第301話:生まれ出たソレは
確かに彼女の頭上に現れた小さな太陽は。
術者の手を離れ制御を失った。
方向を変え明後日の方向へそれた太陽は。
大きく砂を巻き上げあたり一面を飲み込んだ。
直撃は避けられた、だが、その破壊の被害は逃れることはできなかった。
大きく積もった砂の山が、ゆっくりと崩れてゆく。
その中から何かが立ち上がる。
片腕を失い、全身を焼かれながら。
だが、それでも、確かにソレは生きていた。
もはや痛みなどという感覚は無い。
もはや苦痛などという感情も無い。
あるのはただ、生への渇望のみ。
生き残る。
何をしても。
誰を殺しても。
その始まりはなんだったか。
大切な人への誓いだった気がする。
大切な人への償いだった気もする。
今はもう、そんなことすら思い出せない。
感情をなくしたはずのソレは。
血に濡れ焼け焦げた口元で笑う。
その瞳は前を見ながら、どこも見ていなかった。
ユラリとふらつくような足取りで青く光る扉に向かう。
燃えるように焼ける砂。
落ちてくる太陽の中で。
何かが生まれた
【ティファ(HP1/10程度) (右腕喪失/全身火傷/感情喪失) 所持品:コルトガバメント(予備弾倉×4)、エアナイフ
第一行動方針:目に映るものを全て殺す 基本行動方針:生き延びる 】
【現在地:新フィールドへ】
最終更新:2008年02月16日 15:49