作品別用語集 - アイドルたちのジャンケン大会 終章


アイドルたちのジャンケン大会 終章


 広島市民球場で行われたジャンケン大会は、千早の優勝で大盛況の中その幕を降ろした。
 そして、その晩にホテルにて行われた、関係者の打ち上げも、大変盛り上がったものとなる。
 しかし、その裏で、あずさと律子の間で、今回の大会の意図を問い質し、過去とも向き合うことになる真剣勝負が行われようとしている。
 それを見守るのは、僅かに伊織と美希、そして審判の小鳥のみ……


 弓削Pによる「アイドルたちのジャンケン大会」シリーズの続編であり、かつ、その背景が語られる作品。
 また、前作と本作で、ある物語のエピソードの一つとなっている、とのこと。
 作者自らの解説(後書き)ニコニコ大百科の記事も是非ご覧下さい。

ジャンケンのルール

 作者ご本人による解説の方が余程分かりやすいですが、一応Wikiでも。

カードの種類と配布枚数
 カードは、グー(G)、チョキ(C)、パー(P)、ワイルドカード(W)の4種類。
 昼間の試合とは違い、二人にこれらのカードが5枚づつ、全く同じ20枚が配られる。
 今回使われるカードは、あずさの私物とのこと。

勝負の方法と勝利条件
 互いに2枚ずつカードを出し、2枚とも開示した後にどちらかのカードを選択し、そのカード同士で勝敗を競う。
 勝利ポイントが多い方の勝ち。

ワイルドカード
 今回は、GCP以外にWもある。これは、目の前に置かれた相手のカードと同じ扱いになる。
 但し、W同士だった場合は無効カードとなる。また、相手が同じカード(G2枚など)をセットした場合も無効カードとなる。
 つまり、場にセットし、開示されたときに初めてその内容が確定するカード、ということである。
 表面は真っ黒が描かれている。

先手・後手と勝負の手順
 先手・後手あり。
 先手側から順に、裏返しにしたカード2枚を壇上に出し「セット」を宣言、オープンの合図とともに2枚とも開示する。
 セット後のカードの変更は不可能。その後、その2枚のうちどちらで勝負するかを審判(小鳥)に伝える。
 先手後手は、1戦ごとに交代する。

勝利ポイント
 通常の勝利は1点。
 但し、同じカード(G2枚など)をセットしてかつ勝利した場合は、2倍になる。
 また、最終戦(第10戦)の結果も2倍になる。
 すなわち、後述の特殊カード効果によっては、最大8倍の大逆転も有り得る。

特殊カード
 昼間の試合と同様、特殊カードが配布される。
 試合展開を左右できる切り札で、対戦中に1回だけ使用できる。

延長戦
 10戦の内に勝負がつかなかった場合、カードを再配布しての延長戦となる。

アドバンテージ
 いつものあずさ対律子戦では、律子に2点与えられる。つまり、0-2から試合開始。
 しかし、今回は律子がそれを拒否する。

特殊カードの効果

 昼間の大会の一、二回戦と同様に、特殊カードが存在する。
 但し、昼間の大会とは異なり、今回は事前にその効果も公開されている。

スリーアベニュー "三本の道"
 律子の所有カード。
 使用した次の勝負に限り、両チーム共に現在の手札を使用せず、再配布されるGCPW二枚づつでの勝負を行う。
 使いどころが難しいのは、律子・千早チームが使用した時と同様。

バランスオブゲーム "均衡"
 あずさの所有カード。
 任意の対戦勝利ポイントを2倍にする。但し、使用する時は、自分が2倍となる一戦と、相手が2倍になる一戦を選ばなければならない。
 自分に効果がない(負ければ0点)だけでなく、相手だけを利する最悪のケースも考えられるリスクを伴うカード。

特殊能力

 昼間の大会は、出場者であるアイドル達のいわゆる「スタンド能力」が飛び交う激しい戦いとなった。
 この隠された試合でも、その"力"の対決はあるのだろうか・・・
 スタンド名は、作者後書きで紹介されているものと同じですが、別名の方は、スタンド名と作中での能力描写から推定した(中二病に感染した筆者たちによる)この記事独自のものです。

律子
+ 律子の能力
 "力"を持たない常人であるが、その性質は知り尽くしているようだ。
 昼間の大会では、超常者相手にその知謀だけで互角以上の戦いを演じたが、あずさ相手にはどうなるか?

