Clinical PK/PD

シミュレーションとは

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PPK/PD 解析におけるシミュレーションとは


  • 「シミュレーションする」と言う際の「シミュレーション」には大きく分けて二種類ある.それぞれどちらの「シミュレーション」をデフォルトで思い浮かべるかが,分野によって異なっていることが多いので,時に話が通じない.最近は,それほどでもないかもしれませんが.

  1. 決定論的シミュレーション (deterministic simultion)
  2. 確率論的シミュレーション (stochastic simulation)

  • 二つの違いは,ランダムさ (randomness) を考えているかどうかにある.
  • まず最初の決定論的シミュレーション.よく言われるのが「単回投与後のデータから推定した薬物動態パラメータを用いて反復投与時の血中濃度推移をシミュレーションした」.あるパラメータ (CL, Vd, ...) の値がわかっているものとする.その値を用いて,濃度を計算する.単純に計算する,のではなくて,「まだ実施したことのないし件の結果を予測する」という意味合いが含まれることが多い.個人差,とかは考えていない.6人いたらその6人の,あるいは,100 人いたらその 100 人のパラメータがすべてわかっているものとして,それぞれの人における濃度推移を計算 = シミュレーションするのである.
  • 次に,確率論的シミュレーションStochastic などという難しい単語は使わずに,probabilisitc と言ってもいいのかもしれませんが.別の言い方をすればモンテカルロ・シミュレーション (Monte Carlo simulation) である.コンピュータで「乱数」を発生させ,その乱数を使って行うシミュレーションのこと.1 回だけ行うのではなくて,何回も実施し,その結果全体を眺める.平均的にはどうなっているのか,そのばらつきはどうなっているのか.
  • 母集団平均パラメータ,および個体間変動分散,個体内変動分散,それぞれの推定値を用いて,個人間のばらつきを考慮しながらシミュレーションを行うのは確率論的シミュレーション
  • わざわざ混乱するような話をするわけではないが,次のような状況もありうる.すなわち,ある一人の被験者の単回投与後の血中濃度データを用いて,その人の PK パラメータを推定した.その推定値を用いて反復投与時のシミュレーションを行いたい.しかし,その推定値は決して真の値ではない.推定誤差 (SE) というものが存在する.例えば,今はたまたま,CL = 1.23 L/hr と推定されたけれども,その SE は 0.5 L/hr であった.ということは,CL = 1.89 の可能性もあるし,CL = 0.98 の可能性だってある(これは適当な数値を挙げたにすぎない).推定値のばらつきを考慮しないと(つまり,CL = 1.23 L/hr という値を用いると)反復最終日のトラフ濃度は 123 ng/mL と予想されるけれども,CL には他の値の可能性もありうるわけだから,123 ng/mL という値を「絶対的に」信用するわけにもいかない.
  • このような推定誤差をも考慮して濃度「予測」を行いたい.これは確率論的シミュレーションになる.
  • さらに話を複雑にする.母集団解析の結果の固定効果パラメータ,個体間変動分散,個人間変動分散,それぞれの推定値も決して「真の値」ではない.推定誤差が伴っている.そこで,推定誤差も考慮した上で,個人間のばらつきを考慮してシミュレーションを行いたい,という場合もありうる.これももちろん,確率論的シミュレーション
  • もっと面倒な話をする.個体間変動を考えない,しかも,推定誤差も考えない,という反復投与「(決定論的)シミュレーション」であっても,個体内変動誤差(残差誤差)は存在しうる.これも考えるとどうなるのか? そこまで分類すると話が複雑になりすぎるし,あまりに病理的でもあろうから,今回はその点は無視する.というか,適当に妥協する.例えば,個体間変動を考慮する場面では個体内変動も考慮する一方,個体間変動を考慮しない状況では個体内変動も無視する,というように.

  • さて,上記それぞれの場合を NONMEM で実行しようとするとどうなるのだろうか?
  • まとめなおす.


2. 確率論的シミュレーション
2-1. 個体間変動なし(個体内変動なし).推定誤差考慮
2-2. 個体間変動あり(個体内変動あり)
2-2-1. 推定誤差無視
2-2-2. 推定誤差考慮

  • 推定誤差を考慮する方法としては二通り考えられる.(また分類^^;)

  1. (多変量)正規分布を仮定する (平均 = 推定値,SD = 推定誤差)
  2. ブートストラップを利用する

  • 以降,例をいくつか示していく.それに付随して,一般にブートストラップをする方法,および,(TDM 投与設計等の目的で)Bayes 推定?のみ行う,例も示す予定.

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