FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 455話


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第455話:娘と父のmonologue


私が悟りの書を読んでいるときに、あの放送が聞こえました。

私の大切な人の名前が呼ばれました。
みんなの大切な人の名前が呼ばれました。
呼ばれるのは必ず、誰かの大切な人である誰かです。
人だけではありません。
魔物も、鳥も、虫も、花でさえも、全ては尊い命です。
どうして誰かの手で奪う事ができるのでしょうか。
私は不思議でなりません。

お母さんの名前とギルダーさんの名前は続けて呼ばれました。
お母さんを殺したという女の人の話を、昼間に聞きました。
私はその女の人を許せる自信がありません……。
でもその女の人も誰かの大切な人で、死んだら誰かが悲しむと思うと、なんだか苦しい気持ちになりました。

それからすぐに、はぐりんの名前も呼ばれました。
一緒に遊んでくれた、一緒に旅をした、一緒に戦った、大切な仲間です。
私は、頑張って涙を堪えました。

そして最後に呼ばれのはデールさんでした。
一瞬だけ、時が止まったような気がしました。
昼間にデールさんに襲われたときは、とても恐かったです。
でもその放送のときに思い出したのは、優しかったデールさんのことばかりでした。

昨日の同じ時間、サンチョさんやピピンさんの名前を聞いたときと同じ気持ちでした。
とても悲しくて、悔しかったです。

他にも沢山の人の名前が呼ばれていました。
でも、そのときはあんまり覚えていませんでした。
聞き覚えがあるようなないような、そんな曖昧な感じでした。

放送が終わると、椅子に座って静かに聞いていたエドガーさんが立ち上がりました。
「リュカの様子を見てくる」と言うと、静かに部屋を出ていきました。
すぐに、扉の向こうから深い溜め息のようなものが聞こえてきました。
そのときにエドガーさんが何を考えて何を思っていたのかは分かりません。
けれど、その後に聞こえてきた足音は決して軽いものではないと思いました。

セージお兄さんは手を組んで、顔を俯かせていました。
その姿が、どこかお祈りのポーズにも似てると思いました。
私は窓辺に歩み寄ると、空を見上げてお祈りをしました。
どうか、失われていった魂が天国で幸せになれますように。
そんな事を、お願いするように祈りました。

もう一度お兄さんのほうを見ると、たまたま目が合いました。
お兄さんと出逢ってから、色々なお兄さんの姿を見てきました。
明るく話してくれるお兄さん、戦うお兄さん、優しく慰めてくれるお兄さん。
今のお兄さんはどのお兄さんでもありませんでした。
お兄さんの目はとても深く悲しんでいました。
私はどうしたらいいのかも分からず、何か言ってあげたい気持ちもありましたが、言葉が出てきませんでした。
「そんな顔しないで」とお兄さんは笑顔を作りながら言いました。
私はどんな顔をしていたのでしょうか。
「お兄さんも、そんな顔しないで」と私も言いました。
「そんな悲しそうに笑わないで……」

お兄さんはぽつりぽつりと話してくれました。
放送で仲間が呼ばれたこと、仲間の人がどういう人だったのかということ。
昨日も少し聞いたような気がします。
けれど喉の奥から言葉を紡ぎだす姿は、とても昨日とは違うことを聞いているかのような気になります。
私は黙って耳を傾けていました。
お兄さんの仲間を思う気持ちや悲しい気持ちが伝わってくるような感じでした。


僕は涙が止まっても動こうとせず、じっとビアンカを見つめていた。
正しくは、元はビアンカだった残骸だけど、そんな表現はしたくなかった。
どれくらいの時間そうしていたのか分からない。
現実に戻るきっかけを与えてくれたのは、悔しい事に魔女の放送だった。

『ビアンカ』『ギルダー』『はぐりん』『クジャ』
僕は黙って放送を聞いていた。
『リノア』
こうも聞きなれた名前が連続するとなんだか滅入ってくる。
そうか、はぐりんを見つけたとき、すでに彼女は亡くなっていたのか。
そうか、リノアが亡くなったとき、ジタンはクジャを助けられなかったのか。
滅入ってる反面、冷静に考えている自分が恐ろしかった。

