FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 558話


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

第558話:現実の対義


氷の上。煌く刀での一閃を、ラムザはしっかりと盾で受け止める。
部分的とはいえ湖すら凍らせるほどの相手に対して、ただ防戦一方。
敵の強さ以上に、ラムザはこの氷の下に消えた二人の生命を思って焦燥していた。
水中で――いや氷の中で人はどれくらい生きていられる?
迷うより先にラムザの身体は行動を起こしていた。その場から、はるか高く飛び上がる。
最高高度のジャンプ。一点を狙うその攻撃はセフィロスに読まれないはずもない。
結局、氷に深々とブレイブブレイドを突きたてただけ、その上崩れた体勢で次のセフィロスの攻撃を捌かなければならない。
剣を抜くことも盾を向けることも叶わず、ラムザはただ鎧の性能だけを信じてわずかに身体を捻った。
受ける角度を変えたことで胴を捕らえた刀は最高の鎧に跳ね返され、滑るように軌道をそらされる。
「………ッ……!! ほう、いい鎧を着ているな」
セフィロスがようやく繰り出したラムザの反撃が届く距離から離れていく。
慌ててこちらも身体を隠すように盾を構えて対戦の姿勢へと戻る。
しかし、真の狙い。あれだけ強烈に剣を突き立ててやった氷のほうは多少の亀裂が入ったもののまだびくともしない。
さらに何度か繰り返せばやがて割ることができるだろうが、そこまであとどれくらいかかるだろうか。
相手にも意図を読みとられるだろう。
「では、その首を落とそう」
朝の入射角の低い光が美しく、刀と銀髪から照り返る。
防御に徹すれば、かなり時間を稼げるとは思う。しかし、それから何か意味が得られるだろうか?

今までとはパターンを違えたセフィロスの攻撃がラムザを襲う。
常に本命の頭部への一刀必殺の攻撃に繋げることを念頭におきつつ、
反撃を誘うような剣が精密に偽装された荒っぽさをまとって圧倒してくる。
中途半端な反撃は死を招く。
防御か、氷を割るためにもう一度ジャンプを敢行するか。
前者は氷の下の二人を殺し、後者は自分を殺しかねない。自分と他人、二択。
思考する間をおかずに激しく斬りつけてくる攻撃の合間を衝いて
ラムザは氷を蹴って上空高く飛び上がっていた。

ターゲットは敵である銀髪・セフィロスではなく氷上の一点、つまり最初のジャンプで穿った場所。
計略も偽装もなくラムザは打ち割らんとする強固な意志をもって同じ場所を流星のように衝いた。
鋭い音を立てて亀裂が広がっていくものの、それでも巨大な塊の一部が抉れたという程度に過ぎない。
圧倒的な、不足。そして、誰も待ってはくれない。
放射線状に広がるクレバスの中心にいるラムザはさっきよりさらに回避行動を起こすに時間が必要で
反撃で斬る事を狙っていたセフィロスの攻撃はさっきよりさらに速い。
氷の上を風のように向かって来る氷と同じ色の剣士にラムザは抵抗する気を失うことは無いものの、
正直に言って死の可能性を――覚悟した。

盾を動かそうとする腕が重い。
すべてがスローモーションの世界。しかし、そこに通常の速度を持った何かが割り込んでくる。
セフィロスの進路と直交する形で突然に細かい氷が巻き上がり、衝撃が駆け抜けていく。
ラムザはそれを、知っている。
鍛え上げられた肉体と精神が産み出す地を走る衝撃を放つ技術――
「大気満たす力震え、我が腕をして 閃光とならん!!」
横合いからの奇襲を受け、銀色の疾風が対応すべく動きを緩める。
同じ方向に顔を向けたラムザの目に映るは白い騎士。
名乗りを上げるような言葉に従い幾筋かの雷がセフィロスに狙いを定めて降り注ぐ。
「無双稲妻突きッ!!!」



なぜか心地よい水の感触が肌を撫でていく。
短い手でしっかりとリルムを抱きかかえながら、ウィーグラフは水面下より深いところへと逃れていく。
水中に光が差し込んで来る方向から急速に水が凍りついていく音が追ってくる。
さらに必死に泳ごうと身体に力を込めたところでウィーグラフは今の姿が水中に適しているものだと気が付いた。
もっと強く、足で水をかく。カッパで無ければできない水中での機動力の発揮。
異常な速度で成長を続ける氷は巨大な浮氷塊を形作ったが、
努力のかいあってウィーグラフとリルムは凍結に捕まることなく逃れ去ることができた。

どうして、一人で逃げなかった?

結果的にセフィロスの攻撃を避けきったウィーグラフは、思い出すように自問する。
いや、あの時はこのカッパという状態が水中に適しているなどとも――
ああいや違う、もし術者であるリルムを殺されては元に戻る手段を――

頭上の光の調子が変化する。
水面を広く覆っていた氷の下を抜けたのだ。
抵抗するような力を入れず、ただウィーグラフに身を預けているリルムをちらりと見る。
そこにあるのは、信頼……だろうか。
信頼、信頼? ……自分には縁のない……無い? 何故? いや、そんなことは……

岸から急激に水中に落ち込んでいる土の壁、そして上に続く空を見上げる。
両足で絶妙に水をけり、ロケットのようにウィーグラフは水中を上昇していく。
その間も、考えは止まらない。
咄嗟の判断でリルムを助けたこと、そんな小さなことから
突然にウィーグラフは自分自身を客観的に相対化して見ることができるようになった。
内に生じた戸惑いもそれでいくらか氷解していく。
リルムを助けたのはウィーグラフ=フォルズであり、
ラムザに対する復讐鬼ウィーグラフでは、無い。
自分の姿と重なるように凶悪な復讐の仮面を被ったもう一人のウィーグラフがいる、
そんな構図が、見えてきた。

