FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 522話


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第522話:出会いが二人を別つまで


どれだけ熱くなろうともどこか心に冷たい部分が残っている。
何も考えずに暴れたかったという願いを打ち消すほどの自分の中にある職業上の性質を恨めしく思いつつ、俺はその音に反応した。
気を取られた分だけ鋭さを失った攻撃の間合いから悠々と女が抜け出す。
「急いでるって言ったじゃない!」
迷惑気に、けれど手馴れた構えで反転し、迎撃の構えが向けられる。
特別に鍛錬された聴覚を持たない人間に今の音を聞き分けることはできなかったのだろう。
炎に包まれた村にあってそれが目的の建物のものかどうかは分からない、分からないが確かに炎に苛まれる木材の悲鳴が聞こえたのだ。

熱くなる感情は打ち消すことができても、浮かんだビビのことは打ち消すことができない。
一度ならず二度まで小さな黒魔道士のことを気にかけた事実がそれを証明している。
いや、ビビの声を聞いたときに気付くべきであった。
俺は、なんと甘い。
その瞬間、ここまで一度たりと満足できる勝利を得られなかった理由がわかった、気がした。
まず断つべきは、乗り越えるべきはその甘さではないのか?
孤独なる暗殺者、死線のチャンピオン、そこへ立ち戻るにはまず鎖を断ち切らねばならないのではないか?
ああ、まったくそうだ――その通りだろうさ。

目はこちらの動きを離さず、けれど名前も知らない女はそろりそろりと後ろ歩きで離れていく。
「………」
冷静に、さきほど得られた情報をまとめあげる。
こいつらの拠点となっていた建物が宿屋であり、毒を受けたはずのビビがそこで休んでいたという推測は十分成り立つ。
そうして女が向かおうとしている方向の建物は今まさに屋根から火を噴き出した。
本当にそんな事をするつもりか?
自問に対して大きく息を吸い込んで応える。
ああ、俺が決めたことだ。
迷いは消え失せた。
拳を堅く握り締めた俺は全力で地を蹴って女へと突進し、
その勢いを受け止めようと身をすくめたそいつをすり抜けて宿屋へと走った。

「どうするつもりなのよ!? アンタ、何考えてんのっ!?」
背後から疑問と非難に満ちた声が追いついたとき、拳は既に壁の弱い箇所を打ち抜いたところだった。
投げかけられた声に対して振り返ることも無く、開いた裂け目から焦げ臭い建物の奥へと踏み込む。
上半身、すでに一度炎で焼かれた部位が今また熱に炙られちりちりと痛みを訴えた。
「アンタだって焼けちゃうじゃない! ささっと帰ったほうがいいって!」
まだ火の回っていないほの明かりの空間で後ろから来た女に追いつかれた。
炎が生み出している空気の流れを切り裂いて剣先が向けられる。
けれど、今の自分に迷いはないのだ。進まねば、道は開かれない。
無事な扉を蹴り開け、一室へと飛び込んでいく。
「…敵でしょ、アンタはッ!」
当然のようについてきた女、けれどそのトーンは少し弱くなった気がする。
外で投げつけられた言葉よりは随分と疑問寄りになっているらしい。
今度は剣は向けられない。
突然にずしんと轟音と衝撃が身体に響いた。例のモンスターが暴れているのだろう。
それは建物もろとも内側が焼け落ちるタイムリミットの存在を強く印象付けた。
戸口にいる女のそばをすり抜け、次の扉へと向かう。妨害はない。
「さっきはソロと戦っててさ…わかんない、……わかんないんだけど、その、助けるつもりで、来たの?」
火傷した部位がさらに盛大に痛みを訴える。
かけられる言葉を完全に黙殺しつつ、面識もない相手に背をさらしたままただひたすらに道を拓く作業に神経を使う。
炎の中、たどり着くことができないなら俺はそれだけの存在だったということだ。
ようやく見出したこの壁を乗り越えねば俺は一歩も進むことはできない。
そんな心境だった。

ごとん、と派手な音を立てて火のついた木片が落下してくる。
刻々と、そして加速度的に、宿屋が炎に呑まれているのだ。
「………いいよ、ちょっと休戦」
背後で勝手な納得がされる。
そうして、女は横へやってきて崩れ行く建物に道を拓く、その作業に加わった。
「アタシはリュック。いっとくけど全然信用したわけじゃないから。
 けど、今は……信じてみるよ、アンタを」

