FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 548話


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第548話:軽い気持ちと激情の空回り


本当はね、眠る気なんてなかったんだよ。
どっかのオジサンがうるさいから目だけつぶっとけーって。
だけどさ。ふっと気づいちゃったんだ。
頭の中で鳴ってる、さざ波みたいなノイズに。

最初は、死んだ人の声だって信じてた。
何せティーダに止められるちょっと前には、本当にはっきり聞こえてたから。
死にたくないとか殺してやるとか、ちょっと物騒なトーンが混ざってね。
でも、『なんかただのノイズみたいだな~』って思ったところで、別の考えが浮かんだのさ。
頭の中がザワザワして、なんか力が沸いてくるような感じもする謎の現象。
これって、エルオーネの"妖精さん"と似てないか? って。
まあ、確信があったわけじゃなくて、ただの思いつきなんだけど。
僕、"妖精さん"の方――ジャンクションする側にしかなったことないし。

でもさ。可能性としては否定できないじゃん?
スコールやラグナがいなくなったことに気づいたエルオーネが、
二人を探すために僕の意識に他の知り合いを送りこんだ、ってさ。
彼女にとっては何よりも安全で確実で手っ取り早い方法だもんね。

で、そこでさらに発想を逆転してみたわけ。
僕らが"妖精さん"になってた時、ラグナご一行は僕らのGFをそのまま使えてた。
それなら僕だって、僕の頭の中にいる妖精さんのGFを引き出せるはずだろ?
何もエデンを使いたいとは言わないさ。
無限に怪我を完全回復できて攻撃も強力なリヴァイアサンとか、
カード化と精製で卑怯技連発できるケツァとか、
ショップ呼び出しでアイテムを大量調達できてレベルダウンで相手を雑魚にするトンベリとかで十分。
そいつらがいれば、アルティミシアはともかく、殺し合いに乗った奴なんて余裕でボコボコにできるもんね。

それにさ~。エルオーネと僕の共通の知り合いは、そんな多くない。
ぱっと思いつくのはキスティスとかママ先生ぐらい。
でも……それだけじゃなかった気がしてさ。

もう一人誰かいたんじゃないか。自分はとっても大切なことを忘れてるんじゃないか。
そんな感じがして。
僕の中にいるモノが、その『誰か』なんじゃないかって。
心に空いた穴を埋める何かなんじゃないかって、思ったんだ。

それで僕がどうしたか~なんて、説明するほどのことじゃないよ。
GFを召喚する時みたいに、意識を集中して、同調させようとした、そんだけのこと。
それだけで、いきなり苦痛も後悔も罪悪感も綺麗さっぱり消えて、全てが満たされてく感じがした。
でも、大切な人と手を繋いで眠るときのような心地よさはなくて。
エロい意味で限界突破したら味わえるんじゃないかっていう、自分が壊れてくような快感があって。
もしかしてヤバイ? とか、思う暇もなかったね。
気づいた時にはどろっとした闇に包み込まれて、飲み込まれて……
記憶も意識も全部溶けて、深淵に沈んでった。



何時間森を彷徨ったか、覚えていない。
エドガーさんを見捨てた言い訳が中々思いつかなくて、
戻ってもキミは私のことを気にかけてくれるかどうか怖くて、地図も見ないでうろうろしてた。
でも、だんだん寂しくなってきて、それにあんまり遅くなって怪しまれても困るって思い直したんだよ。
それで、レーダーの光点と月明かりを頼りに、キミのいる山の中に戻ったんだ。

でもね。いざ、キャンプの近くまで来たら、足がすくんじゃった。
キミは優しいから、エドガーを殺した相手を探しに行こうとするんじゃないかとか。
もしかしたら私がやったことに気づくんじゃないかとか。
こういう時って、悪いことしか頭に浮かばないんだね。

だから、ロックさん達の姿を見つけた時、逃げちゃおうかと思った。
本当はキミの傍にいない方が、私にとってもキミにとっても都合が良かったんだ。
だけどやっぱり、傍にいたいって気持ちは抑えられなくて。

「無事だったのか!? エドガーはどうしたんだ!?」

私に気づいたロックさんの、当然の質問。
なんて答えればよかったんだろうね。
本当の答えは、今になっても見つかってないんだ。

「わからないの……遠くで銃声がして、エドガーさんが私を突き飛ばして……
 倒れて動かなくなって……それで、怖くなって……」

ロックさんは何も言わなかった。
ただ、青ざめた顔で呆然と私を見つめて、それから目を伏せた。
言葉が聞こえたのは、一分ぐらい経ってからだった。

「……あんたが無事で良かった。
 ティーダの野郎叩き起こして、早く顔、見せてやれよ。
 心配してたんだ。あいつ、あんたのことさ」

言われなくても、元からそうするつもりだった。
ロックさんと一緒にキャンプに戻って、真っ先にキミに駆け寄る。
肩をつかんで揺さぶって。
「うーん」と瞼をこすり始めたキミに、抱きついた。

