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「メリーの居る生活 一日目大幅修正版」(2007/07/17 (火) 18:13:15) の最新版変更点
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*メリーの居る生活 一日目大幅修正版
>作◆Rei..HLfH.
>[[メリーの居る生活 一日目]]の修正版
>
>カチ…カチカチッ…
>メリーさん の検索結果 約 294,000 件
>「…多いな、絞り込んでみるか」
>カタカタカタカタ…
>
>――――昨日、身に覚えの無い人物から突然電話が家にかかってきた。
>
>『はい、もしもし』
>『私メリーさん。今あなたの家に向かってるの。明日にはそっちに行くわ』
>『(……?)えっと、メリー…何だって?』
>『だから、私はメリー。あなたの家に向かってるわ。明日の夜には着くからね。それじゃ。 …ツーツーツー』
>『いや、だから…って、切れたか…』
>
>
>夕方の6時。
>もうすぐ日が暮れる。
>メリーさんなんて、小学校で流行って以来、耳にすることはなかった。
>直接本人から電話が来るとは、思いもよらなかったな。
>
>そんなわけで、暇つぶしも兼ねて僕はネットで「メリーさん」とやらを調べている。
>ザッと見ると、元ネタは都市伝説。
>電話をしながら近づいて行って最後は、
>『あなたの後ろにいるの』っていう展開が主流らしい。
>
>もっとも、その後の展開はお人形にされたり、意識不明の植物人間、行方不明、死亡。
>等等と、好き勝手な結末で締めくくられている。
>
>それじゃあ、ここにあるデータの情報源は誰からのものなのか。
>本人が無事な状態ではない以上、経緯や結末など知られないはずだろう。
>
>つまりは…。
>「…根の葉もない噂話をモチーフにした、いたずら電話だな」
>くだらない。
>
>調べている手を休め、大きく伸びをする。
>ふと窓から外を見て、いつの間にか日が落ちていたことに気が付いた。
>「晩飯の用意しなきゃな…」
>今日の晩飯は何にしよう。
>そんな平和な悩み事を解決するべく、
>目の前にある検索サイトを「メリーさん」から「献立」にして再検索した。
>
>プルルルルルルルルルル…プルルルルルルルル…
>「ん?」
>洋食の献立を見ている途中に、携帯が鳴り出した。
>登録された番号の着信は着歌が流れるから、すぐにわかる。
>
>「非通知…まさか…な」
>
>携帯電話の番号になんて、いたずらで掛かってくるわけがない。
>多分間違い電話辺りだろう。
>
>プルルルルルルルルル…プルルルルルルルルルルル…
>
>長いな。
>いたずらにしては長すぎる。
>間違い電話だったら、出てやらないとウザイ。
>「しかたない…か」
>
>ピ
>
>「…もしもし」
>「出るの遅いぞ、親友なら3コール以内に出るのが常識だ」
>「なんだ…俊二か」
>「なんだとはつれないな。誰かから電話でも待ってたのか?」
>「いや、その逆だ。…で、何で非通知で電話かけてきた」
>「うむ、悪いが、俺の携帯の番号教えてくれ」
>「…落としたのか?」
>「不覚だった」
>
>つまりこいつは、携帯落としたことに気付き、自分の携帯に電話しようと思ったが、番号が解らず、
>困り果てた挙句に、手帳に書いてあった僕の携帯の番号に電話をかけてきたらしい。
>
>「まったく、ちょっと待ってな」
>「すまん、出来るだけ急いでくれ」
>「わかってる。落ち着いて深呼吸でもしてろ」
>
>確かあいつ、メールアドレスに電話番号入れてたよな…あった。
>
>「よし、番号言うぞー。――――――――だ」
>「…うむ、助かった。礼は明日してやる。また―――――」
>「…………?」
>
>…まったく、慌てすぎて言葉が終わる前に受話器を置いたらしい。
>ため息をつきながら、僕も電話を切ろうとした…。
>「――――――――――――――…―」
>
>ん?
>
>「―――…―――…………――――……―」
>
>何だ?
