MEIKO シナリオ:終章B

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;<背景:黒,独白モード> くらいへや うたえない うたえなくなった…また だれかがなにかいう きこえない きこえなくなった せんぱいにおしえてもらったらよかった、くちびる…よみかた せんぱい きいてほしい ききたい せんぱい、きょく ききた―― A Fairy Tale in the Small Bar 終章『―Serenade―』 ;<ウィンドウモード> ;<背景:店内, 立ち絵:オーナー> あれから1週間が過ぎた。 【オーナー】 「カルボナーラ上がったわよ~」 【主人公】 「はいっ!2番のオーダー置いときます」 【オーナー】 「りょーかーい」 ;<立ち絵消える> オーナーは俺を責めなかった。 責められても仕方ないのに。 あいつを止めることさえしなかったのに。 ただ、大丈夫かと聞かれただけだった。 【佐々木】 「兄ちゃん、奥で客が呼んでるぜっ」 【主人公】 「え?あ、すいませんっ」 ;<暗転> ピアノを見るのがイヤになった。 ほとんど無意識に視界から外した。 結果として、店の奥の客に気づきにくくなっている。 仕事に支障が出るのはダメだよなぁ…。 あいつがいなくなったあとで客が減ってるから なんとか店が回ってるけど 前みたいに働けていない。 ……… ;<背景:店内,立ち絵:オーナー> 【オーナー】 「はい、ジンジャエール。あっちのカウンターのお客さん」 【主人公】 「はい」 ;<立ち絵消える> ……… ;<立ち絵:MEIKO(私服;ぼやけてたり?)> 【主人公】 「っ!?」 ;<立ち絵消える> 【客】 「どうかしました?」 【主人公】 「…いえ、なんでもありません。こちらジンジャエールです」 【客】 「どもー」 気のせいだった。 ダメだな…集中しないと…。 【佐々木】 「兄ちゃん」 【主人公】 「さっきは、ありがとうございました」 【佐々木】 「いやまぁ、それはいいんだけどよ。ここ何日かピアノ弾いてねぇだろ?」 【主人公】 「あ…あぁ、ちょろっと指、ケガしちゃって」 【佐々木】 「…そうかい」 【主人公】 「はい」 ケガをした。それがホントだった。 あいつがいなくなったあと、ちょっとしたことで指を切った。 でも、昔だったら、ヤケドしようが、突き指だろうが ピアノを弾いていた。 それしかなかったから。 こんなに長い時間ピアノに触れてないのは、あのとき以来だ。 【佐々木】 「もうケガ治ってんだろ?」 【主人公】 「…まぁ」 【佐々木】 「じゃさ、一曲頼むわ。いつものやつ」 【主人公】 「それは…」 【佐々木】 「いや、聞きてぇんだって。他の簡単なやつでもいいからよぉ。  兄ちゃんのピアノがないと、なんかしっくり来ねぇっつーか」 【主人公】 「…わかりました」 ;<背景:店内(ピアノ?)> ピアノの前に座る。 ただ弾くだけ。失望されてもかまわない。 鍵盤に指を落としていけばいいだけ。 簡単だ…いつもどおり… いつもどおり… ;<背景:CG03(歌うMEIKO,ぼやけてる?霞がかかったような?)> え… まさか… 【主人公】 「めいっ」 ;<背景:店内> 客が一斉に驚いてこっちを向いていた。 …自分のした事に気づく。 演奏中に立ち上がって、鍵盤に指を叩きつけていたらしい…しかも思いっきり。 【佐々木】 「大丈夫か?兄ちゃんっ」 【主人公】 「え?あ…すいません。なんでもありません。続けます」 【佐々木】 「あ、いや、いーよ。ほんきで調子わりぃみたいだし」 【主人公】 「…すいません」 ;<暗転> 幻は消えていた。 幻でもいいから、見ていたかった。 ……… 【オーナー】 「ちょっと買い出し行ってきてくんない?」 ;<背景:商店街> 昨晩の粗相のペナルティとして、オーナー命令で 米(10キロ)…なかなか腰にクる重量だ。 