FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 528話


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第528話:何故か痛烈なクエスチョン



無関係な相手を助けたこと。
敵と認めた相手と一時とはいえ休戦したこと。
宿屋周りでの一連の行為に何か言い訳を考えていた自分を戒めたのは、閃光と轟音。
思い出すように見上げた煙混じりの空を覆う敵意に満ちた空気に気付かされる。
禍々しさが村の運命はさらに悪いほうへ傾いているらしいことを知らせている。
ほどよくミックスされた懸念と焦燥が心に渦巻いた。

捜し求める相手の代わりに救い出した女がビビの行方を知っている確証はない。
たとえ情報を持っているとしても、いつ目覚めるかさえわからないのでは役に立たない。
代替として迅速な行動と慎重な思考の両立を求められ、サラマンダーは二つの方向をじっと見定める。
宿屋を脱出しさらにこの炎から脱出する道を探すとして、
怪物が立ちふさがる西側とすでに森すべてが燃え盛り炎の壁と化している北側は選択肢に入らない。
ビビの魔法を使えば炎の壁も強行突破できるかもしれないがそれは八方追い詰められた者の手段だ。
残りの方向で村を離れるには最終的に小屋へ繋がる北東の道か、例の井戸へ抜ける南東の道のどちらか。
二つのうち、現在の炎の様子からより安全そうなのは――

――南東か。

緑髪の男と交戦した森の中ぽっかり開けた空間を思い描く。
腹を抉った感触を思い出し、おそらくはまだ生死の境にいるだろう井戸に落ちた男の姿を思い出す。
ともかく、自分から動いて探すほかはあるまい。
そう決断した以上、行動は早い。
まだ火の回りきっていない井戸への小道へと走り、飛び込む。
背後でリュックが何か言うのが聞こえたが、反応する義理は無い。



突然に身体を投げ出されて、目を開ける。
目覚めの合図は草の匂いとつんざく雷の音。
目覚めの情景は燃え始めた木と暗い森と根の這う硬い地面。
わけのわからないまま、誰かの力で抱え上げられる。

「わあっ!?」

悲鳴に反応してビビを持ち上げた腕がぴたりと止まる。
恐る恐る見上げたビビはその腕の持ち主のとてもとても鋭い眼光に射すくめられた。
一体何が起こっているんだろう。
僕はどうなっているんだろう。そうだ、みんなは?

「とりあえずあの開けたとこまで走るぜ! ついて来な!」

ビビには見えない位置にいる誰かに鋭い眼の人が声をかけ、
走り出した鋭い目の人に荷物みたいに抱えられたビビは思い切り揺さぶられる。
びっくりして思わず漏れた声はもう無視されるだけだった。
じたばたともがいてもどうすることもできず、そのうちにちょっと手荒に地面に下ろされた。

「この雷はあのバケモンのしわざか? ふざけやがって、無差別に焼き尽くす気か!」
「……っ、あ、あのっ……」
「あのじゃねえ。俺の名はサイファーだ。
 おまえ、イザの妹だろ? あいつから見かけたら助けてくれって頼まれててな。名前は……」
「ターニアです。あの、お兄ちゃんのお友達、ですか?」
「友達だぁ!? …………チッ…………一緒に行動していただけだ!
 ちっとやらかして今は………だけどよ」
「そうですか……」

井戸が見える。
赤く染まった空が見える。吹き上がる煙が見える。星は少しだけ見える。
鋭い目をした人とターニアが交わしている会話が聞こえる。
明らかに自然と異なるペースで続く雷の音が聞こえる。
次第にみんな大変な危機に巻き込まれていることを悟っていく。
ちょっとの間止んだ二人の会話に割り込むようにねえ、と呼びかけたビビは
思わず怯んでしまう鋭い目線にめげずに言葉を継ぐ。

