メリーさんと一緒!!(メリースレ5th47-69)
作:771 ◆gnkv6j0F..
「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの」
鳥遊 成海(たかなし なるみ)はそれまで、それなりの人生を送ってきた、と自負していた。
別に幸せ、という訳では無いが、特に不幸だとも思って来なかった。
特段変わったところも無い、平凡な人生だと、彼は思っていた。
だが、その日は明らかに異常だった。いつの間に、自分の後ろにその少女は立ったのだろうか。
数日前から、携帯に繰り返しかけられた少女からの電話。ただのイタズラ、都市伝説を模した幼稚な行為。そう思っていた。
だが現にこうして、流布した噂の通りに、その少女はやって来た。
耳に電話を当てたまま、成海は立っていた。まだ振り返ってはいないが、その気配は確固たるものとして背筋を舐ぶり、背面の皮膚一面を汗で覆わせたが、しかしそこを舐めずっていくものは冷たい。
鳥遊 成海(たかなし なるみ)はそれまで、それなりの人生を送ってきた、と自負していた。
別に幸せ、という訳では無いが、特に不幸だとも思って来なかった。
特段変わったところも無い、平凡な人生だと、彼は思っていた。
だが、その日は明らかに異常だった。いつの間に、自分の後ろにその少女は立ったのだろうか。
数日前から、携帯に繰り返しかけられた少女からの電話。ただのイタズラ、都市伝説を模した幼稚な行為。そう思っていた。
だが現にこうして、流布した噂の通りに、その少女はやって来た。
耳に電話を当てたまま、成海は立っていた。まだ振り返ってはいないが、その気配は確固たるものとして背筋を舐ぶり、背面の皮膚一面を汗で覆わせたが、しかしそこを舐めずっていくものは冷たい。
殺気――
漫画等でしか見た事の無い気配が、そこにはあった。
「ああ、これがそうなのか」、と納得させるだけの威圧感が、湧き出る水のように怒濤の勢いで迫り、しかし腐汁のようにずるりとした粘りと不快な感触を持って、背中から染み渡って来る。
成海はまず、恐怖で弛緩した体を動かす事に努めた。
耳に当てたままの携帯を離し、ゆっくりと、ゆっくりと腕を降ろす。
それから、音を立てんばかりに凝り固まった首を後ろに回しながら、極度の緊張からか既に鈍痛さえ覚え始めた膝を動かして、後ろを振り向く。
そして、「見てはいけない」と警鐘を鳴らす己が本能を抑えながら、閉じようとする瞼を必死に見開いて、そこにいる少女を、視界に収めた。
漫画等でしか見た事の無い気配が、そこにはあった。
「ああ、これがそうなのか」、と納得させるだけの威圧感が、湧き出る水のように怒濤の勢いで迫り、しかし腐汁のようにずるりとした粘りと不快な感触を持って、背中から染み渡って来る。
成海はまず、恐怖で弛緩した体を動かす事に努めた。
耳に当てたままの携帯を離し、ゆっくりと、ゆっくりと腕を降ろす。
それから、音を立てんばかりに凝り固まった首を後ろに回しながら、極度の緊張からか既に鈍痛さえ覚え始めた膝を動かして、後ろを振り向く。
そして、「見てはいけない」と警鐘を鳴らす己が本能を抑えながら、閉じようとする瞼を必死に見開いて、そこにいる少女を、視界に収めた。
「え・・・・・・」
そして、思わず声を漏らしてしまった。それと同時に、体を支配していた恐怖が一瞬で拭い取られるのを感じた。
何故なら、振り向いたそこに立っていた彼女が、あまりにも美しかったからだ。いや、可憐と言うべきだろうか?
大きな青い瞳とそう高くない背が創るは幼さ。それに反し、金に輝く長い髪と身を包む黒いドレスが作り出すは妖艶。
そして右手に携えられた、孤月を状の刃を持つ巨大な鎌は、日常から逸脱したものの象徴か。
三つの相反する要素。だが、それを一つにまとめて、なおかつそれらを美しさとして認知させるのは、彼女の表情故であろうか。
彼女は、ほとんどその顔に、感情を乗せてはいなかった。
そして、思わず声を漏らしてしまった。それと同時に、体を支配していた恐怖が一瞬で拭い取られるのを感じた。
何故なら、振り向いたそこに立っていた彼女が、あまりにも美しかったからだ。いや、可憐と言うべきだろうか?