+ 律子の過去
 律子は、その三で明かされた、あずさの先天的能力が発現した際の事故の、もう一方の当事者であった。その結果、彼女は五感と、当時所持していた"力"を失った。
 その後のリハビリで、他の感覚は日常生活には差し障りが少ない程度まで回復しているが、もともと"力"の代償で弱まっていた視覚は、現在も痛手を被ったままである。

あずさ
+ あずさの能力
 彼女は、「矛盾」の語源となった盾と矛がごとく、最高の防御と最強の攻撃の、二種類の"力"を持っている。

 前者は、あずさへの"力"の干渉を完全排除し、その使用者の意識を焼き切り、場合によっては後遺症を残すほどの"力"である。
 その発現は、通常の場合よりも遅かったが、彼女の生まれつきのものである。
 作者によるスタンド名:エレクトロキューショニスト "電撃の制裁者"、"超電磁攻性防壁"

 後者は、5分程度先まで予想される未来を視て、その結果を変更できる"力"である。
 これは後天的なものであり、彼女は"力"の代償として"方向感覚"を失った。また、その使用により身体に負担が掛かる。
 後者の作者によるスタンド名:タイムパラドックス "時間の逆理"、"時空干渉"

+ あずさの過去と意図
 本来、先天的な"力"は14歳前後で発現するが、彼女のそれは非常に遅かった。そのため、あずさは"力"を持たない種類の人間と判断され、後天的な"力"が植え付けられた。この時に"方向感覚"が代償となった。
 しかしその後、律子による干渉を受けたのを契機に先天的な"力"が発現し、あずさは二種類の"力"を所持することに至った。
 二つの"力"を持つこと自体が、彼女の身体が蝕まれる原因となっている。

 また、昼間の大会は、他のアイドルを成長させる切っ掛けを作りたかったあずさが企画したものであった。
 彼女の本意は、その優勝者と勝負し、その中でいろいろなことを伝えておきたかったことらしい。

美希
+ 美希の能力
 二回戦で発揮された美希の能力は、この観戦時でも無意識に発揮されてしまっている。
 それに気づいた律子は、美希に"力"の制御法を学ばせる必然性を痛感する。
 彼女の能力も後天的なもののようだが、その開花の切っ掛けに関して彼女は思い出すことができない。
 作者によるスタンド名:シックスセンス "天啓の閃き" (動画中では"第六感")

+ 美希の過去
 美希の"力"は、本来は律子の物であった。律子の事故の後、何らかの経緯で美希に引き継がれた。
 "力"を引き継いだ代償は"記憶"の喪失である。

伊織
+ 伊織の能力
 一回戦で発揮された彼女の能力は、相当な疲労を伴うもののように見られた。
 しかし、律子も知らなかったのだが、彼女の能力は"生まれつき"だったため代償を伴っておらず、また、使用時の精神消耗も無いようだ。
 作者によるスタンド名:ノブレスオブリージュ "高貴なる責務"

春香
+ 春香の能力
 彼女の能力も、後天的なものだった。そしてその代償は"平衡感覚"の喪失である。
 作者によるスタンド名:ツインターボ "先駆ける偶像" "両手使い"

小鳥
+ 小鳥の能力
 普通の事務員であり、普通の公正な審判であり、かつ、普通の"強烈な"妄想使いと思われた彼女だが、律子の意図もしくはあずさの思考を読むような描写があるため、彼女もまた普通の一般人では無いのかも知れない。
 作者によるスタンド名:ドリームジャーニー "妄想の長旅"

+ 小鳥の過去
 彼女も、過去に手術した経緯があったようだ。
 彼女の病気が、あずさと同じ"二つの力を持った"故のものだったのか、それとも全く別のものだったのかは不明。

765プロ関係者以外の登場人物

+ 全身黒ずくめの男性
 全身黒ずくめの男性。
 ホテルの宿泊フロアで佇んでいるのを、律子が発見した。
 どうやら、765プロのアイドルに興味を持っているらしい。

+ 男の正体
 6歳に見える18歳の"娘"がいることと、必ず何らかの対価を要求する――但しそれは金銭に限らない――ことから推測すると、とある著名な無免許医…かもしれないのだが、弓削Pはあくまでもオリジナルキャラクターだと力説している。10年前に音無小鳥の手術を行っており、その時の手術代をラーメン+αで済ませた。

