FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki
http://w.atwiki.jp/ffdqbr3rd/
FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki
ja
2008-02-17T23:57:20+09:00
1203260240
-
475話
https://w.atwiki.jp/ffdqbr3rd/pages/1047.html
*第475話:闇に生まれる
暗い暗い暗黒の洞窟。
その闇の中でスミスはゆっくりと目を覚ました。
昼間のブオーンとの戦いから既に6時間以上の時間が過ぎ去っている。
「ふぁあ~~よく寝た」
そういってスミスはゆっくりと身体を起こした。
「あれ?」
そして自分の身体の違和感に気付く。
身体は以前より幾分も巨大になり、濃紺の鱗に覆われていた。
折れた翼は完全に再生され漆黒に染まっている。
「これは一体……あの爺さんを食べたせいかな?」
その通りだった。
古の大魔導師ノア。その強大な魔力を受け継いだドーガ。
スミスはドーガの身体を食事という形で体内に取り込むことでその魔力を吸収したのだ。
そしてその魔力はスミスをより強大な存在へと変態させた。
その姿は世界によっては「闇のドラゴン」と呼ばれただろう。
「まあいっか。強くなったみたいだし不便はないよね」
あっけらかんとスミスは自身の変化を受け入れると洞窟の外に出ようと足を踏み出した。
「あいたっ!」
全身に激痛が走り、スミスは再び身体を伏せる。
ブオーンの痛恨の打撃の後遺症と強引な変態による影響によって
スミスの身体は未だ満足に動ける状態ではなかった。
「う~ん、自由に動けるようになるにはもう少し休まないと駄目だなぁ」
彼個人としてはなるべく早くゲームに復帰したかったのだがこの状態で無理に外へ出ても
何も出来ないだろう。
すぐに殺されるか満足に動くこともできず放置されるだけだ。
「仕方ないね」
恐らくカインとの約束の時間も既に過ぎ去っているだろう。
手遅れならばカインには悪いが無理に急ぐ理由もない。
スミスは諦めると再び目を閉じた。
次に目覚める時こそゲームに復帰する時。
その時はこの新しく手に入れた力で自ら殺しに行ってもいいかも知れない。
そんな事を考えながらスミスは自身を回復させるための眠りに落ちていった。
そして闇の洞窟の中に動く物は再び無くなった。
しかし、確実に一つの脅威が産声を上げていた。
【スミス(HP1/5 変身解除、洗脳状態、闇のドラゴン)
所持品:魔法の絨毯 ブオーンのザック
第一行動方針:眠り、身体を癒す
第ニ行動方針:身体が癒えたらカインと合流する
行動
2008-02-17T23:57:20+09:00
1203260240
-
186話
https://w.atwiki.jp/ffdqbr3rd/pages/1046.html
*第186話:かつての思い出と今の現実
イクサスは山を下り、レーベの村へ向かっていた。
森の中は暗く、対象の植物を見つけづらいのと、毒薬の調合には、ある程度の設備が必要だからだ。
草をすりつぶしたり、加熱したり、乾燥させたり、溶解液を作るにあたって、支給品の着火器具や水では足りない。
それに、作れたとしても、液体状や粉末状の毒薬を直接持ち歩くわけにはいかないのだ。
できれば、入れ物も複数欲しい。
視界が開けてきた。レーベの村が向こうに見える。
「火事…」
おそらく戦闘が行われているのだろう。一段落するまでここで待つことにしよう。
と、袋が放置されているのを見つけた。食料も支給品もそのままだ。
紫の小ビンに、拡声器、あと、何かの説明書。それには、いくつかのモンスターの種族名が書いてあり、
【注:期限あり】とも書かれている。しかし、その説明にあたるアイテムは無い。それだけを持ち去ったのだろうか。
ふと、異臭を感じた。さきほどまで感じなかった臭い。
イクサスは思わず飛び退く。イクサスがいたところに、容赦無い一撃がたたき込まれた。
「くそっ、モンスターまでいるのか!」
腐った死体。体力と力が非常に高い上、痛覚がないため、倒れる直前まで攻撃を仕掛けてくるモンスターだ。
