劇場版 新約機動戦士ガンダムZZ

『大佐ぁー』

笑顔でくるりと回転し、新品のドレスを披露するはにゃーん様。
まだ髪が長い。ツインテールがふわりと揺れる。

『シャア大佐』

上目遣い、少し照れた顔のハニャーン様。
ボブカットになっているが顔立ちはまだ幼い。

『シャア?』

泣き出しそうな顔のハムァーン様。
その瞳に、シャアの冷たい背中が映っている。

「…シャア!」

私室のベッドで目を覚ますハマーン様。
窓の外に広がる宇宙を見詰め、寂しそうに笑う。

「フフフ…未練だな…こんなところまで戻って来て…!」

ハマーン様の潤んだ瞳に映った地球。
OP(歌:AKINO 作曲:菅野よう子 作詞:井荻麟)のイントロが重なり、
行方不明となったシャアを捜索するアーガマへと映像が切り替わる。
ハマーン様とカミーユの回想が重なり合い、OPはサビに。
再び地球のアップ。その上にタイトルが表示される。


         機動戦士ガンダムZZ


地球。白いZガンダムを背に、アムロ・カイ・ハヤトの会話。
その内容はグリプス戦争終結の際、シャアが行方不明になったことなど。
Z劇場版ラスト前後から現時点までの状況などが説明される。

「アーガマには新型のMSが支給されるんだって?
 あの男の抜けた穴を埋めるとでもいうのかね、エゥーゴのお偉いさんは」
「カミーユ君は俺やシャア以上のニュータイプと思えるが…。
 シャアがいない今、人は新たな英雄を求めてしまうのだな?」
「ハン…気に入らんねえ、キャスバルの名から逃げ出した男に踊らされて」

サイド1のコロニー、シャングリラ。
エゥーゴの志願兵ルー・ルカが駆るGフォートレスが、
密かに駐留しているアーガマに接触する。

「感動ものだ! アーガマだ!」

その光景を目撃したジュドー・アーシタが悪友達に自慢していると、
ほうちゅうのSEXYな低音が脳天直撃セガサターン。
数日前からジャンク屋に居候しているヤザン・ゲーブルである。
アーガマへの復讐に燃え、ゲモンを説き伏せるヤザン。
その場にいたジュドーらも巻き込まれることとなった。
二機のゲゼで陽動をかけ、その隙にジュドーらが車でアーガマに突入。
Zガンダムを奪うという作戦であるが…。

「お兄ちゃん!」
「リィナ!?」

下校中のリィナ、偶然にもアーガマへと向かう兄を発見。
友人のスクーターで追いかける。パンツィラ。柄は想像に任せる。
アーガマを目前に車を止めるジュドー。
ヤザン、舌打ちしてゲゼを急加速。
アーガマのMSデッキに機体を叩きつけ、自身は銃を持って内部に突入。
慌ててジュドーらが後を追い、アーガマへ。銃声。
ヤザンとカミーユが白兵戦を繰り広げている。撃ち合い、言い争う二人。

「なんなんでしょ、あのお二人…さーて、と」

ジュドー、手近なGフォートレスへ。
弾切れの銃を捨て、カミーユが飛びかかる。

「そこのお前! ZZから離れるんだ!」
「おわっ、回し蹴り!? …やるな、アンタ!」
「…こいつ!?」
「な、なんだ…!?」

邂逅。煌く宇宙が二人を包む。だが一発の銃声に宇宙は夢幻と消えた。
ヤザンの放った銃弾がブライト・ノアを貫き、赤い血を流させている。
カミーユ、ジュドーを蹴り飛ばしブライトの元へ。
逆上したジュドーは流された先のZガンダムに飛び乗った。
Zガンダムの拳がヤザンを狙う。

「あいつ! いや…やれるというのか!?」
「くっ…カミーユ…」
「艦長!」
「まだ…ZZの存在を知られるわけには…」
「…了解!」

カミーユ、硬直しているビーチャらを一喝。
傷ついたブライトを医務室に運ぶよう指示し、自身はメタスで出撃。
二機のゲゼに翻弄されるZの元へと急行。一瞬でゲモンを撃墜する。