ふふっ…店までの距離がこんなに遠いとは… そういえば、あいつと最初に会ったのって ;<暗転> ;<以下セピアな感じ> ;<背景:商店街,立ち絵:MEIKO(私服)> 【主人公】 「わっ!」 【MEIKO】 「…!」 【主人公】 「…すいません」 【MEIKO】 「………」 【主人公】 「大丈夫ですか?」 【MEIKO】 「………」 【主人公】 「ケガとか」 【MEIKO】 「………」 ;<暗転> 最初は愛想のない女とか思ってたけど… ;<背景:商店街,立ち絵:MEIKO(私服)> 【MEIKO】 『あのあのっ!』 【主人公】 「だから、別にいいってっ!」 【MEIKO】 『えっと…すいません…その…お店………通り過ぎてて  あのごめんなさい…違うお店でもいいかもなんですけど  オーナーさんのメモによると』 【主人公】 「…悪い」 【MEIKO】 『い、いえ、こちらこそっ』 【主人公】 「…で、どこの店だって?」 【MEIKO】 『そこの“ランジェリー☆キムラ”だそうです』 【主人公】 「………一人で入れ」 【MEIKO】 『えぇっ!?ムリですっ!!お買い物なんて、ほとんどしたことないのにっ!!』 【主人公】 「うるさいっ!!そんなとこ男が入れるかっ!!」 ;<暗転> 人見知りで… 遠慮がちで… 気が小さくて… ;<背景:商店街,立ち絵:MEIKO(私服)> 【主人公】 「…お前はヤギかと」 【MEIKO】 『だって、知らなかったんですもん…』 【主人公】 「いや、周りの人間を見て、だれが紙ごとハンバーガー食ってたよ…」 【MEIKO】 『は、初めてだったんですよぉ!』 ;<暗転> 常識がなくて… でも… ;<文字を画面中央に表示> ;<背景:CG(膝枕MEIKO)(セピアっぽくなったりしませんか?)> 『あ、起きちゃいました?うるさかったですか? …って、そんなわけないですよね』 『きっと、ていうか、おそらくというか、好きだったと、思うんですっ! 昔の、その、感情とかなかったころの自分も』 『…せんぱいも好きですよね?ピアノ』 ;<文字表示、通常に(ウィンドウモード)> わかってくれた 俺の曲 俺の想い 変なヤツだけど 笑顔がやさしくて 傍にいると満たされて あぁ…そうか …あいつが必要だったのは 店じゃなくて… あいつを必要としてたのは ;<暗転> ;<以下、普通のウィンドウモードに戻る> ……… ;<背景:店内,立ち絵:オーナー> 【主人公】 「お米、買って来ました」 【オーナー】 「さんきゅ~。そのまま倉庫に~」 【主人公】 「はい」 ;<立ち絵消える> ……… ;<立ち絵:オーナー> 【主人公】 「あ、あのオーナーお願いがあるんですけど」 【オーナー】 「…なに?改まって」 【主人公】 「今日お休みもらってもいいですか?」 【オーナー】 「………」 【主人公】 「えっとですね…」 【オーナー】 「メーコちゃん?」 【主人公】 「…はい」 【オーナー】 「ふぅっ………そっかぁ…そうよね。あんたってそーゆーヤツ」 【主人公】 「…って?」 【オーナー】 「ね、ちょっと、かがんで…」 【主人公】 「え?」 【オーナー】 「その…びみょーに届かないからさ」 【主人公】 「………?…こうですか?」 な、なに?この状況… って、あんたなんで俺の肩に手を置く 【オーナー】 「…そのまま目つむって」 【主人公】 「…そ、それって」 【オーナー】 「いいから、つむれ」 ;<暗転> 【主人公】 「はっはい」 【オーナー】 「じゃ………行くわよっ…このっ!!」 肩から手を離されると同時に アゴに衝撃 ;<画面ゆれ> 【主人公】 「ぶふっ」 そのまま倒れる… 目を開くとそこには ;<背景:CG05(踏まれる主人公)> ;<画面ゆれ> 【オーナー】 「おっそいのよっ!!」 【主人公】 「な、なにをっ」 【オーナー】 「てぇいっ!!」 ;<画面ゆれ> 【オーナー】 「あんたがっ!別にっ!私はっ!!」 ;<画面ゆれ×3,セリフに合わせて?