動きはのろいので、加速装置を使えば逃げ切れる相手だ。
だが、その腐った死体には首輪が付いており、その顔は…
「…スミス?」
イクサスの動きが止まる。そこ目がけて、スミスは腕を振り上げ、爪を立てて、振り下ろしてきた。
しかし、動きはゆっくりで単調なものだ。戦闘見学経験しかないイクサスでもかわすことができた。
「スミス、俺だ、分からないか!?イクサスだよ!」
スミスには何の反応も無い。まるで、人形のように無表情。
イクサスは先ほどマチュアの名前が呼ばれていたことを思い出した。
スミスにとって、マチュアの死は衝撃的なことだったに違いない。
「そうか、お前も…」
スミスは相変わらず無表情のまま、魔物の本能に乗っ取って襲いかかってくる。
魔物の姿はしていたけれども、強くて、気さくで、名物バカップルの片割れだった、かつてのスミスの面影はもうどこにもない。
イクサスは、加速装置をセットし、そこから凄まじいスピードで駆け出した。
スミスは追いかけることは
2008-02-17T23:56:13+09:00
1203260173
-
422話
https://w.atwiki.jp/ffdqbr3rd/pages/1045.html
*第422話:悪魔の囁き
それはいつだったのか。まだ日は高かったと思う。
何事もなかったかのように静まり返った湖から、フィンは目を逸らした。
もう、見ていたくなかった。
湖を。あの魔物を。
ドーガさんが沈む湖を。ドーガさんを殺したあの魔物を。
ふらふらと、森の中へと進んでいく。
虚ろな目を、ただ前へと向けていく。
「アイラを、探さなきゃ…。ギルダーを、止めなきゃ」
まだ生きているはずの仲間を、守らなきゃいけない。
死んでしまった人の遺志を、継がなきゃいけない。
目的を持たなければ、迫り続ける無力感に押しつぶされ、きっと一歩も進めなくなる。
フィンはただ、歩き続けた。
時を忘れ、どれほど歩いているのか、どちらに向かって歩いているのかも分からずに。
森を、抜けた。
日は、傾いていた。
けれどフィンにはそれが分からない。
空を見上げ、時間を確認することさえ忘れている。
歩かなきゃ、歩かなきゃ、歩かなきゃ…。
今、彼の頭の中にあるのは、只それだけ。
しかし彼は、不意に止まった。
自分でも何故止まったのかわからずに、フィンは自分の足を見る。
何も変わったことなどない。
もう一度、足を踏み出そうと試みる。
そして、フィンはその場に崩れ落ちた。
只前へ進むこと以外は、何も考えていなかった。
自分があの湖に落ちてから、びしょ濡れのまま動き続けたということも。
進んでいた森は多分に湿気を含み、決して服が乾くはずがないということも。
船乗りの息子として、その結果がどうなるかなど百も承知であるはずなのに。
そんな当然なことの配慮さえ、考えていなかった。
頭が痛い。体が熱い。
先へ、前へ行かなきゃ行けないのに。
アイラを、ギルダーを探さなきゃいけないのに……。
ドサッという人の倒れた音。
その音のすぐ南の森から、今度はミシミシという木が軋む音がする。
フィンは、その音に気づかない。
完全に意識を失っていた。
(さ~て、どうしようかなぁ~)
木々の間に隠れ、スミスはこの行き倒れの処遇について考えてみた。
カインからは誰かを見つけても何もするなと言われている。
だから、上空でこの男を見つけたときはそのまま無視しようとしたのだ。
が、男はこっちが何もしないのに倒れてしまっ
2008-02-17T23:50:52+09:00
1203259852
-
138話
https://w.atwiki.jp/ffdqbr3rd/pages/1044.html
*第138話:英雄の責務
大地震、放送。
それすらも、彼らの闘いを止める事は無かった。
依然として、デュランとメルビンの闘いは続いている。
だが、その力の差を一瞬一瞬メルビンは噛み締める。
(これでは…負ける…)
いまや相手の剣の一閃を避けるのに全ての神経を費やすしかない。
剣を失った。魔力も底をついた。
対して相手は魔族の強みである無尽蔵な体力と強烈な破壊力を誇る剣を前面に押し出しメルビンを圧倒する。
それでも未だ生を失っていないのは、ある意味仲間達のおかげかもしれない。
――メルビン、次の職業どうしようか?
