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防災EXPO in HAT神戸 報告書
2008年2月25日 KIDS(京大防災教育の会)

はじめに

 KIDS(京大防災教育の会)は、2008年最初の活動として、NPO法人プラス・アーツを初めとする方々が主催するイベント「防災EXPO」に参加し、活動を行った。これまでKIDSの国内活動としては、小学校での授業や地域住民に向けてのセミナーなどが主であり、このようなイベントの中での出展は初めての試みであり、新たな活動スタイルで本活動を行うこととなった。本報告書では、その「防災EXPO」での活動について報告する。

活動に至った経緯

 昨年10月、京都大学東南アジア研究所の浜元聡子氏より、NPO法人プラス・アーツ理事長の永田宏和氏をご紹介いただいた。その後永田氏に、このプラス・アーツ主催のイベント「防災EXPO」内の企画「イザ・カエルキャラバン」にて、子供達を主な対象とした体験型プログラムを出すという形での参加をご提案いただいた。この「イザ・カエルキャラバン」は、かえっこバザールと防災訓練を組み合わせた、楽しみながら防災の知恵や技を学ぶ体験型のプログラムである。このイベントに対し、KIDSとしても「子供達が楽しめる防災」をテーマとした、また大規模イベントであるという新たなスタイルでの活動の場として位置づけ、参加する運びとなった。

目的と活動の方向性

 「イザ・カエルキャラバン」はもともと、要らなくなったおもちゃなどを交換し、環境負荷の低減に寄与するかえっこバザールを元にしており、それと楽しみながら学べるような防災訓練を融合させたものとなっている。そこでKIDSとしても、参加者にイベントとして体験型のプログラムを楽しむ中で、地震や津波の発生するメカニズムを学び、地震防災に関心を少しでも持ってもらうことを目的とした。ここで、地震や津波のメカニズムを対象としたのは、同イベント会場内でのほかのプログラムの大半が対処法や備えに関するものであったこと、メカニズムの説明で用いる模造紙、インドネシアで行った劇のスタイルなどが、イベント向けの内容としてもアレンジできることなどを勘案したためである。

活動日時

  • 日時:2008年1月13日(日)・14日(月)(パネルの展示期間:1月9日~20日)
  • 場所:JICA兵庫2階体育館など

活動メンバー

堤内隆広、近藤竜平、中嶋仁美、原田昌、Iche、阪本真由美、古瀬由紀子

具体的な活動の内容

 今回の活動は、活動の方向性の項にもあるように、イベントの中で、体験型のプログラムを出すという形で行っている。そこで、これまで小学校の授業の枠の中で行ってきた授業を元に、「イベント向け」のものにアレンジする必要があった。また、イベントの中で「カエルポイント」というバザール用のポイントがあり、それを与えるシステムを組み込む必要があった。そこで、劇と展示パネルの内容からクイズを出題し、その点数に応じてカエルポイントをあげるというシステムをとった。

劇について

 今回はKIDSとして使える時間が20分に限られていたので、インドネシアで行ってきた劇の中より、メカニズムの説明に限定し、日本版にアレンジして行った。劇の内容を、活動風景を交えながら以下に紹介する。

 最初にMCのお姉さんが登場し、劇の概要を説明。同時にクイズを配布し、劇を見ながら答えてもらうことにした。次に劇のメンバーが登場。大学で地震や津波について学んでいるという大学生のお兄さんと、マスコットキャラ的存在のうし君。この後には白衣を着た博士も登場した。インドネシアではドラえもんが大人気なのでその着ぐるみを使っていたが、著作権等などの問題から、今回から使用を断念せざるを得なくなった背景がある。しかし、着ぐるみキャラがいることでアイスブレイキングが効果的に出来ると考えた。

 メカニズムの説明は、以下のような流れで行った。最初に、全体像を把握してもらうために地球全体の構造を説明した。地球を卵と比較することで、出来るだけわかりやすく、簡潔に地球の構造について説明した。右の写真は言葉がインドネシア語で記載されているが、当イベントでは日本語に修正したものを用いた。

 その後、プレート境界周辺を視点を移し、プレート境界型の地震を説明した。プレートの模型も用いて、子供達が視覚的に地震の起こり方を捉えられるように工夫した。また、インドネシアで教えなかった内容として、イベントが阪神大震災をまたぐ期間で会場が神戸であったこともあり、兵庫県南部地震の発生メカニズムである、直下型地震の説明もごく簡単にではあるが行った。

 最後に地震の発生から、津波の発生メカニズムを解説した。ここでも模型を用いて津波が陸地へ伝わっていくにつれて高くなっていく様子の再現を試みた。さらに、津波の高さ、速さについても説明し、早めの避難が必要であることを印象付けた。

 このような劇を、大学生とうし君の掛け合いの中で、そして随時博士が登場して大学生の説明を補足して、という流れで行った。

展示について

 約2週間に渡る防災EXPOの中で、イザ・カエルキャラバンのイベントの日以外にも、兵庫県国際交流会館にてパネルなどの展示を行うという形で参加した。展示したものは以下の通りである。

