春去にて

はるいにて【登録タグ:2018年 IA 那於志

作詞:那於志
作曲:那於志
編曲:那於志
唄:IA

曲紹介

  • こうして、私の中の春は終わりを告げた。

歌詞

作者ブロマガより転載)

<>内が口語訳

彼の日々を想ひ返す
蛍雪と色恋の学び宿
駆け抜ける、前へ進む、迷ふことなく
己が夢探し
<勉強と色恋に溢れていた日々を、
学び宿(※1)に通っていた日々を想い返す。
まっすぐに夢に向かって迷うことなく駆けていたものだ。>

枯れ果つる事を忘る泉が如く
恋し君想ふ
夜露に濡らす枕も隠せし文も
思へば懐かし
<枯れ果てるという概念を忘れてしまった泉のように
恋しかった君(※2)を溢れるほど想ったりもしたものだ。
枕を夜にひっそりと濡らしたり(※3)手紙を隠したりしたこともあって、
今となって思い出してみると懐かしいものだ。>

あひ秘めたる言の葉を
胸の奥にもて隠す
隣、うつくし君が
清しゑみを零す
<お互いに愛の言葉を(※4)胸の奥にそっと隠している。
隣にいる顔だちの整った君が綺麗な笑みをこぼす。>

泡沫の夢に揺れて
宝のやうに輝く
淡き記憶に消ゆる
童の想ひ
<水面に揺れ動く儚い泡のような夢の中で揺れ動いて、
宝石のように光り輝いている、
もう朧気になってしまった記憶に消えていく
子供の頃の熱い感情がそこにはあったものだ。>

桜舞ひ散りて
彼の日々は空の彼方
暦ぞ流れし今は
還ること能はず
<桜が散って、(輝いていた)あの日々は
空の向こうへと消えてしまった。
年月が流れてしまった今となってはもう
戻ることなど出来るはずもない。>

桜舞ひ散りて
春は宵闇の中
風ぞ吹き去りて今は
寂寞こそ残る
<桜が散って、春は宵闇に隠れてしまった。
風が吹きすさんだ(桜を散らしてしまった)今となっては
ただ寂寥感が残っているだけだ。>

花より何某と言へど
正に甘し糧にしかめやも
眺めし酒の肴も人の噺も
などやいと寂し
<花より何とかとはよく言ったものだが、
確かにおいしいご飯に及ぶものはあるだろうか、いや、ない。
酒の肴として眺める花も、談笑している人々の噺も、
なぜか虚しく空回りしているように思えてしまうものだ。>

空霞むるがあはれも夜の帳も
昔は知らぬれど
さりとて人の情けも小さき頃の
勝りたるぞかし
<空が霞がかった時の情緒も夜の帳のそれも
昔は知らなかったが、
そうは言っても小さい頃の方がよっぽど
人間らしい感情を持っていたのではないかなあ。>

花の盛りを終へて
地へと伏したる花弁
枯れし心に深く
蒼き影を落とす
<花の盛りを終えて地面に落ちる花弁が、
すっかり枯れきってしまった私の心に深く
くすんだ青い影(※5)を落とす。>

鳥の番睨めては
空に独り嘯く
「幼心に契る
愛の幻」
<おしどりのようなつがい(※6)を睨みつけては、
空に向かって豪語するものだ。
「所詮あれは愛というものを分かっていない童心で契っている
愛の幻なのだ」、と。>

春が去にて
青き日は霞の中
刻が過ぎ去りし今は
恋さへも解らず
<春が過ぎ去って、、青春の日々は霞の中だ。
時間が過ぎ去って(年を取って)、
恋というものも分からなくなってしまった。>
春が去にて
花弁は土の中
夢ぞ溢れし頃は
嘆けども戻らず
<春が過ぎ去って、花弁は土に還ってしまった。
夢に溢れていたあの頃は、
いくら嘆いても戻ってはこないのだ。>

桜舞ひ散りて
彼の日々は空の彼方
暦ぞ流れし今は
還ること能はず
春が去にて
青き日は霞の中
刻が過ぎ去りし今は
恋さえも解らず
<※繰り返し>

此処に詩を詠み綴る
枯れし陵(みささぎ)が如く
青き春は眠りし
ただ永久(とこしえ)に
<この詩を詠み綴ることによって、
私の枯れた青春の日々の墓標としよう。
青春の日々は終わってしまったのだ。
そう、永遠に。>

注釈

+ 注釈
※1 通常は「学び舎」ですが、
宿には一時的にいる場所という意味を含めております。
※2 「君」と書きましたが、文章全体通して特に男性視点ということはなく
女性視点からも見えるようにしております。
※3 寝具の代表としての枕を指しております。
古文にはしばしば下ネタが出てくるものですが、
夜露が何を指すかはお察しください。
※4 [相,愛]の掛詞となっております。
※5 「蒼」は青よりくすんだ色を指すそうです。
※6 おしどりのような仲睦まじさで、
加えてピーチクパーチクうるさい男女二人組を指しています。

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最終更新:2023年12月12日 13:15