「ねえ、みんなは!?
 みんなはどうなってるの? ヘンリーは? エリアは?」
「ああっ!」

動揺をそのまんま音にしたようなターニアの甲高い声が響く。
問いかけておいてそんな反応をさっぱり予想していなかったビビも一緒にたじろぐ。

「お願いします、まだ燃えてる建物にエリアさんがいるんです!
 それで、その、私にはどうすることもできないから……
 サイファーさん、どうかエリアさんを救い出してくれませんか?」
「えっ!!?」

みんなも大変な目に遭っていることは予想していたが、
具体的にエリアの状況を知らされてビビは覚悟以上の驚愕と衝撃を受ける。
慌てるように改めて赤く染まった方角を見上げ、目の前がすぅっと暗くなった。
真夜中の夕焼けのようなありえない色合いが全く希望を抱かせてくれない。
多少の違いはあれ二人も似たような絶望感があるのだろう、沈黙が通り過ぎる。
どれくらいそのままだったろうか、雷の音だけが回数を増やしていく。
ターニアはうつむいてしまい、それでも時折すがるような目をサイファーに向けている。
一方のサイファーはビビに背を向けて村の方角を凝視している。
不意にその背中が一歩分遠くなった。
その行為が示す決断を知り、ビビは自分の迷いが恥ずかしくなる。
燃える炎に対して冷気の魔法で対抗できないことはない、と思いついてはいた。
それなのに、自信がない、勇気がないと迷い、尻ごんでいたのだ。
夜風をはらむ白いコートの背中がビビの勇気と行動力を奮い立たせる。
やにわに飛びつくように駆け出し、叫んだ。

「ボクも行くよ! ボクも、エリアを助けに行く!」



炎と煙と闇に彩られた方向をじっと凝視する。
少女に、絶望的な状況に取り残された女性の救出を懇願される。
そんな風に英雄として求められることがサイファーにとってのロマンでなくてなんだろう。
炎を消せるような魔法は無かったと確認したことを思い出した気がしたが、この際問題にもならない。
やるのだという気持ちが圧倒的に上回っているからだ。
逸る気持ちを落ち着けるように重厚さを意識して数歩踏み出し。
格好よく決めようと振り返った瞬間――

「ボクも行くよ! ボクも、エリアを助けに行く!」

駆け寄ってくる小さな影の、予想外の凛然とした声に眼を見開く。
ついさっきまで気絶して女に背負われて逃げてきた姿との落差に驚いた。
記憶が金髪の誰かさんの姿を思い出して重ねてしまい、柄でもないと打ち消す。
それから、突風にも似た怒号で突き返してやる。

「ガキが無茶言うんじゃねえ!
 いいか、行き先は炎の中だ! ピクニックじゃねえんだぞ!
 それにな、あのばかでかいモンスターに鉢合わせする危険もある。
 とにかく危ねぇんだ、ガキなんか連れて行けねえよ!
 わかったら大人しくしてろ、こいつは俺の役目だ」
「で、でもっ、ボクの魔法だったら火を消せるし……
 ボクだって戦えるんだ! だからっボクも……」
「火を消せる魔法だと!? おまえが使い手だってのか?」
「あ、うん、ブリザドとかならきっと上手くいく……わあっ!?」

突然青い光に身体を覆われて、何をされているのか分からないビビが仰天する。
まといついていた光はすぐに身体を離れ、サイファーへと収束していく。
やがて掌に吸い込むように光を収めたサイファーはこの思いつきの成果を確かめ、ニヤリと口の端を歪めた。
ビビの言葉通り、彼から冷気の魔法をドローできたのだ。

「な、なにしたの?」
「なるほどな……こいつはラッキーだ!」

疑問には答えられることなく、さらに同じ行為が二度繰り返される。
特に身体がどうにかなる気はしないけれど、何か取られているみたいで良い気はしない。
勝手に振舞ったサイファーはよし、と気合を入れてグッと拳を握ったあと、ビビの肩をがっしと掴む。

