FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 510話


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第510話:人を騙したりするのはいけないことです


「さて、この町にいる4人の参加者を仕留めるということだが、誰から始末するのだ?
 俺はライアンとアリーナについては多少は知っているが、他の二人はまったく知らん。
 これから戦う相手の情報くらいは知っていても損はないだろう」
「…確かに、その通りだな。
 ウネの婆さんは主に風の魔法を使うと言っていたな。
 あと、夢の中で呼べば連絡を取ることができるとか言ってたぜ。
 まあ、こっちは眉唾もんだが」
「風の魔法に通信の能力か…」
風の魔法は攻撃だけでなく防御にも使える。実に厄介なものだ。
回復が望めないこの状況で、ミールストームなどを使われたらたまったものではない。
少なくともバルバリシア程度の実力があると見積もっておくべきか。
通信能力のほうはよく分からない。夢で通信など可能なものなのか? こっちは保留だ。
「続けてくれ」

「クリムトは目が見えないが、回復魔法とバシルーラとかいう魔法を使っていた。
 相手を別の場所にワープさせる魔法だそうだ」
盲目の賢者、か。こういうやつは不意打ちでも普通に襲ってもあまり変わりはなさそうだな。
ただ、強制ワープさせられるのは痛い。アルスやピサロといった連中の目の前に飛ばされるのは致命的だ。
それに、計画も失敗する。最初のターゲットとしては不向きか。

他の二人の整理もしよう。

ライアン。今朝旅の扉の前で出会った戦士。正面から直接戦っているわけではないので、実力は不明。
今朝の間抜けな感じからすれば十分勝てる相手だろうが。
俺が殺人者だということに気付いているかどうかが分からないが、早めに消しておいて損はない。

アリーナ。ここに降り立ってからしばらくして見つけた、殺人者であろう女。
見つけたときもあれだけ派手に返り血を浴びていたのだ、まず間違いはないだろう。
アルガスは賢者連中やライアンとつるんでいると言ったが、ということはまだ本性を見せていないということだろうか。
それ以前に怪我人なのだ、誘い出すのは論外だ。
むしろ、目が覚めたら勝手に暴れてくれるかもしれない。
自滅してくれるなら、それほど楽なことはない。
対集団戦に臨むにあたって、仲間割れを引き起こさせるのは非常に効果的。
となると最初のターゲットは一人だな。

「どうだ? 決まったか?」
「まずはライアンだな。やつなら簡単に不意を付けるだろうし、こちらとしても早く消しておきたい」
「よし、決まりだな」


ここはカナーンで最も大きな屋敷だ。
怪我をしたアリーナを休ませるなら、ここがいいだろうということで、ウネの婆さんが運び込んだわけだ。
にしても、どこの金持ちだ? このでかさはベオルブ家の屋敷にも匹敵するんじゃないか?

ライアンに事情(もちろん嘘の事情だが)を話し、屋敷に入る。
「お前ら、何か武器になるようなものは持ってないか」
「アルガス殿、いきなりそれはありませんぞ」
俺に遅れて、ライアンが入り込んでくる。
いいんだよ、どうせお前が説明してくれるんだろう?

「彼が今しがた、城壁の外に人影を見つけたそうでして、接触してみようということになったのです」
ライアンがアリーナをちらりと見る。俺も見る。
アリーナはすーすーと眠ってやがる。命には別状はないらしいな。
まあ、これから殺そうってときになって、実は死んでましたってのもムカつくが。

「ですが、万が一のときに備えて使える武器が欲しいと言い出しましてな」
カイン曰く、なるべく戦力を削っておけとのことだ。本当の目的はこれだが、理由付けは今ので十分だろう。


だが、それを聞いて、ウネの婆さんは怪訝な顔をする。
「おや? あんた、確か剣は持っていたとアリーナから聞いたが、どういうことだい?」
ち、そういえばアリーナのヤツ、俺がアイテムを広げてたのを見てたな…。面倒なこった。

「一つはライアンの武器が使えなくなったんで、貸した。もう一つはヤバそうな代物だから、あまり使いたくねえんだ」
これは本音。この剣を振り回してたヤツを見ていたが、最初はまあ普通っちゃあ普通だった。すぐにパーティー組んでたしな。
だが、この剣を装備したとたんに仲間の目の前で凶暴になったわけだ。
そういうあからさまにヤバそうなものは使わずに封印しておくべきなんだよ。