「ハハッ…その動き、カミーユかあっ!」
「もうやめろヤザン! 貴様の戦争は終わったはずだろう!?」
「終わっちゃあいねえんだよっ、小僧が知った風な口を!」

ヤザン、Zをメタスに衝突させる。もつれて墜落する二機。メタス大破。
舌打ちし、カミーユがZのコックピットに飛び移る。

「操縦桿を渡せ!」
「ヤだよ! アイツを倒すのはケジメなんだ! 男の子なんだからさ!」
「勝手な理屈を…うわっ!」

ヤザンの攻撃でZが吹き飛ばされる。カミーユ、説得を断念して座席後部へ。
カミーユのサポートもあり、ジュドー、ヤザンを撃墜。アーガマへ。
リィナを含む仲間達が拘束されている。

「ちょ、ちょっと待ってよね! リィナは無関係なんだよ!」
「家族を巻き込んだのは貴様だろう、ケジメをつけるんだな!」
「アンタは…!」

激昂したジュドーがカミーユに殴りかかるが軽くいなされ、逆に顔を殴られる。
その瞬間、カミーユの両親の死に様が脳裏に浮かんだ。
ぺたんと尻餅をつき、呆然とするジュドー。

「借りは返してもらうぞ、ジュドー・アーシタ?」
「あ、ああ…カミーユ・ビダンさん…あれ? 
 どうして俺…あの人の名前を知ってるんだ…? あの人も…」

“アクシズ”の戦艦、エンドラ。Zガンダム出現の報に沸き立つマシュマー・セロ。
そこにアーガマがいる。追撃を命じるマシュマーにゴットンが難色を示す。

「待機命令が出ております! 今日は…」
「なればこそ、ハマーン様に薔薇を捧げねばならんだろう!」

エンドラ発進。アーガマ医務室。カミーユ、これを感知して艦橋へ。
眠るブライトの隣で不安そうに見送るファとリィナ。
MSデッキではジュドーらがアストナージにこき使われている。

「総員第一戦闘配備! アーガマの指揮は、カミーユ・ビダンが執ります!」
「カミーユ! ZZはどうすんの!?」
「ZZはジュドーに任せます、Zは予定通りルーで!」
「ジュドー…? あの子供にか!?」
「ニュータイプなんですよ、あの子供は!」

ジュドーとルー、マシュマー率いるMS隊と交戦。
その間にアーガマはシャングリラから出港、宇宙へ。
リィナと仲間達を人質に取られたと憤るジュドーをルーが叱る。
刹那、電波に乱れ。通信回線がジャックされている。

「始まったか…! ええい、撤退だ! ゴットン、録画の用意は!?」
『…え? 何です? 雑音が多くて…だからこうなるって言ったじゃ…』
「バカ者! 私がこの手でハマーン様をお録りする! 各機、全力で帰艦せよ!」

マシュマーら、謎の撤退。ルーのジェスチャー指示でジュドーも宇宙へ。
アーガマに帰艦すると、ここでも通信回線がジャックされている。
艦橋に向かうとリィナがブライトの車椅子を押している。
これが白い看護服を着ていたりするのかどうかは想像に任せる。

「リィナ! お前がこんなことまでする必要はないんだよ!」
「ブライトさんがケガしたのはお兄ちゃんのせいでしょう!?」

リィナに怒られながらジュドーが艦橋に入ると、ハマーンの演説。
アクシズがネオジオンとして蜂起することが宣言される。
これが敵だと言い切るカミーユ。対して、ジュドーは寂しそうな人だと呟く。
そういうセンスの子供かと瞳を細めるカミーユ。

「マシュマー様、アーガマはラビアンローズとかいうドック艦に…」
「ええい、黙っておれ! ハマーン様のお声が聞こえぬではないか!」
「はあ…」

エンドラ。シャングリラからの出港準備中。
艦橋では録画した黄金聖闘士ハマーン様の演説。実は十回目の再生。
盛り上がりが最高潮に達する直前にぷちっと映像が切られる。
マシュマーのお目付け役として転属されたばかりのイリアの仕業だ。

「貴様、なんということをしてくれたのだ!」
「ハマーン様に報告するぞ、マシュマー・セロ」
「それは困る!」
「だったら今すぐアーガマを追うんだよ、薔薇の騎士殿」
「小娘が大きな顔をして…」
「フフン、騎士マシュマー・セロ。
 私はハマーン様と御一緒に髪を切らせていただいたこともある女だ」
「なんだと!? くっ…なんと羨ましい女だ!」
「励めよ。ハマーン様に薔薇を捧げるぞ?」
「貴様に言われるまでもない!」

ラビアンローズ。百式改・Mk-Ⅲ・ZⅡがアーガマに配備。
言うまでもないがプラモデルを売ろうという大人の事情である。
負傷したブライトが収容される。艦長のエマリーといい雰囲気に。
メッチャー、アーガマは正式にカミーユの指揮で動くことを指示。
参謀本部は無茶苦茶だと反発するカミーユに、
シャアの代わりを務めよと言い切るメッチャー。

