290話

第290話:騎士二人


放送で知らされた旅の扉があるという森の中を歩く。
少し前、アグリアス達がここから新フィールドへ旅立ったことなど知らず、
ウィーグラフはレーベ南の森中央の旅の扉まで近づいていた。


―今度は、何者でござるかな?
旅の扉近くに潜み、現れた男の様子を見るライアン。
男はまだ旅の扉を見つけられないらしく、淡々と辺りを探している。
―ひとり、でござるな。
あまり好ましくない想像がライアンの頭をよぎる。
いまだ一人でいるということは戦いに乗っているのかもしれない。
しかし、仲間を失って一人という可能性も考えられなくも無い。
自分のようにたまたま誰にも会えなかったのかもしれないじゃないか。

そこまででライアンはふるふると頭を振り、パッと立ち上がる。
―証拠も無く疑うのは良くないでござるな。やはりそれがしは行動あるのみ!


突然後方の茂みが音を立て、
ウィーグラフはプレデターエッジを構えつつ素早く振り向く。
いつの間にその場所にいたのだろうか?
そこに立つは、一振りのレイピアを手にした戦士が一人。

「そこの方、旅の扉をお探しでござるか?」
全身から発せられる雰囲気からしておそらくは歴戦の勇士であろう。
正面からやりあうには危険が伴う。今はこういう相手との戦闘は避けるべき。
そう判断し、ウィーグラフは剣を収めて友好を装う。
「ああ…見つから無くてな。少しだけ困っている」
「さようでござるか。旅の扉ならこちらですぞ」
そういって旅の扉へとウィーグラフを案内するライアン。

緑の間に光の渦が見えてきた。ライアンは振り返り後ろの男に声を掛ける。
「あれが旅の扉ですぞ。ところで―拙者はバトランドの戦士、ライアンと申す者。
 貴方の名前を教えていただけませぬか」
「ウィーグラフ。ウィーグラフ・フォルズだ。
 神殿騎士をやっている。質問して悪いが、ライアン。
 お前は次の世界へも行かず何をしているんだ?ボランティアという状況でもなかろう」
「…アルティミシアを倒すために信頼のおける仲間を探しているのでござる。
 ここなら必ず誰かに会うことができると思いましてな」
――幸せな男だ。この期に及んで信頼だと?
「ウィーグラフ殿。もしよろしければ拙者と一緒に行動して下さらぬか」
――そしてわたしを勧誘するか。だがこの手合いは仲間にしても枷になるだけだ。
「すまないが、わたしは自分の目的のために行動している。
 今は誰の助力も必要としていない」
「その…目的とは何でござるか?」
「仇討ち、だ。ラムザ・ベオルブとアグリアス・オークス、こいつらを追っている。
 不倶戴天、というやつでな」

その言葉に明らかにライアンの視線に鋭さが増した。
「かつて妹を殺されてな。一度は敗れ去ったわたしだが…
 この世界で再び憎き相手に出会ったというわけだ」
「――そやつらが悪ならば、拙者も―」
――悪ならば斬る、か。あくまで正義を欲する。唾棄すべき相手だな。
ライアンの言葉をウィーグラフは強い口調でさえぎる。
「言ったろう、助力など不要と。そしてライアン、わたしはかつての世界で
 この為に悪魔にさえ魂を売った男だ。それはお前の言う悪ではないのかッ!?」
言い放ち、プレデターエッジを取り出しライアンへと向ける。
その動きに反応してライアンも間合いを若干離して武器を構える。

そのままお互いに対峙したまま沈黙。先にウィーグラフがそれを破った。
「これは奴等とわたしの間の問題でな。止めるなら剣で止めるがいい。
 だが邪魔をするならばわたしは誰であっても容赦はしない!」
明らかに落胆、そして困惑が見てとれる。もう仲間に誘われることも無いだろう。

「先に行かせてもらう。生きて再び会えるとよいな」
そう言い残すと、ウィーグラフは光の渦へと飛び込んだ。


旅の扉に消えた男を見送ったライアンの心中は複雑だった。
ウィーグラフという男とラムザ、アグリアスという人物の関係。
今しがたウィーグラフは自分が悪だとさえ言い切ったが、
妹の仇討ちという動機は自分のような武辺者にもわからなくはない。
それでも、人を殺すと宣言していることには変わりないが。

―戦ってでも止めるべきでござったか。
事情がはっきりわからないせいもある。
彼を悪=敵と割り切ることのできないもやもやが心に残された。それでも―
―次に会うときは…それがしが止める。

ライアンはさらに待ち続ける。

【ウィーグラフ  所持品:暗闇の弓矢、プレデターエッジ
 第一行動方針:ラムザとその仲間を殺す(ラムザが最優先)
 第二行動方針:生き延びる、手段は選ばない】
【現在位置:新フィールドへ】

【ライアン 所持品:レイピア 命のリング
 第一行動方針:扉前で待機し、仲間を探す&マーダーを減らす 
 最終行動方針:アルティミシアを倒す】
【現在位置:レーベ南の森中央】

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最終更新:2008年02月17日 22:14
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