「言葉じゃ伝わらねえか。実物見れば分かるだろ」
現物を見せたとたんにライアンの顔が険しくなる。知ってるみたいだ。やっぱりやばい代物か。
「これは…皆殺しの剣でござるか。
 確かにこれを使うのは得策とは言えませんな」
名前からして説得力がありやがる。
ウネ婆さんは持っていた杖を見せる。
「アタシの持ち物はこの杖だけさ、回復用だから護身には使えないね」
その状態じゃあ回復用攻撃用以前に振り回すと折れるな。
大体俺は棒術なんて習ってないしな。

「クリムトの支給品もただの杖らしいね」
まあ目の見えない爺さんの杖なんて目の前を確かめるだけのためのものだ。問題ないだろう。
だが、収穫は無しか。アリーナの支給品には分裂の壷とかいうものしか入ってなかったらしいし…。

「あ、そういやあんた賢者とか言ってたな?
 こいつの付けてるものの効果が何か、分かるか?」
そうだよ、これがまだ残っていた。アリーナの指と腕にはめられた装飾品。
指輪はともかく、腕輪は何かいい効果を持ってるかもしれない。

「…アンタ、まさか持っていく気じゃないだろうね?」
ああ、その通りだよ。だが、やっぱり警戒されてるか。
この婆さん、山頂で俺と会ったときからずっと警戒してやがるよな?
ザックを6つも持ってたせいか?
ライアンも、俺の護衛だと思ってたし、本人もそう思ってたんだろうが、あの婆さんにとっては見張りの意味もあったんだろうよ。
食えねえ婆さんだよ、全く。

「状況が状況だ。ここにいるのは年寄りに怪我人に障害者だぞ?
 アイテムを使うのをケチって、そのせいで俺たちがやられたら攻め込まれるかもしれないんだ。
 それよりは万全の状態で出迎えるべきだろう。
 この際、これは誰のものとかそういう常識は綺麗さっぱり捨て去ったほうがいいと思うぞ」

何度も言うように、これは口実。実際の目的は俺のアイテムの補充と戦力低下。
それに、アリーナは本物と偽者を見分けるにはこの腕輪を見ろと言っていた。
ここで腕輪を奪ってしまえば、俺たちから上手く逃げ出したとしても、このアリーナは偽者と認定される。
こいつは情報を提供した相手に襲われるというわけだ。むしろこっちのほうがいい気味だな。
一度は信頼した相手に襲われるんだから。
手袋は、外そうと思えばすぐ外せるもんだ。大体、格闘で戦うんなら手袋はすぐ血まみれになるんじゃねえのか?
常識的に考えれば、偽者のアリーナのほうも普段手袋は外してるだろうよ。

「まるで今から会う相手が殺人者だって分かってるような口ぶりだねえ」
「ふむ…。ですが確かにアルガス殿の言うことにも一理あるでござるな。
 相手がどんな者なのかも分からない以上、何が起きても対応は出来るように万全の装備で迎えるべきでござる」
「それもそうだね。クリムトも強力な気配を感じるとか言ってたし、警戒して損はない」
婆さんに突っ込まれたときはヒヤッとしたが、強力な気配? カインのやつはそんなに強いのか?
確かにライアン相手に簡単に不意を付けるとか言いやがるし。一応警戒はしたほうがいいな。
「そういや、クリムトの爺さんはどこに行ったんだ?」
「屋敷の奥を調べてるよ。にしても、危なくなったら逃げると言っていたのに、随分変わったね」
「ふん、ライアンに何度も説教されたからな。
 動けるものが弱いやつを守るのは当然だとか力を合わせろだとか心正しき者は必ず勝つとか、そんなことをな」
ライアンのヤツはこんなこと本気で思ってるのかねえ。口に出すのも恥ずかしいぞ。

「腕輪のほうは、物理防御魔法がかかってるね。
 指輪にかかってる魔法は何なのかは分からないけれど、この感じは…ライブラ、分析の魔法に近い気がするね」
「分析の魔法ね…」
腕輪のほうは役に立つな。プロテスってやつだったか?
指輪は…。正直聞いても分からん。とりあえずはめてみるが、特に何も変わった様子はない。
やっぱり使い方が分からないものはただのゴミか。いや……分かる!
アイテムに関する知識が流れ込んでくる! 使い方も、その詳細も分かる。
指輪を付けたほうの手でアイテムに触れると知識が流れ込んでくるんだろう。
アリーナは利き腕でないほうに付けて、アイテムに触らなかったから効果が分からなかったってワケだ。
まさか一度は手放したアイテムがこんなに使えるものだとは思わなかった。

おっと、そろそろ行かないとカインが痺れを切らしちまう。
「ライアン、そろそろ行くぞ」
「ではウネ殿、失礼致す。アリーナ殿とクリムト殿にもくれぐれも警戒は怠らぬように伝えてくだされ」
「ああ、分かったよ。気ィ付けてな」