大きな青い瞳とそう高くない背が創るは幼さ。それに反し、金に輝く長い髪と身を包む黒いドレスが作り出すは妖艶。
そして右手に携えられた、孤月を状の刃を持つ巨大な鎌は、日常から逸脱したものの象徴か。
三つの相反する要素。だが、それを一つにまとめて、なおかつそれらを美しさとして認知させるのは、彼女の表情故であろうか。
彼女は、ほとんどその顔に、感情を乗せてはいなかった。
だが、僅かにそこから滲み出るのは――
「やっと、振り向いたの」
少女が、口を開いた。その声は、やはり感情を乗せていなかったが、しかし透き通った、心地のよい声色だった。
「あなたには、何も分からないかも知れないけど、死んでもらうの」
彼女は、右手の大鎌を構えた。
「・・・・・・おい」
成海は口を開いた。
「お前、マジで俺を殺すの?」
「・・・・・・、うん」
小さく、彼女は頷いた。
「・・・だったら、」
成海は、すっ、と彼女の顔に人差し指を向けた。
「何で、そんな悲しそうな顔してんだよ?」
「やっと、振り向いたの」
少女が、口を開いた。その声は、やはり感情を乗せていなかったが、しかし透き通った、心地のよい声色だった。
「あなたには、何も分からないかも知れないけど、死んでもらうの」
彼女は、右手の大鎌を構えた。
「・・・・・・おい」
成海は口を開いた。
「お前、マジで俺を殺すの?」
「・・・・・・、うん」
小さく、彼女は頷いた。
「・・・だったら、」
成海は、すっ、と彼女の顔に人差し指を向けた。
「何で、そんな悲しそうな顔してんだよ?」
そう言われて、彼女の瞼がぴくりと動いた。
「・・・・・・思ってない」
「けっ、嘘つけ」
吐き捨てるようにして成海が言った。
「何か知らねーけどよ、無性にムカついてきやがったぜ」
成海はがりがりと頭を掻き毟った。
彼の中に今、渦巻いているのはただ単純な怒り。
「手前、どうしても俺を殺すっての?」
「・・・・・・」
少女は、黙って頷いた。
「だったらよ・・・・・・」
成海は再び、少女に向けて人差し指を突出した。
「手前にこんな事させてる奴、ここに連れて来い」
「・・・・・・思ってない」
「けっ、嘘つけ」
吐き捨てるようにして成海が言った。
「何か知らねーけどよ、無性にムカついてきやがったぜ」
成海はがりがりと頭を掻き毟った。
彼の中に今、渦巻いているのはただ単純な怒り。
「手前、どうしても俺を殺すっての?」
「・・・・・・」
少女は、黙って頷いた。
「だったらよ・・・・・・」
成海は再び、少女に向けて人差し指を突出した。
「手前にこんな事させてる奴、ここに連れて来い」
「・・・・・・え?」
少女は驚いたのか、ぽかんと口を開いた。
「手前は他人をぶっ殺す時に泣いてやがる。それは、本当は殺しなんかやりたくねえ、って証拠。だったら、無理矢理やらされてるに決まってる。だったら俺がそいつを殴って、殺しを止めさせてやるって言ってんの」
少女は暫く唖然とした様子だったが、やがてきっ、と成海を睨み付けた。
「何を言ってるの? これは、私が自分で勝手にやって来た事。誰かにやらされてなんかない、私がやりたいと思ってやってる事!!」
始めは落ち着いた口調だったが、最後には彼女は激昂していた。
少女は驚いたのか、ぽかんと口を開いた。
「手前は他人をぶっ殺す時に泣いてやがる。それは、本当は殺しなんかやりたくねえ、って証拠。だったら、無理矢理やらされてるに決まってる。だったら俺がそいつを殴って、殺しを止めさせてやるって言ってんの」
少女は暫く唖然とした様子だったが、やがてきっ、と成海を睨み付けた。
「何を言ってるの? これは、私が自分で勝手にやって来た事。誰かにやらされてなんかない、私がやりたいと思ってやってる事!!」
始めは落ち着いた口調だったが、最後には彼女は激昂していた。
「誰かにやらされてるなら、とっくに自分で止めてるに決まってる・・・・・・止めたくても止められないの!!」