  • パネル
    • KIDSの紹介(誕生の経緯、活動、授業の特色・・・)
    • インドネシアでの活動(2007年度の活動より)
    • インドネシアという国について(文化、自然・・・)
    • 国内での活動(2007年度・輪島での防災ワークショップをピックアップ)
    • 展示する模型の説明用パネル
  • インドネシアでの活動で実際に使用した模造紙
  • 模型
    • プレートの模型
    • 津波伝播の模型
    • 液状化現象再現模型

(写真はイザ・カエルキャラバンの会場に移した時にとったもの)


クイズについて

 上にも書いたように、劇に参加してもらった子供達にクイズを解いてもらい、そのクイズの正答数に応じてカエルポイントをあげるというシステムにすることで、本イベントと融合させた。10問のうち7問が劇中から、残り3問がポスター展示の中から答えを探すというように、劇と展示の両方の内容から出題することで、両方に関心を持ってもらい、参加してもらうことを狙った。また、KIDSオリジナルのプレゼントとして、一人一人に手作りの賞状を渡した。


良かった点と反省点

 各パートごとに、以下のような意見が上がった。

展示

 良かった点として、写真をふんだんに使った展示で、視覚的に活動の様子を伝えられた点を挙げたい。予想以上に子供達の年齢が低く、展示内容はやや難しかったかもしれないが、大人の方々が予想以上に熱心に展示を見てくれていた。また、展示内容から答えを探すクイズもあったが、子供達と一緒にクイズの正解を探している光景が非常に印象的であった。

 反省点としては、展示スペースに対し、模造紙を1枚1枚展示するなど、やや間延びした感じになってしまった点が挙げられる。スペースをもっとうまく利用すれば、より盛りだくさんの内容を見せられたという感はある。また、「イザ・カエルキャラバン」のイベント当日以外の展示期間が平日であったため、KIDSメンバーがスタッフとしてつく事ができず、HIAへの来客の反応が見られず、交流が出来なかったのは残念であった。

 予想よりも子供達の年齢が低く、内容は少し難しいかなと感じたが、前の方に座った子供達を中心に、話はしっかり聞いてくれていた。全部の内容を一回の劇で覚えてくれる、というのはさすがに難しいとは思うが、少なくとも言葉がキーワードとしては残ったはず。また、問いかけに俊敏に反応している子供もいた。その問いかけを拾う姿勢を持って対話的に進められた部分もあったのは良かった。模型に関しては反応が薄かったのが気がかりではあったが、少なくともプレートの動きや津波が陸地に近づくにつれて高くなる様子を視覚的に捉えてもらう効果はあったのではないかと見る。

 反省点としては、前の方に座った子供達が積極的に発現してくれた半面、後ろの方に座った子供達が無反応であったのをフォローすることが出来なかった点が挙げられる。前の子供達の発言を拾うとどうしても受け答えが長くなり、後ろや端の方に座った子供達が途中で飽きている感があった。それに加え練習が不足していたこともあり、劇のテンポもあまりよくなかったように感じる。

 今後劇を行う際には、対象年齢を事前に把握し、同時に伝え方の幅を広げることが必要であると考える。また、模型に関しても、インドネシアでの授業時に比べると反応が薄い感は否めなかったので、見せ方の工夫やパフォーマンスが必要であると考える。さらに、時間設定をもう少しフレキシブルに出来るような劇の内容が必要であると感じた。

クイズ、アンケート

 イザ・カエルキャラバンのかえっこバザールと連動する部分であった。良かった点としては、まず問題の練り直しを通じ、劇や展示との関連性を深められた点が挙げられる。劇及び展示ポスター両方からバランス良く出題しており、劇、展示両方に来客を引きつけることの出来る内容になっていたように思う。また、問題が一部子供達には難しいかなと感じたが、親が予想以上に問題を熱心に解いてくれ、子供達に教えている光景が見られたのは非常に良かったと思う。また、劇を多くの人が見てくれたため、アンケートを通じて多くの人の声を聞けた点は良かった。

 反省点としては、クイズ、アンケートともに、最初の段階でもっと出題構成と目的を吟味すべきであったという点が挙げられる。クイズはあくまで子供達がポイントを得るための娯楽的なものなのか、それともそれを通じ習熟度を見るのか、といった点をメンバー内で共通の認識がないままにしてしまった感はある。また、アンケートも本番前の差し迫った時期に導入を決定しており、もう少し余裕を持って全体で話し合う時間があればよかった。

今後に向けて

 KIDSとしては、今回のイベントを通じ、改めて「子供達の関心を引き付ける」ためのアプローチの大切さを感じました。イベント向けの授業内容はこれまであまり考慮してこなかった部分であるので、今後もイベントや小学校での活動を広げ、教育内容の多様化を図り、活動の幅を広げて行きたいと考えています。具体的な内容では、大学生のサークルであるという特性上、メカニズムなどの科学的知識をいかに分かりやすく噛み砕いて教えるかにはこだわっていきたいと考えています。今回は時間の制約上メカニズムの説明を重点的に行いましたが、対処法などとのつながりも考えつつ、今後より良い表現方法を考えていけたらと思います。また、それとは別のアプローチとして、阪神大震災を経験したメンバーの経験談を教育内容にさらに生かしていきたいと考えています。