>ツーツーツーとも言わないし、それに何かが聞こえた気がする。
>……携帯を耳に当てて、注意して聞いてみる。
>
>「―…――――ブツンッ…私メリーさん」
>「!?」
>
>慌てて耳を離す
>嘘だろ!?着信もしなかった!!
>携帯電話のディスプレイを見る。
>
>「非通知 通話時間2分15秒」
>
>…電話は切れてない。通話中に割り込んだ!?
>そんなこと出来るはずがない…。
>何者なんだ…。
>
>恐る恐る、僕は携帯に耳を当てた。
>「もしもーし?おかしいわね…」
>「もしもし…」
>「あ、繋がってた。まったく、反応ぐらいしなさいよ」
>「…あんたは一体何者なんだ?」
>「私はメリーさんよ。ちょうど今あなたの住んでる町に着いたところ」
>「…こっちに来るのか?」
>「そうよ」
>「何しに?」
>「解ってるんでしょ?あなたを殺しに行くの」
>
>血の気が引いて行くのが解った。
>ただの狂言かもしれない、ドッキリかもしれない。そう思いたかった。
>だが彼女の口からは一片の迷いもなかった。
>間違いなく殺しに来る…。
>
>「今あなたのかよってる学校の前を通ったわ。近くまで行ったらまた電話するから」
>
>ブツン…
>
>ツーツーツーツーツー…
>
>放心状態の中、今まさに一歩ずつ、彼女が近づいてくることだけは理解した。
>頭が真っ白になった。
>仕方ないだろ、いきなり自分を殺しに行くと予告電話が着たら、誰でもショックを受ける。
>何か対策を練らなきゃいけない。
>でも何も浮かばない。
>
>警察に電話しようか?
>相手にしてくれないか、間に合わない。
>
>もう、間に合わない。
>
>~~~~~♪~~~♪
>
>「!!」
>この着歌、俊二か。
>「もしもし?」
>「携帯見つかったぜ相棒!!」
>「…あ、ああ、よかったな」
>「…何かあったのか?」
>「……」
>「吹いたら消えそうな状態だな。とにかく話してみろ」
>「…分った。笑わないで聞いてくれ」
>
>僕は俊二に
>『メリーさんから妙な方法で電話が掛かってきた』
>『もうすぐ僕は殺されるかもしれない』
>と、簡潔に説明した。
>
>「簡単には信じられない話だな…」
>「…僕、どうすればいいんだろう」
>「その困りよう、信じた方がよさそうだな」
>「信じてくれるのか?」
>「俺は、お前がタチの悪い嘘をつく人間じゃないって知っている」
>「…ありがとう」
>「今から俺の言うとおりにするんだ、学校前を歩いてたなら時間はないぞ!」
>「わかった!」
>
>「まずは逃走経路の確保!お前の部屋は2階だから、屋根伝いに逃げれるだろ」
>「あぁ、少し暗いが大丈夫だ」
>「次は玄関から靴を持ってくるついでに、1階の玄関と部屋の窓の鍵を全部閉めろ!2階は後だ」
>「了解!」
>僕は階段を急いで下りて、リビングの窓を全部閉めてから玄関に走った。
>
>ガチャン
>
>「玄関の鍵は閉めた。次は?」
>「2階に戻るんだ。武器になる物は持つな!交戦するのは絶対に避けろ。逃げる事に全力を使え!」
>「よし!」
>俊二からの指示で、僕は素早く動く事が出来る。
>この電話さえあれば、俺は生き延びれるかもしれない。
>「それから――――――――――――……―」
>
>「…も、もしもし!?おい、俊二!!おい!!」
>嘘だろ!?電話が切れた!!
>しかも、このパターン…!!
>
>「――ブツン…私メリーさん」
>「!!…くそ!」
>時間切れか!
>「今あなたの家の前にいるの。玄関…開けてくれない?」
>「!?」
>玄関を見る。
>曇りガラス越しに、背の低いシルエットが見える。
>
>「嫌だ!!開けたら僕を殺すんだろ!?」
>「そうよ?だから早く開けてよ」
>何故だ…なんでこんなアッサリと言えるんだ…。
>「ねぇ…開けてよ…」
>今度は電話ではなく、玄関の扉越しから彼女の声が聞こえた。
>
>「――――――――!!」
>
>「う…うわあああああああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
>怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!
