58話

第58話:謎の支給品


キーファは鍵の開いた牢屋の中で、袋の中身を確かめていた。
出てきたのは一冊の分厚い、それこそ人ぐらい簡単に殴り殺せそうな厚さの本だ。
革張りの表紙には、『公式基礎知識完全攻略アルティマニア解体ガイドブック』とやけに長い題名がつけられている。
「なんだこりゃ?」
首をかしげながらも、キーファは本をぱらぱらとめくってみた。
そこに記されていたのは、参加者の写真・性格・仲間・能力・所持魔法特技のリストとその解説etc……
おまけに支給品の解説や(さすがに誰が何を持っているのかは書かれていないが)、あまつさえキャラごとの対策法まで乗っている。
ちょっと気になったキーファは、自分のページをめくってみた。

  • キーファ=グラン 強さ:D
 仲間:フィン、マリベル  性格:好奇心が強く冒険好き、割と勢いだけで行動することも。
 所持特技:火炎斬り・受けながし・気合いため・ゾンビ斬り・しんくう斬り
 対策法:魔法剣による近接戦が得意なので、ちょっと遠くから攻撃しよう!
      ただし物理攻撃は受け流されるかもしれないので、魔法で攻撃するのがおすすめだ!
「ってちょっと待て! なんでオレが強さDなんだよ、納得いかねえ!」
思わずむかっとした彼は、強さSがどれほどのものなのかと探してみた。
そして出てきたのは三人。クジャ、セフィロス、ピサロ……なぜか全員銀髪だが、それはまあおいておいて。
キーファは、データを見てしまったことを後悔せずにはいられなかった。
その能力はいずれも読めば読むほど鬱になりそうな、人間離れしたものばかりだったからだ。
「あのケバいオバさん、何考えてこんな連中呼んだんだよ。勝負にも何もならないじゃねーか」
だが、そんな彼らのページにもしっかり対策法が書いてあることに気付く。

 対策法:普通に戦うなら誰かが自爆でもしないと無理。
     でも、支給品のキューソネコカミと複数回攻撃技の9999凶悪コンボなら倒せるかもね!
     ただ、キューソネコカミは瀕死じゃないと無意味なので
     攻撃する前にグラビガを数回自分に使っておくといいぞ!

「……キューソネコカミぃ? 瀕死じゃないと無意味って、なんなんだそりゃ?」



「なんなんだ、こりゃ?」
同時刻、レーベの村の宿屋にて、どこぞの誰かと同じように袋をあさっていた青年がいた。
彼の名前はロック。自称トレジャーハンターである。
彼が袋から取り出したのは、何のへんてつもない球だった。
無造作に張られていた紙のタグには、「キューソネコカミ」と記されている。
そして、支給品はそれ一個だけ。
「……これでどうやって戦えと……?」
ロックはわけのわからない支給品を握り締め、呆然と呟いた。
その球の持つ恐るべき力を知らぬがゆえに。

【キーファ 所持品:攻略本 
 行動方針:仲間を探す、自衛以外に戦う気はない】
【現在位置:アリアハン城内・地下の牢屋】

【ロック 所持品:キューソネコカミ
 行動方針:武器と仲間を探す】
【現在位置:レーベの村の宿屋】

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最終更新:2008年02月16日 14:07
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