FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 341話


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第341話:命運の紙


そこに落ちていたのは、一枚の紙片。
「あれ、何だろ、これ?」
少女は残された左腕で摘み上げる。
どうやら参加者リストと同じ紙質のようだ。手触りに覚えがある。
しかし、表には赤黒い染みがわずかに滲んでいるだけ。
と、すると――ひょっとして、こっちが本当の『表』か?
ひっくり返してみると、予想通り、染みと同じ色のインクで文字が書いてあった。
だが……全く読めない。

『ロ 山 /,, ∈ ≠
 ニ /,, 。ヽノ /, ≠』

(何これ? なんて書いてあるの?)
気になってきちんと読んでみようと思った彼女だったが――ふと、その文字が血で書かれていることに気付いた。
(うわー……コレ、もしかして結構ヤバイ?)
読めない記号と血文字の言葉。
狂気じみた組み合わせが、悪寒と恐怖を呼び起こさせる。

「おい、何やってんだ? マジメに探せよ」
「あ、ごめーん」
少女はしかめっ面をする相方の青年に軽く笑いかけた。その影で、こっそり紙を丸めて捨てる。
青年は少女の挙動に気付かないまま、彼女に詰め寄った。
「わかってんだろーな。でかい剣だぞ、剣。マテリア穴ってのがついた」
「もー、何度も言われなくたってわかってるってば」
「ホントか? ……まぁ、それはいいか。
 それよりもだ。いいか、俺たちは旅の扉を探すのに結構手間取っちまってるんだぜ。
 早く探さないと、今ごろずっと遠くに逃げられて……」
「旅の扉ってランダムワープさせられるみたいだし、どこにいるかもわからないのに、遠くも逃げるも何もないと思うけど」
「う、うるせえな! とにかく、しっかり探せってんだ!」
「はーい、はいはい」
少女は肩を竦めながらも、青年に続いて町の奥を探し始めた。



暴走軽トラとの遭遇から数十分後。
森の外に出て、山脈に沿って歩いていたティーダは、やがて開けた平野に辿り付いた。
地形と地図を確認し、それほど遠くない場所に村があることに気付き、そちらに向かって歩き出そうとした時――

「僕に、構うな」
――いつの間に気を取り戻したのだろうか?
茶色の髪の青年は、薄目を開けてティーダを見つめていた。
ティーダは歩きながら答える。
「構うなったって……放っておけないッスよ」
そうだ。放っておけるわけがない。
彼のような状態の人間を一人にして捨て置くなど、間接的な殺人に近い行為だ。
それに彼のせいで襲撃されたといえ、一応は庇ってもらったのだから、そのことに対する引け目もある。
だが。
「僕が、人殺しでもか?」
その一言に、ティーダの足は止まった。

もちろん、ティーダだって全く考えていなかったわけではない。
何も覚えていないという彼の奇妙な態度。彼を人殺しだという子供達、イクサスとバーバラ。
そして二人を説得しようとしたソロの台詞と、アーヴァイン自身が言い出した申し出。
導き出される答えは最初から一つしかなかった。
それでもティーダは否定した。いや、正確に言えば否定したかった。
「そんなことがあるわけない」と。
「人殺しと一緒に行動する奴なんているわけないじゃないか、人殺しが自分を庇うわけないじゃないか」――と。

けれど、アーヴァインは言葉を続ける。
呂律は回っておらず、咳のせいで途切れ途切れではあったが、聞き取れないほどではなかった。
そしてはっきりとした筋道は、彼の喋っている内容が病人の妄想や戯言などではないことを証明していた。

「……」

ティーダは何も言わずに再び歩き出した。
肩に、アーヴァインの身体を担いだままで。
そんな彼に、アーヴァインは必死で語り掛けようとする。
「おい、バカ、置いてけって……人の話、聞けよ……
 僕なんか、連れてても……ゲホッ、ゴホッ。
 あんたまで、狙われ……、………」
だが、その声は急に途切れた。
無理して喋り続けたせいで体力を消耗したのだろう。意識を失った身体は、ずっしりと重くのしかかる。