>殺される殺される殺される殺される殺される殺される!!
>僕は玄関のシルエットから必死に逃げた。
>
>階段を上りながら躓き、体を打ちつけながら、自分の部屋に駆け込んだ。
>ガチャガチャガチャ!!
>震える手で扉の鍵を閉めて、窓の鍵を閉めに走った。
>
>
>ガシャ!!カーテンを開け、窓の鍵を閉めたその時
>
>僕の心臓は止まりかけた。
>
>窓に映る僕の後ろに…僕では無い影がある…
>そこに映る影は、紛れも無く少女の姿だった。
>
>金色の巻き髪を左右に垂らし、
>烏のように黒いゴシックワンピースを身に纏っている。
>無表情だから解る、端整な顔立ちは逆に恐怖を覚える。
>そして彼女は格好に不釣合いなほど、大きなカマを細い腕で持っていた。否、肩にかけていた
>
>「あ…………あぁ………ッ!!」
>『そんな…、どうやって入ったんだ…』
>言葉さえ声に出せない。
>
>全身が完全に硬直していた。
>まるで時間が止まっているようだ。
>
>否、一つだけ、僕の中では動いている。
>高鳴る心臓。
>もうすぐ止まってしまう心臓。
>
>時間が止まった世界の中、彼女は動き始める。
>そして彼女は口を開いた―――――
>
>
>「私メリーさん。今あなたの後ろにいるの」
>その声と同時に時が動き始めた!!
>僕は後ろを振り向く、
>彼女は思いきり鎌を振りかぶり、僕目掛けて横薙ぎにした!!
>僕は殺されるのか…そう覚悟した。
>
>ビュン!!
>
>一瞬の出来事だった。
>僕は体勢を低くし、横から来る獲物を間一髪でかわした!!
>
>体が自然と動いていた。
>本能だろうか?自分でも驚くほどの敏捷性で鎌をかわすことが出来た。
>
>「なぜジッとしていないの?早く殺されてよ」
>「い…いやだ!!」
>彼女は鎌を持つ手に力を入れた。
>「……………ハッ!!」
>袈裟切りを横に飛びかわす。
>
>マンガで読んだ「自分より背丈の高い武器を扱うと動きが大ぶりになる」
>この知識は間違いではないらしい!
>
>避けつづける!!
>
>「タァッ!!」
>「………ッ!!」
>ドカン!!
>
>振り下ろされる鎌をかわし、窓を見る。
>窓から正反対の場所に移動してしまった。
>おまけに鍵まで掛けて、逃走経路を自分で潰した。
>
>くそ!!これじゃジリ貧だ!!
>
>「よそ見するなんて余裕ね!!」
>「うぉあああ!?」
>草を刈るように、鎌が足元を払いにきた!!
>
>とっさにジャンプして飛び越えた!!
>……が。
>
>「………フフ…」
>「な!?」
>メリーが不適に微笑んだ。
>しまった、フェイント!?
>
>すぐにメリーが、着地した僕の顔面に蹴りを加えてくる!!
>ガード…!!間にあわ……
>
>ドガッ!!
>「ぐ…かはッ…」
>僕は勢いよく壁に叩きつけられ、動けなくなってしまった。
>
>「ぐぐ…」
>「あっけないわね…。鎌の方に集中しすぎて私自身には注意しないからよ」
>「くそ…」
>「立たせないわ。ここまま死んでもらうわよ」
>…………ガタン…カチャ
>立ち上がろうとする僕の頬に、メリーは鎌の刃を当てた。
>冷たい刃が、動き回って熱った僕の体温を一気に冷ました。
>
>「もう、遊びはお終い…」
>その目は今まで見たことの無いような冷酷な目だった。
>手と足…全身の体の震えが止まらない。
>さっきまでとは違う恐怖…。
>さっきまで【死】の恐怖でいっぱいだったが、
>今は【メリー】に恐怖している自分がいる。
>
>年貢の納め時らしい。
>僕は死を覚悟していた。
>
>「それじゃ、行くわよ」
>「……………」
>
>彼女が鎌を振りかざした時。すべて終ったと思えた。
>僕は目を瞑り、震えながら鎌を振り下ろされるのを待った。
>
>「……………?」
>
>だが、 振り上げた鎌は僕に下ろされる事はなかった。
>恐る恐る目を開く。
>
>…また時間が止まった?、
>いや、僕の身体は震えたままだった。
>メリーの動きだけが止まっている。
>
>「……………」
>「……………」
>
>この沈黙は何?
