FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 396話


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第396話:亡き友、楔となりて


 カナーンの南、ジェノラ山の西の平原を一人の満身創痍の男が越えようとしていた。
 もうすぐ、あの町へ辿り着く。その思いだけが今この男――ギルガメッシュを支えていた。
 傷を負った状態で歩いていたのだ、その分血は流した。眩暈もする。吐き気もだ。
 しかし彼にとってはこれからどうすればいいのか。どうしてああなったのかという事の方が重要だった。
 俺がしっかりしていないからフリオニールは、サリィは――と最早考えれば考えるほど気力が失われていく悪循環だ。
 力が抜けていく。目の前が霞んできた。喉が酷く渇く。ここで死ぬのかもしれない、そう思う。
 ふとわるぼうとサリィ、二人と一緒だった時の事を思い出した。
「うるせぇーーーっ!!」
 俺とわるぼうの頭に強烈な拳骨が打ち込まれた。 
「人が集中して仕事してんだ! ちったぁ静かにしやがれ!」
「「……す、すいません……」」
 今まで色んな奴と戦ってきたが特別有無を言わさぬ迫力のある奴だった。
 だが一番最初に法服に身を包んだ女に襲われた時、ほんとに一般人だってのが理解出来た。
 人を殺した事なんてない、ましてや自分の振るうハンマーを人に向けた事だってなかっただろう。
 気のいい奴だってのもすぐに分かった。こんな状況でなければ惚れてたかもしれない。
 そう考えるとひどく残酷だ。このゲームはそんな殺し合いとは無縁の奴さえそうさせてしまうのだから。
 ……このままじゃ終われねぇ。あの魔女にサリィの受けた痛みを倍返しにしてやるまでは。
 そうして奮い立たせようとするが、また疑問がある。わるぼうの事だ。
 アイツと合流したいところだが、旅の扉に入ったタイミングが違うだろう。
 一緒の場所に出なかったのがその証拠だ。あまり考えたくはないが死んでる可能性もある。
 いや駄目だ。考えたくねぇ。アイツまで死んでるなんてのは。
 またそうして嫌な事を思い浮かべて、いっそこのまま死ぬのもいいかもしれないとすら考えてしまう。
 だが意識を失うわけにはいかない。ここで倒れるわけにはいかない。
 サリィをあんな風にしておいて、俺がここでこうしての垂れ死ぬなんてそれこそ侮辱だ。 

 最期のその一線が気力をぎりぎり保たせていた。ここに来るまでに倒れていたなら、恐らくはそのまま死ぬのを待っていただろう。
 そして気力を振り絞ったお陰で町に近付いてきていた二人に気付いてもらえた。そういう意味では、サリィに生かされたと言える。
 感謝の言葉の一つも掲げるべきなのだが、生憎ギルガメッシュにはそれだけの余裕などあるはずもなかった。

「大丈夫か! オルテガ殿、この者怪我をしていますぞ!」
 パパス達が町の近くへと差し掛かった時だ。
 明らかに分かる一つの違和感に気付いた。南側に在る赤く染まった体躯を引き摺る一人の男の姿だ。
 見過ごすわけにもいかず、こうしてほとんど意識の無いギルガメッシュに身体を預けられている。
「ム……しかもかなり酷いですな。このままでは命に関わります。すぐ町に入り治療致しましょうぞ」
「ええ……分かっております。しかし――」
 パパスが懸念していることは、町の中から聞こえる爆発音だ。
 彼を助ける事に疑問はない。それが最優先だ。
 しかし、ピエールとザックス、そしてテリーとファリスの戦いが行われているのだ。
 パパス達は戦っている者が誰かまでは分からなかったが、
 もしゲームに乗っている者であるとすれば今出くわすのは非常に不味い。
 二人だけならば問題はない。ただ己の生き方に従い、悪意を導く。
 悪意の元である者がそれを打ち払えなければ切り捨てるだけだ。
 この不器用な生き方を変えるつもりはないし、今更変えようもないだろう。
 だが今なら確実に彼――ギルガメッシュを庇いながら戦う事になる。刻一刻と体力が失われているのだ、そのような時間はない。
 相手が彼を狙ってくれば余計に危険であり、更には全滅の危険をも孕む。
 それでもなお、パパス……そしてオルテガには目の前に在る戦いを見過ごす事も出来ないのも事実であったが。
「成る程……あちらも気になるという事ですな?」
「ええ。もしかすると、あそこには我が子も――と考えてしまいます故」
 あの子は強い、きっと生きている。誇らしくなるほど立派に育っていた。
 こんなところでしか会えないというのも、皮肉であったが。
 だが、ここに誘われた者達も違った世界の強者であるこの現状を見れば、
 早急に合流しなければならないのは明白である。

「ならばパパス殿。貴殿は彼の治療をお願いできますかな?」
「承知した。ではオルテガ殿は……」
「私は彼等を止めに行きましょうぞ。心配なさるな、私は簡単に死ぬようには出来ておりませぬ」
 オルテガはそれだけ言うと、町の中へと駆け出していった。

 その頃アルス、そしてクリムトの二人は別方向からではあったが、戦い渦巻くカナーンへと着実に向かっていた。
 早くに自分の進んでいる方角から発している強烈な爆発音に気付いたアルスは、仲間が居るかもしれないという思いを抱き走りだした。
 そしてもう一つ。ゲームに乗った人間が居るかもしれない。もう誰も死なせたくはない。必ず倒す。
 胸の奥にある憎悪を勇気と気力に変え、遠くに臨む町へと疾駆する。
 クリムトはカナーンに在る悪意を打ち払う為に、また失われ行く命を救い上げる為に。
 静かに淀みなく、意思を込めて歩き続ける。きっとそれが自分の取るべき最良の道であると信じて。

【オルテガ 所持品:ミスリルアクス 覆面&マント
 第一行動方針:状況の確認と戦いの阻止、場合によっては戦う
 第二行動方針:アルスを探す
 最終行動方針:ゲームの破壊】
【ギルガメッシュ(HP1/4程度・無気力状態・意識混濁)
 所持品:厚底サンダル 種子島銃 銅の剣
 第一行動方針:不明】
【パパス 所持品:パパスの剣 ルビーの腕輪
 第一行動方針:ギルガメッシュの治療
 第二行動方針:仲間を探す
 最終行動方針:ゲームの破壊】
【現在位置:カナーンの町東部】

【アルス(MP4/5程度・疲労)所持品:ドラゴンテイル ドラゴンシールド 番傘 官能小説3冊
 第一行動方針:南の村に向かう(カナーンの村)
 第二行動方針:イクサスの言う4人を探し、PKを減らす
 最終行動方針:仲間と共にゲームを抜ける】
【現在地:カナーン北西・湿地帯】

【クリムト(失明) 所持品:力の杖
 基本行動方針:誰も殺さない。
 最終行動方針:出来る限り多くの者を脱出させる】
【現在位置:カナーン北東・峡谷出口】