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 COV ステップを省略した際の「収束成功」をどう考えるかに関しては現在議論されているところである(あるいはこの議論はすでに「収束」している?).  すなわち +COV ステップも成功して初めてその計算が収束したと判断すべきである,という考え方 +たとえ COV ステップが失敗していたとしても EST ステップが成功しているならばその計算は収束したと判断してもよい という考え方の二種類である.前者の根拠は,EST ステップのみ成功して COV ステップが失敗しているのはその「収束値」が極小点ではなく,いわゆる鞍点である可能性が高いため,真の収束とは言えない,というものである.一方,後者の根拠は,NONMEM の COV ステップにおいてはある種の「近似計算」が行われており,したがって,COV ステップの失敗を,即,「極小点ではない」という結論に結びつけることはできない,というものである.なお,後者の立場であっても,パラメータの SE はブートストラップ法等によって推定すべきであることにかわりはない.  しかし,個人的には,COV ステップの成功も得られてはじめて「計算成功」と判断すべきであると考える.経験的に,COV ステップが失敗する場合,モデルに何らかの「無理」が含まれていることを示唆しており,モデルの refine (多くの場合,簡略化)が必要なことが多いからである.  COV ステップの成功も「収束成功」の条件に加えると,種々の「より複雑なモデル」は「収束失敗」と判断される可能性が高いと推察される.どちらの判断がより妥当であるかに関しては policy の問題でもあるが,個人的には,よりシンプルなモデルのほうを選択すべきであると考える.  ただし,健康成人由来の rich データに基づく解析であるならば,「より複雑なモデル」を採用しても問題ない可能性もある(ただし,被験者数が多くない場合には注意が必要である).一方,患者由来の sparse データを解析する際には,「よりシンプルなモデル」を選択するほうが安全である場合が多いであろう.

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