「…僕にも分かる気がしますよ。クワトロ大尉が失望した気分がね」
「戦争だよビダン君。組織には英雄的な象徴が必要なのだ」

マシュマーの追撃。新生ガンダムチームがこれを迎撃し、撃退する。
はしゃぐジュドーらと対照的に、艦長席のカミーユの気分は晴れない。
カミーユの隣にそっと寄り添うファ。重ねられる手と手。

「…クワトロ大尉が新しい時代を創るのは若者だと言った」
「カミーユ…」
「でも、これは…違うんだよな。大人が大人をやらないでさ…」
「ジュドー達は強い子よ。カミーユが思うよりずっと」
「…そうかい?」
「そうよ」

挿入歌(歌:ガブリエラ・ロビン 作曲:菅野よう子)。
ZⅡに乗ってジュドーらと模擬戦を繰り返すカミーユ。
歯が立たず、悔しがるジュドー達。苦笑するリィナとファ。
映像がハマーン様の私室に切り替わる。黄金聖衣をまとうハマーン様。
ノートパソコンの電源がついている。モニターにはミネバ様とナナイ。
連邦軍に潜伏していたナナイが地球から送ったビデオレターである。
親子のように仲が良い二人の様子に瞳を細めるハマーン様。
パソコンの電源を切り、退室。偽ミネバの部屋へ。
怖がる偽ミネバを優しく抱きしめ、侍女達に二言三言を残し退室。
サダラーンの艦橋へ。ギーレン兄弟らが敬礼。
宇宙空間に黄金聖闘士ハマーン様が映し出される。挿入歌終わり。
地球へ降下せんとする艦隊に黄金聖闘士ハマーン様のありがたい演説。
聞き入るネオジオン艦隊の一同。キャラをはじめとする勇士達。
ちなみにグレミーは既に艦を任されている立場。隣にプル。
エンドラではマシュマー歓喜の涙、イリアも少女の瞳で見入っている。
胃が痛そうなゴットン。演説が終わり、艦隊が次々に地球へと降下。
順番を待つ間、マシュマーは録画した画像の出来をこっそり確認。
その隣で気付かぬ振りをしつつイリアもちゃっかり見入っている。
二人の様子に気付いていながらも言い出せないゴットン。胃が痛い。
そろそろ順番が回ってくるかという頃、グレミー艦から通信。

『マシュマー様!』
「うん!? …グレミー・トトではないか、久しいな」

昔グレミーがマシュマーの部隊にいたことなどの説明台詞。
部下の出世を素直に喜ぶマシュマー。君は本当にいい人だ。
グレミーがギレンの遺児であることを知っており、警戒するイリア。
そして単純にグレミーを羨ましがるゴットン。本気で羨ましい。
グレミーの隣でつまらなそうな顔のプル。無意味に動き回っている。
ふと何か得体の知れぬ気配を察知してプルが艦橋を飛び出す。

「グレミー様! MSデッキが内部から開放されております!」
「何!? プル、何をする気だ! 地球へ降りるのだぞ!」
『あはははは、グレミーにはわからないんだ?』
「何を言って…敵が来ているのか、このタイミングで!」
『さあ? でも面白いのがいっぱい来てるよ?』
「…強化人間がまじない師のようなことを! 全機発進!
 プル。見事ハマーン様をお守りし、グレミー隊の誉れとせよ」
『了か~い! プルプルプルプルーん!』

プルの黒キュベを先頭に、MS隊が出撃。
密かにグレミーを値踏みするラカン、コックピットでニヒルに笑う。
この人がZZにおけるラオウとなる予定だったのが懐かしい。
プル、サダラーンを目指すジュドーを感知。ファンネルを展開。
その脇を猛スピードでジュドーの乗るZⅡが駆け抜けようとする。
ファンネル攻撃を避けまくるジュドーinZⅡ。マジかっけー。
だってプラモを売らなきゃいかんのだから。あ~マジかっけーよ。
ちなみにこの戦闘が第一部のクライマックスUCです。

「あはははは! すごいすごいすごいすごい!」
「なんだ…? 子供の声?」
「あなただって子供でしょ? あたし、エルピー・プル!」
「え…?」
「あなたは?」
「俺? 名乗るの? ジュドー・アーシタ…学校はズルけてる」
「ジュドー! あは、変な名前! ねえジュドー、私と遊ぼうよ~?」
「冗談でしょ!」

