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(以下はまだドラフト.あまりにラフすぎる) ---- *基本的な考え方 たとえば,(吸収相のない)2-コンパートメントモデルを考える.推定すべき PK パラメータは CL,Vcentral,Q,Vperipheral の 4 つである.原理的にはこれら 4 つのパラメータすべてに個体間変動(個人差)は存在するはずである.しかし,それらすべてが実際に推定できるとは限らない.どの PK パラメータの個体間変動を推定することが可能かを得られているデータに基づいて検討する必要がある. 上記2-コンパートメントモデルの場合でいうと,個体間変動パラメータの推定可能性に関しては以下の組み合わせが考えられる(もちろん,例外はありうる). +CL のみの個体間変動を推定可能 +CL と Vcentral のみの個体間変動を推定可能 +CL,Vcentral,Q のみ,あるいは CL,Vcentral,Vperipheral のみの個体間変動を推定可能 +CL,Vcentral,Q,Vperipheral すべての個体間変動を推定可能の個体間変動を推定可能 上記のほかの組み合わせも論理的には考えられるが,薬物動態学的観点からは現実的ではないので検討する必要はほぼないであろう.たとえば,血漿中濃度データのみに基づいて CL と Vperipheral の個体差のみを推定できるということはまずありえない. なお,上記の組み合わせそれぞれについて,各 PK パラメータの個体間変動間に相関がありうるか (推定可能か) の検討も必要である.例えば,上記 2. の場合でいうならば,CL と Vcentral の間に相関があるか(それが推定可能か)検討することになる. *検討方法の例 上記の2-コンパートメントモデルの例で考える. まず最初に検討するのは,「1. CL のみ」もしくは「4. CL, Vcentral, Q, Vperipheral すべて」のどちらかであろう.患者から得られた sparse データの解析ならば前者から開始するのが安全である.一方,健康成人より経時的に得られた rich データの解析ならば後者から開始しても問題ない. 「1. CL のみ」から開始する例をまず述べる.この段階で解析結果に問題が認められることはほとんどないであろう.もし,CL の個体間変動が(例えば) 0.1% 以下,あるいは,個体間変動分散の推定精度が非常に悪い(例えば,CV にして 500% 以上),という結果が得られた場合は CL の個体間変動さえ推定することが困難なデータと判断することになる可能性がある.その原因としては例えば,濃度データの精度が非常に悪く,そもそも個人差を推定することさえ不可能ということが考えられる. CL の個体間変動が推定できたならば,次は「CL と Vcentral のみ」に個体間変動を組み込んでみる.その結果,CL の推定値は CL のみの場合とほとんど変わらないが,Vcentral の個体差が非常に小さいあるいは推定精度が非常に悪い,ということがありうる.この場合は,そのデータでは CL の個体差は推定可能であるが,分布容積の個体差は推定不可能(困難)と結論する.あるいは,Vcentral の個体差は妥当な値で推定できているのに対し,CL の個体差が非常に小さいあるいは推定精度が非常に悪いという結果になることもあろう.この場合は,二通りの解釈が可能である.(1) このデータでは Vcentral の個体差は推定可能であるが,CL の個体差は推定不可能(困難)と考える,(2) CL と Vcentral の両方の個体差を推定することが不可能なのであり,どちらかひとつの個体差のみが推定可能である.したがって,データの質を考慮して,CL あるいは Vcentral いずれに個体差をモデル化するかを決定する.例えば,トラフデータがほとんどである場合には,そこに含まれる個体差情報は CL に関するもののみ,と考えるのが妥当であろう. 以降,順次,個体差を考えるパラメータをひとつずつ増加させて検討を進める. 次は,「4. CL, Vcentral, Q, Vperipheral すべて」から開始する例である.考え方は上述の場合とほとんど同じである.個体差の推定値に以上が認められたらその原因を考察して,ひとつずつ個体差パラメータを削除していけばよい.ただし,この際,一点注意が必要である.もし,CL の個体差のみの推定精度が悪く,他の Vcentral,Q,Vperipheral の推定値は妥当であった場合,削除すべきは CL の個体差パラメータではない.この場合,本来データから抽出可能な CL の個体差情報は,見かけ上 Q あるいは Vperipheral の個体差としてとられてしまったのであり,削除すべきは Q (あるいは Vperipheral)の個体差パラメータであると考えるほうが妥当なことが多い.血漿中濃度のみを用いて解析する際に,血漿に直接関与する CL の個人差が推定不可能で,血漿とは直接関連のない,すなわち濃度データのない末梢コンパートメント関連のパラメータの個人差が推定可能ということは考えにくいからである. なお,以上においては,個体間変動パラメータ間に相関が認められる場合の検討に関しては省略した.相関の有無の検討も非常に重要である(→ [[OMEGAの構造情報]]参照).
