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!!NEW!! ザッピング 『お兄やん編』
10月の半ば、俺は久しぶりに東京に降り立つと、空港からハイヤーで港区の本社へと急いだ。
まったく仰々しいビルだ。威圧的で、巨大。こんなところでふんぞり返って仕事をしているから
ユーザーの気持ちと乖離した突拍子もない事を言い出し始めるんだ。
運転手に礼を言い、エントランスに入る。受付の女性社員が緊張するのが分かった。
「と、特殊情報局の・・・」 声が震えている。
「声が大きいな・・・」
「す、すいません」
無理も無い。かなりワガママを言い、極めて重職にあるも関わらず、遠く離れた田舎で仕事をしている俺が
本社に顔を出すことは、余程の事態。この受付もそのくらいは理解できるらしい。
「お通しします。」
受付はそう言うと、パネルを操作し、俺を役員用のエレベーターに案内した。そして滑るようにエレベーターが動き出した。
この女・・・。二人きりになってから、俺になにやら意味ありげな視線を送り、顔を赤らめている。
身長は170センチ、バストはEカップほどだろうか。
均整のとれた身体つきや理知的な顔立ちから、普段はチヤホヤされているのだろうと想像できる。
(雌豚が・・・) 虫唾の走る思いだった。
「あ、あの、局長・・・。今晩、お食事ご一緒できないでしょうか?いろいろお話もした」
(地下13階デゴザイマス)
「悪いがそれは無理だ。それと君は明日から北海道の網走営業所に行ってもらう。社長には私から話を付けておく」
「あ、ああ」 女は硬直している。
俺は目もくれず歩き出した。日本、いや世界有数の巨大企業の心臓部へ。
俺は影。この企業の暗部のトップ、象徴。
存在を知るものからは『ACE-K』と呼ばれている。
一番奥の部屋から中年の男が出てきた。
「おや~、ここに来るなんて珍しいクタね~」
まったく今日はロクなやつと会わない・・・。
「久しぶりだな、健さん。」
「君こそ元気そうクタ。」
「今回の事は寝耳に水だったよ。最高会議はもう岡山の俺のところには情報を送らないことにしたのか?」
「まあ、そう怒るなクタ。情報をキャッチしてから『竜殺し』作戦の構築に幾分時間がかかってクタのだ。」
「裏切りものは許さないってことか・・・。」
「さあ、こっちに来るクタ。」
健さんは相変わらず元気そうだった。世間では、更迭され一線から引いたと思われているが、
あれも壮大なシナリオの序章に過ぎなかった。今は最高会議『PSW』の一員として絶大な権力を振るっている。
健がドアの横の6軸のコントローラーを暗号通り複雑に傾けると、黒光りするドアが開いた。
部屋の奥には円卓があり、席は一つを除いて埋まっていた。数は10人ほどだろう。照明の効果で顔は良く見えない。
その内の誰かが言った。
「PSWにようこそ。」
「特殊情報局統括、吉田です。失礼致します。」
「まあ、かけたまえ」
その声が終わると同時にドーナツ側の円卓の一部が離れ、音も無く左右に分かれると、俺から見て「M」字型に変形した。
そして目の前にイスがあった。どうやら床になにか仕掛けがあったようだ。
「はっ」
俺が腰掛けると、健もあちら側に座った。
「この部屋は、はじめてかね?」
しわがれた声で老人のようだが、ドスが効いていて厳格な意思と冷徹さを感じさせた。
「はい。」
それにしても、奇妙な部屋だ。天井には照明がなく暗いが、何処にあるのか、間接照明が円卓と私の姿だけを照らし出している。部屋の広さも見当もつかない。
「そうか、ここは特別な部屋だ。そして特別な人間、特別な物が集まる。」
そして円卓と私の間にスポットライトが当たった。テーブル、その上に何かある。
「こ、これは・・・!」
「そう、気高く白きPS3。新しい我等が子だ」
!!NEW!! ザッピング 『お兄やん編』
10月の半ば、俺は久しぶりに東京に降り立つと、空港からハイヤーで港区の本社へと急いだ。
まったく仰々しいビルだ。威圧的で、巨大。こんなところでふんぞり返って仕事をしているから
ユーザーの気持ちと乖離した突拍子もない事を言い出し始めるんだ。
運転手に礼を言い、エントランスに入る。受付の女性社員が緊張するのが分かった。
「と、特殊情報局の・・・」 声が震えている。
「声が大きいな・・・」
「す、すいません」
無理も無い。かなりワガママを言い、極めて重職にあるも関わらず、遠く離れた田舎で仕事をしている俺が
本社に顔を出すことは、余程の事態。この受付もそのくらいは理解できるらしい。
「お通しします。」
受付はそう言うと、パネルを操作し、俺を役員用のエレベーターに案内した。そして滑るようにエレベーターが動き出した。