クジャが亡くなってしまった今なら分かる。
僕はレックスを殺したクジャが本当に憎くて許せなかった。
たとえジタンの兄でも、森で会ったときのあの迷っている姿を見たとしても。
だけどもっと分かったこともある。
死んでしまったら、憎むことも許すこともできないんだ。
だけど、だけど……。

『シンシア』
きっと僕はビアンカやシンシアを殺したあの女を、絶対に許せないだろう。
罪を償って、殺してきた人々に心から謝ってほしい。
それが、建前。
本音は、もっと残酷だった。
次にあいつに会ったら、あいつがシンシアを殺した血みどろの刃で殺してしまうかもしれない。
息が止まったあとも、顔が分からなくなるまで、人間としての形を留めていられないまで、斬り刻んでしまうかもしれない。
そんなの嫌だけど。
冷静になろうとしても、心は止められないだろうと思った。

死んだ後に“死んでしまったら”なんて、都合のいい言い訳なんだ。

『デール』
最後に呼ばれたのは、自分を殺そうとし、リノアを殺した、親友の弟の名前だった。
彼も……いや、もう、やめよう。

こうやって考えていると、心が蝕まれていくのが分かる。
こんな自分は嫌だ。こんな自分は恐ろしい。
この気持ちを押し戻すかのように、彼女のリボンを固く握り締めた。
『いつまでくよくよしてるの』
と、彼女なら、きっとこう言うんだろう。
そうだ。落ち込んだり、悲しんだり、憎んだり、そんな事をしている暇は無い。
タバサを守るんだ。そして残りの仲間を、みんなを。

それから。僕はある人の姿を思い浮かべた。信じられないけど、確かにこの大陸のどこかにいる。
僕が小さい頃、亡くなった人。強く、厳しく、優しい、あの人。
僕の父。
父さんは成長した僕を見たらなんと言うだろうな。
父さんにタバサを見せてあげたいな。
きっとびっくりするんだろうな。びっくりさせてあげたいな。
ビアンカの事や、ヘンリーやデールのことは覚えているかな。
この放送を聞いて、悲しんでいるのかな。
『ほら、早く立って』
そうだね。しっかりと踏みしめて、行こう。タバサのところへ。それから……父さんに会いたいな。

ビアンカ。
まだ君の所へは行けそうもないから、レックスと待っていてほしい。
僕やタバサや他のみんなのことも、見守っていてほしいんだ。


お兄さんの話は途中で終わってしまいました。
どこからか、叫び声が聞こえてきたからです。
男の人の声で、お父さんなのかエドガーさんなのか全く違う人なのかは分かりません。
すぐ近くではないけれど、そんなに遠くでもないことは分かりました。
お兄さんは途端に厳しい目になって、空気がぴりぴりしたものになりました。
「下手に動かないほうがいいな」とお兄さんは言いました。
そしてじっと、扉のほうを警戒していました。

どれくらいそうしていたかは分かりませんが、数分くらい、しばらくすると複数の足音が聞こえてきました。
扉の前で止まり、ノックが響きました。
「入るぞ。開けてくれ」と言った声は、エドガーさんでした。
「ごめんなさい、鍵開けっぱなしでした」と、お兄さんは胸を撫で下ろしながら言いました。
扉が開けられるとエドガーさんとお父さんが立っていました。
私は思わずお父さんに駆け寄って、抱きついてしまいました。

エドガーさんは誰か男の人を背負っていました。
「レディならともかく、なんで私が野郎を背負わなければならないのだ」と不満を言っていました。
そして男の人をベッドへと下ろしました。
「だから僕が背負いましょうかって言ったのに」お父さんはエドガーさんに言いました。
エドガーさんは何も言いませんでした。
私はエドガーさんの、お父さんの身体を気遣う優しさが、ちょっぴり格好良くて尊敬しました。

