FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 234話


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

第234話:道化師


一人の男性が女性の胸に手を伸ばす。
その闇夜の中での行為は決して彼女の身を案じてのことではない。
そこにあるのは唯一欲望のみであった。

道化師ケフカ・パラッツオは、その行為を遠くから眺めていた。
そして吐き捨てるように言う。
「シンジラレナーイ!!! ぼくちんは、ああいう奴がいーちばん大嫌いだ!!!」


なんとも幼稚な台詞である。
大の大人がこんな言葉遣いをするべきではないと思うだろうが、実は彼は元々良識のある人間だったのだ。
そう昔、彼はガストラ帝国の優秀な戦士であった。
多くの人間から賞賛され、皇帝も一目を置く存在だったのだ。
そしてある時、皇帝が直々にケフカに命令を下した。
その命令とは、人体改造計画に参加せよという内容であった。

――人体改造計画
それはシド博士の理論によると、怪物から抽出した魔導の力を人体に注入するというものである。
そしてその目的は、魔導の力によって魔法を使えるようにするというもの。
しかし、ケフカが参加した当時は幾分、未完成な理論での試行錯誤の実験段階であった。
そしてケフカを用いた人体実験は行われた。
実験後、彼は魔導の力に拒否反応を示さなかったのだ。
シド博士を筆頭に、研究員の誰もが初の成功作を期待した。
…しかし、その実験は結局失敗に終わることになる。
確かに、彼の体は魔導の力を受け入れることができた。
しかしその代償として、彼は人の心を失ってしまったのだった。
そして今に至っている。


「ヒッヒッヒッ、どうやってあいつに痛い目にあわせてやろうか」


貴方がたは彼のことを可哀相に思うかもしれない。
しかし、彼自身は自分が狂ってしまったことを後悔はしているわけではないのだ。
むしろ喜ばしいことだと思っていた。
なぜなら、この狂気が身をもってこの世の真実を告げてくれたからだった。

どんな人間でも偽りの仮面を被っていること。
そして、その仮面を外すと中には歪んだ本性しかないということ。

だから、女性の胸を触っている奴のように醜い本性を持っているにも拘わらず、偽りの仮面を被って正義面しているのは許せなかった。
彼の言葉で言うなら、「いい子ぶるやつは、みんな死んでしまえー」といったところだろうか。


「キャアアアアァァァーーーーーーッ!!」
ケフカがあれこれ考えている間に女性の悲鳴があがる。
(…ちくしょう、ぼくちんの壮大な計画が無駄になったじゃないか)
そう、胸を弄られていた女の子が目を覚ましたのだった。
男は必死に彼女の口を塞ごうとする。
そして、その時槍を持った男が現れ、彼の後頭部を柄で殴る。

「ま、待って。これには事情が」
「なにが事情だ。問答無用」
「だから違っ」

(…どいつもこいつもいい子ぶりやがって……あいつは世界を救った勇者ってところか…あ~腹が立つ!腹が立つ!腹が立つ!!)
ケフカの脳裏に先ほどのレオ将軍の顔が浮かぶ。
思い出すだけで吐き気がする。
(くっそーぼくちんを馬鹿にしやがってー…あいつらの化けの皮をはいでやる!!)

そしてケフカは行動に出た。
先ほど自分でつけた傷を両手で抑え、彼らの前に飛び出した。
「助けてください!!」
ケフカは腹の底から叫んだ。

突然の来訪者に驚いたのか、シドとアルスはやり取りを中断してケフカの方に振り向いた。
「どうしたんだ! そんな傷で!」
アルスはケフカに事情を問いただす。
「さっき男にやられたんだ! 金髪の男に!!」
もちろん真っ赤な嘘である。しかし、ケフカの傷は信じさせるには十分なものであった。
「とにかくだな、ちょっとここで傷を治していけ。おいアルス、回復効果のあるのはどれだ?」
シドが口を開く。そして周りに散乱していたありとあらゆる薬草を手に取る。
「これと、これと、これと、これだ。貴方は座ってくれ。話を聞こう。」
アルスたちはケフカの傷を治療しながら、ケフカの話を聞き始めた。

