416話

第416話:待っていた者


ザックスの顔を不意の水が襲った。
それが刺激となって、ザックスは意識を取り戻していた。

ここはどこだ?

目を開けると、太陽の光が目に入る。昼の高い日差しが眩しい。
ザックスは再び目を閉じた。
今までのことを思い出そうとする。
頭がクラクラする。
モンスターにまたがった騎士との市街戦。一刀の元に切断される首。
気を失う前の事実をぼんやりと、そして次第にはっきりと思い出した。

あれからどれだけの時間が経ったんだ?
そして俺は何をしていたんだ?

――思い出せない。
確かあのモンスター騎士の妙な攻撃を受け、口が使えなり呼吸もままならなくなった。
そして酸欠で気が遠くなり地面に膝を付いた所までは覚えている。
なんで俺は生きている?あの状況で気を失った俺はまさに『うほ、いい獲物』状態だ。
他の参加者がらみれば「殺らないか?」と言っているようにさえ見えただろう、それが何故――
…ちくしょう頭が痛い。

再び目を開けて、ザックスは首を左右に傾けた。
土の上に寝転んでいるのは分かる。最後に首を上げ、背後を見る。
「!?」
飛び起きる。まだ飛び起きるだけの体力はあるようだ。

「気がついたか?」
とっさに身構えたザックスの視線の先には顔の半分をひげ面で覆われ体格の良い壮年の男が居た。
「しかし、丈夫な体のようだな。倒れたそなたをここに運んでから半刻ほどしか経っておらぬ」
「・・・・・・」
「しかしまだ無理はしないほうがいい。酸欠に加えて決して浅くはない傷を負っていたのだからな」
「・・・・・・」
「私の名はオルテガだ。名簿で確認させてもらったがそなたの名はザックスというそうだな?」
「・・・・・・」
ザックスの警戒を無視して、勝手に語り出す男。
そう、男は勇者アルスの父親であり『アリアハンの勇士』こと、オルテガであった。

「む・・・やはり口が使えぬようだな」
オルテガは警戒しているとはいえあまりにも口を開かないザックスをみて合点がいったような顔をした。
「口で呼吸していなかったことに加えて、人工呼吸も受け付けなかったからもしやと思ったが・・・」
そういうとオルテガはそこらで拾ったような木の棒をザックスに投げてよこした。
ザックスは胡乱気に睨み返すとオルテガは地面を指差した。
どうやら木の棒で地面に文字を書き、筆談しろと言いたいらしい。

「さて・・・、まずはお互いの状況交換と整理といこうか。いいかね?」
言いながらオルテガはその場に座り込むとザックスにも座るように目で促していた。


【ザックス(HP1/4程度、口無し状態{浮遊大陸にいる間は続く}、左肩に矢傷)
 所持品:バスターソード
 第一行動方針:オルテガと情報交換
 最終行動方針:ゲームの脱出】
【オルテガ 所持品:ミスリルアクス 覆面&マント
 第一行動方針:状況を整理、ザックスと情報交換
 第二行動方針:アルスを探す
 最終行動方針:ゲームの破壊】
【現在位置:カナーンの村南部の平原】

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最終更新:2008年02月16日 22:13
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