※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

KIDS in アジア防災センター(ADRC) 報告書

<活動日時>
2007年5月25日14:00~
<目的>
アジア防災センター、国連地域開発センター、JICAの見学を通じて、
日本からアジア各国に向けて行われている防災や復興を目的とした国際協力活動について学び、
KIDSの今後のインドネシアでの活動をよりよいものにするヒントを得る。

アジア防災センターでは、センターの活動紹介を、主任研究員の田中さんに、以下のような流れで、
ビデオやパワーポイントを用いて説明していただいた。その概要について、以下にまとめる。



世界の自然災害

まず最初のセクションとして、世界の自然災害について、発生件数、地域的な特徴を交えて概説していただいた。要点を以下に列記する。

  • 1975年~2005年にかけて自然災害の件数が目に見えて増大しており、特に1990年代後半以降の自然災害の発生件数の増大、それに伴う被災者数の増大が顕著である。
  • 自然災害による被災者の地域別割合は、アジアが約90%を占めており圧倒的に高い。その原因は、災害自体が起こりやすい地理的な条件はもちろんのこととして、1990年代以降の都市への人口の集中、及び貧困地帯が少なくなく、ハード面にかけるお金が不足しており、防災力、復旧力が自分たちだけでは確保できないことが挙げられる。
  • アジアの発展途上国では、1回の自然災害が一国のGDP以上に、時には数倍になることが少なくなく、自然災害は社会の安定、国家の安全保障への大きな障害となっている。

以上のことから、防災における国際協力はアジアの持続可能な開発に不可欠であるといえる。
このセクションでは、どちらかというとハード面からの視点で世界の自然災害の概説をしていただいたように感じた。

わが国の国際防災協力

このセクションでは、アジア防災センターの設立と構成についての概説をしていただいた。

アジア防災センターの設立について
1990年~1999年の10年は国際防災の10年と呼ばれ、国連による防災分野での国際協調の必要性が示された時期である。1994年には横浜で国連防災世界会議が行われ、アジア防災センターはこの会議での提言に端を発し、1998年7月に誕生した。この期間中には1995年に阪神大震災が起こり、防災の必要性を再認識させている。

アジア防災センターの概要
目的: 国際協力によるアジア地域における災害削減
設立: 1998年7月
メンバー国: アジアの25カ国
アドバイザー国:5カ国(アメリカ、フランス、ニュージーランド、スイス、オーストラリア)
日本のアジア防災センターの構成員: 26人

各種事業は、UNESCO、WHOなどとの各種国際機関との連携の中で行われており、
防災力向上において国際的な協力が、特に発展途上国に対しては重要であることがわかる。

アジア防災センターの活動

防災情報の共有

アジア防災センターの主要な活動の1つめに、防災のために必要な情報の発信、共有がある。その具体的な内容としては、
国際会議やフォーラムを毎年開催しメンバー国を招聘して、防災のための国際協力プログラムの優良事例を報告するなどして、
各国間で意見交換を行ったり、またホームページ上で全世界の災害情報からその対策情報、各種の調査結果をまとめて発信したり、
出版物、ニュースレター、ビデオなどを通じた情報提供を行っている。
GLIDE(GLobal unique disaster IDEntifier)と呼ばれる全世界共通のIDナンバーを各災害に割り当てて、
そのID1つでどこの国の人でも災害を特定できるシステムが構築されているなど、情報共有を大変重視していることがうかがえるシステムである。

人材育成

アジア防災センターは、主要な活動の1つとして、防災の専門的知識の伝達、専門家の育成のためのセミナーも行っている。
ここ数年で行われたセミナーの内容としては、シンガポールでの国際都市捜索救助研修、ベトナムでの洪水ハザードマップ作成研修、
インド洋に面する各国での津波早期警戒システム構築に係る研修などがある。また、日本では毎年、メンバー国政府の防災行政担当官を客員研究員として受け入れる、
「客員研究員招聘プログラム」を行い、各国が防災政策の研修を通じて防災力を高め、
また同時にアジア防災センター内での人的ネットワークの構築、拡大の役割も果たしている。
さらに、その根底には、TDRM(Total Disaster Risk Management)という防災政策の基本理念があり、その1つは関連する組織が一丸となって行動すること、
そのもう一つが、本年度のKIDSの防災教育授業でも軸にしようとしている、
prevention—preparedness--response--(recovery)といった4段階のサイクルの考慮である。

