352話

第352話:償い方


「よう、目が覚めたか? クジャ」
「…ジタン?」
目を覚ましたクジャは、寝転びながら不思議そうな目でジタンを見上げた。
「ここは天国かい? いや地獄か…。それとももう一度蘇ったのかな?」
「おいおい、助かったんだよ」
その言葉に、ジタンは呆れたように肩をすくめた。
「ハハ…わかっているよ。…バカだな、またボクを助けたんだね…」
「言ったろ、誰かを助けるのに理由はいらないってね」
少し冗談めかしてそういって、ジタンは少しだけ笑った。
その顔を見てクジャは目を瞑って、優しげに少し笑った。

「ああ…なんだか、ひどく穏やかな気分だよ…」
目を瞑りながら言うその言葉に、ジタンは そうか、とだけ相槌を打った。

暫くそうして目を瞑ったいたクジャは、ゆっくりと目を開いた。
「…もう行くんだジタン、ボクなんかと一緒にいてもろくな事は無い」
「なに言ってんだよ、怪我人をほっておけるかよ」
「いいんだジタン、ボクはたくさんの許されないことをした。
 ボクを恨んでる奴等も多い、一緒にいれば君も狙われることになるんだよ?」
その言葉を聞いても。ジタンの態度はかわらない。
「バカ、そんな事お前を助けた時点で理解してるよ。
 それに、お前を助けてくれた人も、お前のことを恨んでいた。
 それでも、歯を食いしばりながらお前のことを助けてくれたんだ。
 確かにお前は許されないかもしれない、けど、少しでも償うことは出来るはずだ」
ジタンは諭すようにクジャに言った。

「……償い」
「そう、死んじまった人や、残された人に必死に頭下げるのでもいい。
 自分に出来る何かを、誰かのためにするのでもいい。償い方なんて沢山あるんだ」

導くようなジタンの言葉。
その言葉に、脳裏に浮かぶのは一人の男の事。

始めて彼を見たとき、自分と彼が似た存在だと感じた。
だがそれは、自分の思い上がりだったようだ。
彼ならば、自分のように迷いなどはしないのだろうから。

これからも彼は、何の迷いも無く殺し続けるのだろう。
己の道を迷いも後悔もしないのだろう。

「…ジタン、見つけたかもしれない。僕に出来ること、これは多分…僕にしかできないことだ」
「…? なんだよそれ」
ジタンが一歩、仰向けに倒れたままのクジャに近づく。
クジャは素早くその腕を取り、同時にジタンの足を払った。
ジタンの体は大きく浮かび地面に転がった。

「ッで! いきなり何しやがんだ、クジャ!」
起き上がりクジャのほうを睨みつけると、そこにクジャの姿は無かった。
「クジャ! ッ、あのバカッ!」
ジタンはクジャを探して走り出した。

彼を止める。
それが自分のしたことの償いになるかどうかはわからない。
だが、自分が作ってしまったような犠牲者は減らすことは出来るだろう。
彼を、セフィロスを殺す。

その誓いを胸に、クジャはセフィロスを探して浮遊大陸を駆けた。

【クジャ(HP 1/4 負傷、MP消費) 所持品:ブラスターガン 毒針弾 神経弾
 第一行動方針:セフィロスを殺す 最終行動方針:最後まで生き残る】

【ジタン 所持品:英雄の薬 厚手の鎧 般若の面 釘バット(FF7)  グラディウス
 第一行動方針:クジャを追いかける
 基本行動方針:仲間と合流+首輪解除手段を探す 最終行動方針:ゲーム脱出】

【現在地:ウルの村、カズスの村の間の草原】

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最終更新:2008年02月16日 23:38
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