 なお、「相場の倍は頂きたいものだね」とあずさの手術代をふっかけた――765プロのアイドル全員が家に行くことを以て対価とした――のは、前述の関係があった、音無小鳥が目配せした事による物で有る。(弓削Pのネットラジオより)


+ 一般宿泊者たち
 一般宿泊者たち
 野次馬。空気読め。

試合経過詳細

+ 試合経過

戦目 あずさ 律子 備考
G C P W 先攻 Set1 Set2 選択 勝数 勝者 勝数 選択 Set1 Set2 先攻 G C P W
0 5 5 5 5 0 - 0 5 5 5 5
1 5 5 4 4 P W P 0 0 P W P 5 5 4 4
2 5 5 3 3 P W P 1 0 G G C 4 4 4 4
3 5 5 2 2 P W P 1 0 P P G 3 4 3 4
4 5 5 0 2 P P P 5 0 G G W 2 4 3 3 注2
5 4 4 0 2 C G C 5 1 G G P 1 4 2 3
6 3 3 0 2 C G C 5 2 G P W 1 4 1 2
7 3 2 0 1 C W C 5 2 C C C 1 2 1 2 律子に"均衡"の使用宣言
8 1 2 0 1 G G G 5 3 P W P 1 2 0 1
9 0 1 0 1 C G G 5 3 G G C 0 1 0 1
10 1 2 2 1 G W G 5 7 P P P 2 2 0 2 注3
注1:「勝者」欄の>は左側が勝利、<は右側が勝利、=は「あいこ」を意味する。
注2:あずさに"均衡"の使用宣言勝利で2倍、二枚出し勝利で2倍加算
注3:"三本の道"の使用宣言、最終戦勝利で2倍、二枚出し勝利で2倍加算

0~3戦目
 試合が始まる前に、美希があずさの意識を読もうとするが、あずさの"力"により拒絶され、美希は精神的な痛手を喰らい、律子からもあらためて注意を受ける。
 試合開始後、1戦目は淡々と進むが、2戦目で早くも動きが出る。
 Cを選択すれば負けることは無いはずの律子は、あずさがW(C)で相殺してくる可能性を予想し、それに勝利するGを選択する。
 しかしあずさは、結果的に律子の裏を掻いた形のPを選択していた。
 3戦目では、律子はあずさの手を、過去の対戦経験からPと、W以外の何かと予想する。
 ところが、あずさは3連続となるPWを出していた。

4戦目
 4戦目冒頭に、あずさは、先出し、律子の手札の偏りが見えないという二重に不利な状況下で、自らに"均衡"の効果適用を宣言する。
 あずさのセット後、律子は意図的に時間を使ってセットする。
 律子や他のメンバーは、あずさが残り手札の多いカードを使用してくると考えていたが、予想に反して残り2枚しかないPを両方出していた。あずさが、もう一つの"力"を発揮したのである。
 この結果、律子のWは無効カードとなり、もう一枚のGが強制選択される。すなわち、あずさに"均衡"で2倍、"二枚出しでの勝利"で2倍で、計4点が加算される。

5戦目
 あずさの"力"の正体を知りたい美希は、勝負に入り込んでいる律子に対し無神経に質問し、その内容を聞き出そうとする。
 それに苛つかされた律子ではあるが、同時に自分自身に余裕が無くなっていたことにも気付かされる。
 直前のあずさの「守備にまわる」という発言が思考誘導――実は、更に攻めに掛かってくる。すなわち、律子のGPに対し、引き分けを狙うGではなく勝ちに行くCを選択してくる――であることを見抜き、Gを選択しあずさの裏を掻く。

6戦目
 長いインターバルで律子は落ち着きを取り戻す。
 セットされたカードは5戦目と同じであり、あずさの攻めの姿勢が続くことを予期した律子は、あずさの判断も5戦目と同じになると予想する。結果もその通りとなった。

7戦目
 あずさは、律子に対して"均衡"の効果適用を宣言する。
 律子は、勝利の可能性を高めるべく、Cの消費と、選択の幅を持たせる他のカードをセットすると思われたが、実際には一気にCの2枚出しによる勝利――あずさはもともとPを持っていない。従って、あずさが律子の手がCとC以外の手を出しても確実に引き分けるためにWの2枚出しをすると期待する、相当にハイリスクな手――を図る。しかし、あずさはCWを出しており、引き分けに持ち込まれる。
 そのため、この時点で3点差がついている律子が勝利するには、残り3戦を全勝(4点獲得)しなければならなくなった。