>僕は『もしかしたら助かるかもしれない』という考えと『でも、覚悟だけはしておこう』という考えが頭を巡っていた。
>
>「ふぅ…」
>
>不意にメリーがため息をつき、構えを解いて鎌を横に置いた。
>
>「情けない…」
>同時に、メリーの口から何かが聞こえた。
>…情けない?
>
>「避けてる時は殺しがいあったけど…今のあんたは…」
>何が起きてるのか、よくわからない。
>「あなた!!」
>「はッ!!はいぃぃいぃ!!」
>「あなたみたいな臆病者を殺したら、私の名誉が傷つくわ!!もっと勇ましく大往生なさい!!」
>話が読めない。とりあえず反論してみる。
>「む…無茶苦茶言うなよ!!誰だって死にたk―――」
>「うるさい!!」
>反論不可ですか。
>「…いいわ、私が鍛えてあげるわ…フフフフフ」
>………何かおかしい。
>まさか…。
>
>「コホン!!」
>
>「私メリー。今日からあなたと一緒に居るわ」
>「質問」
>「却下よ」
>………待て。メリーが玄関に着た時より、思考が悪くなってる…。
>つまり、彼女は僕と暮らすってことか?
>
>「いい?今日から私があなたを鍛えてあげるわ」
>「……………」←却下されるので何も言わない。
>「いいわね?」
>「………………」←やっぱり何もいえない
>「そうと決まれば、よろしくね隆一」
>鎌を抱えた彼女…メリーはどこか楽しそうな笑顔でそう言った。
>
>こうして、僕とメリーの共同生活が始まった。
*メリーの居る生活 一日目大幅修正版
>作◆Rei..HLfH.
>[[メリーの居る生活 一日目]]の修正版
>カチ…カチカチッ…
>メリーさん の検索結果 約 294,000 件
>「…多いな、絞り込んでみるか」
>カタカタカタカタ…
>
>――――昨日、身に覚えの無い人物から突然電話が家にかかってきた。
>
>『はい、もしもし』
>『私メリーさん。今あなたの家に向かってるの。明日にはそっちに行くわ』
>『(……?)えっと、メリー…何だって?』
>『だから、私はメリー。あなたの家に向かってるわ。明日の夜には着くからね。それじゃ。 …ツーツーツー』
>『いや、だから…って、切れたか…』
>
>
>夕方の6時。
>もうすぐ日が暮れる。
>メリーさんなんて、小学校で流行って以来、耳にすることはなかった。
>直接本人から電話が来るとは、思いもよらなかったな。
>
>そんなわけで、暇つぶしも兼ねて僕はネットで「メリーさん」とやらを調べている。
>ザッと見ると、元ネタは都市伝説。
>電話をしながら近づいて行って最後は、
>『あなたの後ろにいるの』っていう展開が主流らしい。
>
>もっとも、その後の展開はお人形にされたり、意識不明の植物人間、行方不明、死亡。
>等等と、好き勝手な結末で締めくくられている。
>
>それじゃあ、ここにあるデータの情報源は誰からのものなのか。
>本人が無事な状態ではない以上、経緯や結末など知られないはずだろう。
>
>つまりは…。
>「…根の葉もない噂話をモチーフにした、いたずら電話だな」
>くだらない。
>
>調べている手を休め、大きく伸びをする。
>ふと窓から外を見て、いつの間にか日が落ちていたことに気が付いた。
>「晩飯の用意しなきゃな…」
>今日の晩飯は何にしよう。
>そんな平和な悩み事を解決するべく、
>目の前にある検索サイトを「メリーさん」から「献立」にして再検索した。
