488話

第488話:Opposite Directions


どこに行けばいいんだよ?

ネルブ谷をぬけたザックスに選択が迫っていた。
彼はカナーンに今までいたため、この辺りの状況がまったくわからない。
わかることといえばパパスとオルテガがこの周辺に
いるかもしれないということだけである。

ザックスは歩きながら考える。


今一番の目的は何としてでもエドガーと再開することだ。
それを達成するための最良の方法は…町や城に行くことだろうな。
建物のあるところに行けば参加者に遭遇できる可能性が高い。
そこに行けば、エドガーの所在を知る人に会えるかもしれないし、
もしかしたら、本人と再会できる可能性もある。
もちろん、ゲームに乗っている奴に出会うかもしれない。
が、ある程度のリスクは止むを得ないだろう。
それにゲームに乗っていない人にも会える…はずだ。
そうなると、俺が行くべき場所はサスーン城かカズスに絞られるな。
ウルは除外だ。ここからウルまで相当な距離があるし、何より自分の体力を考慮
するとかなりきつい。ここから比較的近いサスーン城、カズスにポイントを
当てるしかない。地図はあの野郎にザックごと奪われちまったが、その前に地図を確認
しといてよかったぜ。大まかな場所は頭に入っている。
…まさか地図が書き換わっているとは思わなかったがな。

しかし、これではまだどこに彼がいるのかまったく特定できない。
…ならば今度は視点を変えてみるか。


エドガーならどうするか?


彼は片手を失っており、武器などはほとんど持ち合わせていない。
よって戦闘などをするのは非常に困難な状態だ。
もし不意打ちなどをくらえば一気に危険な状況になるだろう。なのでそのような
状況に陥りやすい場所には極力移動しないはずだ。
…例えば森などの見通しの悪い場所には。
さらに彼はこの世界に来てからシンシアと行動を共にしていただろう。
彼の性格上、女性を危険な場所には連れて行かない。
仮に彼らのスタート地点が森や洞窟だったとしてもすぐに移動するはずだ。

…だから、森にいる可能性はかなり低いと俺は考えた。彼の状況から考えると、
デメリットが多すぎる森にはいない。
……そういえば昨晩、森で襲われたと言っていたな。俺もそうだったけれど。
もう…間違いないだろう。俺の行くべき道は決まった。

生きていてくれよ……!

ザックスはカズスへ歩を進めだした。



奴だけは許せない…!

ザックスより遅れて盆地に到着したギルガメッシュ。彼にもまた選択が迫っていた。

彼の目的は唯一つ、復讐を果たすことである。
彼の探している人がいずこにいるかわからないが必ず探さねばならない。
しかし、何も考えずに闇雲に探していては埒が明かないのもまた事実であった。

フリオニールの立場になって考えるんだ。
奴はゲームに乗っている。奴にとって参加者を狩る絶好の穴場はどこなんだろうか?
安全に確実に殺せる場所……。
…俺だったら森などの視界の利きにくい所を選ぶだろうな。
今の時間帯森は闇に包まれている。それこそ、奇襲に会えば戦いに手馴れの
者でも危険な状況に陥るはずだ。まして、まともに戦えない参加者もいる中に、
混乱を誘って分断させれば一網打尽をすることも不可能ではない。
もし襲撃に失敗して、追跡されても町や平原と比べて逃げやすい。

フリオニールなら考えるかもしれない。
おまけに奴は魔法もある程度熟知しているようだし、強力な武器もある。
かなりの戦闘手段を携えている。
俺はこう結論付けた。
それらを最大限に生かせるのは森ではないか――と

…奴がいる場所はだいたい見当がついた。


よし、戦闘に備えて持ち物をもう一度確認しておくか。

銅の剣は少し頼りないが一応接近戦には使える武器だ。
…この銃は確かに強力だが連射能力には長けていないようだ。

一発打ったら違う方法で戦わないとまずいな、こりゃ。
それに狙いが微妙に外れるから熟練がいる武器だ。
しかし、よくこんなものを作り出すなぁ。
……この履物はどうでもいい。
次にあのガキから奪ったザックの中身だ。
この杖、説明書によると違う人物に化けられる代物なようだな。
…まぁ、物は使いようってやつか。
そして…さっきも見たがこれはなんなんだ?
何か物を写し取れることができるもののようだが、俺のいた世界では
こんなもの見たことないし、何より技術力が違いすぎる。…何とも言えねぇな。
だがさっきは銃の試し打ちでこれは見ただけだったが、
説明書のおかげでいろいろわかった。
このボタンを押して……と
……どうやらもう既に何枚か写し取られているようだ。
…これは試し撮りみたいだな。
もう一つ、女の子が写っていた。参加者だろうな。風景を見ると高い場所で
撮られたことがわかる。どっちも日付が今日の夕方前ぐらいになっている。
一応、フリオニールの情報があると期待したが無駄足だったようだ。
ああ、予備電池というものがあるから使えなくなる心配はないようだ。
だが、この中身は今の俺には必要ない。しまっておこう。

……今、信じられるのは自分しかいない。
自分がやらなくてはならない。
自分が決着をつけなければならない。
仇を…この手で必ずとる!

例え、それで果てようとも俺は……フリオニールを討つ!!

この手で、必ず……!

ギルガメッシュは暗くそして深い森へと向かった。

二人は考えた末に自分の行くべき道を見出した。
しかし、二人は選択した道の逆に、求めている者がいるということには
気づくはずがなかった。
そしてこの選択が何を齎すのかこの時点では誰もわからない。

【ザックス(HP1/3程度、口無し状態{浮遊大陸にいる間は続く}、左肩に矢傷)
 所持品:バスターソード
 第一行動方針:カズスへ向かう
基本行動方針:エドガーを探す
 最終行動方針:ゲームを潰す】
【現在地:カズス北西の森西の平原】

【ギルガメッシュ(HP1/2程度・人間不信気味)
 所持品:厚底サンダル、種子島銃、銅の剣、デジタルカメラ、デジタルカメラ用予備電池×3 
変化の杖、りゅうのうろこ
 第一行動方針:森へ向かう
基本行動方針:フリオニールを倒す】
【現在地:サスーン南東の山脈付近→森へ】

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最終更新:2008年02月16日 01:31
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