個体間変動 η は基本的に,PK パラメータ (CL, V, KA, Tlag, ...) それぞれにつき 1 つずつ付与させる.
たとえば,CL について考えると,CL の母集団平均値 (Typical Value) を TVCL,個人の値を CL とすると,
たとえば,CL について考えると,CL の母集団平均値 (Typical Value) を TVCL,個人の値を CL とすると,
CL = TVCL + ETA(1)
等となる.V,KA 等についても同様である.
ここで,TVCL が体重 WT とクレアチニンクリアランス CCR の影響を受けるものとする.すなわち,
TVCL = WT * THETA(1) + CCR * THETA(2)
という関係が認められるものとする.このとき,個体間変動 ETA はどこに付与させるのが正しいだろうか?
答を標語的に言うならば,「ETA は THETA にではなく,PK 基本パラメータに付与させる」ということになる.つまり,
答を標語的に言うならば,「ETA は THETA にではなく,PK 基本パラメータに付与させる」ということになる.つまり,
TVCL = WT * THETA(1) + CCR * THETA(2) CL = TVCL + ETA(1)
と考えるべきであって,
CL1 = WT * THETA(1) + ETA(1) CL2 = CCR * THETA(2) + ETA(2) CL = CL1 + CL2
とすべきではない.これは書き直すと
CL = WT*THETA(1) + CCR*THETA(2) + ETA(1) + ETA(2)
となっており,ETA(1) と ETA(2) の区別はつけられないことがわかるであろう.実際,このモデルで計算させてみると,結果が不安定になるはずである.
では,次の場合はどうだろうか.
CL1 = WT * THETA(1) * (1 + ETA(1)) CL2 = CCR * THETA(2) * (1 + ETA(2)) CL = CL1 + CL2
このモデルは,理論的には間違いではない.このモデルの意味するところは,CL に対する WT の比例係数,および CCR の比例係数それぞれに個体差がある,ということである.これは決してありえないことではない.むしろ,真実にはそのようになっていることであろう.
しかし,現実のデータでその比例係数の個体差を推定することが可能かとなると話は別である.たいていの場合,それは不可能である.そこまでの区別が可能となるような精度のよいデータはめったにない.
したがって,実際には近似的に,「比例係数には個体差はないものと仮に仮定し,その代わり,それらを合算した形で,最終的に CL に対しては個体差が存在する」と考えるのである.
しかし,現実のデータでその比例係数の個体差を推定することが可能かとなると話は別である.たいていの場合,それは不可能である.そこまでの区別が可能となるような精度のよいデータはめったにない.
したがって,実際には近似的に,「比例係数には個体差はないものと仮に仮定し,その代わり,それらを合算した形で,最終的に CL に対しては個体差が存在する」と考えるのである.