FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 121話


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第121話:コーヒーブレイクは終わらない


それは、わりかし突然の出来事であったように思う。
わりかし、というのは、予想の範疇だったからだが、それでも突然おきたのは変わりないのだし、
それはそこにいる人々にそれなりの衝撃を与えた。
とはいっても、それはそれまでにおきたことによる部分が大きい。
このゲームというのは、なにせ非現実的であるから、現実を認識しなければ、夢のようにさえ思える。
たいていの場合、そのことに気づくのは、現実の冷酷さに直面したときである。
夢は現実から逃れた、戦いからの猶予期間、休息でもある。
とはいえ、こういわれても事情を知らぬ事には、なんのことやらさっぱりであろう。
ここに至るには幾重もの変遷があったのだから、
まずはそれについてある程度述べておかなければなるまい。



放送より大分前になる。
バッツとローグは、カインとリディアについて一通りの話をしたあと、ひとまずの休憩に入った。
何か食料はないかと、駄目もとで台所に向かったローグは、
この場所は案外居心地の良いところだ、ということを間もなく知ることになる。

少なくとも、保存のきくものに関してはまったく問題がなかった。
生ものでさえ普通に食べられそうだ。もっとも、さすがに抵抗が大きかったので手をつけなかったが。
支給品の無味乾燥なパンも、ジャムやマーガリンをつければこそである。
そうして予想外の豪華な食事にありつくことができたわけだが、バッツは不思議に思った。
恐らく、このゲームで町や村に入ったら誰もが思うことである。
それを口に出さなかったのは、あまりに非現実過ぎて、違和感すら感じ得なかったのかもしれない。

しかし、この状況において束の間の休息を得たバッツは、なんとなしに呟くのであった。
「この町に住んでた人は、どうなってるんだろう」
猫舌なのか、ローグは湯気が立ち上るコーヒーの波紋をただ漫然と見ている。
「さっき俺が煎じて飲んだ薬草は、道具屋みたいなとこにあったんだ。
 家には飯がおいてあるし…ここ、やっぱり誰かが住んでたのか?」 
「そうともいえるし、そうともいえないんじゃねーかな」
「なんだよ、それ」
ローグは相変わらず、波の抑揚を見つめている。
「俺はもともとこの世界にいたんだよ」
それをきくと、バッツは「へえ?」間抜けな声をあげた。
「ここは多分、あの女のつくった仮想の世界だと思う」
あの女――アルティミシアのことを、バッツは久しく思い出した。
「わかんないけどな。でも、それ以外に考えられないだろ?」
「ううん…」
「それともなにか。あの女はこの町の住民の存在をそっくり消しちまったとでも?」
考えられないことでもないとバッツには思えたが、何も言わなかった。
「ま、なんにせよここまで再現してくれてるってのは、まったく気がきいてるぜ。
 そうだ、近くに仲間の家があるんだ。どうせなら、そこにいかないか?」
バッツは外の様子を窺いながら、「いいよ」と短く答えた。

二人は、注意深く民家の外にでると、アルスの家へと向かった。
「あった、あった!やっぱりあったぜ」
ローグは、笑いながらベッドの下から何か本をとりだし、それをみると、バッツは思わず吹き出した。
「ッぷはは、エロ本かよ!…うわ、すっげえ内容…」
「そりゃ、神竜秘蔵のエロ本だからな!」
「へ?」
「いやいや、こっちの話だ」
ひとしきり笑ったあと、バッツはローグにこの人物について聞いた。
第一印象こそこうであったが、話を聞けば、その人物――アルスの芯の強さとか、
いかに頼りがいのある心優しい人間かということがよく伝わってくる。
何より、時々毒づきながらも、なんだかんだで、アルス――仲間のことを大事に思っているんだということがバッツには感じられたし、
この状況でもローグがそう話すことを嬉しく思った。

そのあと二人は、どうにかして首輪を解除できないかという話に移った。
そこでバッツは、ためしに魔力を軽く首輪にあててみる。
危険はあったが、この程度であれば大丈夫であろうというのが二人の見解であった。
実際、この程度の魔力に反応するようでは、首輪としての機能をまっとうできないだろう。
首輪を無理にはずす行為というほどのものでもない。
ならば、魔力をあてて反応を見るくらいはまったく問題あるまい。

さて、ここまで長々と放送前の出来事を書いた理由のひとつは、
このときにシンシアたちとランドが、アリアハンにて出会ったことにある。
シンシアとザックスは、バッツとローグがアルスの家に入って暫く後に、アリアハンで偶然出会った。
二人はしばらくの問答の後、共に行動することに決め、アリアハンの城下街を彷徨った。
城下街はバッツたちの戦闘でところどころ崩れてはいるものの、
時間がたったこともあり、ほぼ全体の調和の中に溶け込んでいた。
そして二人はランドに出会った。
シンシアは、ランドが近づいていくのを対人レーダーでキャッチした。

賢明なものなら、ここでふと疑問に思うであろう。
なぜ、バッツたちやパウロにレーダーは反応しなかったのか?
それを説明することが今回の話における目的の一つである。

まず、レーダーの感知範囲が狭いことがあげられる。
パウロに反応しなかったのはそのためだ。
しかし、いくら狭いとはいえ、ランドが近づくのを捉えるくらいの能力はある。
ならば、アリアハンの広さを考えても、バッツやローグに関しては感知していてもおかしくないのではないか。
実際のところ、この二人に関しては感知範囲であった。
レーダーが反応しなかったのは、バッツが魔力を放っていたことにある。