「だったら!!」
成海も、彼女を押す程の勢いで叫んだ。
「俺が止めさせてやる!! 俺が止めてやる!!」
「出来る訳ない!!」
「出来る!! やってやる!! やってみせる!!」
一瞬の、静寂があった。
「・・・・・・何で?」
彼女がぽつりと漏らした。
「何で、見ず知らずの私の為にそこまで言ってくれるの?」
彼女のその問いに、成海は意外な反応を見せた。
「はぁ? 何言ってんの、手前」
彼は首を傾げて見せた。
「だったら!!」
成海も、彼女を押す程の勢いで叫んだ。
「俺が止めさせてやる!! 俺が止めてやる!!」
「出来る訳ない!!」
「出来る!! やってやる!! やってみせる!!」
一瞬の、静寂があった。
「・・・・・・何で?」
彼女がぽつりと漏らした。
「何で、見ず知らずの私の為にそこまで言ってくれるの?」
彼女のその問いに、成海は意外な反応を見せた。
「はぁ? 何言ってんの、手前」
彼は首を傾げて見せた。
「別に、手前の為に言ってんじゃねーよ。これは、俺自身の為だ」
成海は、自分の喉元に手を当てた。
「気に入らねー事をそのままにしとくと、ここになんか詰まるような気がして嫌なんだよ。嫌で嫌でたまらないんだよ。これは俺の為にやってんだ。だから、お前が気に病む必要はねーよ」
喉元を擦りながら、成海は言った。
「で、でも」
彼女は尚も食い下がる。
「私は、人殺し・・・・・・」
「だったら何だよ」
成海は、それを一言で切り捨てた。
「お前は誰も殺したくないって、思ってる。だったら、それが出来るようになるのが、死んだ奴に対して、やってやれる事なんじゃね? つーか、やらなきゃならない事じゃね? 責任持ってちゃんとさ」
成海は、自分の喉元に手を当てた。
「気に入らねー事をそのままにしとくと、ここになんか詰まるような気がして嫌なんだよ。嫌で嫌でたまらないんだよ。これは俺の為にやってんだ。だから、お前が気に病む必要はねーよ」
喉元を擦りながら、成海は言った。
「で、でも」
彼女は尚も食い下がる。
「私は、人殺し・・・・・・」
「だったら何だよ」
成海は、それを一言で切り捨てた。
「お前は誰も殺したくないって、思ってる。だったら、それが出来るようになるのが、死んだ奴に対して、やってやれる事なんじゃね? つーか、やらなきゃならない事じゃね? 責任持ってちゃんとさ」
その時、彼女は泣いていた。
彼の事を優しい人だ、と思った。
「ねえ」
「ん?」
「これから、一緒にいてくれる?」
「お前がそうして欲しいなら」
「私、人を・・・・・・」
「そんなの、俺は気にしない」
成海は、にかっと笑って見せた。
「だから、右手の鎌は置いてくれよ、メリーさん」
彼の事を優しい人だ、と思った。
「ねえ」
「ん?」
「これから、一緒にいてくれる?」
「お前がそうして欲しいなら」
「私、人を・・・・・・」
「そんなの、俺は気にしない」
成海は、にかっと笑って見せた。
「だから、右手の鎌は置いてくれよ、メリーさん」
「・・・・・・ん、お」
成海は携帯のアラームで目を覚ました。
ベッドの上で大きく伸びをすると、部屋のカーテンを開けた。
「・・・・・・うん、今日も清々しい朝だ」
実に晴々とした顔でそう言ったが、携帯のアラーム音が「歌舞伎町の女王」で、果たして本当に清々しく目覚められるのだろうか。
暫く外を眺めた後、ベッドを振り返る。
そこでは、金髪の少女が静かに寝息を立てている。
その無邪気な寝顔に、成海の顔が思わず弛む。
成海の元にメリーがやって来てから数日。
元々一人暮らしの成海に、彼女を受け入れない理由は無かった。
「おーい・・・・・・メリー・・・・・・朝だよ・・・・・・」
そろそろと足音を忍ばせながら、成海はメリーの横に歩み寄った。
「朝ですよー・・・・・・起きてくださーい・・・・・・」