男の人は、びっくりして転んで気絶しちゃったそうです。
格好良いのに間抜けだな、と小麦みたいな肌を見つめながら思いました。
この男の人のことは誰も知らないそうです。
私は、鳥さんなら何か知ってるかもと思って窓の外を探しましたが、鳥さんはいませんでした。

窓の外を眺めていると、お父さんが歩み寄ってきました。
そして、遠くの方でした光を一緒に目にすることとなりました。
とても凄い光、見たことも無い光でした。
お父さんは魔法だと言いました。
私もあんな魔法が使えたら、みんなの事をもっと助けてあげられるのに。
私の身体は少し震えてましたが、恐くて震えてたんじゃなくて、胸が高ぶって震えていました。
お父さんは、お母さんのリボンを握り締めて悔しそうにしていました。
誰かが戦っているのに、止めてあげられないのが悔しいそうです。
そうだ、あの戦いでまた誰かが死んじゃうかもしれないんだ、そう思うと悲しくなりました。
お父さんは左手が動かないそうです。
お母さんの形見と一緒にいたいけど、結ぶ事もできずに今は握り締めているのだと思いました。
私はお父さんの手からリボンも取ると、腕に結んであげました。
お父さんは、温かい手で頭を撫でてくれました。
私はお父さんのこの手が大好きです。

それから少ししてから、お父さんは私のサックにお母さんが持っていた鞭を入れました。
次に私の親指にお母さんがギルダーさんから貰った指輪をはめました。
「考えたんだけど、僕にはリボンがあるから、タバサにもお母さんの物を持っていて欲しいんだ」とお父さんは言いました。
私はお母さんから鞭の使い方を教わっていたときのことを思い出しました。
「それから、これは雷の指輪なんだって。レックスみたいだね。きっとお兄ちゃんが見守ってくれるよ」
私は少し泣きそうになりました。
でも泣かなかったのは、お母さんとお兄ちゃんが私を包んでくれているような気がしたからです。
穏やかな、安らかな、そんな気持ちになりました。
だから私は、自然と笑顔になりました。

はぐりんやデールさんのことについては、なんだかお父さんに聞けませんでした。
でもお父さんも放送を聞いたはずだから、きっと悲しいと思います。

それから私は、また悟りの書を読んでいました。
けれどだんだんと目が重たくなってきて、いつの間にか眠ってしまったみたいです。
昼間もお兄さんの魔法で眠っていたのに、みんなに申し訳ないです。
けれど、もう少しだけ。
お父さん、お母さん、お兄ちゃんと、みんなで原っぱをお散歩している夢を、もう少しだけ見させていてください。

それから、言い忘れていました。
おやすみなさい。


【タバサ(睡眠中 HP2/3程度 怪我はほぼ回復)
 所持品:E:普通の服、ストロスの杖、キノコ図鑑、悟りの書、服数着、ファイアビュート、雷の指輪
 基本行動方針:呪文を覚える努力をする】
【リュカ(MP1/2 左腕不随)
 所持品:お鍋の蓋、ポケットティッシュ×4、アポカリプス(大剣)+マテリア(かいふく)、ビアンカのリボン、ブラッドソード
 基本行動方針:家族、及び仲間になってくれそうな人を探し、守る】
【エドガー(右手喪失 MP1/2)
 所持品:天空の鎧、ラミアの竪琴、イエローメガホン、血のついたお鍋、再研究メモ、ライトブリンガー
 第一行動方針:首輪の研究/アリーナ2を殺し首輪を入手/仲間を探す
 最終行動方針:ゲームの脱出】
【セージ(HP2/3程度 怪我はほぼ回復 魔力1/2程度)
 所持品:ハリセン、ナイフ、ギルダーの形見の帽子
 基本行動方針:タバサに呪文を教授する(=賢者に覚醒させる)】
【ティーダ(気絶中 変装中@シーフもどき)
 所持品:鋼の剣、青銅の盾、理性の種、首輪、ケフカのメモ、着替え用の服(数着)、自分の服
 第一行動方針:ユウナ達の所へ戻る/首輪の解析を依頼する
 基本行動方針:仲間を探しつつ人助け】
【現在位置:サスーン城 東棟の一室】