FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 476話


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第476話:カポコン


眠ったタバサをベッドへ寝せる為、リュカとセージは隣の部屋まで運んだ。
それまでいた部屋のベッドは一つきりで、それをティーダが占領していたから。
しばらくして、セージだけが戻ってくる。その事を考慮してエドガーは尋ねた。

「父上は添い寝か?」
「付き添いですよ。変態ですか」
「リュカがか?」
「貴方が」

そんなやりとりをしつつ、二人は二日間の出来事と情報を交換し合う事にした。
色々あって、まだまともに話し合いも出来ていなかったので。

「僕は始まってすぐタバサと出会って、割と危機感の薄い初日を過ごしました」
「薄いのか」
「タバサにとってはハラハラだったかもしれませんが、ね」

ビアンカと一悶着あった再会。ギルダーと一悶着あった出会い。
二日目、旅の扉でビアンカと離れ離れになった事。そしてカイン達との出会い。

「カインとスミスか。そういえば、待ち合わせの事をすっかり忘れていたな」
「さっきもチロッと言ってましたね。マティウスさん達が向かったんでしたっけ」

ちなみに、さっきとは日暮れちょっと前の事。

「ああ。この約束はもう諦めた。……が、それよりも気になる事がある」
「もったいぶらないで、どうぞ」
「カインは、タバサと君に会ったことなど何一つとして語らなかった。
 もちろんタバサがリュカの娘と知りながら、な。
 何かを隠している気はしたが、はたしてその事だったのか」
「ふぅむ?なるほど」

セージは顎に手を当てて考えるポーズを取った。
エドガーも似たようなポーズを取るつもりだったが、先を越されたので仕方なく腕を組む。
しかし片手が無いので組みにくい。些細な事の方が不便さを感じやすかった。

「……見捨てて置き去りにした事を、パパに叱られるとでも思ったとか?」
「そんな馬鹿な」
「そんな馬鹿は置いといて。意図はあったんでしょうね、あまり良くなーい意図が」

良くない意図。ぼんやりと、言いたいことは伝わった。
エドガーも同じような事を考えていたから。

お人好しの完全な白か、アリーナと協力関係にある完全な黒か。
アリーナを助けていた事を考えると、そのどちらかしかない。
そして今の話で天秤はやや黒に傾いた。だが、明確な証拠も確信も無い。

「グレーゾーンに留めて、警戒しておくのが得策ですよ。さて、どこまで話しましたっけ」

セージは話を再開した。
サスーンへ向かい、カインらとはぐれる。
ビアンカとギルダーの亡骸との遭遇。マティウスらとの出会い。
立て続けにアリーナの逃走。デールの強襲に、アグリアスの死。
セージは淡々と話した。

「で、貴方がたに会って以下省略」
「……そうか」

まさか自分がデールを追い払った所為で被害が出るとは、そこまで考えていなかった。
その事を話すべきか話さぬべきか。
エドガーは迷ったが、とりあえず先に自分の情報を伝える事にした。

「私は、最初にバーバラという少女と連絡を取っていた。
 ひそひ草というアイテムで……そういえば、あれは何処へ行ったのだろうか」

デッシュと出会い、行動を共に。盗聴されている為、首輪の研究については口にしない。
ザックス、シンシア、ランドと出会う。それから“ちょっと色々あって”片手を失った。

「詳しくは後で説明するが」
「そうですか。じゃあ後で」

エドガーがそう言うのだから、今は話せない理由があるのだろう。
そう思い、セージは特に追求しなかった。

「それから……君は、プヨプヨに鎧が乗った出で立ちのモンスターを知っているか?」
「なんですか急に。ぷよぷよろい?」

セージは勝手に略した。吹き出しかけたのを堪え、エドガーは続ける。
旅の扉の前で、待ち伏せていたそのモンスターに襲われた。
デッシュとランドを殺され、ザックスと分断させられる。

「そのモンスター……まずい事に、ちょっとばかり心当たりがありますよ」

セージは引きつった笑いを浮かべ、名簿を引っ張り出してページをめくった。
しばらく手を動かし、求めるページを探し当てると、エドガーに渡す。
驚き、エドガーは瞳を大きく見開いた。