>
>プルルルルルルルルルル…プルルルルルルルル…
>「ん?」
>洋食の献立を見ている途中に、携帯が鳴り出した。
>登録された番号の着信は着歌が流れるから、すぐにわかる。
>
>「非通知…まさか…な」
>
>携帯電話の番号になんて、いたずらで掛かってくるわけがない。
>多分間違い電話辺りだろう。
>
>プルルルルルルルルル…プルルルルルルルルルルル…
>
>長いな。
>いたずらにしては長すぎる。
>間違い電話だったら、出てやらないとウザイ。
>「しかたない…か」
>
>ピ
>
>「…もしもし」
>「出るの遅いぞ、親友なら3コール以内に出るのが常識だ」
>「なんだ…俊二か」
>「なんだとはつれないな。誰かから電話でも待ってたのか?」
>「いや、その逆だ。…で、何で非通知で電話かけてきた」
>「うむ、悪いが、俺の携帯の番号教えてくれ」
>「…落としたのか?」
>「不覚だった」
>
>つまりこいつは、携帯落としたことに気付き、自分の携帯に電話しようと思ったが、番号が解らず、
>困り果てた挙句に、手帳に書いてあった僕の携帯の番号に電話をかけてきたらしい。
>
>「まったく、ちょっと待ってな」
>「すまん、出来るだけ急いでくれ」
>「わかってる。落ち着いて深呼吸でもしてろ」
>
>確かあいつ、メールアドレスに電話番号入れてたよな…あった。
>
>「よし、番号言うぞー。――――――――だ」
>「…うむ、助かった。礼は明日してやる。また―――――」
>「…………?」
>
>…まったく、慌てすぎて言葉が終わる前に受話器を置いたらしい。
>ため息をつきながら、僕も電話を切ろうとした…。
>「――――――――――――――…―」
>
>ん?
>
>「―――…―――…………――――……―」
>
>何だ?
>ツーツーツーとも言わないし、それに何かが聞こえた気がする。
>……携帯を耳に当てて、注意して聞いてみる。
>
>「―…――――ブツンッ…私メリーさん」
>「!?」
>
>慌てて耳を離す
>嘘だろ!?着信もしなかった!!
>携帯電話のディスプレイを見る。
>
>「非通知 通話時間2分15秒」
>
>…電話は切れてない。通話中に割り込んだ!?
>そんなこと出来るはずがない…。
>何者なんだ…。
>
>恐る恐る、僕は携帯に耳を当てた。
>「もしもーし?おかしいわね…」
>「もしもし…」
>「あ、繋がってた。まったく、反応ぐらいしなさいよ」
>「…あんたは一体何者なんだ?」
>「私はメリーさんよ。ちょうど今あなたの住んでる町に着いたところ」
>「…こっちに来るのか?」
>「そうよ」
>「何しに?」
>「解ってるんでしょ?あなたを殺しに行くの」
>
>血の気が引いて行くのが解った。
>ただの狂言かもしれない、ドッキリかもしれない。そう思いたかった。
>だが彼女の口からは一片の迷いもなかった。
>間違いなく殺しに来る…。
>
>「今あなたのかよってる学校の前を通ったわ。近くまで行ったらまた電話するから」
>
>ブツン…
>
>ツーツーツーツーツー…
>
>放心状態の中、今まさに一歩ずつ、彼女が近づいてくることだけは理解した。
>頭が真っ白になった。
>仕方ないだろ、いきなり自分を殺しに行くと予告電話が着たら、誰でもショックを受ける。
>何か対策を練らなきゃいけない。
>でも何も浮かばない。
>
>警察に電話しようか?