(以下はまだドラフト.あまりにラフすぎる) ---- *基本的な考え方 たとえば,(吸収相のない)2-コンパートメントモデルを考える.推定すべき PK パラメータは CL,Vcentral,Q,Vperipheral の 4 つである.原理的にはこれら 4 つのパラメータすべてに個体間変動(個人差)は存在するはずである.しかし,それらすべてが実際に推定できるとは限らない.どの PK パラメータの個体間変動を推定することが可能かを得られているデータに基づいて検討する必要がある. 上記2-コンパートメントモデルの場合でいうと,個体間変動パラメータの推定可能性に関しては以下の組み合わせが考えられる(もちろん,例外はありうる). +CL のみの個体間変動を推定可能 +CL と Vcentral のみの個体間変動を推定可能 +CL,Vcentral,Q のみ,あるいは CL,Vcentral,Vperipheral のみの個体間変動を推定可能 +CL,Vcentral,Q,Vperipheral すべての個体間変動を推定可能の個体間変動を推定可能 上記のほかの組み合わせも論理的には考えられるが,薬物動態学的観点からは現実的ではないので検討する必要はほぼないであろう.たとえば,血漿中濃度データのみに基づいて CL と Vperipheral の個体差のみを推定できるということはまずありえない. なお,上記の組み合わせそれぞれについて,各 PK パラメータの個体間変動間に相関がありうるか (推定可能か) の検討も必要である.例えば,上記 2. の場合でいうならば,CL と Vcentral の間に相関があるか(それが推定可能か)検討することになる. *検討方法の例 上記の2-コンパートメントモデルの例で考える. まず最初に検討するのは,「1. CL のみ」もしくは「4. CL, Vcentral, Q, Vperipheral すべて」のどちらかであろう.患者から得られた sparse データの解析ならば前者から開始するのが安全である.一方,健康成人より経時的に得られた rich データの解析ならば後者から開始しても問題ない. 「1. CL のみ」から開始する例をまず述べる.この段階で解析結果に問題が認められることはほとんどないであろう.もし,CL の個体間変動が(例えば) 0.1% 以下,あるいは,個体間変動分散の推定精度が非常に悪い(例えば,CV にして 500% 以上),という結果が得られた場合は CL の個体間変動さえ推定することが困難なデータと判断することになる可能性がある.その原因としては例えば,濃度データの精度が非常に悪く,そもそも個人差を推定することさえ不可能ということが考えられる. CL の個体間変動が推定できたならば,次は「CL と Vcentral のみ」に個体間変動を組み込んでみる.その結果,CL の推定値は CL のみの場合とほとんど変わらないが,Vcentral の個体差が非常に小さいあるいは推定精度が非常に悪い,ということがありうる.この場合は,そのデータでは CL の個体差は推定可能であるが,分布容積の個体差は推定不可能(困難)と結論する.あるいは,Vcentral の個体差は妥当な値で推定できているのに対し,CL の個体差が非常に小さいあるいは推定精度が非常に悪いという結果になることもあろう.この場合は,二通りの解釈が可能である.(1) このデータでは Vcentral の個体差は推定可能であるが,CL の個体差は推定不可能(困難)と考える,(2) CL と Vcentral の両方の個体差を推定することが不可能なのであり,どちらかひとつの個体差のみが推定可能である.したがって,データの質を考慮して,CL あるいは Vcentral いずれに個体差をモデル化するかを決定する.例えば,トラフデータがほとんどである場合には,そこに含まれる個体差情報は CL に関するもののみ,と考えるのが妥当であろう. 以降,順次,個体差を考えるパラメータをひとつずつ増加させて検討を進める. 次は,「4. CL, Vcentral, Q, Vperipheral すべて」から開始する例である.考え方は上述の場合とほとんど同じである.個体差の推定値に以上が認められたらその原因を考察して,ひとつずつ個体差パラメータを削除していけばよい.ただし,この際,一点注意が必要である.もし,CL の個体差のみの推定精度が悪く,他の Vcentral,Q,Vperipheral の推定値は妥当であった場合,削除すべきは CL の個体差パラメータではない.この場合,本来データから抽出可能な CL の個体差情報は,見かけ上 Q あるいは Vperipheral の個体差としてとられてしまったのであり,削除すべきは Q (あるいは Vperipheral)の個体差パラメータであると考えるほうが妥当なことが多い.血漿中濃度のみを用いて解析する際に,血漿に直接関与する CL の個人差が推定不可能で,血漿とは直接関連のない,すなわち濃度データのない末梢コンパートメント関連のパラメータの個人差が推定可能ということは考えにくいからである. なお,以上においては,個体間変動パラメータ間に相関が認められる場合の検討に関しては省略した.相関の有無の検討も非常に重要である(→ [[OMEGAの構造情報]]参照). ---- [[個体間変動のつけ方]]も参照.

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