが、わからないことをいつまでも考えたって始まらない。
それよりも、折角今もう一度こうして彼らと同じ大地に立つことができたのだ。もう一度…会いたい。
「会える、会えな……」
ぴたり。エリアの指はそこで止まった。…花びらはあと一枚。
「……もうっ!こんなのどうせ当たらないんだから」
そうつぶやくと、今度は赤い花を手にする。そしてまた占いはじめる。
「私は、ギルダーに…会える、会えない、会える…」
――サックスもギルダーも、どうしてるかなあ。あのころと変わらないままだといいな。
そういえば、ジョブはナイトと赤魔道士のままなのかしら?二人ともこだわって極めようとしてたから…きっとそうね。
ああ、早く会いたい。
「会えない、会える…やったあ!」
赤い花は、その花びらを全て散らせることができた。もちろんこんな占いは気休めだと彼女自身わかっている。
動かなくては始まらない。占いのほうは…橙のほうはハズレ、赤のほうアタリであることを希望して。
エリアは花びらが一枚残る橙の花と、花びらのなくなった赤い花のふたつを大切そうにワンピースのポケットにしまいこむと歩き出した。

(…あれって、まさか!)
緊張しながら森の中を進んでいたエリアは、その後姿を確認するなり目を見開いた。
彼女の視線の数メートル先には赤いマントに羽帽子、そして長い金髪――もしかして…!
安堵感と嬉しさから笑みを浮かべる。こんなに早く見つかるなんて!駆け寄りながら懐かしい名前を呼ぶ。
「ギルダー!」
「…!?うわああああっ!」
あ―――
エリアは、引きつった笑顔で硬直した。ギルダーじゃなかった。
確かに服装は似てるけど赤魔道士のものではないし…ギルダーよりも七つか八つは年上と思われる青年だった。
「なっ…だ、誰?ぼ、僕が何か?」
青年は突然の他人との遭遇に、青ざめた顔で震えている。
相手がエリアのような、とても悪人には見えない女性でなければ錯乱して襲い掛かっていたかもしれない。
「ご、ごめんなさい、…あ、あはは」
エリアは、笑うしかなかった。

【エリア 所持品:妖精の笛、占い後の花
 第一行動方針:ギルバートと話をする 第二行動方針:サックスとギルダーを探す】
【ギルバート 所持品:毒蛾のナイフ
 第一行動方針:エリアと話をする 第二行動方針:セシルとリディアを探す】
【現在位置:レーベ東の森最東部】

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最終更新:2008年02月15日 00:50
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