メリーの居る生活 一日目
2スレ目の>>592-605までのSS(修正版)
作:◆Rei..HLfH. ID:QzFH+bxJ
昨日、聞かない声の女の子から電話がかかってきた。
『はいもしもし』
『私メリーさん。今あなたの家に向かってるの。明日の夜にはそちらに行くわ』
『え?はい?えっとどちら様で?』
『だから、私はメリーさん。とにかく明日夜には着くからね』(プツ…ピーピーピー
『いや、だからっ…て、…切れちゃった』
もうすぐ日が暮れる。
メリーさんなんて、小学校以来耳にしていなかったが…
直接本人から電話が来るとは思いもよらなかった。
…メリーさんってやっぱり、あの【メリーさん】なのかな…
ちょっと調べてみよう…(カチャカチャカチャカチ
都市伝説の一つか…段々近づいてきて…
メリーさんが後ろに着たら………背後から殺される!?どうしよう、死にたくない!!
えぇっと、どうすればいい…。
119番110番?ダメだ、アテにされない。
解決法は!?(カチャカチャカチャ…
ダメだ!!載ってない…当たり前だ、都市伝説で解決策なんか…
「………ップ、アハハハハハ!!」
…何やってるんだ僕は。都市伝説なら殺されるはず無いじゃないか。
所詮誰かのイタズラだ、多分クラスの奴の仕業だろう。
<トゥルルルルルルルル…>
電話だ。(ガチャ
「はい、もしもし」
「よう、友よ」
「あぁ、お前か。どうしたこんな夜分に」
「ちょっと気になってな。一昨日、お前山崎に何されたんだ?」
「え?あぁ、別に大した事されてねぇよ?」
「あんまり酷いようだったら先生に言った方がいいぜ」
「でもいいやつなんだぜ?お前も知ってるだろ?」
「知るか、あんなやt…………ブー」
「?どうした?俊二?もしもーし!!」
「(ブツンッ!!)……私メリーさん」
「う…うわぁ!!」
僕は受話器を投げた
震える手で床に転がった受話器を拾う
「も…もしもし…?」
「私メリーさん。今あなたの住んでる町に着いたわ」
「き…君は…誰なんだ?」
「私はメリーさん」
「ど…どうせ頼まれて僕を脅してるだ…だけだろ!!」
「?何言っているの?まあ良いわ、今あなたの通ってる学校の前を過ぎたわ」
「ぼ…僕をどうするつもりなんだ!?」
「解ってるんでしょ?あなたを殺しに行くの」
血の気が引いて行くのが解った。
ただの狂言かもしれない、ドッキリかもしれない。そう思いたかった。
だが彼女の口からは迷いの一欠けらもなかった。
間違いなく殺しに来る…
「あなたの家の前に着いたら、また連絡するわ」
今の僕にはそんな言葉すら耳に入らなかった。
「おーい!!隆一聞こえるかー!!」
親友の声に僕は我を取り戻した。
「あ!!もしもし?俊二!?」
「おぉ、やっと繋がったか」
「いっ今メリーさんが電話で今学校の前を通って俺を殺しに、で、また電話するって!!」
「?大丈夫か?なんか錯乱してるみたいだが」
いくら親友でもメリーさんなんて信じてくれるはずが無い。
だがそんな事考えてる余裕も無い。
とにかく自分が殺されるかもしれない、と言う事だけでも伝えたかった。
「なるほど。解った」
「え!?信じてくれるのか?」
「お前の慌てぶりでわかる。とりあえず信じてやる」
「じゃあ…俺はどうすればいい?」
錯乱してては良い案が出るわけも無く、親友の指示に従う事しか出来ない。
「まずは?」
「…ち、時間が足りないな。恐らく今お前の家の近くまで来てるだろう」
「え!?」
「とにかく扉・窓全部に鍵をかけるんだ!!急げ!!」
「わかった!!」
「次に武器にn……………ブー」
「!?」
1階の鍵を全部閉めた所で、親友の声…僕の頼りの声が途絶え…
彼女から声が聞こえた
「(ブツンッ!!)私メリーさん。今あなたの家の前にいるの。開けてくれない?」
とうとう来てしまった…
「ダッ…ダメだ!!開けたら殺すんだろ!!」
「そうよ?だから早く開けてよ」
何故だ…なんでこんなアッサリと言えるんだ…
「ねぇ…開けてよ…」
玄関の扉越しから彼女の声が聞こえた
絶対にヤバイ
僕にわずかだけ残された理性が、かつて無い恐怖を感じ取った
「う…うわあああああぁぁぁぁぁぁ!!」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!