「戦える、ったな?」
「う、うん……」
「信じてやる。いいか、よーく聞け。
 敵はあのデカブツだけじゃねえ、他にも怪しい奴がうろついてやがる。
 だから、ターニアはお前が守ってやれ。村へは俺が一人で向かう。
 いいか? 信じて任せるんだからな。でもとか言うなよ?
 わかったな!!」
「で……でも」
「言うなつったろーが!
 心配すんな、ヒーローってな必ず最後には格好良く帰ってくるもんだ!」

不敵な笑みでパチリとウインクして見せ、汚れた白いコートを翻して颯爽とサイファーは踵を返す。
その眼は使命感と幾許かの陶酔に燃え上がっていた。
それから、雷の音とうなる炎の中を朱に染まっている北西の方角へと真っ直ぐに走った。
機は我にあり、世界はまさに自分の活躍を求めているのだと、自分に酔う。
残してきた二人の安全には心配があるが、自分が迅速に救出を果せば問題はないのであって、
サイファーの意気は大いに上がっていた。
落雷の影響で燃え始めた樹を避けて道を定め、疾風になったつもりで森を駆け抜けていく。
その前進が突如鈍った。

茂みの向こうに何者かの気配がある。
村の周辺で出会った怪しげな男、サラマンダーの姿をあてはめる。
向こう側はこちら側に気付かずガサガサと近づき、ついに茂みから現われたのは何かを背負ったシルエット。

「うわっ! ちょ、……やばっ!!」

シルエットは若い女の声で叫び、茂みに後退しようとして背中を気にして踏みとどまり、
わたわたと窮屈そうにナイフを抜き放つ。
名乗りをあげようとしてタイミングを逃したサイファーは代わりに一連の動きを観察する機会を得、
それが誰かを背負って村のほうから逃げてきた誰かであるという結論を得た。
それだけの状況証拠から閃いた一つの予想を念頭に話しかける。

「待て、落ち着けよ。村から逃げてきたんだな? ターニアの仲間か?」
「あれ、ターニアちゃんの知り合い? そだけど。であんたは……」
「後ろは誰だ? エリア、か?」
「そうだよ、背中のコはエリア……それよかあんたはだーれ? 答えなさいっ」

予測的中、だが全く嬉しくない。
救出を頼まれたエリアが今目の前で背負われているということは、
ついさっき生まれたヒーローとしての使命感も陶酔も目的も一発で終了である。
舌打ちを一つ、やるせなく正宗を降ろし、それからきまり悪そうに名乗った。

「サイファー=アルマシーだ。
 ターニアとビビは俺が保護しといた。ちょい先の井戸んとこで待機させてんぜ」
「ホント!? よかったあ~……。で、サイファー君はこんなとこで怖い顔して何してるわけ?
 女の子と子供をほっぽってさあ」
「っせーな…………たんだよ」
「なに~? 聞こえないよお」

人が気落ちしてるところに妙になれなれしい態度がさらにカンに障る。
結果的に救出は果されているわけで、よかったね、で済む話。
なのだが目的をポキリと摘まれて水を浴びせかけられた心の炎のくすぶりは収まらない。
あれだけ格好よく決めておいて助けられてたよかったね、で何もせずUターンでは格好がつかない。
描いたドラマと活躍ゼロの現実、落差はどうやって埋めればいいか。
プライドを守る解決策は雷光が白くあたりを照らし出した瞬間にひらめいた。

「俺はな、あのでかいバケモンをぶっ倒しに行こうと急いでたところだ。
 そこを邪魔されたわけだがよ」

一つトラブルが解決したならより困難な敵に斬り込めばいいのだ。
心の炎もくすぶりから再び熱く燃え上がり始める。
聞いて女の目つきも期待を込めた真剣なものに変わった。
そう、正義は理解されるものだ。

「お願いっ! 今ソロとバッツが必死であいつとやり合って足止めしてる。
 でもあんな化物に二人だけじゃ勝ち目なんてないよ!
 だから、サイファー」
「任せとけ!」
「あ、ちょっとっ! あたしもすぐ駆けつけるからっ! アンタも無理しちゃダメだからねっ!!」