フィンの声がした。
――メルビン、踊り子なんてどう?
アイラがクスクスと笑う。
――ウェー、おっちゃんの踊り、またステテコダンスか?
ガボが吐く真似をする。
――まぁ、少しは若返りの効果があるかもね。私は見たくないけど。
マリベルの声だけが、少し霞んで聞こえた。
――身かわし脚とか、受け流しとかさ。結構使えると思うんだよね。
フィンが言ったソレが、今の自分の生を保っている。
「うぉぉぉっ!」
一声吼え、再び襲い掛かる剣をかわす。
直後に起きる爆発は予測済みだ。一寸後ろに飛び跳ねればある程度は避けられる。
「貴様、しぶといなっ!」
デュランのほうが圧倒的有利である筈だ。
だが、魔王の剣に完全には捉えられること無くここまで来た。
…あの日、皆にからかわれながら踊り子などという職業に就いた。
それが、今、彼を魔王の剣から救っているようで。
(なかなか、捨てた物じゃなかったでござるな)
…だがそれはある意味強がりだった。
魔王の振るう剣はかわせても、その後に襲い掛かる爆発を完全にかわすことは出来ない。
今や彼の身体中には無数の傷が刻まれている状態だ。
それは少しずつ彼の動きを鈍くし、最後にはデュランに捉えられてしまう事になるだろう。
魔王の剣を再びかわした時、彼の目にある物が映った。
直後の爆発による閃光で、一瞬だけそれを捉えることが出来たのだ。
…やはり、それしかあるまいな。
メルビンは大きく飛び上がり、ムーンサルトを放つ。
これも、メルビンをスーパースターに仕立て上げたなんとも微笑ましい仲間達のおかげだった。
「貴様の攻撃はもはやその程度か!」
デュランはそれを
2008-02-17T23:50:11+09:00
1203259811
-
104話
https://w.atwiki.jp/ffdqbr3rd/pages/1043.html
*第104話:英雄と魔王
森の中で対峙する二人の男、デュランとメルビン。
互いに相手の出方をうかがうかの様に、一向に動く気配がない。
「分かる、私には分かるぞ!貴様の強さがな……」
先に沈黙を破ったのはデュランであった。警戒を緩めないメルビンを無視するかのように言葉を続ける。
「フハハハ……私の名はデュラン。見ての通り魔王が生業だよ。私は強い者が好きでね。
せいぜい私を失望させないでくれよ……。では行くぞ!」
巨体に似合わぬスピードでデュランが斬り込む。渾身の力で振り下ろされた剣は、すんでの所でメルビンの剣に阻まれた。
だが、直後に爆発が襲いかかり、メルビンは後ろへ吹き飛ばされながらも、空中で体勢を整え着地する。
「そうだ、それでなくては面白くない。もっと私を楽しませてくれよ!」
攻撃の手を緩めず攻め立てるデュランの剣戟と爆風の前に、防戦一方となるメルビン。
(くっ……、こやつ強いでござる!このままでは剣が…)
歴戦の勇者といえども、相手は伝説の剣を持った魔王。彼の持つ鋼の剣は、打ち合う度に悲鳴を上げていた。
「どうした!貴様の力はそんなものか!」
「残念ながら魔王にくれてやる命は持っていないでござるよ!」
その時だった。鋼の剣が衝撃に耐えきれず、折れてはじけ飛ぶ。
「ハハハハハこの勝負私がもらったぞぉぉぉ!」
高笑いと共にデュランが空高く舞い上がる。
回転を加え落下することで強力な打撃を加える技、ムーンサルトだ。
「……もはや一か八かに賭けるしかないでござる!」
デュランの剣先が老人の体に目がけて殺到する。しかしメルビンは動かない。
