120話

第120話:夢でありますように


魔女の放送前、ティーダはエアリスの死体をぼんやり眺めていた。
元々胸部に受けた弾丸が致命傷だったのだから、それ以外は全く外傷は無かったのだが。
彼女の死を確信したときは、美しいも何もあるか、と考えたものだが、その死体は、まるで眠っているようで。
――あまりに綺麗で、今にも起き上がりそうで。
だが、そんなときに放送はあった。
それは、確実にエアリスの死をティーダに認めさせた。
…そして、もう一人。
「アーロン…!?そんな…」
最も頼れる男だった。
その存在こそ、死人という存在であったけれども。

悪い夢だと、思いたかった。
自分の本当の姿も、自分の生まれ生活した世界でさえ夢だったのだから。
これも、誰かが召還した、悪い夢なんだと――

「エアリス…ごめん…」
気持ちが落ち着くと、ティーダは鋼の剣でエアリスの首を切り落とした。
ほとんど眠っているのと変わらないその姿に傷を付けるのは、やはり気は引けたが。
「きっと誰か…首輪の解除方法を研究していると思うから…」
許しを請うように呟くと、鋼の剣についた血を近くの草で拭き取る。
そして、重くて使えなかったゴディアスの剣をエアリスの身体の横の地面に突き刺し、麦わら帽子をそれに乗せた。
アーロンの墓のつもりだった。だが、本当にそれがアーロンを示しているようだったから、
「わかったよ…泣かないッスよ」
一人、噛み締めた。
そして、ランプを片手に、森の中を東へ向かって歩き始めた。

【ティーダ 所持品:鋼の剣 青銅の盾 理性の種 ふきとばしの杖〔4〕 首輪×1
 第一行動方針:東へ 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【現在位置:レーベ北東の森→東へ】

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年02月16日 15:52
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。