「まさしく、こいつだ!ピエールと言うのか……知っているのか?」
「知っているも何も、タバサとリュカさんの仲間なんですよね。はぁ……」
「…………はぁ!?」

エドガーは名簿から顔を上げ、溜め息を吐くセージを見る。
それから慌てて隣の部屋を振り返った。
もちろん目線の先には壁があるだけで、様子は見えないが。

「あの二人の仲間だと?」
「そうです、お隣さん家の仲間です。
 彼等の知人に殺されかけたので、今さら何があっても驚きはしませんが」

このゲームは人を変える、その事は身に染みていた。
ピエールは人ではないが(別に差別ではない)。

「けど、流石に言いにくいなぁ。ちょっとエドガーさん、教えてきて下さいよ」
「無理だ」

エドガーは即答した。言いにくいのは同じ。
一通り見終えた名簿を返しながら続ける。

「あいつは今、精神的低空飛行の真っ只中だ。
 タバサが居ることで、かろうじで墜落しない高さを保っているだけの、な。
 そんな時に仲間の暴走を告げてみたまえ。どうなる」
「逆に言えば、タバサがいる限り墜落はしない。そういう事になりますよ」
「……そういう事になってしまうな。訂正するから少し待て」
「大丈夫です、言わんとしてる事は伝わってますから」

セージは名簿をザックへ戻そうと思ったが、やめた。
話は続くだろうから、まだまだ確認事項があるかもしれない。

「でも、伝えない訳にもいかないのが現実ですよ。むしろ伝える義務があります。
 この話はリュカさんが戻ってきてからしましょう」
「そうだな、仕方ないが。……シンシアと旅の扉へ入り、この世界へ来た訳だが」

デールに襲われているリュカを発見し、救出と逃走(結局言わなかった)。
その後にカインとスミスに会い、アリーナを回復させてしまい、シンシアを殺される。

「そしてここへ向かい、同じく以下省略だ」
「なるほど。浮遊大陸へ来てから出会った人は同じ訳ですね」
「そのようだ。…………クソッ」

アリーナの事を思い出すと、苛立ちが起こる。エドガーは奥歯を噛み締めた。

「しかし、よくもまぁ、あんな捻くれた生物が存在できるものですよ。
 まるで、生まれた瞬間から既に悪で、善という概念が存在しなかったかのような」
「気が立っている時に訳の判らぬ話をされると八つ当たりしたくなる」
「ちょっと格好いい事行ってみたかっただけです。サラッと受け流して下さい」

手持ち無沙汰で、セージは名簿をパラパラとめくりながら言う。
あ行にリストされている人物のページで手は止まった。
勇者アルス。未だに出会っていないが、どこで何をしていのるか。セージは考える。
彼は助平だけど実力は確かで何故か人付き合いに恵まれているから心配はない。
が、せめて目撃情報くらいは欲しかった。

「……リュカさんとも、あまり情報交換はしていないんですよね。
 ぷよぷよろいの事を知らなかったという事は」

どうもセージはこの呼び方が気に入ってしまったらしい。語感が。
思わず気が抜けかけたエドガーだが、とりあえず首を縦に振る。

「一応、タバサが探している仲間の名前を教えておきますよ。エドガーさんは?」
「ああ。私の仲間も伝えておこう」

タバサは、ヘンリーとプサンと一応ピエールを。
セージは、アルスとその父のオルテガを(探してないがついでに)。
エドガーは、マッシュとロックとリルムを。注意人物としてケフカを。
それぞれ名簿を確認しながら教え合った。

「しかし、互いに欲っする情報を特に持っていないとは」
「そこの新参君の話を聞けば、新しい情報を入手できるかもしれませんけど」

セージは未だに気絶中のティーダを見た。エドガーも続いて目を向ける。

「……起こすか?」
「ベッドに先客がいるから、わざわざ隣まで運んだのに。
 でもま、いつまでも暢気に寝ていられるのも不愉快ですからね。起こしますよ?」
「ああ、頼む」

エドガーは白紙と筆記具を取り出しながら答えた。
それを不思議に思いながらも、セージはベッドに寄り、ティーダの身体を揺さ振る。

「おーい、気絶君。朝だよー」

しかし起きない。よほど疲れているのか、単に寝起きが悪いのか。
見兼ねたエドガーは、ザックからイエローメガホンを取り出すとセージに投げ渡した。
反射的にそれを受け取り、セージはぱちぱちと瞬きをする。