「もはや諦めたか……喰らえ!」
ラミアスの剣の切っ先が胸を貫こうとする刹那。メルビンが十字を切ると、収束した魔法力がデュランにカウンターで襲いかかった。
「グランド……クロスッッ!!」
あたりを閃光が覆い、巨大な力のぶつかり合いによって大爆発が巻き起こり、二人を吹き飛ばす。
「……やったでござるか?」
メルビンがふらつきながらも立ち上がる。その胸からは鮮血が滴り落ちていた。
グランドクロスをもってしても、魔王の渾身の一撃は相殺しきれなかったのだ。
すぐさま回復呪文により出血は止まったが、失われた体力は回復しなかった。
しかし、その後メルビンが目にしたのは信じら
2008-02-17T23:49:35+09:00
1203259775
-
34話
https://w.atwiki.jp/ffdqbr3rd/pages/1042.html
*第34話:闘争心
「ハアアァァァ…!!」
男は剣を振るうと巨木を一刀両断にし、直後に発生した爆発により巨木は粉々となる。
「流石は伝説の剣。この力、真に素晴らしい。
が、流石に扱い辛いな。やはり私では完全に使いこなす事は出来ぬか…。」
デュランは手に持つラミアスの剣をじっと見つめた後、鞘に収める。
「あの魔女に巨竜、おそらくその強さは私よりも数段上か。
フフ ハハハハハ…。奴等とも是非戦ってみたい物だが、今はまだそのステージでは無い様だな。
暫くの間この余興に付き合うのも悪くは無いだろう。
この地に集められし強者達よ、是非とも私を楽しませてくれたまえ!」
ゲームに乗っているのとは少し異なる。
他者を殺す、生き延びる、そのような事は彼には関係無い。
弱き者、戦う気の無い者には興味は無く、ただ強い者と本気で闘い、そして勝つ。
それだけが彼にとっての興味であり、生き甲斐である。
「先ずはこの洞窟へ向かってみるとするか。
フフフ… これから強き者に出会えると思うとゾクゾクしてくるわ。」
森を駆け抜け、デュランは岬の洞窟へと向かう。
自分を楽しませてくれる相手を捜し求めて。
【デュラン 所持品:ラミアスの剣
第一行動方針:強い者と戦う 最終行動方針:ティアマト、アルティミシアと戦う】
【現在地:岬の洞窟北東の砂漠付近】
2008-02-17T23:48:53+09:00
1203259733
-
355話
https://w.atwiki.jp/ffdqbr3rd/pages/1041.html
*第355話:全ての流れ
旅の扉から吐き出され、浮遊大陸に降り立った賢者クリムト。
視力を失った彼に、新しい大地を見ることはかなわない。
彼はその場で、全てを感じるように静かに手を広げた。
「ふむ…水の匂い」
僅かに香る水の香り。
どうやら近くに川か湖があるようだ。
「風も、強い…」
吹き降ろすような強い風。
近くに山があるのだろう。
目の見えない自分には、地図の確認は出来ない。
町や村の位置はおろか現在地の把握すらできない。
だが、それはたいした問題では無い。
全ては流れ。
風の流れ。
自然の流れ。
気の流れ。
人の流れ。
視覚を失って改めて強く感じる。
全ての流れ、その流れを読み取れば何も恐れるものなどは無い。
流れを辿り、流される方向を決めれば。
自ずと望む方向に向かうことだろう。
そしてまた全ての流れを辿る。
この大地の流れ。
暗く沈み、憎しみと死に満ちた淀んだ流れ。
人の流れ。
大陸に点在し何かを求め激しい流れ。