案外ライアンもウネの婆さんもチョロいもんだ。だが、もう一つ不安要素がある。
作戦中にイザのアマちゃんが乱入してきたら困る。動かないように釘を刺しておくべきだろう。
そういうわけで魔法屋に立ち寄ったわけだが…。

「ちっ、あいつらどこに行きやがった…」
魔法屋はもぬけのカラじゃねえか。
「せめて伝えてくだされば…」
「まあ、あいつらにもあいつらなりの事情があるんだよ。
 もしかしたら、テリーってやつの墓参りでもしてるのかもしれないぞ」
そんなはずはないだろうな。あのときのイザの様子からして、アリーナと同じ町にはいられない、ってところだろうよ。
もし本当にのんきに墓参りをしてたんなら、アマちゃんの中のアマちゃんとして尊敬してやるがな。
「ところでアルガス殿、人影を見たというのはどのあたりでござるか?」
「もうすぐだ。この先の城壁の上で風に当たっていたら、遠くに誰か来るのが見えたんだ。ほら、そこだ」

一足先に着いたライアンが辺りを見回す。
「誰も、見えませんぞ」
そりゃあ誰もいないんだから見えるわけないだろうが。
「おかしいな。まあ、いないならそれに越したことはないが」
「む? ひょっとして、アレのことでござるか?」
ライアンが指差した先には岩のようなもの。
正確に言えば、竜の死体らしい。カインから確認済みだ。
「ああ、それを見間違えたのかもしれない。悪かったな、付き合わせてよ」
「まったく、しっかりして下されよ、アルガス殿」


屋敷から城壁までの間、ライアンを監視していたわけだが…。
何者かがいる、というような情報で誘い出されたのだろう、初めは強く警戒していた。
だが、それが誤報だったと分かった後も警戒をほとんど緩めないのだ。
警戒を解いた瞬間が最も無防備になるときなのだが、この男にはそれがない。
サックスのときのようなことになるのは避けたいが…。まあ今回は策も用意してある。強気で行けばいい。


ライアンは何か違和感を感じる。空気の流れがおかしい。
上空に風だけでは起こりえない振動を感じたのだ。
刹那、兵士の剣を振り当て、頭上から降ってきた槍の力の方向を逸らすと同時に、飛びのく。

「フッ、よく気付いたものだ。お前ならこれで十分だと思っていたのだがな」
「おぬしは…。なるほど、あのときの一件、お主も絡んでいたのでござるな?」
「そういうことだ。お前もすぐにやつらのもとへと送ってやる」
二人は静かに武器を構え直すと、次の瞬間激突する。


キィン! キィン! キィン!
夜のカナーンに剣と槍の撃ち合う音が響きわたる。
カインはライアンの心臓を狙って突きを繰り出すが、ライアンは最小の動きでかわす。
お返しにとばかりにライアンが前方をなぎ払うが、カインは跳躍し、ライアンの後ろへと回り込む。
両者はほぼ互角。そのまま二撃、三撃と攻撃を続けるが、あるものは受け止められ、あるものは打ち払われる。
このまま接近戦を続けても、埒があかない。両者とも、そう思い始める。

ライアンは撃ち合いながらも横目でアルガスを見る。
確かに剣士としての素質はあるが、まだまだ未熟。この男には勝てない。
なら、早く逃がさなければならない。また、屋敷にいるウネやアリーナにも伝えなければならない。
「アルガス殿! 皆にこの男のことを知らせるでござる!」

それを聞くと、アルガスはすぐに後ろを向いて走り出す。
「逃がすものか!」
「行かせるわけにはいかないでござる!」
カインがアルガスを追おうとするが、ライアンが立ちふさがる。二人は数度撃ち合う。
するとカインはいったん大きく後退し、ザックから手が掴んだものを投げつける。
分厚い本が二冊ライアンへ向かって高速で飛び、思わぬ投擲がライアンを怯ませる。
その隙にカインはライアンに突進、ライアンは槍の攻撃だけは弾くことができたが、突破されてしまう。
急いで追おうとするが、さらにもう一冊の投擲。完全に出遅れた。

だが、ライアンは思った以上に早くカインに追いついた。
ライアンが速かったのではない。カインがじっと待っていたのだ。
その周りにはいくつもの支給品袋。あれは間違いなくアルガスのものだ。
だが、当のアルガス本人の姿はない。
「アルガス殿はどうしたのでござるか!」

カインは答えない。代わりに、地面に流れた赤い液体、真っ赤に染まった水路、そこに浮いている上着。
「次は貴様の番だな」
何より、赤い液体が滴っている武器がすべてを物語っていた。