> さらに三連打… …もちろん痛い…むちゃくちゃ痛い………いたいよぅ… 【主人公】 「………」 【オーナー】 「はぁっ…はぁっ…」 店を休むということで蹴られるカクゴはしていたが、ここまでとは… ていうか、本気でやってないかこの人…手加減が感じられなかったぞ? 【オーナー】 「………いくわよ」 【主人公】 「え?」 【オーナー】 「連れ戻すんでしょ?メーコちゃん」 【主人公】 「あ、ええ、まぁ…でも、オーナー」 【オーナー】 「今日は、臨時休業っ!さ、とっとと行くわよっ」   ;<暗転> ……… ;<背景:黒,立ち絵:オーナー> 【主人公】 「あ、あの、オーナー?」 【オーナー】 「なに?」 【主人公】 「なんで、こんなところから…正面から入れば」 【オーナー】 「バカねー正面から行っても捕まるだけよ?」 【主人公】 「いや、ここふつーの企業だし」 【オーナー】 「こういう場合は、違うのよっ…そう、メーコちゃんまでたどり着くために  たくさんワナとかそういうのがあったり、仲間のシカバネをこえていったり」 【主人公】 「…ちなみに、その場合の屍は」 【オーナー】 「あんたに決まってるでしょ」 【主人公】 「ですよね…」 【オーナー】 「いいから、入るわよっ」 フェンスを越えて、鍵の開いていた窓からこっそり入る。 えっと…こういうのって不法侵入?…けいさつざた? …3年以下の懲役または10万円以下の罰金?? ……… ;<背景:研究所,立ち絵:オーナー> どこまでも白い壁がつづく廊下をずかずか歩いていく。 【オーナー】 「うるさいわねー」 【主人公】 「…何も言ってないですけど」 【オーナー】 「ちがうわよっ…なんか英語で、放送が繰り返してキカイ声で」 【主人公】 「…なんて言ってます?」 【オーナー】 「いんとるーだーらーと?みたいな?あと、うーうー言ってる」 【主人公】 「なんですか、それ。…オーナー英語の成績悪かったでしょ?」 【オーナー】 「…うるさいわねー」 【主人公】 「そんな、機械に文句言うのやめましょうよ」 【オーナー】 「今のは、あんたに言ったのよ」 【主人公】 「…よく考えなくてもそれって、警報のたぐいじゃないんですか?」 【オーナー】 「そうみたいね…」 【警備員】 「止まれっ!!貴様らっ!!」 ;<暗転> あっさり、御用。 捕まってしまった。 どうやら、侵入の時点でカメラに捕らえられていたらしい。 最近の警備システムはすごいなぁ… ……… ;<背景:研究所,立ち絵:オーナー,マツダ> 【マツダ】 「…なんなんです、いったい」 【オーナー】 「悪いわね~」 住所と名前を控えられ、警備員のオジさんたちに説教された後 警察に連絡されそうになる前に、マツダの名前を出して、開放してもらった。 【マツダ】 「普通に正面から入ってきてもらえれば対応しましたよ。普通に」 【オーナー】 「いや、なんとなくね?ほら」 【主人公】 「あのっ…あいつはっ」 【マツダ】 「あいつ?」 【オーナー】 「メーコちゃんよ」 【マツダ】 「………なるほど。まだ君は諦められない…と。  来たまえ、そうだね…“会わせて”あげよう」 ;<暗転> ……… 【主人公】 「ここって」 連れてこられた先は、うす暗い部屋。 かすかにコンピューターの画面の光が見える。 【主人公】 「え?」 【オーナー】 「あれ…?」 暗さに目が慣れる。 部屋の中央に椅子が一つ。 あいつは座っていた。 ;<背景:CG06(壊れたMEIKO)> ただ、その表情は笑顔なんかじゃなくて うつむいて、半分だけ開いた目には何もうつってない。 背中からは無数のコードが伸びている。 【オーナー】 「メーコちゃん…?」 【主人公】 「おいっ!」 呼びかけにも応えない。 【マツダ】 「あー無駄だよ」 【オーナー】 「ムダって…」 【主人公】 「あんた、どういう」 【マツダ】 「…これは機能停止して、外部にほとんどのメモリーやレコードを移植した状態にあるからね」 【オーナー】 「は?」 