8,9戦目
 引き分け以上で構わないあずさはGCをセットすると思われたが、ここでは律子が所持する二枚のCまたはWに対処する、Gの二枚出しを行う。
 一方律子はそれを予感したのか、WPを出して勝利する。
 この時点で二人ともG1C2W1であり、Gを出せば負けることはない。また、10戦目は律子の"三本の道"使用で平手の勝負になることが明らかなため、9戦目は事実上消化試合となる。

10戦目
 あずさは、律子達との会話の中で、大切な仲間に対して、大会の目的や彼女の真意を隠し続けようとする想いを強める。
 そのため、この勝負に必ず勝利すべく、既に使用していた"力"を無理してもう一度解放する。
 全ての未来を予見できたわけではなかったが、律子の一枚目がGであることは見えたため、万が一のG2枚出しにも対応すべく、W2枚を避けて確実な引き分けを狙ったGWをセットする。

 だが、昼間の大会で経験を積んだ律子は、あずさの"力"が解放される際の挙動の癖に気付き、その後の逡巡にも気付いた。
 そのため律子は、あずさが当初自分が出そうとしたGCを"視た"こと、さらに"視た"とはいえそれが一枚目のGだけしか見えていなかったために二枚目選定に迷いが生じたと推察し、そこからあずさの手がGWであることを確信した。
 そこで、あずさの"力"が終了した時点で、Pの2枚出しを出す方針に切り替えたのである。

+ 対戦終了後
 対戦終了後、アイドル達と小鳥は、それぞれ、過去との決別や未来へ歩み出す決意を新たにする。
 とはいえ、その後の事務所の雰囲気は、一見、いつもの765プロと変わらないものだった。

 しかし、ただ一人、"真実"の一部を知ってしまったが故に悩み、その雰囲気にも馴染めず、相談せずに大会に出場したことを責める親友にも反発し、事務所を辞めようとするアイドルがいた。その彼女の名は、高槻やよい。
 彼女の本当の意図は?そして親友である伊織は、彼女にどのように相対するのか?

  • 宣伝を受け付けないというのは如何な物か、と思ったり。 -- 名無しさん (2009-06-16 12:02:15)
  • 宣伝っていうニコニコの仕組みに反対なんじゃないかな -- 名無しさん (2009-06-21 20:35:46)
  • 宣伝反対って言うより、宣伝とか米とか再生数とか、そういうものに惑わされて作りたいもの、見てもらいたいものがフラフラしちゃうのが許せないってタイプじゃないかな。 -- 名無しさん (2009-06-26 03:17:12)
  • 宣伝お断り自体は構わないと思うけど、「もう少し有意義なポイントの利用法をお考えください。」って言い方は宣伝したいなと思った人に対して失礼じゃないかなとは思うな。 -- 名無しさん (2009-06-26 14:46:32)
  • ↑そう、まさにそれが思うところだった -- 2009-06-16の名無し (2009-06-26 14:55:08)
  • 褒められるのが苦手な人種にとっては、ああいう宣伝ってのは苦痛もあるんだよ。自分にとっては大したことないものを、対話のない一方的な賞賛で周囲に持ち上げられる。こんな恐ろしいことが他にあるか? -- 名無しさん (2009-07-01 05:18:46)
  • http://www.nicovideo.jp/watch/sm7616793 終章その3来た -- 名無しさん (2009-07-13 00:43:34)
  • 宣伝の件だけど、この終章の重さに最後に出てくる宣伝が雰囲気壊すのを避けるためでもあると個人的にはそう思うんだけど。 -- 名無しさん (2009-07-15 01:46:35)
  • 確かにそうだね。でも、それだけなら「もう少し有意義な~」って言い方はしないだろうしね。あと、ZOOMEでその4視聴版来たよ。 -- 名無しさん (2009-07-27 07:23:44)
  • 穿った見方はいくらでも出来る。意図を汲んであげようよ。 -- 名無しさん (2009-08-14 02:11:21)
  • GENUINE 基礎工事してみたー -- 名無しさん (2009-10-26 04:48:19)
  • 宣伝お断りは本心で、「もう少し有意義なポイントの利用法をお考えください。」は自虐ギャグだろ -- 名無しさん (2009-11-28 10:51:15)
  • 同じページを読み続けていけばその意図も太字で書かれていますよ -- 名無しさん (2010-02-17 01:44:03)
名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年02月17日 01:44
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。