>相手にしてくれないか、間に合わない。
>
>もう、間に合わない。
>
>~~~~~♪~~~♪
>
>「!!」
>この着歌、俊二か。
>「もしもし?」
>「携帯見つかったぜ相棒!!」
>「…あ、ああ、よかったな」
>「…何かあったのか?」
>「……」
>「吹いたら消えそうな状態だな。とにかく話してみろ」
>「…分った。笑わないで聞いてくれ」
>
>僕は俊二に
>『メリーさんから妙な方法で電話が掛かってきた』
>『もうすぐ僕は殺されるかもしれない』
>と、簡潔に説明した。
>
>「簡単には信じられない話だな…」
>「…僕、どうすればいいんだろう」
>「その困りよう、信じた方がよさそうだな」
>「信じてくれるのか?」
>「俺は、お前がタチの悪い嘘をつく人間じゃないって知っている」
>「…ありがとう」
>「今から俺の言うとおりにするんだ、学校前を歩いてたなら時間はないぞ!」
>「わかった!」
>
>「まずは逃走経路の確保!お前の部屋は2階だから、屋根伝いに逃げれるだろ」
>「あぁ、少し暗いが大丈夫だ」
>「次は玄関から靴を持ってくるついでに、1階の玄関と部屋の窓の鍵を全部閉めろ!2階は後だ」
>「了解!」
>僕は階段を急いで下りて、リビングの窓を全部閉めてから玄関に走った。
>
>ガチャン
>
>「玄関の鍵は閉めた。次は?」
>「2階に戻るんだ。武器になる物は持つな!交戦するのは絶対に避けろ。逃げる事に全力を使え!」
>「よし!」
>俊二からの指示で、僕は素早く動く事が出来る。
>この電話さえあれば、俺は生き延びれるかもしれない。
>「それから――――――――――――……―」
>
>「…も、もしもし!?おい、俊二!!おい!!」
>嘘だろ!?電話が切れた!!
>しかも、このパターン…!!
>
>「――ブツン…私メリーさん」
>「!!…くそ!」
>時間切れか!
>「今あなたの家の前にいるの。玄関…開けてくれない?」
>「!?」
>玄関を見る。
>曇りガラス越しに、背の低いシルエットが見える。
>
>「嫌だ!!開けたら僕を殺すんだろ!?」
>「そうよ?だから早く開けてよ」
>何故だ…なんでこんなアッサリと言えるんだ…。
>「ねぇ…開けてよ…」
>今度は電話ではなく、玄関の扉越しから彼女の声が聞こえた。
>
>「――――――――!!」
>
>「う…うわあああああああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
>怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!
>殺される殺される殺される殺される殺される殺される!!
>僕は玄関のシルエットから必死に逃げた。
>
>階段を上りながら躓き、体を打ちつけながら、自分の部屋に駆け込んだ。
>ガチャガチャガチャ!!
>震える手で扉の鍵を閉めて、窓の鍵を閉めに走った。
>
>
>ガシャ!!カーテンを開け、窓の鍵を閉めたその時
>
>僕の心臓は止まりかけた。
>
>窓に映る僕の後ろに…僕では無い影がある…
>そこに映る影は、紛れも無く少女の姿だった。
>
>金色の巻き髪を左右に垂らし、
>烏のように黒いゴシックワンピースを身に纏っている。
>無表情だから解る、端整な顔立ちは逆に恐怖を覚える。
>そして彼女は格好に不釣合いなほど、大きなカマを細い腕で持っていた。否、肩にかけていた
>
>「あ…………あぁ………ッ!!」
>『そんな…、どうやって入ったんだ…』
>言葉さえ声に出せない。
>
>全身が完全に硬直していた。
>まるで時間が止まっているようだ。
>
>否、一つだけ、僕の中では動いている。
>高鳴る心臓。
>もうすぐ止まってしまう心臓。
>
>時間が止まった世界の中、彼女は動き始める。
>そして彼女は口を開いた―――――
>
>
>「私メリーさん。今あなたの後ろにいるの」
>その声と同時に時が動き始めた!!
>僕は後ろを振り向く、
>彼女は思いきり鎌を振りかぶり、僕目掛けて横薙ぎにした!!
>僕は殺されるのか…そう覚悟した。
>
>ビュン!!
>
>一瞬の出来事だった。
>僕は体勢を低くし、横から来る獲物を間一髪でかわした!!
