HE SAID:
<”アンナ”>
<”アンナ”、我が至上の幻影>
HE SAID:
<”情報”と”被虐”の夢>
<”創作的死”の庇護者>
HE SAID:
<”僕”は>
<”彼女”と共に眠り逝く>
<すべての”創作的死骸”に救済を>
HE SAID:
〈彼女〉は
<被虐された少女>
<独身者の機械>
<灌がれる血は>
<その祈りの中に>
<規定される>
HE SAID:
〈彼女〉は
<たった今>
<四億三千回目の>
<"死"を重ねた>
HE SAID:
<新たな”死”は”彼女”の身体に転送され>
<新たなる凌辱と>
<新たなる被虐を>
<その白晰な肌に焼き付け>
HE SAID:
静かに 細く 打ち震えて 泣いた
HE SAID:
<その”区界”では>
<”彼女”は象られた”恐怖”だった>
<”彼女”の存在は断続的に脳裏に蘇り>
<その”死神”の顔を>
<”死骸”は畏怖した>
<”彼女”は冷酷な氷河の中で>
<”死骸”を殺し>
<その”死”を取り込み>
<僕と”死”の情報を共有した>
HE SAID:
<すべてに>
<おやすみなさい>
SHE SAID:
透き通る手、砂雑じりの雪に
ひとすじの詩、描かれモノクロに、
焼き付いて、瞳から
離れない、
HE SAID:
<人為的な”死”>
まだ
<”かみさま”の氾濫>
<”原罪”としての虐殺>
<そのかなしみを>
<僕らは>
<緩和し>
<排除するために>
<”死骸”を甚振ると>
<偏執していた>
HE SAID:
<すべての物語に>
<すべての終焉に>
<翳られた死に>
<永遠の”無”を>
<すべてを凍結せしめることで>
SHE SAID:
有り触れた、終焉の、言葉、
美しく、染まろうと揺れながら
裏切と絶望を落とし、
コキュトスに煌かせた
脈打つ河、輝く海、
その最期に僕らは佇む
遠ざかる手、凍り果てる街に
君の歌は、呼応し
響いてく
HE SAID:
<”僕”たちは>
有り触れた、
HE SAID:
<”運命”に反逆する>
終焉の、
<”彼ら”を氷に閉ざし>
言葉、
<”死”の重ね書きから>
<”彼ら”を救う>
無慈悲さの、
HE SAID:
<無慈悲なシステムを>
<氷の欠片に留め>
欠片から
<我々の罪の>
生まれ得た
<償いとしよう、と>
君の歌
HE SAID:
<”彼女”は歌う>
君の歌
<亡びの歌を>
<”反射”>
声が、響いては、
反射して永遠に
HE SAID:
<歌は”区界”を包み>
SHE SAID:
僕達を、
HE SAID:
<”死骸”の恐怖をも凍結する>
僕と君
<”死”から”虚無”へと>
だけを
<冷たい焰は遷移して>
閉ざし行く、緩やかに輪を描き
<歌で世界は凍る>
鳴り響く、
HE SAID:
<救済を>
メロディは、やがて
狂おしい、叫喚に、呑み込まれ
音楽を、(僕たちの音を)
君の歌、(君の歌だけがまだ)
紡ごうと、(紡ごうとしている)
僕たちを、赦しあうために
SHE SAID:
そして、せかいは、ひらかれてゆく
HE SAID:
<”死骸”の慟哭が聞こえ>
<”彼女”は震える>
SHE SAID:
<すべてが なくなる>
HE SAID:
<氷河は夢幻的に”彼女”に迫り>
<”せかい”と ”しびと”が>
<”我々”の選択の可否を>
<眼前に突きつける>
SHE SAID:
<”かみさま”>
<わたしを>
HE SAID:
<酷寒の牢獄の庇護者は>
SHE SAID:
<ゆるしてください>
HE SAID:
<環状の氷の中で>
<泣き続ける>
SHE SAID:
<ゆるして><ください><ゆるして><ください>
<ゆるして><ゆるして><ゆるして><ゆるして>
HE SAID:
<すべてのフィクションは>
<世界から喪われ>
<氷の慈悲の内に>
<人々の記憶から>
<忘卻される>
HE SAID:
<すべてに>
<おやすみなさい>
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