275話

第275話:この後どうするか


岩陰に隠れて眠っていたセフィロスは、閉じた瞼の向こうから眩い光が差しこんでくるのを感じた。
あまりの眩しさに目を開くと、その光の正体が朝日の陽光だと気付く。
…もう夜明けか。
誰にも聞かれない呟きを漏らしながら、重い体を起こす。
体の具合を確かめて見ると、まだ昨夜受けたダメージが完全に回復してはいないようだ。
しかし、残っているのは、傷跡で疼く小さい痛みと肩にのしかかる疲労感だけ。
この程度なら慣れているし、今後の行動に支障は無いだろう。流石はジェノバ細胞と言ったところか。
荷物を背負いなおし、そこから歩き出そうとすると――激しい地鳴りに続き、魔女の声が天から降り注いだ。

(死人が20人、昨日の日没までの数を合わせると51人…クジャの名は無かった…)
ザックから参加者名簿と地図を取り出し、素早く耳にしたばかりの情報を整理する。
昨日一日で51人が死に、残っているのは自分を含めた88の参加者だ。
この様子で行くと、ゲームがどんな形であれ終焉を迎えるのは1週間ほどかかるだろう。
ここで恐れなければいけないのは、参加者同士が団結する事だ。
おそらく、自分のようにゲームに乗って生き残ろうとする者はむしろ少数派だろう。
最初の部屋で他の参加者を観察した限り、殆どが確かな実力を持つ戦士だった。
また、これまた殆どが魔女や魔女に従う龍に敵意の視線を投げかけていた。
とすれば、その力を用い、魔女を倒す事でゲームを脱出しようと考える参加者が大多数を占める筈だ。
そのためには仲間を募って大所帯で行動するだろうし、何より自分のような考えのマーダーを許しはしないだろう。
だとすると、昨夜アリアハンで遭遇したような実力者の揃った集団と多勢に無勢の戦いを強いられる可能性が高いわけだ。

参加者がますますまとまって行動し始めると考えられるこの二日目以降は、
そんな不利な戦いを覚悟しなければいけないだろう。

そこまで考え、セフィロスは他の問題点に思考を移した。
それは、「旅の扉」の存在である。
「扉」そのものはゲームの最初に通った物と同じと考えて良いとして、問題はその位置だ。
魔女が話した扉の位置と地図とを合わせて見る限り、
これから2時間以内に行けそうな所が約1キロほど北にあるあの城下町しかないのだ。
昨日自分がそこで致命傷を負いながら辛くも逃れてきた事を考えると、あまり戻りたくない。
しかし、他の扉ではどうも間に合わなそうだ。
ナジミの搭とやらには海を越える手段が無いと行けそうに無いし、東部の山脈は険しい上に広すぎる。論外。
西部にある砂漠も考えたが、走っても間に合うかどうかという距離だ。
他の所へは遠過ぎて2時間という短か過ぎる時間内に辿りつくのはどう考えても無理だ。
では、どうする?
すぐに行ける距離にあるが、待ち伏せを受ける可能性が極めて高い城下町か。
上手くすれば他の参加者に会わずにすむが、辿りつけるか分からない他の扉か。
どうする?

セフィロスは迷った末、半壊したアリアハンの城下町へと歩を進めた。
クジャは私が去った後も派手に暴れたようだし、城下町ならもしかするとそのクジャと再会できるかもしれない。

【セフィロス(HP3/5程度) 所持品:村正 ふういんのマテリア
 現行動方針:アリアハンにある旅の扉から新フィールドへ 最終行動方針:参加者を倒して最後にクジャと決闘】
【現在地:アリアハンへ移動】

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最終更新:2008年02月16日 22:15
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