ティーダは思う。
――どうすればいいのだろうか、と。

彼の言う通り、こんな男など捨て置いて、仲間を探しに行くべきではないのか。
彼と一緒にいればいるほど、自分の身にも危険が及ぶ可能性は高くなる。
例えアーヴァインをここで見捨てたところで、誰も自分を責めはしないだろう。
本人もそれを望んでいるのだし、彼は殺人者なのだから。

けれど……一人になるのは、やはり、怖い。
それに見捨てたことで彼が死ぬようなことになれば、誰よりも自分が自分を許せなくなりそうだ。
結論を出せぬまま、重い足取りでティーダは歩き続け――
やがて、村の入り口に辿り付いた。

そして、彼は見た。
男と、片腕のない少女の後姿を。

見つけてしまった。
少女が放り捨てた、一枚の紙片を。

読んでしまった。
そこに書かれた言葉を。


 『キ ン パ ツ ニ
   キ ヲ ツ ケ ロ』


「――――ッ!!」

息ができなくなった。
心臓を鷲づかみにされた気分だった。

なぜなら、自分は金髪だから。

少女はこれに目を通して、丸めて捨てていたから。

丸めて捨てたということは、彼女が誰かに宛てて書いたものではないということだから。

それはすなわち、この紙が無差別にばら撒かれたものだという事を示唆していたから。

アーヴァインを見捨てて逃げるどころじゃない。
彼と一緒にいれば狙われるとか、そういうレベルの話じゃない。
誰が、どこに、どうやって、全部で何枚ばら撒かれているのかも分からない紙片。
これを読んだ者は、間違いなく自分を信用しようとはしなくなるだろう。
例外はユウナとリュック……それにターニアとロックとソロぐらいか。
それにしたって、彼らとすぐに再会できるとは限らない。
自分の味方になってくれるのは、下手をすれば、この元殺人者の青年だけかもしれない。

恐怖と絶望に打ちひしがれながら、ティーダは二人組みに気取られぬよう、休める場所を探した。
そして宿屋があることに気付き、そっと扉を開けて中に入った。
道具屋や酒場を兼ねていたのだろうか。
カウンターは二つあり、片方には薬品類の入った箱が、片方には酒ビンらしきものの並べられた戸棚が置かれている。
ちょうどいい。これで外に出ずともアーヴァインの手当てができそうだ。

二階のベッドにアーヴァインを横わらせた後、ティーダは薬品類を漁り、毒消しらしきものを探し出した。
そして何とかアーヴァインを起こし、その薬を飲ませる。
「放ってくれ」とか「マズイ」とか「ニガイ」とか、散々文句を言ってきたが、それでも全部飲み込ませることには成功した。

効き目があるかはわからない。
それ以前に、それが本当に毒消しだったのかすらわからない。
ただ、苦しげに歪んでいた表情が少しだけ和らいできた……ような気はする。
ともかくティーダにできることはやったのだ。後は祈るしかない。

「……死ぬなよ。頼むから」

口から零れたその言葉は、果たして、人が死ぬのを見たくないからなのか。
それとも、単純に一人になることが怖いだけなのか。
彼自身にも――わからなかった。


【エッジ 所持品:風魔手裏剣(10) ドリル 波動の杖 フランベルジェ 三脚付大型マシンガン 】
【ユフィ(傷回復/右腕喪失)
 所持品:風魔手裏剣(10) プリンセスリング フォースアーマー 】
【第一行動方針:アポカリプスを持っている人物を探す
 第二行動方針:マリアの仇を討つ 基本行動方針:仲間を探す】
【現在位置:カズスの村・外を歩いている】

【ティーダ 所持品:鋼の剣 青銅の盾 理性の種 ふきとばしの杖〔4〕 首輪×1  ケフカのメモ
 第一行動方針:アーヴァインを助けて彼に仲間になってもらう
 第二行動方針:自分を信用してくれる人物か、ユウナ・リュック・ターニア・ロック・ソロを探す。
 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【アーヴァイン(気絶、HP2/3程度、一部記憶喪失(*ロワOP~1日目深夜までの行動+セルフィに関する記憶全て)
 所持品:竜騎士の靴 G.F.ディアボロス(召喚不能)
 第一行動方針:? 第二行動方針:罪を償うために行動する】
【現在位置:カズスの村・宿屋の2階】