36話

第36話:実は弱虫…?


なんで、なんで俺様はここにいるんだ…)
唐突に始まったこのゲーム。何故こうなったのかを、ブオーンは考えていた。
(俺様は確か、あのいけすかないルドルフの奴に封印されて…)
封印がとけたらルドルフに復讐しようと決めていた。
(あの金の亡者は、俺様にかかった賞金欲しさに封印しやがったんだ!!)
思い出しただけでもはらわたが煮えくり返ってきた。
(俺様は、健気に、直向に、大人しく、生活していただけなんだぞ!!)
確かに寝返りを打ったり、何かに躓いて思わず、家や人を踏んだことは何度かある。
だが人間だって、何かの拍子に蟻を踏んだり、巣を壊すことだってあるじゃないか。
(封印の経緯についてはまあいい)
ブオーンは、確か自分の封印はとかれたことを思い出した。
封印がとかれた後、早速ルドルフの居所を捜した。
最初に、ルドルフに罠をかけられ、封印した塔に行ってみると、そこには見知らぬ男と子供がいた。
(そして、俺様は倒されたんだよなあ…?)
これについては、ブオーンには何の文句もなかった。
弱い奴が強い奴に倒されるのは自然なことだ。ルドルフのように卑怯な罠を使ったわけでもない。
あいつらは、自分が封印された後、幅を利かせた奴なんだろう、と予測している。
(あいつらも、このゲームに参加してたなぁ…)
参加者一同揃った先ほどの会場に、あの男と子供がいた。
このゲームには、確実に自分より強いものが参加している。
(ルドルフの奴が参加しているわけでもなさそうだし…)
ルドルフがいない以上、ブオーンはわざわざ動いて殺される危険を高めるつもりはなかった。
一度倒され、もう一度殺されるのはゴメンだ、という心境になっている。
(さっきから背中の当たりが痒いけど、かくわけにもいかないか、はぁ)
大きな、ため息が漏れた。

「ぬお、なんか動いた…?」
運がいいのか悪いのか、ブオーンの背中を小山だと思って待機していたゴゴは、突然の揺れに驚いた。
それはブオーンがため息をついたために起きた揺れなのだが、それを彼は知る由もない。

【ブオーン 所持品:不明
 第一行動方針:動かずやり過ごす】
【現在位置:レーベ南西の山岳地帯に同化中】

【ゴゴ 所持品:ミラクルシューズ ソードブレーカー
 第一行動方針:誰か来たら、その人の物真似をする。】
【現在位置:レーベ南西の山岳地帯(ブオーンの背中)】

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最終更新:2008年02月16日 15:23
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