「ユ……ウナ?」
「ティーダ、会いたかったよ、ティーダ!」

演技とか、そんなつもりじゃない。
そんな気はなかったのに、涙が勝手に出てきた。
ぽかんと口を開けたキミの顔が目の前にある。
それが無性に嬉しくて、ぽろぽろぽろぽろ、涙がこぼれた。
ねえ、知ってる?
キミが私の頭に手をおいてくれたとき、私、少し期待したんだよ。
今なら、誰よりも、私のこと、優先してくれるんじゃないかって。
なのにキミは、こう言ったんだ。

「ユウナ……? なんで泣いて……
 そうだ、エドガーは? あのオッサンはどうしたんだよ?」

ねえ。わかるかな。
私がどれぐらいがっかりしたか。

「……遠くから銃で襲われた、らしい。
 エドガーが庇って、それでどうにか逃げ切れたんだと……
 ……あいつらしいよな」
「な!? な……なんでなんだよ!
 そんなんじゃ、レーダー持ってったりユウナがついてった意味、ないだろ!?」

ねえ、わかるかな。
私がどれぐらいがっかりしたか。

「なんだよ! なんで助けようとか思わなかったんだよ!
 できたはずだろ!? ユウナなら! 白魔法でさ! そのために着いてったんじゃないのかよ!
 まさか、本当にロックやアーヴィンが言ったみたいにただのあてつけだけかよ!?
 違うだろ!? なのに足引っ張って、自分ひとりだけ逃げて、そんな……
 それじゃあなんの意味もないだろ!」

ねえ、わかるかな。
私がどれぐらいがっかりしたか!

「いい加減にしろ! ユウナに八つ当たりしたって仕方ないだろうがよ!」
「だけど……だけど! リルムも助けられない、エドガーも助けられないじゃ……!」
「じゃあユウナが死んでりゃ良かったとでも言うつもりか!?」
「そんなこと言ってない!
 だけどこんなことになるってわかってたら、ユウナもエドガーも行かせなかった!」
「ンなこた誰だって同じだバカ野郎!」

キミは結局、私に優しい言葉、かけてくれなかったね。
ロックさんと言い争ってばっかりで。
慰めてくれたのは、ギードさんとテリー君だった。

「気にするでない。お主に非がないことは彼もわかっとるよ。
 ただ、怒りのやり場を見失って、最も心を許せる相手にぶつけてしまっとるだけじゃ」
「そうだ、襲ってきた奴が一番悪いんだ!
 ユウナ姉ちゃんのせいじゃないよ!」
「今は、彼の相手はロック殿にでも任せるがよい。
 しばらくすれば頭も冷えるじゃろう。
 こういうのは時間が何よりの薬じゃて」
「………」
「大丈夫だよ、姉ちゃん、オレもギードも姉ちゃんの味方だから。
 オレがティーダ兄ちゃんの代わりに色々聞いてやるから、落ち込まないでよ」
「そうじゃ。ワシも伊達に五百年も生きとらんでな。
 俗世を離れて久しいといえ、仲直りや恋愛のアドバイスぐらいできるわい」
「いや、それは無理だろ。人とガメゴンじゃ違うし」
「だからお主もルカも、ワシはガメゴンではないと何度言ったら……」

ねえ、知ってる?
ギードさんね、首輪のこと調べてみるとか言ってたから、殺そうって思ってたんだよ。
それなのに、慰めてくれて。
……笑っちゃうよね。

「さあさ、とにかくお主もゆっくり休むのじゃ。
 リルムとラムザも戻ってくるかもしれんし、ワシも長距離の移動はまだちときつい。
 どのみち、夜明けまではここで過ごすことになるじゃろうて」
「そういや姉ちゃん、怪我とかしてない? 大丈夫?
 痛いところあるならギードに治させるよ」
「……大丈夫だよ。私は大丈夫」
「そっか……良かった!」

笑っちゃうよね。
守りたいと思ったキミには罵られて、殺そうと思ってた人たちに気遣われて。
もう、乾いた笑いしかでてこないよ。

ねえ。どうしてキミは私のこと見てくれなくなっちゃったのかな?
キミを変えたのは誰なんだろうね?
やっぱり、キミの横で寝てた、人殺しの彼なのかな?

ねえ。知ってた?
私ね、彼のこと、嫌いなんだ。
キミは私のこと見てくれないけど、彼のことは気にしてるでしょ?
私なんかよりよっぽど人を殺してるって、自分で言ってる人なのに。
ねえ。キミは私がエドガーさんを殺したって言ったら、私のこと嫌うよね?
でも、もし彼がエドガーさんを殺したって言ったら、キミは許すと思うんだ。
私が彼を殺したら、きっとキミは私のこと、嫌うよね。
でも、もし彼が私を殺したとしても、キミは……許すことを選ぶと思うんだ。

「……ふわー……」

視界の片隅で彼が身じろぎした。
いつのまにそこまで回復してたのか。
器用に身体をひねって、二人と私達のほうに顔を向ける。
しばらくぼんやりしていたけれど、やがて目をこすって、ロックさんに向かい呆れたように呟いた。

「なんだよー……人のことどうこう言っときながら、あんたが一番うるさいじゃん~……」
「お前は黙ってろ!」
「そんなひどい~……あれ、ユウナ?
 ……本物? 帰ってきたの?」

良かった、って彼はそう言って、嬉しそうに笑った。
私は嬉しくなんてなかった。
もっとドロドロした、暗い感情が、私を飲み込んでいく。
それでも、私は笑ってみせたよ。
キミに嫌われたり、疑われたりするのは絶対にイヤだったから。

ねえ、わかる?
私がどれぐらい辛かったか、わかる?
私はキミの傍にいたいだけなのに。
ねえ、わかる?
全部――全部、キミのために我慢してるんだよ。
キミのためにこんな思いをしてるんだよ、ティーダ!
お願いだから……お願いだからわかってよ!



