232話

第232話:エッチなのはいけないと思います


アルスは倒れている女の子(バーバラ)を発見して駆け寄った。
「しっかりしろ。大丈夫か?」
返事はない……が、ただの屍ではないようだ。ちゃんと呼吸をしている。
アルスはいまだに煙の上がり続けている村のほうを見る。
あそこから逃げてきたのだろうか。

アルスとシドは、あのあと山を降りてレーベ南の森林地帯へと入り、
そのまま森の中を移動してレーベ付近まで移動してきた。

途中、レーベの村の方角から煙が上がっているのが見えたので、村で何かが
起こっているのは確かだろう。
夜に動くのは危険だというシドを説得し、アルスは1人で村を偵察に来た。
その途中で発見したのがこの女の子である。

見ると両足に怪我をしているらしく包帯から血がにじんでいる。
村で起きた騒動から逃げてきて、ここで力尽きたというところか…。

こんな足で逃げてきたのか。さぞ痛かったろうに。
アルスは包帯の上から足に手を当てホイミの呪文を唱える。

とにかくこの子を連れて一旦シドのところへ戻ろう。
目を覚ませば村で何かあったのかも訊けるに違いない。

「おい、起きろよ。こんなとこにいると危険だぞ」
しかし、少女は全く目を覚ます様子がない。
「起きろー。起きないとイケナイことしちゃうぞー」

アルスは少女の胸の上で手をワキャワキャと動かす。
しかし、効果はなかった。

フルートかセージがいればよかったのだが、アルスにはザメハの呪文は使えない。
しばらく考えたのち、アルスは思い切って大胆な行動に出てみることにした。
人目がないとなるとこういう行動に走るあたり、むっつりスケベと性格判断されただけのことはある。

ぷにっと胸をつかむ。あっやわらかい。いやそうじゃなく。
「起きろーー」
胸をつかみながら体を揺すってみる。
しかしまだ目を覚まさない。
「起っきろーーっ」
さらに大きく揺すってみる。
「う…ん」
さすがに起きたらしく少女の目が開いた。少女とアルスはしばし見詰め合う。

しかしこの体勢はまずかった。目が覚めたバーバラは混乱した。
気が付くと知らない男が自分に覆いかぶさっていて、しかもその片手は自分の胸を掴んでいる。
……となると。
「キャアアアアァァァーーーーーーッ!!」
「わっ。まずい。大声を出すんじゃない」
アルスは慌ててバーバラの口をふさぐ。
「む…むぐっ」
近くにゲームに乗った危険な参加者がいるかもしれない以上、アルスの行動は当然のことである。
しかし傍からみるとアルスがヤバイやつにしか見えない。

アルスから逃れようと暴れまくるバーバラ。
何とか落ち着かせようと必死で押さえつけるアルス。
そのまましばらくもみ合っているうちに、アルスは背後に殺気を感じて振り向く。

ガツンと頭に衝撃が走り、目から星が出た。涙がにじむ。
「てめー、なかなか戻ってこねーからと様子を見に来てみれば、何してやがんだ」
それはビーナスゴスペルを構えたシドだった。どうやら柄の部分で殴られたらしい。
「ま、待って。これには事情が」
「なにが事情だ。問答無用」
「だから違っ」

そのとき、アルスから開放されたバーバラはというと、槍を構えて殺気を放つ男(シド)の姿を見た途端
またもや気を失ってしまっていた。

【アルス 所持品:ドラゴンテイル ドラゴンシールド 番傘 ダーツの矢(いくつか)
 第一行動方針:怪我してる女の子を保護して安全な場所へ 最終行動方針:仲間と共にゲームを抜ける】
【シド 所持品:ビーナスゴスペル+マテリア(スピード) ロープ
 第一行動方針:女の子に不埒なことをしていたアルスに天誅を加える
 第二行動方針:PKを減らす 最終行動方針:ゲームの破壊】
【バーバラ(両足負傷、また気絶)
 所持品:ひそひ草、他に様々な種類の草たくさん(説明書付き) エアナイフ 食料一人分(マリベル)
 第一行動方針:? 第二行動方針:エドガー達と合流/ゲーム脱出】
【現在位置:レーベの村の外れ】

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最終更新:2008年02月16日 16:02
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