「何ですか、これは」
「それで彼を叩き起こして、ついでに状況説明をしておいてくれ。
 私は少し書き物をする時間が欲しい。終えたらコレについても話すつもりだ」

エドガーは無い右手を振って見せる。
やれやれと、メガホンで自らの頭をコツリと叩きながら、セージは溜め息を吐いた。
そして袖をまくる。なんだかんだでノリノリだ。

「必殺、賢者流ツッコミの術」

カポコン!
と、なんとも小気味良い音が部屋の中に響いた。
脳天の痛みに導かれ、久方ぶりにティーダは現実へと帰ってくる。

「ンなんだよワッカ……あと五分……」

しかし寝ぼけていた。そして寝返りをうって布団を被りなおす。
セージはティーダの耳元にメガホンを当てると、思い切り息を吸い込んだ。

「──わッッ!!」
「んが!?」

文字通り跳ね起きると、ティーダは周囲を見回して混乱した。
見知らぬ部屋に見知らぬ男が二人。
落ち着けという方が無理な状況ではあるが。

「え、え、何!誰、あんた!なんか頭痛い!ていうかどこ!」
「落ち着いて。メガホンで人を叩き起こすような人間に悪者がいると思う?
 とりあえずベッドの上に立つのは止めようね」
「わけわかんねッス!あんた誰だよ!」
「僕はセージ。あっちはエドガー。そして君は」
「ティーダッス。じゃなくて!はぁ?」

黙々と何かを書いているエドガーを尻目に、セージは状況説明をした。
一人でいる所にエドガーが話し掛けたら驚いて転んで気絶して仕方がないので保護。
現在位置と、隣の部屋にリュカとタバサの親子が居る事も伝える。
話を聞きながら自分の格好悪さに小さくなっていくティーダだった。
そのうち落ち着くと、記憶が整理されてきたのか、思い出す。

「そうえば、あんたセージだよな?さっきアルスって男が探してたッスよ」
「そう、アルスが…………え?」
「放送のちょっと前に、ここの本城で会ったんだけど」

ごつん、とセージはテーブルに頭をぶつけた。物凄いニアミスに魂が抜けた。
そしてエドガーは気にせず黙々と何かを書き続けている。

「大丈夫ッスか?」
「大丈夫……どんどん垂れ流していいよ」
「タレ?……そうだ、それと、エドガーってロックとリルムの仲間ッスよね、機械マニアの。
 ちょーっとあんたにお願いがあるんだけど、良いッスか?」

エドガーは黙々と何かを書き続けている、その手を止めた。
紙からティーダへと目線を移すと尋ねる。

「その二人に会ったのか?」
「ロックとは離れ離れになったけど、リルムとは待ち合わせ中ッス」
「待ち合わせ?」
「そッス。サスーン調べた後に……あああああああ!」

肝心な事を思い出し、ティーダは声を挙げた。
東棟が安全かどうかを調べて、ユウナ達の所へ戻るという使命があったのだ。

「やべッス!俺、どんくらい寝てた!?」
「数十分くらいだが、その待ち合わせの時間か?」
「それもそッスけど!ちょっと人待たせてるんで戻るッス!」
「ちょーっと落ち着こうね」

カポコン!!
と、本日二回目のメガホンの音が響いた。
物凄くセージとメガホンの相性が良いので、エドガーは譲ってやろうと思った。
そっちの方がメガホンも喜ぶだろうし。

「※◎〒≦☆∬&!!」
「何故か知らないけど君は欲しい情報の宝庫みたいだから。
 中途半端な所でいなくなられると困るんだよね」
「そうだな。まだ私も、君に話したい事がある」
「つーかココにタンコブあるっつーの!」

転倒時に出来たそれにメガホンが当たったらしい。
ティーダは涙目になって本気で痛がっていた。

「ごめんごめん。治してあげるから、君の置かれている状況を教えてほしいなーみたいな」

制限があるとはいえセージの魔力を持ってすれば、たんこぶ程度、ホイミで充分だった。
呪文を唱えながら手をバンダナ越しのティーダの後頭部にかざす。
ティーダの痛みは徐々に和らぎ、そして最後には消えていた。

「おお、すげーッス!……ん?」

しかし、よく考えたらサギだ。
イエスとは言っていないのに、治してもらったからには話さなくてはいけなくなった。
ここで頑なに話さない手もあるのだが、お人よしのティーダにはその考えが浮かばない。

「別に話すのは構わないけど、でも早く戻らないと、きっと心配してるッス」
「誰が、どこで?」
「ユウナとプサンが、本城で」
「……ここにも最新情報がありましたよ、エドガーさん」
「どれだけ情報を持っているんだ君は」
「何がッス……あそっか」