カナーンの町で戦いがまたも始まろうとしている。
一人は勝ち残るために、一人は悪を切り捨てるために。
己の正義を信じて、今一度、二人の猛者が激突する。


バタンと扉を閉じ、アルガスとライアンが屋敷の外へ出て行った。
それから少し経って、屋敷の奥の隠し扉からクリムトが姿を現す。
「おお、クリムトか。どうだった、地下の様子は?」
「うむ、誰かが潜んでいるような気配はない。
 それに不快な環境ではなかった。
 おそらくは何かの貯蔵庫だったのだろうが」
「それはよかった。あたしには人間の快適な環境ってのがよく分からんもんでねえ。
 ところで、さっきアルガスたちが誰かを見たって言ってたが、やっぱり感じるのかい?」
「町の外、かなり離れてはいるようだが、強大な気配がする。善か悪かまでは分からぬのだが」
「善か悪か分からない強大な気配か。微妙なところだけど、やはりアリーナは避難させておくべきだね」
ウネはアリーナを背負い、クリムトと地下へと降りていく。
アルガスとライアンは、あれだけ警戒しているのだ、大丈夫だろう。

隠し部屋はかなり深く、広い。しかし、ここだけなら相手の勘が良ければ見つかってしまうだろう。
幸い、奥にもう一つ隠し部屋があると分かり、そちらにアリーナを運び込んだ。
目を覚ましたときにアリーナが混乱しないよう、クリムトはそばにいることになった。
「さて、アタシもちょっくら外に出てくるよ。じゃあ、アリーナは頼んだよ」


ライアンとカインが激突している場所から少し離れた場所でその戦いを見つめている者がいた。
アルガス。彼にはどこにも傷が見当たらない。それどころか、いたって健康だ。

ライアンが血だと思っていたのはパオームのインク。
滲むこともないうえ、臭いもほとんどない最高級のインクだ。
夜闇の中、赤いインクと血の色の違いまで判別するのは難しいだろう。
そもそも刺されたと思っているのに、誰があの液体はインクだと考えようか。
剣先に塗ってあったのもやはりインクだ。これは血で上書きをすればバレはしない。

ライアンはアルガスが逃げられるようにと時間を稼いでいたが、
これはアルガスの仕込みの時間にも直結していた。
そしてカインと使えそうな物を交換し、アルガスは上着を一着脱ぎ捨て、
支給品のひとつの真っ黒な衣装を纏って別の場所へと身を潜めたのだ。
これでアルガスは、少なくとも放送までは影として動けるわけだ。

「さて、どう動くかな…」

【ウネ(HP 3/4程度、MP消費) 所持品:癒しの杖(破損)
 第一行動方針:状況の確認
 基本行動方針:ザンデを探し、ゲームを脱出する
【現在位置:カナーンの町・シドの屋敷】

【アリーナ (左肩・右腕・右足怪我、腹部重傷、昏睡) 
 所持品:無し
 第一行動方針:不明
 基本二行動方針:アリーナ2を止める(殺す)】
【クリムト(失明、HP2/3、MP消費) 所持品:なし
 第一行動方針:アリーナの回復
 基本行動方針:誰も殺さない。
 最終行動方針:出来る限り多くの者を脱出させる】
【現在位置:カナーンの町・シドの屋敷の隠し部屋の奥】

【ライアン 所持品:兵士の剣(かなり傷んでいる)、折れたレイピア、命のリング
 第一行動方針:カインを倒す
 第二行動方針:カインのことをウネたちに知らせる】
【カイン(HP2/3程度、少々疲労)
 所持品:ランスオブカイン、光の剣、ミスリルの小手
 第一行動方針:ライアンを倒す
 最終行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】
【現在位置:カナーンの町東部の水路脇】

【アルガス
 所持品:インパスの指輪 タークスの制服
 第一行動方針:伏兵として動き、カインとの作戦を成功させる
 最終行動方針:脱出・勝利を問わずとにかく生き残る】
【現在地:カナーンの街】

アルガス、カインの支給品のうち、これらは交換している可能性があります。

『アルガスの持ち物:カヌー(縮小中)皆殺しの剣 高級腕時計 プロテクトリング
 妖精の羽ペン ももんじゃのしっぽ 聖者の灰 マシンガン用予備弾倉×5 エクスカリパー』
『カインの持ち物:加速装置 草薙の剣 ドラゴンオーブ』

ただし、ザックはカインがいくつも持っています。ザックだけ。中身もあるかもしれません。

歴史書三冊は町中に放置