‐‐‐‐‐‐‐‐

何の音だか分からない微かな気配が時折あるほかは森の中は至って静かだった。
真ん中に光点が1つだけのレーダーの画面を眺めてほう、と息を吐き出す。

闇に沈む森の底から見れば木の葉の間の夜空は確かに輝いて見えた。
さっきと何も変わらないような風景の中をゆるゆると彼女は歩いていた。
変わっているのはそばに死体がないというだけだ。


きちっとした方向とか道筋とか、そういうのはもう分からなくなっていた。
といって、森の中をさまよい歩いているわけじゃない。
あの時、進んでいく方向は確かに決めたし、それから外れたつもりはないから。
思案の中にも真ん中に想い人がいてくれるから揺らがない。
けれど…
その思考の星空にきっとどこかで頑張っている彼女の顔を思い浮かべると足が止まる。

彼女は間違いなく――魔女に抵抗しようと頑張っているんだろう。
そうしたら、最終的に彼女を撃てるのだろうか。
綺麗な波紋が広がっている水面に別の水滴を落とされたように、それだけではっきりした決意が乱れていく、気がする。
会いたくない。


そう念じて思考制止することが、波打つ気持ちを止める最善の手だった。
あいかわらず真ん中に光点が1つだけのレーダーの画面を眺めてもう一度息を吐き出す。
何の音だか分からない微かな気配が時折あるほかは森の中は至って静かだった。
再び彼女は歩き出す。今のところ決意は静かに乱れない。

‐‐‐‐‐‐‐‐

音も無く、張り出した樹木の根を飛び越えて柔らかな地面に降り立つ。
追って来る気配など存在しない。

(………賢明な判断です。危険を冒す必要などないのです)
空気の流れ以外に乱すもののない森の静寂に佇み、異形の騎士はそこにいない主を褒め称えそれから、自分の行動が与えたであろう心痛を思った。
(必ず、必ずや命をもって償いますゆえ今はお許しください)
封印した感情が湧いて出ぬよう、冷徹に自分への言い訳に努める。
しかしその努力もほんの束の間のことだ。
再び孤独なる戦場へと舞い戻った騎士は幾多の命を奪い去った冷たさを取り戻すと、すぐに目的達成のため次にやらねばならぬ事へと思案をめぐらせる。
慣らすようにファイアビュートを試し振りすると空気が勢い良く燃える薪が発するような音を立てた。
今宵深夜の戦場は、サスーン城。標的はいわずもがなすべての参加者。
少なくなった武器道具、ピークに達しつつある疲労と消耗。
されども確固たる殺戮の意思は強靭な精神力をもって身体に動くことを強要し、またモンスターの身体もそれに応えてくれる。


その先に、時代を違えて同じ人間との縁で繋がっている男が待っていることをまだ騎士は知らない。
父親と臣下、一つの起点から全く異なる方向を指した二つの思いが交差する出会いは近い。

‐‐‐‐‐‐‐‐

「エリア!」
眼前には分かたれた仲間の感動の再開シーンがあり、俺の目的もここで果されるはずだった。
けれど、
「ねえ、ワカル? リュックだよ! それにターニアとビビはどこ!?」
そうだ。そこには崩れた建材に下半身を捕らえられて動けない女がただ一人だけ。
俺を炎の中に走らせた動機そして目的、かつての戦友である小さな黒魔道士の姿はない。
火の赤に照らされている小さく歪められたスペースを焦燥とともに見渡す。
どれ程目を凝らそうとも残されているのは女一人と三人分のザックだけ。
最悪の予想が頭をよぎりかけたところで、聞いたことのないかすれ声を聞いた。
「だい……じょうぶ………二人は、…」
「え、なに? 聞こえないよ、エリア!」
行動するには十分だった。このエリアという女はまさに事態を知る当事者なのだから!
きんきんとわめくリュックの傍らへと移動し、すいと伸ばした腕に力を込めてエリアを捕まえていた重さを持ち上げる。
息を合わせたようにリュックがエリアの身体を引き出した。
「無理しちゃダメだけど…二人のことなんだね!? エリア、もう一度お願い」
「ふた……二人は、先に……行った、から、………だい…じょう……」
か細い声から事態を察したのと同時、分厚い炎の壁を越えて轟音と振動が全身を打った。
あの巨獣が呼び寄せている落雷、それが再び宿屋を襲っているのだ。
もはやここに留まれる時間は無い。
同じ判断なのだろう、迅速にエリアを背負い上げたリュックがぱちりと俺の腕を張る。
振り返ることも無く、炎の間からこじ開けてきた退路へと飛び込んだ。