ティーダは隣の部屋にリュカとタバサがいる事を思い出す。
その二人はプサンの知り合い。親子もプサンを探していたのだろう、と考えた。

「なーんだ、じゃ早速、呼んでくるッスよ!」
「待て待て待て」
「どぉっつ!」

部屋を飛び出して行こうとするティーダの服を、エドガーは慌てて掴んだ。
急に引っ張られて転びそうになるが、ティーダはなんとか踏ん張る。

「ユウナというのは誰だ?」
「何だっつーの急に!俺の仲間ッスよ」
「女性か?」
「そッスけど」

ほほう、とエドガーは微笑む。
そして書きかけの『誰にでも判る首輪の盗聴に関する注意書き』のメモをポケットに突っ込んだ。

「レディを歩かせて、こちらは待機というのも無礼だな。私もお迎えにあがらせてもらおう」
「は?」
「その道中で君の話も聞いてやる。さぁ行こう」
「はぁ?」

ティーダは顔をしかめた。
エドガーが女好きだという事をまだ知らない。
しかもストライクゾーンが幅広い事も知らない。

「構わないな、セージ」
「一向に。僕はリュカさんに伝えておきますから」
「そうか。では行ってくる」
「なーんで勝手に決まってるんッスか!」
「行ってらっしゃーい」

セージは笑顔を作りながらメガホンを振って二人を見送ろうとした。
しかしその時。
三人の耳に、不可解な轟音が飛び込んでくる。
すぐ近くではないが、割と近くのような、それくらいの音が。

「な、なんッスか今の音!」
「さぁねぇ……レディファイトの合図かな?」
「レディはレディでも女性じゃない方のレディだが、な」
「はぁぁ?」

妙に落ち着き払った二人をティーダは交互に見る。
そんなティーダを他所に、二人は瞬時に作戦を練った。

「セージはリュカ達を頼む」
「ええ、気を付けて。ティーダ君もね」
「え、は?」
「行くぞ、少年!」
「え、あ、おッス!」

走り出したエドガーの意図を一応理解して、ティーダは流されるままに付いて行った。
今度こそ本当に見送ると、セージは隣の部屋へと向かう。
だが扉の前まで行くと、中からリュカが飛び出してきた。

「あ!セージ、今の音は……!?」
「判りません。エドガーさんとティーダ君が様子を見に行きました」
「ティーダクン?」
「気絶君の名前です。とりあえず僕達は待機しておきましょう。
 ……少し、話したい事もありますし」
「?」

本城にプサンがいるという事は伝える事にした。それから簡単に状況説明を。
今ここで、ピエールの件をリュカに言うか、セージは悩む。
その本人が迫って来ている事など、もちろん知る由も無い。

【エドガー(右手喪失 MP1/2)
 所持品:天空の鎧、ラミアの竪琴、血のついたお鍋、再研究メモ、ライトブリンガー、盗聴注意メモ(書きかけ)
 第一行動方針:音(ゼルの轟音)の発生源を調べる
 第二行動方針:首輪の研究/アリーナ2を殺し首輪を入手/仲間を探す
 最終行動方針:ゲームの脱出】
【ティーダ(変装中@シーフもどき)
 所持品:鋼の剣、青銅の盾、理性の種、首輪、ケフカのメモ、着替え用の服(数着)、自分の服
 第一行動方針:音(ゼルの轟音)の発生源を調べる
 第二行動方針:ユウナ達の所へ戻る/首輪の解析を依頼する
 基本行動方針:仲間を探しつつ人助け】
【現在位置:サスーン城 東棟の一室→外】

【セージ(HP2/3程度 怪我はほぼ回復 魔力1/2程度)
 所持品:ハリセン、ナイフ、ギルダーの形見の帽子、イエローメガホン
 第一行動方針:待機&簡単に状況説明
 基本行動方針:タバサに呪文を教授する(=賢者に覚醒させる)】
【リュカ(MP1/2 左腕不随)
 所持品:お鍋の蓋、ポケットティッシュ×4、アポカリプス(大剣)+マテリア(かいふく)、ビアンカのリボン、ブラッドソード
 第一行動方針:待機
 基本行動方針:家族、及び仲間になってくれそうな人を探し、守る】
【タバサ(睡眠中 HP2/3程度 怪我はほぼ回復)
 所持品:E:普通の服、E:雷の指輪、ストロスの杖、キノコ図鑑、悟りの書、服数着、ファイアビュート
 基本行動方針:呪文を覚える努力をする】
【現在位置:サスーン城 東棟の一室】