>
>体が自然と動いていた。
>本能だろうか?自分でも驚くほどの敏捷性で鎌をかわすことが出来た。
>
>「なぜジッとしていないの?早く殺されてよ」
>「い…いやだ!!」
>彼女は鎌を持つ手に力を入れた。
>「……………ハッ!!」
>袈裟切りを横に飛びかわす。
>
>マンガで読んだ「自分より背丈の高い武器を扱うと動きが大ぶりになる」
>この知識は間違いではないらしい!
>
>避けつづける!!
>
>「タァッ!!」
>「………ッ!!」
>ドカン!!
>
>振り下ろされる鎌をかわし、窓を見る。
>窓から正反対の場所に移動してしまった。
>おまけに鍵まで掛けて、逃走経路を自分で潰した。
>
>くそ!!これじゃジリ貧だ!!
>
>「よそ見するなんて余裕ね!!」
>「うぉあああ!?」
>草を刈るように、鎌が足元を払いにきた!!
>
>とっさにジャンプして飛び越えた!!
>……が。
>
>「………フフ…」
>「な!?」
>メリーが不適に微笑んだ。
>しまった、フェイント!?
>
>すぐにメリーが、着地した僕の顔面に蹴りを加えてくる!!
>ガード…!!間にあわ……
>
>ドガッ!!
>「ぐ…かはッ…」
>僕は勢いよく壁に叩きつけられ、動けなくなってしまった。
>
>「ぐぐ…」
>「あっけないわね…。鎌の方に集中しすぎて私自身には注意しないからよ」
>「くそ…」
>「立たせないわ。ここまま死んでもらうわよ」
>…………ガタン…カチャ
>立ち上がろうとする僕の頬に、メリーは鎌の刃を当てた。
>冷たい刃が、動き回って熱った僕の体温を一気に冷ました。
>
>「もう、遊びはお終い…」
>その目は今まで見たことの無いような冷酷な目だった。
>手と足…全身の体の震えが止まらない。
>さっきまでとは違う恐怖…。
>さっきまで【死】の恐怖でいっぱいだったが、
>今は【メリー】に恐怖している自分がいる。
>
>年貢の納め時らしい。
>僕は死を覚悟していた。
>
>「それじゃ、行くわよ」
>「……………」
>
>彼女が鎌を振りかざした時。すべて終ったと思えた。
>僕は目を瞑り、震えながら鎌を振り下ろされるのを待った。
>
>「……………?」
>
>だが、 振り上げた鎌は僕に下ろされる事はなかった。
>恐る恐る目を開く。
>
>…また時間が止まった?、
>いや、僕の身体は震えたままだった。
>メリーの動きだけが止まっている。
>
>「……………」
>「……………」
>
>この沈黙は何?
>僕は『もしかしたら助かるかもしれない』という考えと『でも、覚悟だけはしておこう』という考えが頭を巡っていた。
>
>「ふぅ…」
>
>不意にメリーがため息をつき、構えを解いて鎌を横に置いた。
>
>「情けない…」
>同時に、メリーの口から何かが聞こえた。
>…情けない?
>
>「避けてる時は殺しがいあったけど…今のあんたは…」
>何が起きてるのか、よくわからない。
>「あなた!!」
>「はッ!!はいぃぃいぃ!!」
>「あなたみたいな臆病者を殺したら、私の名誉が傷つくわ!!もっと勇ましく大往生なさい!!」
>話が読めない。とりあえず反論してみる。
>「む…無茶苦茶言うなよ!!誰だって死にたk―――」
>「うるさい!!」
>反論不可ですか。
>「…いいわ、私が鍛えてあげるわ…フフフフフ」
>………何かおかしい。
>まさか…。
>
>「コホン!!」
>
>「私メリー。今日からあなたと一緒に居るわ」
>「質問」
>「却下よ」
>………待て。メリーが玄関に着た時より、思考が悪くなってる…。
>つまり、彼女は僕と暮らすってことか?
>
>「いい?今日から私があなたを鍛えてあげるわ」
>「……………」←却下されるので何も言わない。
>「いいわね?」
>「………………」←やっぱり何もいえない
>「そうと決まれば、よろしくね隆一」
>鎌を抱えた彼女…メリーはどこか楽しそうな笑顔でそう言った。
>
>こうして、僕とメリーの共同生活が始まった。
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