286話

第286話:少しの間だけ


【草木も眠るナントカ頃】ふわぁぁぁ……仮眠終了ー。三時間も寝れば十分だよね。眠いけど。
 さーて、次はどこへ行こうかな。お城はなんだかものすごい事になってるし、後回しにしてもいいかなぁ……?

【その後で】何となく海に行ってみたら、砂浜で死体を見つけた。
 毒矢を打ち込まれたみたいな感じだけど、良く見ると矢じゃなくて針が突き立ってる。
 吹き矢……にしては、随分深く突き刺さってるんだよね。新手の武器なのかなあ?
 とりあえずご冥福を祈って、ついでにアイテムをお借りしとこう。なむなむ。

【今度は山の方に行ってみよう】と思ったら、また死体を見つけた。なむなむ。
 穴だらけだけど、何をどうしたらこんな風になるんだか……やっぱり、僕の知らない武器があるんだろうな。
 防御力と逃げ足には自信があるけど、あまり油断するのも良くないみたい。用心して行こうっと。

【疲れてきたので】また休憩。ついでに、一度手持ちのアイテムをきちんと確認することにした。
さっきの人から手に入れた分もあるし、僕の支給品も良く確認してなかったしね。

  • 良くわからない謎のキカイ。説明書を読んで、使い方は何となくわかったんだけど……でも、レーザーって何?
  • 剣。間違っても口で振り回せるサイズじゃない。しかも切れ味悪そうだし……
  • ナゾの薬。10個ある。説明書によるとエリクサーというもので、HPとMPを回復するらしい。
  • メモ。難しすぎて何が書いてあるのか読めない。もう少し簡単な言葉だったらナントカ読めるんだけどなー。
  • 首輪二個。なんでこんなものが森の中に落ちていたのか、正直考えたくない。ガクブル
  • 青い剣。説明書曰く、ワッカって人が弟に贈る予定だった剣らしい。……誰?
  • タンバリン。叩くとなんだかやる気がでてくるような気がする。
  • カードの束。ケースに『Squall=Leonhart』って書いてある。だから誰?

 ……と、まぁ、色々といいたいことはあるんだけどね。
 僕が真っ先に思ったことはね。

 エリクサーで、ピエ―ルさんのこと治療できたじゃん。

 ……うわあああん、ピエールさんごめんなさーい! どーかどーか、放送で呼ばれませんように!

【色々回ったけど】ご主人は見つからない。やっぱり、お城にいるのかなぁ。
 ……でも確か、隕石落っこちたり、光の柱が立ち上ったり、爆発が延々続いてたりしてたよね。
 はぁ。あまり行きたくないなー。あんなのに巻き込まれたら、僕でも死ぬよ?
 でも、これもご主人に会うためだからガンバレ僕。ファイトだ僕。

【そういうわけで】夜明け近くになっちゃったけど、城下町に来てみた。
 なんか建物の中に結界みたいなのが張られていたので、中を覗いてみた。
 カメみたいなのとネコっぽい人と、カタギには見えない怖そうなお兄さんの姿が見えた。
 でも、何故かは知らないけど、ピリピリするような殺気が漂っている……
 特に、額に傷のあるお兄さんなんて話し掛けただけで切りかかってきそうな予感。むしろ悪寒。
 ・……えーと、かような柄の悪い方とお優しいご主人が一緒にいるなどとは到底考えられませんので、
 ここは己の身の安全を確保するのが最良の策だと判断します。……さようならっ!

【とりあえずダッシュで逃げて】瓦礫の下を掻い潜って走り抜けた。
 半分液体生物の僕なら、この程度の隙間でもへっちゃらで通り抜けられるもんねー。
 ……って、アレ? なんだろ、この黒い玉。妙な魔力を感じるけど……とりあえず持っていこうかな。

【そしてお城へ】……入ってみたけど……なんだか酷い有様だね。
 壁や天上が崩れて、通路が殆ど塞がってるし。
 普通のニンゲンじゃあ奥半分には入れないんじゃないの? 僕は通れるからいいけどさ。
 っと、あんな所に階段発見。地下に続いてるみたいだね。
 下は牢屋……みたいだけど、奇妙な風の流れを感じる。どっか、別の場所に続いてるのかな? 降りてみよ……

【地震、放送】






 レックス……さま?


【              】







 ……レックスさま。

 元の世界に帰れたら、湖に泳ぎに行こうよ。それから、スラリンやミニモンとボール遊びしようよ。
 それから、コロプリやプチマジと一緒に呪文のお勉強するでしょ。
 それから、タバサ様と一緒におやつにするでしょ。それから、ゲレゲレさんとかけっこして、
 それから、……それ……から……

 ………

 ぼく、どうしたらいいんだろう。
 泣いた方がいいような気がするんだけど、涙が出てこない。
 何でだろう。おかしいね。
 泣きたいぐらい悲しいはずなのに、ちっとも涙が出てこないんだ。

 頭の中でレックス様と一緒にやりたいことがぐるぐる回ってて、でも胸の奥は空っぽで、スースーするんだ。
 レックス様はもういないんだってわかってるけど、なんだか、目の前にひょっこり出てくるような気がするんだ。
 ……信じられないんだ。嘘だよーって、誰かが言ってくれそうな気がするんだ。

 泣きもしないなんて、僕って、薄情者だね……
 ……レックス様。

【しばらく歩いたら、何故かわからないけど】旅の扉が目の前にある。
 この中に入れってことなのかな……多分、そうだよね。
 放送、良く聞いてなかった。

 会いたいな。ご主人。どこにいるんだろう。
 ビアンカ様。やっぱり無理をしてでも追っかけた方が良かったかな。
 タバサ様。元気でいるといいけど……
 ヘンリーさん。挨拶ぐらいしとけばよかったな。
 ピエールさん。ホント、ごめんなさい。次に会った時はエリクサー全部あげます。
 デールさん……は、怖いからいいや。

 レックス様。
 きっと、この世界のどこかにいるんだよね。探しに行けば会えるかもしれないよね。
 でも……前に進まないといけないから、僕、先に行くね。
 だけど、全部終わったら、必ず、ご主人と一緒に迎えに来るから。
 だから……それまで、ちょっとの間だけ……

 さようなら。

【はぐりん
 所持品:エリクサー×10、ブロードソード、レーザーウエポン、首輪×2、研究メモ
 フラタニティ、不思議なタンバリン、スコールのカードデッキ(コンプリート済み)、黒マテリア
 行動方針:仲間との合流(リュカを最優先、戦闘はできるだけ避ける)】
【現在地:海底通路の旅の扉から新フィールドへ】

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最終更新:2008年02月16日 09:30
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