394話

第394話:カインとエッジ


「うおーっ、なんだあの爆発!!」
「あれ、さっきまであたしたちが居たカズスの村からだよ?」
「ってことは……あのまま居残ってたらヤバかったかもな。
 つーかあの村、ちゃんと人居たんだな。全然出会いやしなかったが」
「もしかしたらあの爆発に巻き込まれてみーんな吹っ飛んでたりして……」
「おい、縁起でもねえこと言うんじゃねえ!」

カズスの村で血文字のメモを(逆さまに)確認したユフィとエッジは、
そのまま当ても無くマリアの形見となった大きな剣と、それを持つ人を探し続けていた。
気づいた時にはカズスの村を抜けていたようだが、それが幸いして被害を免れていたようだ。

「――あ、前方に二人組はっけ~ん!といっても、一人は人間じゃなさそうだけど」
「お、ホントか?どれどれ、どんな感じのヤツだ?」
ユフィの視線を追った先、そこに居た男を視界に捕らえた瞬間、エッジは飛び出さずにはいられなかった。



「――む」
「うわ、カイン、まぬけ~」
リュカたちと別れてからカズスの村へと向かっていたカインとスミスは、
ちょうどカズスの方角にて発生した爆発を遠目に目撃した。
二人は即座にカズスは今戦闘状態にあるだろうと判断し、カズスの村の手前の森で様子を見ることになった。
そんな折、カインの顔に1枚の紙切れが飛んできたのである。
それにはどうやら血を使って文字が書かれているようで『キンパツニキヲツケロ』と記されていた。
「金髪か――俺のことではなさそうだが、厄介だな」
「どういうこと?」
「この紙がどれくらい出回っているかは分からないが。
 万一これを見ているヤツが他にいたとしたら。これであらぬ疑いをかけられるかもしれん」
「あらぬっていうか、実際疑いあるんだけどね」
「まあ、そうだが」
「でも金髪の人って意外と多いんじゃないかな?タバサやエドガーだって金髪だったし。
 カインなら、今までどおりにやれば大丈夫だと思うよ」
「だと、いいがな……まあいい、先を急ぐぞ」
メモを他の誰かに読まれないよう、破り捨ててしまおうとして――

「カイン!カインじゃねーか!」
現れたのは旧知の友。
「その声―――エッジか?」
遅れて更に、片腕の無い少女も現れた。
「ちょっとぉ~エッジ!勝手に先行かないでよ!……って、もしかして感動の再会シーン?」

この二人組には覚えが――もちろんエッジはここに来る前からだが――あった。
そう、人を『壊す』と表現していたデールという狂人に仲間を殺された二人だ。
あの時は片腕の少女は死にかけていたようだが、どうやら持ち直したらしい。
その代償として、あの女が殺された、というワケか……。
「カイン、知り合い?」
スミスが不思議そうに問いかける。
「まあ、旧友とでも言っておこうか」

「いやー、生きててくれてよかった!
 セシルも、ローザも、――リディアも。みんな、出会うこともできずに死んじまったから!
 カインにここで出会えて、俺はとても嬉しいぜ!良かったなぁ!」
「エッジのほうも無事で何よりだ。
 とりあえずはどこかで落ち合って、情報交換とでもいかないか?」

人目につきにくいという理由で森の奥へと移動する途中、スミスからいつもの念が届く。
(そのままでいいから、聞いてね)
カインは気づかれないように頷く。
(エッジて人、カインの知り合いみたいだけど――情にほだされて殺らない、とか言わないでね)
(タバサといい、リュカといい失敗続きだしね、いい加減、誰か殺そう)
(どうせ友達だって、アルティミシア様にかかれば簡単に復活させることができるし)
(躊躇する必要なんか、ないからね)
カインは静かに、もう一度頷いた。


適当な木の周辺に腰を落ちつけた後、お互いに自己紹介と情報交換を済ませた。
ちなみにさっきの爆発についてはお互い分からないらしい。
ただやはりあれだけ大規模な爆発を起こすような参加者がうろついている以上、
今すぐに近づくのは得策ではない、様子を見ようという意見で一致した。

