GURPSでは
放射線(radiation)に関するルールも設定されている。
GURPSでは放射線が人体に表す影響の度合いを
ラド(rad)という吸収線量の単位で表現している。
1
ラド = 0.01Gyである。Gyも同じく吸収線量の単位であり
グレイと読む。
また放射線が人体や物質に照射したときの線量当量を表す
シーベルト(Sv)との関係は、
Sv = 放射線荷重係数 × グレイ
で表される。放射線荷重係数は、アルファ線が20、X線、ベータ線、ガンマ線が1である。
GURPSでは、この放射線荷重係数によるキャラクターへの被爆量の違いを、
保護係数(Protection Factor, PF)という値の変化で表現している。
この保護係数は鉛、水、コンクリートの壁等によって変化する。
キャラクターが被爆したとき
- キャラクターが放射線を浴びて被爆したときGMはラド数と日付を記録しておく。
- 別の場所、時間でまた新たに被爆した場合は、別々にラド数と日付を新たに記録する。
それぞれの被爆は別々に回復を始める。
- 被爆してから30日後に回復が始まりる。
- 1日10ラドの割合で回復する。
- 最初に受けた被爆量の10%は魔法や超テクノロジーでも使用しない限り、決して回復しない。
例えば一度に100ラド被爆し、10日後にまた、一度に200ラド被爆するとする。全体の被爆量は300ラド。最初の被爆から30日後に最初の被爆分が回復を始める。
39日目になって最初の被爆が100ラドから10ラドに低下して、その10ラド分は通常の方法では決して回復しない。この時点で全体の被爆量は210ラド。
40日目なって二つ目の被爆の回復が始まる。58日目で回復が終了して、二つ目の被爆分は20ラドになり、こちらも通常の方法では回復せず、残った回復不可能な全体の被爆量は30ラドになる。
累積被爆量と判定値
以下の表はベータ線、ガンマ線、X線など(放射線荷重係数が1のとき)と、中性子線、アルファ線など(放射線荷重係数が20のとき)を浴びたときの累積被爆量と判定値を示す。
(シーベルトの値は係数が1の場合1ラド 0.01Gy = 0.01Sv = 10mSvとし、係数が20の場合1ラド 0.01Gy = 0.2Sv = 200mSvとして計算している)
累積被爆量 |
生命力 判定修正 |
効果 |
現実世界の被爆量の例に照らし合わせると… |
単位 |
放射線荷重係数 |
ラド |
グレイ |
シーベルト(係数1) |
シーベルト(係数20) |
クリティカル |
成功 |
失敗 |
ファンブル |
係数1 ベータ線、ガンマ線、X線など |
係数20 中性子線、アルファ線など |
1~10ラド |
0.01~0.1Gy |
10mSv ~ 100mSv |
200mSv ~ 2Sv |
+0 |
- |
- |
A |
B |
X線CT、ブラジル・ガラパリの1年間の自然放射線、1日1.5箱のタバコ。放射線業務従事者が1~5年間にさらされてよい放射線量。 |
白血球、リンパ球現象。急性放射線障害。悪心(吐き気)、嘔吐。水晶体混濁。 出血、脱毛。5%死亡。 |
11~20ラド |
0.11~0.2Gy |
110mSv ~ 200mSv |
2.2Sv ~ 4Sv |
+0 |
- |
A |
B |
C |
上記に加えて、50%が死亡。脱毛、永久不妊レベル。 |
21~40ラド |
0.21~0.4Gy |
210mSv ~ 400mSv |
4.2Sv ~ 8Sv |
+0 |
A |
B |
C |
D |
福島第一原発事故でで緊急作業従事者に適用されている被爆量上限。一度にまとめて受けた場合、白血球の減少。 |
上記に加えて白内障、皮膚の紅斑レベル。99%が死亡。 |
41~80ラド |
0.41~0.8Gy |
410mSv ~ 800mSv |
8.2Sv ~ 16Sv |
-1 |
A |
B |
C |
D |
一度にまとめて受けた場合、リンパ球の減少。国際放射線防護委員による人命救助を例外とする上限。 |
81~160ラド |
0.81~1.6Gy |
810mSv ~ 1.6Sv |
16.2Sv ~ 32Sv |
-3 |
A |
B |
C |
D |
急性放射線障害。悪心(吐き気)、嘔吐。水晶体混濁。 |
161~800ラド |
1.61~8Gy |
1.61Sv ~ 8Sv |
32.2Sv ~ 160Sv |
-4 |