殺される殺される殺される殺される!!
僕の思考回路は一瞬にして弾けた。
僕は一目散に2階の自分の部屋に駆け込んだ!!
扉の鍵を閉め、向いの窓を閉めに走った。
ガシャ!!カーテンを開け、窓の鍵を閉めようとした時
僕の心臓は止まりかけた。
窓に映る僕の後ろ…僕では無い影がある…
そこに映る影は、紛れも無く少女の姿だった。
16歳前後だろうか?
髪は縦ロール、色は金
服は…ワンピースだろうか、
端整な顔立ちは逆に相手に恐怖を与える。
彼女は格好に不釣合いな、とてつもなく大きなカマを細い腕で持っていた。否、肩にかけていた。
時間が遅く感じられた。
実際にこの部屋だけ時間が止まっているのかもしれない。
音という音が聞こえない。
聞こえるのは自分の心臓の鼓動。
次の瞬間には聞こえなくなってしまう音だった。
そして彼女は口を開いた―――――
「私メリーさん。今あなたの後ろにいるの」
その声と同時に時が動き始めた!!
僕は殺されるのか…そう覚悟した。
彼女は思いきりカマを振りかぶり、僕目掛けて横薙ぎにした!!
一瞬の出来事だった。
僕は体勢を低くし、横から来る獲物を間一髪でかわした。
直感だった。
《生きれる!!》
なぜそう思ったかは解らない。
だが自分より背丈の高い武器を扱うと動きが大ぶりになる。
マンガかなにかで学んだ事が今僕に生き残る手段を与えた。
避けつづける!!
「なぜジッとしていないの?早く殺されてよ」
「い…いやだ!!」
彼女はカマを持つ手に力を入れた
「……………ハッ!!」
袈裟切りを横に飛びかわす
ギリギリ避けれても、恐ろしい物は恐ろしい。
少しでも油断したら、即断首だろう。
徐々に疲れてきた僕を、彼女は容赦無く攻撃する。
だんだん限界に近づいてきた。
フラフラになっていた僕は、とうとう足を捻ってしりもちをついてしまった!!
顔の横をカマが通る。
頬に軽い痛みと生暖かい血が垂れるのが解った。
「ハァッハァッハァッ…!!くそ…」
しりもちついている僕を彼女は静かに見ている。
「もう、遊びはお終い…」
その目は今まで見たことの無いような冷酷な目だった。
手と足…全身の体の震えが止まらない。
さっきまでとは違う恐怖…
さっきまで【死】の恐怖でいっぱいだったが、
今は【メリーさん】に恐怖している自分がいる。
僕は死を覚悟していた。
彼女がカマを振りかざした時。すべて終ったと思えた。
だが、 振り上げたカマは僕に下ろされる事はなかった。
…また時間が止まった…否、僕の身体は震えたままだった。
メリーさんの動きだけが止まっている。
…僕には、彼女が何かを考えてるように見えた。
「情けない…」
刹那、彼女の口から何かが聞こえた。
…情けない?
「避けてる時は殺しがいあったけど…はぁ…」
…僕の事をバカにしているようだ…
「あなた!!」
「はッ!!はいぃぃいぃ!!」
「あなたみたいな臆病者を殺したら、私の名誉が傷つくわ!!もっと勇ましく大往生なさい!!」
話が読めない。とりあえず反論してみる。
「む…無茶苦茶言うなよ!!」
「お黙りなさい!!」
反論不可ですか。
「…いいわ、私が鍛えてあげるわ…フフフフフ」
………何かおかしい
まさか…
「コホン!!」
「私メリー。今日からあなたに憑くわ」
「質問」
「却下よ」
………待て…。メリーが玄関に着た時より、思考が悪くなってる…。
つまり、彼女は僕にとり憑くってことか?
「いい?今日から私があなたを鍛えてあげるわ」
「……………」←却下されるので何も言わない
「いいわね?」
「………………」←(ry
「そうと決まれば、よろしくね隆一」
カマを抱えた彼女…メリーはどこか楽しそうな笑顔でそう言った。
こうして、僕とメリーの共同生活が始まった
拍手っぽいもの(感想やら)
- ウケル -- ちこ (2007-11-07 17:12:29)