威勢良く叫び、闇に白いコートをはためかせて燃える村へと茂みを飛び越えた。
窮地に現われ、怪物を切り伏せる。これが英雄的でなくて何という?
サイファーの眼は再び、いや今まで以上に使命感と陶酔に燃え上がる。



井戸がある空間、サラマンダーはそこへ木々の影から刺すような熱い視線を向けていた。
距離の関係上黒ずんだ像としか見えないものの、背格好から大体の判断はつく。
すぐにそれと判別がつく黒魔道士の特徴的なシルエット。
金属のぎらつきを伴った、恐らくサイファーと名乗った男の長身のシルエット。
正体不明の小柄なシルエット。

サラマンダーの眼前で正体不明の青い光が黒魔道士から長身の影へ伸び、
それが三度繰り返された後で長身の影が二人から離れる。
その目的は簡単に推測できた。村に救援に向かったのだ。
井戸に寄り添うように佇む二つ残されたシルエットをしばらく監視し、
長身の影が十分に離れたくらいの時間を見計らってサラマンダーは姿を現した。

「サラマンダー……?」

懐かしい、捜し求めていた相手の声に名前を呼ばれた。
答えることなく無言で近づく。
怯える小柄な少女を守るように勇敢で小さな黒魔道士は前に出、もう一度同じ名前を呼んだ。
サラマンダーは無言を保ったままで2メートルほどの距離まで接近し、ようやく口を開いた。

「久しぶりだな。ビビ」

わずかな距離を残して向かい合う二人。その間を夜風が抜ける。
黒魔道士の真摯な目は逸らされることなく見上げられ続ける。
その心中では仲間としての信頼と生じた疑念がせめぎあっているのだろう。
そして遂に、希望にすがるような一つの問いが投げかけられる。

「サラマンダーは……誰も殺したりしてないよね?」

【サラマンダー(右肩・左大腿負傷、右上半身火傷、MP1/5)
 所持品:紫の小ビン(飛竜草の液体)、カプセルボール(ラリホー草粉)×2、各種解毒剤
 第一行動方針:ビビと、決別する
 基本行動方針:参加者を殺して勝ち残る(ジタンたちも?)】
【ターニア(血への恐怖を若干克服。完治はしていない)
 所持品:なし
 第一行動方針:みんなの無事を祈る
 第二行動方針:サラマンダーを警戒する
 基本行動方針:イザを探す】
【ビビ  所持品:なし
 第一行動方針:サラマンダーへの疑念を晴らす
 第二行動方針:ターニアを守る
 基本行動方針:仲間を探す】
【現在位置:ウルの村・東南の井戸】

【サイファー(右足軽傷)
 所持品:破邪の剣、G.F.ケルベロス(召喚不能) 白マテリア 正宗 天使のレオタード ケフカのメモ
 第一行動方針:ヒロイックに怪物(ブオーン)を倒す
 第二行動方針:協力者を探す/ロザリー・イザと合流
 基本行動方針:マーダーの撃破(セフィロス、アリーナ優先)
 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【現在位置:ウルの村・東南の外れ→村へ】

【リュック(パラディン)
 所持品:メタルキングの剣 ロトの盾 刃の鎧 クリスタルの小手 ドレスフィア(パラディン)
 バリアントナイフ チキンナイフ マジカルスカート 薬草や毒消し草一式
 第一行動方針:ターニア・ビビとの合流/エリアの安全を確保し、ソロ・バッツに合流する
 基本行動方針:テリーとリュックの仲間(ユウナ優先)を探す
 最終行動方針:アルティミシアを倒す】
【エリア(体力消耗、気絶)
 所持品:微笑みの杖 スパス ひそひ草
 第一行動方針:-(仲間との合流)
 基本行動方針:レナのそばにいる】
【現在位置:ウルの村・東南の外れ→井戸へ】