A |
B |
C |
D |
出血、脱毛。5~99%の人が死亡。永久不妊、白内障、皮膚の紅斑。 |
801~4000ラド |
8.01~40Gy |
8.01Sv ~ 40Sv |
160.2Sv ~ 800Sv |
-5 |
C |
D |
E |
E |
4001ラド以上 |
40.01Gy以上 |
40.01Sv以上 |
800.2Sv以上 |
-5 |
D |
E |
E |
E |
表の記号と効果説明
記号 |
効果 |
- |
何も起きないが被爆の影響は継続 |
A |
放射線やけど。負傷、一時的に「痛みに弱い」を得る。判定によっては不妊、「死の秒読み/1年」を得る。 |
B |
造血障害。Aに加えて一時的に「吐き気」「集中を乱される効果」、敏捷力、知力、FPを失い、「血友病」になる。判定に成功して回復するまで「血友病」は治らない。 |
C |
胃腸症候群。Bに加えて、一定時間以内に体毛がすべて失われる。判定によっては毎日負傷し、負傷が止まるまでの間「病気に敏感LV3」を持ちさらに「吐き気」。HPの2/3を超える負傷を受けると歯と爪が抜ける。 |
D |
不治の放射線病。CよりもHPの損失が早まり、クリティカルしても回復不可能。死は確定的。 |
E |
脳血管性の速やかな死。1時間以内に敏捷力・知力・FPを失い負傷。「血友病」「痛みに弱い」「病気に敏感3レベル」を得て吐き気。1時間おきの生命力判定にファンブルすると脳内出血による即死。失敗しても成功しても敏捷力、知力、FPを失い負傷。 |
その他
- 一度に200ラド = 2Gy (係数1で2Sv、係数20では40Sv) 被爆すると数カ月間不妊・盲目になる。
- 一度に500ラド = 5Gy (係数1で5Sv、係数20では100Sv) 被爆すると永久に不妊・盲目になる。
- 累積して100ラド = 1Gy (係数1で1Sv、係数20では20Sv) 被爆すると先天的な欠損を持つ子どもが生まれる危険性。
保護係数
GURPSには放射線の被爆を軽減する値、保護係数(Protection Factor, PF)が設定されている。
詳細は保護係数を参照。
被爆治療
GURPSには、500$もあるドラッグを被爆する1~3時間前に服用すると、被爆量を半分にするドラッグがある。
『
ガープス・魔法大全』(GURPS Magic)に載っている
放射線系呪文《
被爆治療》は。被爆したキャラクターを完治できる。
TL |
備考 |
TL7 |
1回$500で1~3時間前に服用すると被爆量を半分にするドラッグ。1回$500で3日後には放射性降下物が半分、一週間後には完全に消えるキレート剤。 |
TL8 |
カプセル式で放射性降下物を12時間で除去する$500のキレート剤。 |
TL9 |
抗放射線ドラッグやナノテクノロジーによる細胞修復($1000)。二週間、放射線に対抗するすべての生命力判定に+3。 |
TL10以上 |
患者が生きていれば、ナノテクノロジーによる細胞修復や再生技術によって放射線の影響を完全に除去できる。 |
解説ページ
関連項目
外部リンク
- Wikipedia
- 放射線- アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線等のこと。広義には中性子線も含まれる
- 放射能- 放射線を出す能力のこと。よく放射性物質や放射線と間違えられる
- 放射性物質- 放射線を出す物質(放射性同位体)
- 放射性同位体- 陽子の数と中性子の数が一致していない不安定な元素のこと
- アルファ線- 原子核がアルファ崩壊して放出されるヘリウム原子核の粒子線のこと。通常は紙一枚程度で防げる
- ベータ線- 原子核がベータ崩壊して放出される電子または陽電子の粒子線のこと。ブラウン管テレビから放出される電子線は低速なのでベータ線とは異なる。数mmのアルミ板や1cmのプラスチックの板で防げる
- ガンマ線- 原子核がガンマ崩壊して放出される電磁波の一種
- X線- 電磁波の一種。レントゲン等に使用されている
- 中性子線- 中性子の粒子線のこと。分厚い水槽やコンクリートでなければ防げない
- ラド- かつて使われていた吸収線量の単位。現在はグレイを使う
- グレイ_(単位) - 吸収線量の単位
- シーベルト- 線量当量の単位
- 被爆
- 吸収線量
- 宇宙線- 放射線の一種。
最終更新:2011年04月14日 18:57