自分が本当にやりたかったことは、
いつだってそこにたどり着くまでの道のりで別のことに摩り替わっていた。
ある時は軍功でそのすべてを実現できると必死に戦い、
またある時はラムザを追うためだけに神殿騎士として活動した。
いつだって、いや誰だってそうだ。
役目だとか立場だとか仮面をかぶって満足に成し遂げられなかったやりたいことは何だった。
いつも真ん中にいたのは誰だった?
どうなのだ、ウィーグラフ=フォルズッ!! 思い出したかッ!?
自分がどういう人間なのかをッ! 何をやりたかったのかをッ!


水から上がるとすぐに魔法の光に包み込まれ、ウィーグラフは元の姿を取り戻した。
失った側の目を押さえ、濡れた寒さに細かく身を震わせながらもリルムは残った目でしっかりと見つめてくる。
ウィーグラフは今し方助けた相手なのにすでに興味を失ったと言わんばかりにそちらを見ず
自分達が水に飛び込んだ方向――ラムザと銀髪を残してきた方向を見極めようとした。
ラムザはどうなったのだろうか。
「……助けてくれたから元に戻したけど、またすぐにカッパにするぞ」
背後からの脅しを受け流す。
戦闘の舞台はどうやら氷の上に移っているようだ。
「どっちなの? どーするつもぇッッ……!!」
振り返り様の一撃。
少女の鳩尾にウィーグラフの拳が容赦なくめり込む。
殺す気はない、障害にならない程度にわずかな時間無力化できればよい。
それは、今のウィーグラフ=フォルズが描く理想の中には無いことだ。
打撃の痛みより呼吸を妨げられる苦痛に身体をくの字に折るリルムのザックから手早く自分の剣と薬ビン一つを取り出し、
ウィーグラフは氷の戦場へ向けて猛然と走り出す。
その背を押す心地よい動機の追い風を感じながら。
今になってよく見える。
民間人でも、騎士でも、復讐鬼でもいつだって自分は徹頭徹尾、理想家であった――と。

空高く、ラムザが飛び上がっていく。
跳躍力を逃げる方向に使えば、ラムザ一人逃げ切ることは容易なはずだ。
ウィーグラフは走りながら、自然と笑っていた。
可笑しくて仕方ない。ラムザよ、貴様はまったく可笑しくなるくらいに信頼に足る敵だ。
今、ウィーグラフが描く理想のために為さねばならないのは異分子の排除――以前討ち逃した銀髪の男を倒すこと。
ラムザとの正真正銘の決着はその後、一騎打ちでカタをつける。
素晴らしいではないか、この疑いなき理想のヴィジョンはッ!

標的を捉えることなくラムザの一撃はただ虚しく氷を穿ち、
機を逃すまいとセフィロスが刀を舞わせて落下地点へ挑みかかる。
ウィーグラフは大きく息を吐きながら、以前と同様に力を込めた腕で大地を叩く。
腕を伝わる大地の怒りを疾風のごとく――地裂斬。
衝撃が、突進していくセフィロスの進路と交差するのを確認しながら氷上へと飛び出した。
朝の光に輝くプレデターエッジを高く掲げ、聖剣技の題目を述べ、
「――無双稲妻突きッ!!!」
裂帛の気合と共に稲妻を、剣を振り下ろす。



刀の向こうのいつかの鋭い眼光と再び合い見え、ウィーグラフはしっかりと敵を認識した。
理想のオーダー。セフィロスを斬れ、ラムザはその後。
思い描いた理想の通り――何も、惑うようなことは無い。
ウィーグラフはいつだって理想の実現を内面での動機にして戦ってきたのだから。

「ウィーグラフッ!!」
「黙れラムザッ! 馴れ合いに来たのではないのだッ!
 死に損なったかッ、銀髪の男よッ!! 貴様の敵はこの私ッ、さあ引導を渡してやろうッ!!」

【セフィロス(HP 1/2弱程度)
 所持品:村正 ふういんマテリア いかづちの杖 奇跡の剣 いばらの冠
 第一行動方針:ウィーグラフ、ラムザとの戦闘
 基本行動方針:黒マテリア、精神を弱体させる物を探す
 最終行動方針:生き残り力を得る】
【ウィーグラフ(HP1/4)
 所持品:プレデターエッジ、エリクサー
 第一行動方針:セフィロスの撃破
 基本行動方針:ラムザと決着をつける】
【ラムザ(ナイト、アビリティ:ジャンプ・飛行移動)(HP3/4、MP3/5)
 所持品:アダマンアーマー、ブレイブブレイド テリーの帽子 英雄の盾 エリクサー×1
 第一行動方針:セフィロスとの戦闘
 最終行動方針:ゲームから抜ける、もしくは壊す】
【現在位置:湖南岸部の氷上】

【リルム(HP1/2、右目失明、魔力消費)
 所持品:絵筆、祈りの指輪、不思議なタンバリン、エリクサー×2
 スコールのカードデッキ(コンプリート済み) 黒マテリア 攻略本 首輪 研究メモ
 レーザーウエポン グリンガムの鞭、暗闇の弓矢 ブラスターガン 毒針弾 首輪 ブロンズナイフ
 第一行動方針:セフィロスと戦闘し勝利あるいは無事に逃げ延びる(ウィーグラフは敵?味方?)】
【現在位置:湖南部の岸】