次にエッジ曰く「銀髪のセフィロスという男に注意しろ」とのことらしい。
どうやらユフィと同じ世界から連れ込まれた者のようで「バケモノのような強さ」という話だ。
確かにそのような見境無くゲームに乗るヤツはあまり相手にしたくないタイプである。

また、カインの持っていた血文字のメモはカズスの村にてユフィも同様のモノを拾っていたらしい。
そのメモでは中身を解読できなかったようだが、どうやらそれは上下逆さまに見ていたからだったようだ。
そしてカインは正確な内容を伝えると同時に、自分はその気をつけるべき金髪ではないことも告げた。
ユフィは「わかってるよぉ~」と軽口を叩いた。どうやらエッジの知り合い=信用できるという認識らしい。

そしていよいよ、エッジが本題を切り出した。
「ところでカイン、お前は小さな穴の開いた、大きな剣を持ってるヤツを見てねえか?
 その剣を持ってるヤツを――恐らくはマリアさんの仇を。今探しているとこなんだ」

カインはそれにも覚えがあった。
マリアの仇とはまさにデールのこと。大きな剣とはデールがあの時持っていた剣のことだろう。

そして俺の記憶が正しければ。
いきさつは知らないが、その剣は現在、先ほど別れたリュカという男が所持していたはずだ。
その時カインは閃いた――これは使える、と。上手くエッジを利用する事ができるかもしれない、と。

「そんな感じの剣を持ってるヤツなら、実は少し前まで一緒に居た。
 一時的に別れ、日没後にカズスで落ち合わせる約束をしたが――もしかしたら罠なのかもしれないな」
ちなみにそいつは、紫色のターバンをしたリュカという男だと付け足したが、二人とも知らないようだ。
「カイン、俺たちもカズスに同行していいか?真相を確かめてぇ。
 もしかしたらマリアさんを殺したヤツを殺して手に入れたのかもしれねぇしな……」
「そいつが本当にマリアさんを殺した人だったら、このユフィ様がやっつけてやるもんね!」
と言いながら、ユフィは片腕でジャブを打つような真似をした。
「ふむ……スミスは構わないか?」
スミスは「僕は構わないよ」と、コクンと頷いた。
「では――日没を少しすぎた頃にリュカという男は仲間を何人か連れてカズスに現れるはずだ。
 しかし日没すぎに俺たちの仲間がもう一人合流するから、その頃までにはカズスに向かう。
 だからそれまでに……戦闘になることも覚悟して、休むなり、なんなりしておいてくれ」
エッジもユフィも了承し、休息をとりはじめた。


話が終わったところで、スミスが納得した風に念を送ってくる。
(――なるほどねー、上手く誘導して漁夫の利を得るってワケね)
もっとも、スミスも以前レナを相手に同じ――いや、それ以上か――ことを行っていたのだが。

よし、まずはこれでいいだろう。
あとは日没後に上手く立ち回るだけだ。勿論エッジがリュカたちを殺してくれるのが理想だが、
殺せなくとも、リュカたちを消耗させてくれれば俺たちでもトドメを刺せるようになるハズだ。

ただ――気になるのは先程の爆発か。一度先行して状況を見てきた方がいいかもしれないな。
そんなことを考えながら、カインは忘れていた血文字のメモを破り捨てた。

【カイン(HP 5/6程度)
 所持品:ランスオブカイン ミスリルの小手 えふえふ(FF5)  この世界(FF3)の歴史書数冊
 第一行動方針:カズスの村でフリオニールと合流し、罠を張る
 最終行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】
【スミス(変身解除、洗脳状態、ドラゴンライダー) 所持品:無し
 行動方針:カインと組み、ゲームを成功させる】
【エッジ 所持品:風魔手裏剣(10) ドリル 波動の杖 フランベルジェ 三脚付大型マシンガン 】
【ユフィ(傷回復/右腕喪失)
 所持品:風魔手裏剣(10) プリンセスリング フォースアーマー 】
【第一行動方針:アポカリプスを持っている人物(リュカ)と会う
 第二行動方針:マリアの仇を討つ 基本行動方針:仲間を探す】
【現在位置:カズス北西の森の東部】

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最終更新:2008年02月15日 22:50
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