128話

第128話:企み


中年の剣士が二人、闇に包まれようとしている森の中を歩いていた。
言うまでも無く、パパスとオルテガである。
放送直後は、二人とも何事も無かったかのように振舞っていた。
だが、オルテガはパパスの表情の変化に気づいていた。
パパスが自分からそれを話すまでの間、オルテガも黙って歩いていたのだった。

そうして十分くらいだろうか。パパスが口を開く。
「サンチョは有能な召使だった。息子を任せても大丈夫な唯一の存在だったのだが…惜しいことで亡くしたものだ」
静かに嘆く。
オルテガはその言葉を受け取ると、話題を転換する。
自ら人に話せるようになれば、覚悟はついたのだと捉えることが出来たから。
「息子さんは確か…」
「ああ、未だ五歳の子供だった筈なのだが…」
パパスは参加者リストを回想した。
マーサと同じ澄んだ瞳をして、其処に載せられていたリュカの写真を思い出していた。
「…立派になった。知らずに大人となっていたか」
――勿論、妻や子供がいる事など、知る由も無かったが。
「成る程。私も息子の生まれた姿しか知らずに過ごし、次に会ったときには16歳だったのだが」
「親が無くとも子は育つ、か」
「寂しいものだな」
二人の偉大なる父親は、互いに笑みを浮かべる。
それは、何処か寂しさを帯びた笑みだった。
そして、その笑みを破ったのは、彼らに助けを求める声だった。



「ケフカよ。観念するんだ」
レオの声は、大地を揺るがすかの如く力強く。
「あんたが何をした奴なのかは知らんが、少なくともあんたはレオさんの敵だ」
ファリスの声は、揺らめく炎の如く勇ましく。
それでも、月明かりの薄暮の中完全に姿を現したケフカの不気味な笑みは消えることは無かった。

「覚悟するんだね、レオ将軍」
ケフカは言い放つと、先程レオにつけられた肩口の傷口に思い切り爪を立てる。
当然の如く傷口が開き、血が滴り落ちてきた。
「何を企んでいる、ケフカ!」
「すぐにわかるよ。しかし相変わらずのマヌケだねぇレオ将軍」
ケフカはそう言うと、レオ将軍に背中を向けて走り始めた。
「逃げるのか、ケフカ!」
レオも、当然後に続く。
「待ってくれよ!」
ファリスは咄嗟のことに出遅れてしまった。

(僕の計画通りだ…)
バニシュ状態で確認しておいた。この先にいる二人の剣士。
(アレは強いよ…レオなんてコテンパンだろうねぇ)
月光に照らされたその影が見えてきた。
「助けてクダサーイ!」
ケフカは叫んだ。二人は振り返る。…完全だ。

「どうしたのだ!?」
男の一人が、咄嗟に剣を構えて尋ねる。
「変な奴が後ろから追ってくるんです!」
出来るだけ自分がマトモに見えるように、表情や声に緊迫感を持たせる。
演技力に自信が無いから傷を広げてまでこんな状況を作り出したのだ。相手も信用してくれる筈だ。

ケフカが指差す方向には、乾いた血の付着した剣を持つレオ将軍。
濛々とした殺気が溢れている
そしてケフカの肩口には、鋭い切り傷。
これだけ有れば、二人の剣士が判断を誤るには十分だった。
「この男を助ける!あの男を止めねばなるまい」
「了解だ!」

二人の偉大なる父親は、レオの前に立ちはだかった。
「何故そのような事をしようとする。そなたも名の知れた武人ではないのか」
パパスが、諭すように言う。
「止めてくれるな。これが今の私のすべき事なのだ」
レオの言葉は、二人の剣士に本当の意味で届くことは無く。
「力づくでも止めて見せるぞ。いざ!」
パパスは剣を構え、オルテガは斧を構える。
「否、私の狙いはその男だけだ。通してもらえぬか」
レオは再び言ったが、
「何を言う。尋常に我等と勝負せい。あの男を殺すのは我等に勝ってからだ」
オルテガは言い放つと、斧を振りかざした。


パパスとオルテガの後ろで、ケフカは不気味な笑みを浮かべて後退し始めた。
(後は勝手にやっていているんですね、レオ将軍)
月明かりの下、彼の姿が森の奥に消えた事に気づいた人は、誰もいなかった。

【オルテガ 所持品:ミスリルアクス 覆面&マント
 第一行動方針:レオを止める 第二行動方針:アルスを探す
 最終行動方針:ゲームの破壊】
【パパス 所持品:パパスの剣 ルビーの腕輪
 第一行動方針:レオを止める 第二行動方針:仲間を探す
 最終行動方針:ゲームの破壊】

【レオ 所持品:吹雪の剣 鉄の盾 神羅甲型防具改
 第一行動方針:この状況を抜ける 第二行動方針:ケフカ殺害
 最終行動方針:ゲームに乗らない】

【ファリス 所持品:王者のマント 聖なるナイフ 
 第一行動方針:レオを探す 第二行動方針:ケフカ殺害(?)】

【ケフカ(負傷) 所持品:ソウルオブサマサ 魔晄銃 ブリッツボール
 第一行動方針:逃げる 最終行動方針:ゲームに乗る】

【現在位置:レーベ南の森南東部】

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最終更新:2008年02月16日 01:16
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