あじさい病

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作詞:ふなむし
作曲:ふなむし
編曲:ふなむし
唄:初音ミク

曲紹介

  • さてこう、かけかまいなしに、遠ざかっておりますと、世を一ツ隔てたように、寂しい、陰気な、妙な心地がいたすではありませんか。(泉鏡花『春昼』)

歌詞

(動画より書き起こし)

あのとき ぼくらは自轉車を棄てることを
紫陽花のざわめきのなかで決めた
剥製の鹿に囮をまかせて 遁げた
歯型だらけの町並みなどくわえて

黒い熱氣球…… リボンと林檎酒……

何かが違ってた
いかさまの霄の底

いま 夏風に變わった 季節を諦めた
翳す傘のパラボラには 聲にならないパロール
きみの黒瞳くぐもる 蜘蛛の巣くちづけた
墓穴は蒼褪めた花を湛え 烟る
指さすほど遠ざかる

『死』の付く言葉を数えて篠突く雨と
睦ぶ如雨露を蹴りながら歩いた

碧落の喀血のように その後で漠然と滲み出すように
冷えびえと渦まく紫陽花 あじさい
その消失點と結んだ指さす指も
冷えびえと 誰からも遺失されはじめている
ささがにに託けるまでもない
これは密やかな敗走だ
或いは不毛の季節の密獵與
玲瓏と砕け散る鳥影の碧い泥濘は 遮斷機を下ろして渡ろう
斃れた機関車に夜發のように褪めた艸が添い
鯨幕の環は陰質の陽を模る
吸血して榮える塋域の飢餓は寂かだ

「もう紫陽花の音しかしない」
と きみは謂った
髪留めを落としてきた方へ 白い霄を
裂けた虹の屑が流れて徂く

いかさま 凡てわかった氣がして諦めた
閉じる傘の朔の霄は 聲にならないパロール
きみの黒瞳くぐもる クロノスくちづけた
痩せた虹巻きつけた髪の濕る匂い
燐寸を擦る音がする

病葉を瞼にあて 降りて徂くクレバス

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