この流れを正しき方向に導くのが、私の使命なのだろう。
近くに人の流れを感じる。
そこに向かってみるとしよう。
その流れが悪しき者か良き者かを見極め。
良き者なら共に向かい。
悪しき者なら流れを正す。
そして彼は、目の見えぬ者とは思えぬほど確かな足取りで歩き始めた。
【クリムト(失明) 所持品:力の杖
基本行動方針:誰も殺さない。
最終行動方針:出来る限り多くの者を脱出させる】
【現在位置:カナーン北東】
2008-02-17T23:48:17+09:00
1203259697
-
437話
https://w.atwiki.jp/ffdqbr3rd/pages/1040.html
*第437話:今ひととき、いつかの夢を
昔の夢を見ている。蜂蜜色の髪の女性の夢。
『テリー』
呼ぶ声は、まぎれもなく懐かしい姉のものだ。
『まだ起きているの? もう寝る時間でしょう』
寝台の上で縫いぐるみを抱えた彼女は、すこし怒った顔でこちらを見つめている。
『夜更かししていたら、魔物にさらわれてしまうわよ』
自分の姿は幼い頃のもので、「姉さん」の声に応えようとして、しかし、彼女の名を思い出せないことに気付いた。
いくつかの名が浮かんで消えるのに、彼女に似合うものが思い出せない。
ファリス? いや、その名が思い出させるのは鮮やかな薄紅色の髪だ。
それにこの「姉さん」とは、振る舞いも、声も、何もかもが違う。
男装で、ぶっきらぼうで、男のような喋り方のファリス。
そのどれもが、今そこにいる「姉さん」と重ならない。
けれど。
『思い出せ! 君の瞳と同じ色の髪を持つ、あの勇ましい女性の事を!
緑色の瞳を持つ、優しい女性の事をッ!
妹を、君を、家族を思いやる気持ちを持った――君の姉さんの姿をッ! 』
彼女を傷つけられるのを恐れるがために敵とも味方とも知れない者たちを排除しようとする俺を、彼女は何度も押しとどめた。
このゲームの中では、いつ誰に殺されるかなんてわかったものじゃないのに、それでも、人を殺そうとする俺をとがめた。
優しい、ファリス姉さん。
ああ、そうか。
綺麗な緑の瞳が、そして何よりその優しさが似ているんだ。
目の前の「姉さん」を見つめる。
不思議そうに笑うその顔は、彼女の、ファリスのものではない。
そう思い、そしてそこに何か違和感を感じた。
浮かんでしまった疑問。
……目の前の彼女と違うというなら、ファリスはどんな顔だった?
思考がそこで停止する。唐突に浮かびあがってくる記憶。
彼女を護る為に魔物を切り伏せようとして。
(首が)
一瞬映ったその忌まわしい映像が消される。
それは思い出すべきじゃない。
思考を、意識を、全力で今の悪夢から逸らす。
俺にはもっと他に、思い出さなければ、憶えていなければならないことがあったはず。
――そうだ、憶えておくべきなのはレナのこと。
ファリスが教えてくれた生き別れの妹。
俺が守るべき、ファリスの、俺の妹のことだ。
――それに、思い出さないと。
2008-02-17T23:45:25+09:00
1203259525
-
12話
https://w.atwiki.jp/ffdqbr3rd/pages/1039.html
*第12話:出会い系
「誰か聞こえる!?聞こえるのなら返事をして!」
…返事はまだ来ない。
―数分前―
湖に映る自分の姿を見て、ため息をつくバーバラ。
ここは夢の世界なのか、現実の世界なのか、それとも全く別の世界なのか?