この女・・・。二人きりになってから、俺になにやら意味ありげな視線を送り、顔を赤らめている。
身長は170センチ、バストはEカップほどだろうか。
均整のとれた身体つきや理知的な顔立ちから、普段はチヤホヤされているのだろうと想像できる。
(雌豚が・・・) 虫唾の走る思いだった。
「あ、あの、局長・・・。今晩、お食事ご一緒できないでしょうか?いろいろお話もした」
(地下13階デゴザイマス)
「悪いがそれは無理だ。それと君は明日から北海道の網走営業所に行ってもらう。社長には私から話を付けておく」
「あ、ああ」 女は硬直している。
俺は目もくれず歩き出した。日本、いや世界有数の巨大企業の心臓部へ。
俺は影。この企業の暗部のトップ、象徴。
存在を知るものからは『ACE-K』と呼ばれている。
一番奥の部屋から中年の男が出てきた。
「おや~、ここに来るなんて珍しいクタね~」
まったく今日はロクなやつと会わない・・・。
「久しぶりだな、健さん。」
「君こそ元気そうクタ。」
「今回の事は寝耳に水だったよ。最高会議はもう岡山の俺のところには情報を送らないことにしたのか?」
「まあ、そう怒るなクタ。情報をキャッチしてから『竜殺し』作戦の構築に幾分時間がかかってクタのだ。」
「裏切りものは許さないってことか・・・。」
「さあ、こっちに来るクタ。」
健さんは相変わらず元気そうだった。世間では、更迭され一線から引いたと思われているが、
あれも壮大なシナリオの序章に過ぎなかった。今は最高会議『PSW』の一員として絶大な権力を振るっている。
健がドアの横の6軸のコントローラーを暗号通り複雑に傾けると、黒光りするドアが開いた。
部屋の奥には円卓があり、席は一つを除いて埋まっていた。数は10人ほどだろう。照明の効果で顔は良く見えない。
その内の誰かが言った。
「PSWにようこそ。」
「特殊情報局統括、吉田です。失礼致します。」
「まあ、かけたまえ」
その声が終わると同時にドーナツ側の円卓の一部が離れ、音も無く左右に分かれると、俺から見て「M」字型に変形した。
そして目の前にイスがあった。どうやら床になにか仕掛けがあったようだ。
「はっ」
俺が腰掛けると、健もあちら側に座った。
「この部屋は、はじめてかね?」
しわがれた声で老人のようだが、ドスが効いていて厳格な意思と冷徹さを感じさせた。
「はい。」
それにしても、奇妙な部屋だ。天井には照明がなく暗いが、何処にあるのか、間接照明が円卓と私の姿だけを照らし出している。部屋の広さも見当もつかない。
「そうか、ここは特別な部屋だ。そして特別な人間、特別な物が集まる。」
そして円卓と私の間にスポットライトが当たった。テーブル、その上に何かある。
「こ、これは・・・!」
「そう、気高く白きPS3。新しい我等が子だ」
老人の右側に座る女性が引き継いだ。
「発売は2ヵ月後の2007年11月11日。HDDは40GB。無線LAN搭載。スパイダーマン3同梱の新型よ。デュアルショックは付けない。」
続いて老人の左から若い男の声で、
「PS2との互換は切り捨てました。本来のシナリオからすると少し早いのですが、ストリンガーの犬どももなにかとうるさいのでね、彼らの・・・。」
「ゴホン!」
老人が咳払いをすると、若い男はそこで口をつぐんだ。今度は先ほどの女性の隣の男が口を開く。恐ろしく低い声だ。
「吉田君には感謝しているよ。例の『リモコン』、週販で7万台から4万台まで下げてくれたそうだな。さすがは『ACE-K』だと我々は評価している」
「いえ、手こずりまして8月も半ばになってしまいました。」
「謙遜することはない。能力はあるが、クセのある『GK』達の統率も君にしかできない。ましてや『2ch』や『アメブロ』で世論をここまで操作できるのは
日本でも君くらいだろう。」
「いえ、近頃もエラーがあり・・・。」
「ああ、『援交GK』のことか。まあ問題はない。あれはこっちで処分しておいた。『Mr.PS』が、人間の脳に『Cell』を埋め込んでみたい
というのでね。彼に引き渡しておいた。」
「フフッ」
健の忍び笑いが聞こえ、鳥肌が立つ。普段は温厚だが、研究のためならどこまでも残忍になれる男なのだ。
「よし」
老人が重々しく口を開いた。
「指令は2つ。」
「何なりと。」
身体に力が入る。
「一つ、11月、我等の新しい赤子が蜘蛛男に守られ生まれる。その祝福の為、宿敵を1万台まで引きずりおろせ。欲しいものは全て与える。期限は10月末。
二つ、我等が育てし、『竜狩人』が3度目にして敵に寝返るという噂じゃ。全力で阻止し、出来なければ必ず、地獄に落とせ。
できるな?」
「命に代えても」