全体へと火が回りまさに薪の山と化しつつある宿屋から弾丸のように飛び出す。
ひやりとした空気の感触に気が回ったところでようやく後ろを返り見た。
ほうほうの態ながら同じく火中より飛び出してきた鎧の女がいる。
その背には既に気を失ってしまっている別の女がいて、その腕には一つだけザックが絡み付いている。
一つだけとはいえ、良くつかんで放さなかったものだ。
「! エリア!? ……良かった~、助けられた~……」
そろりと背負ってきた女を降ろしてリュックはひとしきり仲間の無事を喜び、
「んー、と。ありがとう、ね。アンタがいないとエリアは助けらんなかった。
 ホント、ありがと」
笑顔をこちらへ向けた。
何かを成し遂げた者どうしに通じる連帯感のようなもの。
そのときに自分のうちにわずかに生じた高揚はそう結論付けた。それが傭兵としての心得だ。
ああ、理由さえ得れば俺は今すぐにでもこの女と戦うこともできる。できるのだ。
心中で繰り返しつつほとぼりを醒ますようにできる限り愛想なく、ぶっきらぼうに横を向いてやった。
とにかく次はビビがどこに行ったか見つけねばならない。
今にも駆け出そうか、それともエリアが目覚めるまで待つべきだろうか?

決別を。
「俺は戦い抜き、勝利する道を選ぶ」。
思い描いた仲間との決別を、修羅の宣言を、もう一度心で唱える。
中途半端で、どこか断ち切り難かった絆を手放すことでやっと完全な決意を固められる。
だから、俺はとにかくビビに会わねばならない。



その異名と同じ色の光の中で風に吹かれ、サラマンダーは時を待つ。
出会いが二人を別つ時を。

【サラマンダー(右肩・左大腿負傷、右上半身火傷、MP1/5)
 所持品:紫の小ビン(飛竜草の液体)、カプセルボール(ラリホー草粉)×2、各種解毒剤
 第一行動方針:ビビと会い、決別する
 基本行動方針:参加者を殺して勝ち残る(ジタンたちも?)】
【リュック(パラディン)
 所持品:メタルキングの剣 ロトの盾 刃の鎧 クリスタルの小手 ドレスフィア(パラディン)
 バリアントナイフ チキンナイフ マジカルスカート 薬草や毒消し草一式
 第一行動方針:仲間との合流
 基本行動方針:テリーとリュックの仲間(ユウナ優先)を探す
 最終行動方針:アルティミシアを倒す】
【エリア(体力消耗、気絶)
 所持品:微笑みの杖 スパス ひそひ草
 第一行動方針:-(仲間との合流)
 基本行動方針:レナのそばにいる】
【現在位置:ウルの村・宿屋外】

※宿屋は炎上中。ビビの支給品袋(毒蛾のナイフ 賢者の杖)とエリアの支給品(妖精の笛)はその中に。

【ユウナ(ガンナー、MP1/3)(ティーダ依存症)
 所持品:銀玉鉄砲(FF7)、やまびこの帽子、官能小説2冊、
 対人レーダー、天空の鎧、ラミアの竪琴、血のついたお鍋、ライトブリンガー
 第一行動方針:思案中
 基本行動方針:脱出の可能性を密かに潰す】
【現在位置:カズス北西の森(キャンプ~指定の場所、の間)】

【ピエール(HP1/3、MP1/4)(感情封印)
 所持品:毛布、魔封じの杖、死者の指輪、ひきよせの杖[1]、ようじゅつしの杖[0]、レッドキャップ、ファイアビュート
 第一行動方針:サスーン城襲撃
 第二行動方針:リュカに気づかれない様にタバサを抹殺する
 基本行動方針:リュカ以外の参加者を倒す】
(*ピエールはタバサの抹殺の機会を失った場合、リュカの目の前ででもタバサを抹殺するかもしれません)
【現在位置:サスーン城の東の森】