対人レーダーと名前はそうなっているが、レーダーは、人はではなく首輪に反応する。
(したがって、死体にも反応を示す)
だが、首輪周辺に魔力などにより磁場が異常をきたしていれば、レーダーは感知しない。
そのため、バッツとローグを感知することはなかったのである。
逆に言えば、このレーダーを調べることは首輪について何かしらの情報を得ることができるのかもしれない。
とはいえ、今のところシンシアたちがそのことに気づくことはないであろう。……

外の騒ぎに、バッツとローグは気づかないわけではなかった。
しかし、声を聞き、お互いに目で知り合いかどうかを教え、
二人ともそうでないとわかったあとは、特に行動をおこさなかった。
それは、目的の人物に会うのにあまりよけいなことをしたくなかったのもあるし、
彼らの会話から、魔法が得意な人のようにも思えなかったからでもある。

三人はほどなくしてアリアハンを後にした。

あとはセリスが来て、サイファーとロザリーが来て、テリーとレックス、トンベリが来た。
ここまでは承知の通りである。…


放送があったのはそれからいくばくもしないころだったろうか。
空の色が変わり、星が見え始めた頃に、アリアハンにいる八人と一匹は、
同じ地響きを聞き、そして同じ声を聞いた。



放送が終わって、バッツはこみ上がってくる爆発しそうな感情をこらえるのに必死だった。
「クルル…クルル…!なんで…どうして……クルル……」
壊れたレコードプレーヤーのように、同じ単語をひたすら口の中で繰り返していた。
手は硬く、目尻をよせ、口元は大きく歪み、痛みすら感じぬほどに唇を噛んだ。
ローグはその様子を悲しげに見て、いつのまにか名簿に引かれた朱色のラインにしかめっ面をしていた。
(誰が死んだかよくわかるように…ってか。本当に、気の利いた主催者様だ!)

できることなら叫びたい。
しかし、二人はこの町にいるのが自分たちだけではないことに気づいていた。
バッツの漏れた声の一部を、ローグは聞いた。
「なんで…俺が生き残って…あいつが…死ぬんだ…。クルル……」
ローグははっとした。



もうひとつの民家でも、二人、項垂れていた。
パウロは「ムース…」と念仏のように唱え続ける。
セリスのほうは、震える手をおさえながら空の色を見ていた。
だが、現実は否応なく、彼らをさらなる衝撃へと突き落とす。
セリスの耳にはっきりと、女の叫び声が聞こえた。
ついで、男の哮るような声が聞こえた。



「バッツ…大丈夫か?」
「…ああ」
バッツとローグは、音の発生源の近くまできていた。
そこには、金髪の男と…頬に肉のない――骸骨がいた。
「また、おっぱじまったみたいだ」
ローグは舌打ちをして呟いた。
「短い息抜きだった…いや、それは違うな。こんな息抜き、冗談じゃないぜ」
「…また、殺し合いか」
「バッツ」
ローグは落ち着いた声で呼びかけた。そして、淡々と語った。

「俺の、おふくろは俺を生んだときにしんじまったらしい。難産だったんだな。
 親父は、俺が7歳のときに死んだ。魔物に襲われたんだ。
 親父は俺をかばって、俺が逃げてる間に、親父は囮になって殺された。
 それから、俺は盗賊になったんだ。生きるためには、それしかなかった。
 生き残るために、それからも俺はいろんな人を犠牲にしてきた。
 どういうわけか、勇者だとか名乗るやつに拾われて、世界を救う旅なんてのもしたけどな。
 バッツ…俺はな、何があっても生き残ってみせる。生きたいと思う奴が生き残るんだ。絶対に諦めない」
「…ああ」

バッツは戦いの方を一瞥した。
「あいつらの様子をみるか。…ああ、わかってる。わかってるよ。でもな…」
バッツはそれ以上のことは言わなかった。
クルルが死んだのに、自分が生き残った――意味があるのだろうか。
バル城の跡継ぎたるクルルが死に、天涯孤独――であった、自分が生き残ること。
―――でも、ローグのいいたいことはわかる。

今はただ、目の前の事態をどうするかである。
同時にそれは、気を紛らわす目覚めへの延長でもあった。

【バッツ 所持品:チキンナイフ、ライオンハート、薬草や毒消し草一式
 第一行動方針:様子見 第二行動方針:レナ、ファリスとの合流】
【ローグ 所持品:銀のフォーク@FF9
 第一行動方針:様子見 第二行動方針:首輪を外す方法を探す】
【現在位置:アリアハン城下町】

【サイファー 所持品:破邪の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能)
 第一行動方針:ハインを倒す 第二行動方針:ロザリーの手助け 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【ロザリー 所持品:不明 
 第一行動方針:隠れる 第二行動方針:ピサロを探す 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【現在位置:アリアハン城下町】

【パウロ 所持品:破壊の剣 
 第一行動方針:? 第二行動方針:ロランを探す】
【セリス 所持品:樫の杖 シャナクの巻物
 第一行動方針:外の様子を窺う 第二行動方針:ロックを探す】
【現在位置:アリアハン城下町東側の民家二階】

【ハイン 所持品:破壊の鏡、氷の刃、ルビーの指輪 
 第一行動方針:サイファーを殺す 第二行動方針:殺戮】
【現在位置:アリアハン城下町】