「ぼくち…、あ、いや私は半刻ほど前に3から5人くらいの集団を見つけたのです。
 私は今まで一人ぼっちで寂しかったので、なんとか仲間に入れてもらえないかと思いました。
 そこで私はその集団の中の一人の男に接触をはかったのです。
 金髪の男、といっても暗くて顔ははっきりとわからなかったんですが、そいつが一人で集団を離れました。
 多分用を足しにいったのでしょう。
 そこで私が近寄って、仲間になりたいと申し出たのです。
 すると男は快く引き受けてくれました。
 しかし、実は私を油断させる罠だったのです。
 私が男に背後を許すといきなり攻撃してきたのです。
 私は必死に彼の攻撃を避けました。
 そして尋ねたんです、どうしてこんなことをするんだ、って。
 すると彼は、生き残るために決まっているじゃないか、って言ったのです。
 彼の話によると、もう3人の命を奪ったというでした。
 そして彼は集団の中に入って、油断させておいて一気に殺すつもりみたいでした。
 私は恐ろしくなって、彼の攻撃をなんとかかわしつつ、急いで逃げ出しました。
 そして今、貴方たちに会ったのです」
ケフカは口からでまかせに言った。彼の狂気が伝わらないように、出来るだけ丁寧に。

さて、ケフカがどうしてこんなことをするって?
なぜならケフカは知っていたのだ。
このゲームのように大勢の人が死ぬような異常事態にはデマが最も有効だということを。
金髪の男なんて実際どこにでもいる、3~5人の集団だってかなりの数に上るだろう。
そう、デマは、出来るだけ抽象的なほうがいい。
そうすれば、デマは人から人へと伝わり、形を変えて人々に疑心暗鬼を起こさせる。
つまり不信感を蔓延させるのだ。
そしてそうなったら、ちょっときっかけを与えてやればいい。
仲間同士での殺し合いの出来上がりだ。
何も危険を冒して直接手を下す必要など無い。
ただ、各個人の正義のベクトルの方向を少しばかり変えてやればいいだけなのだ。
…そして反応は予想通りだった。


「そいつはゆるせねぇな!」
「ああ。」

(馬鹿どもめ。よく、こんなときに人の言ったことを鵜呑みにできるな!
 悪に対して人一倍敏感な性格の集まりで、
 どいつもこいつもガストラのポンコツみたいに愚かで役立たずで、レオのクソ野郎みたいに利用しやすい人間だ。
 こいつらは、いつか取り返しのつかない過ちを犯して気づくんだ! そう、気づくんだよ!
 自分は正義でもなんでもなかったってねぇ!!)

「傷を治してくれてありがとう。諸君のことは忘れないよ。
 ただ、さっきも騙されたから、私はこれから一人で行動することにする。
 それじゃあ、気をつけて」
ケフカはそう言ってアルスたちに別れを告げる。

(アヒャヒャヒャヒャ、滑稽、実に滑稽! これからはこのデマに翻弄されて醜い争いが起こるに違いない。
 ぼくちん、ほんとに頭いーい!)
ケフカはまるで不吉を知らせる死神の如く夜の闇へと消えていった。


ところで一方残された二人はというと……


「金髪の男か、そいつは厄介だな。早く止めないと大変なことになる」
「しかしよぉ、てめー、なんか忘れてるだろ」
アルスは気絶しているバーバラに目を向ける。
「あっ、だからそれは誤…」

このあとアルスはまたシドに殴られることになる。

【アルス 所持品:ドラゴンテイル ドラゴンシールド 番傘 ダーツの矢(いくつか)
 第一行動方針:怪我してる女の子を保護して安全な場所へ 第二行動方針:金髪の男を探す
 最終行動方針:仲間と共にゲームを抜ける】
【シド 所持品:ビーナスゴスペル+マテリア(スピード) ロープ
 第一行動方針:女の子に不埒なことをしていたアルスに天誅を加える
 第二行動方針:金髪の男を探し、PKを減らす 最終行動方針:ゲームの破壊】
【バーバラ(両足負傷、また気絶
 所持品:ひそひ草、他に様々な種類の草たくさん(説明書付き) エアナイフ 食料一人分(マリベル)
 第一行動方針:? 第二行動方針:エドガー達と合流/ゲーム脱出】

【ケフカ 所持品:ソウルオブサマサ 魔晄銃 ブリッツボール
 第一行動方針:できるだけ多くの人にデマを流す 最終行動方針:ゲームに乗る】

【現在位置:レーベの村の外れ】