言葉でこそ彼女を起こしているが、その声量は余りにも小さい。
彼女が静かな呼吸で、ゆっくりと胸を上下させているのを確認すると成海は、そっと、メリーの頬を指で押した。
成海は携帯のアラームで目を覚ました。
ベッドの上で大きく伸びをすると、部屋のカーテンを開けた。
「・・・・・・うん、今日も清々しい朝だ」
実に晴々とした顔でそう言ったが、携帯のアラーム音が「歌舞伎町の女王」で、果たして本当に清々しく目覚められるのだろうか。
暫く外を眺めた後、ベッドを振り返る。
そこでは、金髪の少女が静かに寝息を立てている。
その無邪気な寝顔に、成海の顔が思わず弛む。
成海の元にメリーがやって来てから数日。
元々一人暮らしの成海に、彼女を受け入れない理由は無かった。
「おーい・・・・・・メリー・・・・・・朝だよ・・・・・・」
そろそろと足音を忍ばせながら、成海はメリーの横に歩み寄った。
「朝ですよー・・・・・・起きてくださーい・・・・・・」
言葉でこそ彼女を起こしているが、その声量は余りにも小さい。
彼女が静かな呼吸で、ゆっくりと胸を上下させているのを確認すると成海は、そっと、メリーの頬を指で押した。
むにっ。
ふっくらとした、柔らかな頬の感触が、指先から伝わってくる。
ただ、指先から彼女の温もり、という奴は伝わって来ない。
それはやはり、彼女が人間では無く、妖怪や幽霊と言った存在だからだろうか。
でも、
「・・・・・・へへっ」
込み上げてくる笑みを、彼は抑える事が出来なかった。
「・・・・・・かーわいいよなぁ」
ぽつりと、彼は漏らした。
成海はもう、メリーが可愛くて可愛くて仕方が無かった。
その幼さの残る美貌の前に、彼女が何者か、と言う事はほんの小さな問題でしかなかった。
と、言うか、成海はあまり細かい事は気にしない、出来ない人間だった。
そして、そんな可愛らしい少女が無防備な状態にあれば、多少のちょっかいを出したくなるのが、男の幼心と言う奴では無いだろうか?
ふっくらとした、柔らかな頬の感触が、指先から伝わってくる。
ただ、指先から彼女の温もり、という奴は伝わって来ない。
それはやはり、彼女が人間では無く、妖怪や幽霊と言った存在だからだろうか。
でも、
「・・・・・・へへっ」
込み上げてくる笑みを、彼は抑える事が出来なかった。
「・・・・・・かーわいいよなぁ」
ぽつりと、彼は漏らした。
成海はもう、メリーが可愛くて可愛くて仕方が無かった。
その幼さの残る美貌の前に、彼女が何者か、と言う事はほんの小さな問題でしかなかった。
と、言うか、成海はあまり細かい事は気にしない、出来ない人間だった。
そして、そんな可愛らしい少女が無防備な状態にあれば、多少のちょっかいを出したくなるのが、男の幼心と言う奴では無いだろうか?
「・・・・・・へへー」
成海は続いて二回、頬を押してみた。
むにむにっ。
「・・・・・・んんっ」
ぱしっ、と成海の手を払い除けて、それでも目を覚ます事は無く、メリーは寝返りをうった。
「っ~~~!!」
成海は笑いを堪えるのに必死だった。
自分の太腿をつねって、吹き出しそうになるのを耐えた。
笑いが治まると、彼は更なるイタズラを思い付いた。
そっと、そうっとメリーの耳元に口を寄せると、ふぅ~、と優しく息を吹き掛けた。
「やっ、んっ・・・・・・」
ぴくん、とメリーが身を震わせた。
成海は続いて二回、頬を押してみた。
むにむにっ。
「・・・・・・んんっ」
ぱしっ、と成海の手を払い除けて、それでも目を覚ます事は無く、メリーは寝返りをうった。
「っ~~~!!」
成海は笑いを堪えるのに必死だった。
自分の太腿をつねって、吹き出しそうになるのを耐えた。
笑いが治まると、彼は更なるイタズラを思い付いた。
そっと、そうっとメリーの耳元に口を寄せると、ふぅ~、と優しく息を吹き掛けた。
「やっ、んっ・・・・・・」
ぴくん、とメリーが身を震わせた。
・・・・・あれ?