コミュニティレベルでの防災力の向上

地震発生直後の災害の拡大を大きく左右する要因の1つに、コミュニティレベルでの防災力の有無がある。
アジア防災センターは、コミュニティレベルでの防災力の向上を目指す活動も行っている。その一例として紹介していただいたのが、
スリランカ(?)での防災タウンウォッチング(街を歩いて災害に弱いところ、強いところを把握する)を通じた地域密着型ハザードマップの作成であり、
この活動の大きな特徴としては、あくまで自治体や専門家はサポート役としてのスタンスで活動に臨み、
地元の人々の手で作り上げることを重要視している点が挙げられる。また、マップの作成作業を住民、自治体の職員、専門家が集団で行い、
全員で議論をすることにより、コミュニティ内や自治体、専門家とのコミュニケーションの強化を図っている。
また、パプアニューギニアでは、1998年の津波で大きく被害を受けた地域の住民に対し、パンフレットやポスターによる啓発活動を行ったところ、
2000年の津波では死者を出さなかったなど、「すぐ避難せよ」の教訓を生かした事例もある。
さらに、あるコミュニティに対し、各NGO団体も防災のための活動を行うが、その活動の更なる発展のため、
アジアの防災・災害救援NGOが国境を越えてネットワークを結び、協力を促進するための組織の立ち上げを行うなどもしている。

その他の活動

ここまでは専門家や地域住民を相手にといった内容であったが、最後にわれわれの防災教育で行っている内容とも非常に良く関連する話題についてもお話を頂いた。
インドネシア・スマトラ沖地震後の防災教育の一環として、子供の年齢、知識レベルに応じた教材を作成し、今年の7月にワークショップを開催、
そして9月の現地の先生とのミーティングの後、教材の配布を開始するプロジェクトが進行中である。
また、「稲むらの火」を諸国に普及させて津波の脅威と対処法を伝えるため、8カ国を対象に、現地の言語、イラストレーターを用いて、
現地の文化を反映させたバージョンの教材を作成し、教育現場で用いるというプロジェクトが進んでいる。


アジア防災センターの活動を聞いての感想

ここからはごく個人的な感想であるが、少し書いておきたいと思う。
全体的には我々が小学生に対して行っている防災教育に比べるとかなり専門的な内容であったが、
その中に我々の活動においても大事にすべきことが、いろいろ見つかったように思う。

まず、情報を共有することの大切さである。我々の防災教育も、いわば防災に関する知識(情報と置き換えても同じことが言えると思う)の共有を目指した活動といえる。
防災におけるその重要性を再認識する機会となった。

また、人材育成とコミュニティレベルでの防災力の向上の話では、その根底に、一方的に技術の発展した国から防災のための技術を提供するにとどまらず、
最終的には各国が自らの手で、またそれぞれのコミュニティの人々が自らの手で防災のために様々なものを作り上げられるようにするという目的があり、
これが我々の防災教育においても重要な視点なのではないかと感じた。われわれの防災教育を、
それを行ったコミュニティへの防災力向上のためのプロジェクトと捉えると、その知識をコミュニティの中で定着させることが最終目標となる。
そのためには、防災教育の中でももっと先生や子供たちの参加の場を増やし、
最終的には自らの手で防災教育を作り上げられるようにするというスタンスで具体的な活動方法を模索することが大切であるように思う。

また、もう一つ印象に残った言葉が、「震災の記憶の風化は仕方ない。が、柔軟な対応力をつけるという姿勢が重要」といった言葉である。
また、防災はそのコミュニティごとに特性があり、マニュアル化できるものではない、といったお話もしていただいた。
マニュアル化できないとなれば、基本的な知識の上に必要なのは「想像し、考える力」であるように思う。
小学生相手にはかなり難しいことを要求することになるが、我々の防災教育の中で「考える」というプロセスを意識しつつ、授業内容を練っていければと思う。