アーガマ。足止めされ奇襲に失敗したジュドーを感知するカミーユ。
NT達の脳裏に走るフォウの声。哀しいけどこれ、ゆかななのよね。
ジュドーがそういう出会いをしていると悟るカミーユon艦長席。

「フォウ…人は同じ過ちを繰り返すというのかい…? 
 いや、違う…乗り越えられるんだ! そうだろ、フォウ!」

カミーユ、アーガマの指揮をファに任せGフォートレスで出撃。
ルーのZが続く。既に大気圏が近い。ルー、ごくりと唾を飲む。
硬くなるなと言うカミーユに軽口で応えるルー。グレミー隊と接触。
カミーユによって瞬く間に撃破されるグレミー隊のMS。
歯噛みするラカン。大気圏が迫り、やむなく帰艦する。

「すっご~い! さっすがカミーユ、愛しちゃう!」
「おいおい、勘弁してくれよ…」

ちらりとサダラーンを見やるカミーユ。降下する気配はない。
ハマーンの視線を感じ、カミーユは冷や汗をかく。

「誘っているのか、ハマーン・カーン…!」
「カミーユ、どうするの?」
「ルーはアーガマへ…俺とジュドーは単機で突入する」
「あ~ら、落ち着きのない艦長さんですこと」
「地球で合流するぞ?」
「了解よ、カミーユ艦長!」

ルーはアーガマへ、カミーユはプルと交戦するジュドーの元へ急行。
邪魔をするなと叫ぶプルのファンネルがZZを襲う。

「ならばっ、ハイパービームシールドっ!」
「嘘っ!?」

ZZの手首を高速回転させハイパービームサーベルをシールドに。
本来のシールドは大事なウイング・バインダーです。
大気圏突入前に損傷させるわけにはいかんのです。
そして以降のGジェネではZZのネ申性能に磨きがかかるだろう。
バンナムの攻略本は再び「Gフォートレスは移動用」と書くのだろう。
呆然とするプルに肉薄するZZ。アップ顔が凶悪。
これがガンダム、悪魔の力よ! 刹那、黒キュベの両腕を斬り捨てる。

「退け、キュベレイのパイロット! ここで死にたいのか!?」
「やだあ! ジュドーと遊ぶの~!」
「プル! いい子だから、おうちに帰るんだよ!」
「やだあああああ!」

プル、暴走。ZZに体当たり。その反動で大気圏へと落ちて行く。
戸惑うジュドーに、カミーユは「行け」と背中を後押しする。
プルの救出に向かうZⅡ。サダラーンを見やるカミーユ。
艦橋の黄金聖闘士ハマーン様と目が合う。ハマーン様、余裕の笑み。
ZZ、Gフォートレスに変形し大気圏突入。燃える地球。
ふうっと息をつくカミーユの眼前でフォウの幻影が微笑む。

『おかえりなさい』

ED(歌:KOKIA 作曲:菅野よう子 作詞:井荻麟)。
アーガマ、大気圏に突入。リィナ、ジュドーの姿を捜している。
黒キュベを背負っているZⅡ。機体の揺れにプルが脅えている。
サダラーンはじめネオジオンの艦隊もまた大気圏突入。
どこか不機嫌そうな黄金聖闘士ハマーン様。地球を見詰めている。
エンドラ。イリアが何やらマシュマーに皮肉を言っている。
(台詞はないが、内容はグレミーが今の活躍でまた出世すること)
ひどく疲れた顔のゴットン、大きな溜め息をつく。
グレミー、コールドスリープ中の11人のプルを前に悪い笑み。
おっとプルプルズは裸んぼじゃあないぜ、劇場版なんだからな。
∀の水浴びだって下着着用に差し替えられただろうが。
再びアーガマ。大気圏に入り、青い海が広がる。
一同に広がる笑み。ネオジオンの一同もまた笑顔である。
ハマーン様が優美な笑みを浮かべ、どこか遠くを見詰める。
何かをそっと呟くカミーユ。視線を黒キュベonZⅡに移す。
機体が安定しないらしい。海に墜落するジュドーとプル。
やれやれと苦笑し、救出に向かうカミーユ。青い空が眩しい。
暗転、スタッフロール。スタッフロール終わり。
海に浮かぶZⅡの上で、ジュドーがプルを肩車している。
なんだか楽しそうな二人。見上げた空が、どこまでも青い。

         ――第一部・完――
最終更新:2008年03月30日 09:56
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