成海は眉を潜めた。もう一度、息を吹き掛けてみる。
「ふあっ・・・・・・やあ、あ・・・・・・んっ・・・・・・」
頬を僅かに紅潮させて、少女は身を捩り、喘ぐ。
艶めかしさと言うか、そう、言うなれば「女性」を感じさせるようなものを振り撒きながら。
成海は首を傾げた。
これは自分が心のどこかで期待したものとは違う。しかし――
「これはこれで・・・・・・」
良いんじゃなーい?
成海は眉を潜めた。もう一度、息を吹き掛けてみる。
「ふあっ・・・・・・やあ、あ・・・・・・んっ・・・・・・」
頬を僅かに紅潮させて、少女は身を捩り、喘ぐ。
艶めかしさと言うか、そう、言うなれば「女性」を感じさせるようなものを振り撒きながら。
成海は首を傾げた。
これは自分が心のどこかで期待したものとは違う。しかし――
「これはこれで・・・・・・」
良いんじゃなーい?
つい先程まで彼がその内に抱いていたものは幼心。
しかしそれは、今やなんぞ別の黒々とした物へとメタモルフォーゼ、トランスフォーム、六神合体していた。
「も、もう一回だけ・・・・・・」
初めてエロ本を見た中学生のように胸を高鳴らせながら、成海は三度、メリーの耳に己の口をちかづけた。
その時、
「ん・・・・・・う・・・・・・」
手の甲でゴシゴシと目を擦りながら、メリーは身を起こした。
「・・・・・・おはよう、成海くん」
慌てて飛び退いて、足首を捻った成海に、彼女は会釈をした。
しかしそれは、今やなんぞ別の黒々とした物へとメタモルフォーゼ、トランスフォーム、六神合体していた。
「も、もう一回だけ・・・・・・」
初めてエロ本を見た中学生のように胸を高鳴らせながら、成海は三度、メリーの耳に己の口をちかづけた。
その時、
「ん・・・・・・う・・・・・・」
手の甲でゴシゴシと目を擦りながら、メリーは身を起こした。
「・・・・・・おはよう、成海くん」
慌てて飛び退いて、足首を捻った成海に、彼女は会釈をした。
「あのね、成海くん」
サクサク、と朝食の食パンを囓りながら、メリーが口を開いた。
「ん? なんだ?」
「あのね、私、変な夢を見たの」
びしっ。
一瞬。一瞬だけ。成実の動きがカチンコチンに固まった。
「へ、へえぇえ。どど、どんな夢だよ? おぉ俺に話してみろよ?」
平然を装って、しかし全然誤魔化せて無い態度で成海は聞き返した。
「えっとね」
そんな成海の様子を気にするでも無く、メリーは答えた。
「ネズミにね、大きく作りすぎちゃった人形の耳を囓ってってお願いしたらね、私の耳に噛み付いてきたの」
「・・・・・・え、ドラ○もん?」
サクサク、と朝食の食パンを囓りながら、メリーが口を開いた。
「ん? なんだ?」
「あのね、私、変な夢を見たの」
びしっ。
一瞬。一瞬だけ。成実の動きがカチンコチンに固まった。
「へ、へえぇえ。どど、どんな夢だよ? おぉ俺に話してみろよ?」
平然を装って、しかし全然誤魔化せて無い態度で成海は聞き返した。
「えっとね」
そんな成海の様子を気にするでも無く、メリーは答えた。
「ネズミにね、大きく作りすぎちゃった人形の耳を囓ってってお願いしたらね、私の耳に噛み付いてきたの」
「・・・・・・え、ドラ○もん?」
―“into infernal days” closed―
コメント
- 映画「メリーさんの電話」 三原光尋監督 出演:紗綾、長澤奈央、上杉奈央、安岡あゆみ、土井玲奈、麻倉みな、沙倉しずか 他 -- saaya_holic (2010-05-25 22:01:33)