気が付いたら薄暗い大広間にいて、危険なゲームの選手となっている自分。
判っているのはこの悪夢から抜け出せない事だけである。
「どうしよう…、殺し合いだなんて…」
もちろん殺す気もなければ殺される気もない。
自分が現実で一度死んだ身だとしても、殺されるのなんて御免。
「みんなどうしてるのかな…。こんなところで再会するかもしれないなんて。」
イザやハッサンらの仲間達や知人も何人かもこの場にいる。
彼らに会えれば心強いし、すぐに探しに行きたい所だが、下手に動けば何者かに狙われる可能性も高い。
とりあえず状況把握の為に袋の中身を確認しようと、中を覗き込んでみるが
「うわぁ、何これ?」
袋を覗くと数種類の草がぎっしりと詰まっていて、ちょっと臭う。
薬草や毒消し草のように知ってるものもあれば、見た事がないのも沢山と。
袋の中には各草の写真と効果の記述されている説明書も入っていた。
「なにか役に立ちそうなのはないかしら…」
一通り目を通すと、アホみたいな名前の草が1つあった。
"ひそひ草"
その名前を見た瞬間妙な脱力感に襲われるが、説明文を読むと驚きに目を見開いた。
「つがいのひそひ草を持つ人と会話が出来る。って、嘘!?」
もし本当なら、この草を持っている人がいて、話が出来るかもしれない。
相手が殺人に乗った者や危険人物である可能性もある。
誰も呼びかけに応じる者がいないかもしれない。
「でも、他に出来る事も少ないし、試してみる価値はあるよね。」
「おーい、誰か聞こえる!?聞こえるのなら返事をして!」
ひそひ草に向かって語り続け、返事を待つ…。
【バーバラ 所持品:ひそひ草、その他様々な種類の草がたくさん入っている(説明書あり)
第一行動方針:ひそひ草の返答を待つ】
【現在位置:いざないの洞窟入口の湖近く】
2008-02-17T23:43:26+09:00
1203259406
-
190話
https://w.atwiki.jp/ffdqbr3rd/pages/1038.html
*第190話:宝玉の意思、届かぬ遺志
火の勢いが弱まってきたことに気付いたオレは、ゆっくりと村の方へ歩いていった。
それで、もうすぐ村の中に入るぞ、って辺りで、突然何かにつまずいたんだ。
転んだ拍子に荷物はぶちまけるわ、膝はすりむくわ……オレは苛立ちながら、周囲を見回した。
でも、不思議なことに、躓けるようなものは見当たらなかった。
その代わり、少し離れたところに妙な草がたくさんと、ページが開かれたままの小さな冊子が落ちていて。
オレは冊子を手にとって読んでみた。
「……消え去り草?」
聞いたことのない草だった。効果は……名前のとおり、姿を消し去って透明になる。
つまり、オレがつまずいたのは透明になった奴の身体だってことだ。
ちくしょう。そいつは姿を隠してオレの命を狙ってるんだ。オレを転ばせて、笑ってるんだ。
「出てこいよ、このヤロウ!」
オレはラケットを掴み、様子を伺いながら数歩歩いた。
そうしたら丁度オレがつまずいたところで、何かを踏んだんだ。
柔らかくて、硬くて、やけにベットリした――何かを。
「……?」
オレは、それに触れてみた。ソースのかかった生肉のような、妙な触感が指先に伝わった。
けれどそれはまだ生暖かくて、わずかに震えてて、そのくせ動く気配を見せない。
それにこの、何度嗅いでも嗅ぎなれない、鉄さびのような臭いは……間違いなく、血だ。
透明になったものの、怪我をして動けないのだろうか? あるいは気絶しているのか。
「……フン。まぁ、どうでもいいさ。
どのみちオレにはカンケーないね、勝手に死ねばいいんだ」
オレは踵を返して、ばらまかれた荷物を袋に入れなおそうとした。
その時だ。
突然、竜の紋章の入ったオーブが――ラグナさんの持っていたオーブが、ころころ転がり始めたんだ。
オレの方に…・・いや、透明の奴に向かって。
そして、奴の足元らしきところまで転がった時、オーブが強烈な光を放った。
「うわっ!?」
オレは反射的に目を覆おうとして……途中で止めた。
――気のせい、だったのかもしれない。オレの願望が生んだ、幻だったのかもしれない。
でも、オレは見た。眩い光の向こうに、見覚えのある姿が、ぼんやりと浮かんでいるのを。
「リチャード……ラグナさん!?」
光の中に立つ二人は、少し哀しそうな表
2008-02-17T23:42:51+09:00
1203259371