本当に、いきなりだった。
ふわっと放り出される感じがして、ぼやけてた意識が輪郭を取り戻して、痛みが気持ちよさを弾き飛ばす。
それもさっきティーダに止められた時と同じで、やっぱり倍返しだったから。
痛くて痛くて寝てられなくて、仕方なしに目を開けたんだ。

最初に、何が見えたと思う?
ティーダでもロックでも、テリーでもギードでもない。
ぼんやりと光る霧みたいな、もやみたいな、"闇"さ。
これがウワサの幻光虫って奴かなあとか思ったけど、すぐに違うってわかった。
ティーダの傍に舞ってるわけじゃなかったし、おかしなことに、僕以外の誰もそれに気づいてなかったから。

"闇"は、なんか僕の身体から染み出すみたいにまとわりついててさ。
なんでか、テリーにも少し絡み付いてたけど……ゆっくりと、どこかへ流れていくんだ。
ちょうど水が高いところから低いところに流れるみたいに。
寄生虫が弱った宿主を見捨てて、新しい宿主に移動するみたいに。
僕やテリーから離れて、漂って吸い込まれてく、その先に――いつのまにか戻ってきてたユウナがいた。

すっごく嫌な感じがしたんだよ。
純白のシルクのドレスが下水に落ちて、ヘドロになっていくみたいな。
だけど、どうすることもできなかった。
僕ができたのは、不審そうに睨んでるユウナの視線に気づいて、あわてて知らん振りしたことだけ。
なんかティーダとロックが口げんかしてたから、それを利用して、すっとぼけてみせて。

「なんだよー……人のことどうこう言っときながら、あんたが一番うるさいじゃん~……」
「お前は黙ってろ!」
「そんなひどい~……あれ、ユウナ? 本物? 帰ってきたの?」

うそ臭いなあ、って、自分でも思った。そもそも今気づいたフリする必要ないし。
良かった、とか付け足しても、なんか、白々しくなるばかりでさ。
それでもユウナは、笑ってくれて……嬉しかったけど、同じぐらい不安になった。
この微笑が、まとわりついた"闇"に塗りつぶされていく、そんな感じがしたから。

【ティーダ(変装中@シーフもどき)
 所持品:フラタニティ 青銅の盾 理性の種 首輪 ケフカのメモ 着替え用の服(数着) 自分の服 リノアのネックレス
 第一行動方針:待機(ロックとの言い争いを続ける可能性有り)
 第二行動方針:サスーンに戻り、プサンと合流
 基本行動方針:仲間を探しつつ人助け/アルティミシアを倒す】
【アーヴァイン(変装中@白魔もどき、身体能力低下、一部記憶喪失、軽症、右腕骨折、右耳失聴)
 所持品:竜騎士の靴 ふきとばしの杖[0] 手帳 首輪 コルトガバメント(予備弾倉×3)
 第一行動方針:休憩
 第二行動方針:ティーダが消えない方法を探す/ゲームの破壊】
【ロック (軽傷、左足負傷、MP2/3)
 所持品:キューソネコカミ クリスタルソード 魔石バハムート 皆伝の証
 第一行動方針:待機(ティーダとの言い争いを続ける可能性有り)
 第二行動方針:ピサロ達と合流する/ケフカとザンデ(+ピサロ)の監視
 基本行動方針:生き抜いて、このゲームの目的を知る】
【ギード(HP1/3、残MP1/3ほど)
 所持品:首輪
 第一行動方針:見張り /ユウナを励ます
 第二行動方針:ルカとの合流/首輪の研究】
【テリー(DQM)(軽傷、右肩負傷(8割回復)
 所持品:突撃ラッパ シャナクの巻物 樫の杖 りゅうのうろこ×3 鋼鉄の剣 雷鳴の剣 スナイパーアイ 包丁(FF4)
 第一行動方針:ユウナを励ます
 第二行動方針:ルカ、わたぼうを探す】
【ユウナ(ガンナー、MP1/3)(ティーダ依存症)
 所持品:銀玉鉄砲(FF7)、やまびこの帽子、官能小説2冊、
 対人レーダー、天空の鎧、ラミアの竪琴、血のついたお鍋、ライトブリンガー
 第一行動方針:休憩
 第二行動方針:邪魔なギードとアーヴァインをティーダに悟られないように葬る
 基本行動方針:脱出の可能性を密かに潰す】
【現在位置:サスーン南東・山の中、森との境付近】