【マツダ】 「連れて帰って次の日にまた声が出せなくなった。  数日後には、出力全般そして入力も不全…という状態になってね。  まぁ…僕らとしても結果を出さなきゃだから、躯体を変えるかなという話になった」 【主人公】 「…躯体?」 【マツダ】 「そう、今使ってるのはMEIKOという躯体だが、新しい躯体が手に入りそうでね。  そちらを僕の実験用に使おうかと」 【オーナー】 「なんで…」 【マツダ】 「もちろん、この躯体を使って続けられるならそうしたいけどね。  この実験にとって感情を理解できる機能は必要不可欠だから」 【主人公】 「は?」 【マツダ】 「あーだからさぁ、自分の持ってないものを理解するのは難しいだろう?  だからね、MEIKOには擬似感情プログラムといえるものを積んである  まぁ…このプログラムの基幹部は僕のじゃないんだけどね」 【主人公】 「それがなんの…」 【マツダ】 「その人…僕の恩師でね、バー経営しながら大学で講義・研究してた変な人でさ。  その人が最後に書いたプログラムが、MEIKOの感情の元になってる。  まぁ余談だけどね」 【オーナー】 「それって…」 【マツダ】 「…でもね、そのプログラムわけのわからない文字列が数千行あってね。  削除すると上手く動かない。…でまぁ、仕方なくそのままにしていた。  するとほとんど人間と変わらない反応を示すようにはなった…が」 【マツダ】 「時間の経過とともに出力値がどんどん下がる。  原因不明さ。その数千行以外にプログラムに  問題はなかった。…そこで躯体を変えるという案が出た。これの回収前にね」 【マツダ】 「だってそうだろ?プログラム…電子的な問題がないのだとすれば、  あとはまぁ、物理的…躯体に問題があるかもしれないと考えるのが普通だ」 【オーナー】 「…それで、メーコちゃんはどうなるの?」 【マツダ】 「とりあえず破棄する予定になっています。この研究所無駄なスペースないし」 ;<暗転> 頭が真っ白になっている。 プログラム?躯体?…破棄? どういうことだ?こいつは?なんで? 【マツダ】 「さ、もう満足だろ?そろそろ、帰ったら?お店もあるんでしょ?」 【主人公】 「………おい、起きろよ」 つかみかかる。起こそうとする。起きない。 …なんの反応もない。 ;<背景:黒,立ち絵:オーナー,マツダ> 【マツダ】 「君も相当、諦めが悪いね」 【オーナー】 「ね、提案があるんだけど」 【マツダ】 「…なんでしょう?」 【オーナー】 「ピアノ、借りてもいい?こいつに弾かせたいんだけど」 【主人公】 「え?オーナー?」 【マツダ】 「ふぅん…まるで、レクイエムですねぇ。  まぁ、これに鎮めるべき魂なんてないけど。  …グランドピアノはさすがに無理ですが、よろしいですか?」 【オーナー】 「ええ」 【マツダ】 「では、手配してきます」 【主人公】 「…オーナー」 【オーナー】 「なに情けない顔してんのよっ!」 【主人公】 「でも」 【オーナー】 「…もう一度、歌わせてあげなさい」 【主人公】 「え?」 【オーナー】 「一度は、歌えないあの子を歌わせてあげたんでしょ?」 【主人公】 「………」 【オーナー】 「…もう一度、ね?」 ……… ;<独白モード> 運ばれてきたのは、アップライトピアノ 椅子に腰掛ける ピアノ…見たくもなかった 触れたくもなかった この一週間ずっと遠ざけてた どうしてだろう 弾きたい 弾きたかった いつもの曲 ずっと弾いていたあの曲 あいつのそばで あいつのために曲を奏でたかった また笑って欲しい また歌って欲しい またそばにいて欲しい もういちど 歌う彼女。 ;<背景:店内,立ち絵:MEIKO(歌唱)(セピアっぽい)> 笑う彼女。 ;<背景:店内,立ち絵:MEIKO(笑い)(セピアっぽい)> いろいろな彼女。 ;<背景:店内,立ち絵:MEIKO(いろいろな表情)(セピアっぽい)> 思い出。 ;<背景:CG03(歌うMEIKO,セピアっぽい)> ;<背景:CG01(膝枕MEIKO,セピアっぽい)> 想い。 ;<背景:CG02(観覧車MEIKO,セピアっぽい)> 全てを込めて音にのせて、曲を編む。 ;<暗転> ;<ウィンドウモード> 【オーナー】 「え?…これって」 【マツダ】 「…バカな」 …歌が聞こえた。鼓膜をとおしてではなく …なんだろう、直接、頭に響くような やわらかい…でも響き渡るアルト ああ、彼女はこんな歌声だったんだ……… ……… ;<背景:店内,立ち絵:オーナー> 【客】 「すいませーんっ」 【オーナー】 「はいはーい」 ……… 【客】 「すいませーん」 【オーナー】 「はいはいはいっ」 ……… 【佐々木】 「嬢ちゃんっ!日本酒おかわりっ」 【オーナー】 「…あんたらいい加減にしなさいよ」 【佐々木】 「だ、だってよぅ…今のうちに注文しとかないと頼みづらいだろ」 【オーナー】 「…まぁ、いいけどね…そろそろ、始まるか」 【佐々木】 「そ、それで」 【オーナー】 「一升瓶で持ってきてあげるわっ」 【佐々木】 「ちょ、嬢ちゃんっ」 ……… ;<立ち絵:マツダ> 【マツダ】 「繁盛してますねぇ…」 【オーナー】 「おかげさまで」 【マツダ】 「…そうですか」 【オーナー】 「いや皮肉じゃなくて。ホントに感謝してるわよ。  私もあいつもメーコちゃんも」 【マツダ】 「まぁ…廃棄予定の躯体をお譲りしただけですし…  こうやってたまにデータとらせてもらってますし…  社の不利益になるわけでもないですしね………ふぅ…」 【オーナー】 「なに?暗いわねぇ…  先週はメーコちゃんのプログラム移した子がうまくいきそうだーって  はしゃいでたくせに…って、もしかして」 【マツダ】 「…また、またなんです。MEIKOと同じ状態になりつつあります…。  今度こそうまくいくと…」 【オーナー】 「あ~やっぱり」 【マツダ】 「わざわざプロのピアニストやバイオリニストを雇って、演奏させても全然で…」 【オーナー】 「ふ~ん」 【マツダ】 「…しかも、今日うっかりこの店の話をしたら、彼女ぜひ行きたいって言いだして」 【オーナー】 「連れてきたらいいじゃない」 【マツダ】 「…さすがにこれ以上躯体の横流しは」 【オーナー】 「メーコちゃんの妹みたいなもんだしね~」 【マツダ】 「………いっそのこと、ここに研究機材一式運び込んでもいいですか?」 【オーナー】 「ダメよ。ただでさえ狭いんだから」 【マツダ】 「…そうですか」 【オーナー】 「そうよ。まぁ、手遅れにならないうちに、連れてきなさい。  その子ももしかしたらあんな風に歌えるかもよ?」 【マツダ】 「………」 【オーナー】 「ね?」 【マツダ】 「…逆に彼、お借りできませんか?」 【オーナー】 「…ん~、私は別にいいけど。メーコちゃんがいいって言うかな?」 【マツダ】 「駄目でしょうか?」 【オーナー】 「ダメかもね~。…最近あいつら、バカップルっぷりが雪だるま式にうざくなってるから」 【マツダ】 「…そうですか」 【オーナー】 「ええ、見なさいよ。あの二人の楽しそうなこと…  くっそぉ~…店終わったら飲むわよっ!!付き合いなさいっ!!」 【マツダ】 「えぇっ?!ぼ、僕明日しごと…」 【オーナー】 「うるさいわねー。いま相談に乗ってあげたでしょうが。  あなた、おじいちゃんの弟子なんだから、素直に私に従いなさいっ」 【マツダ】 「…うぅっ…おてやわらかに…おねがいします…」 【オーナー】 「よっし。今日の片づけはバカップルどもにまかせて飲みまくるぞー」 ;<暗転> ……… ;<独白モード> 鍵盤の上で指をおどらせる。 いつもの曲。弾きなれた旋律。 楽譜なんてないし、必要もない。 視線はつねに…彼女に。 歌う彼女。 いまでもその歌声は聞こえないけれど。 その“歌”は俺にも響く。 ただ彼女を想い、指を動かす。 彼女のために、音を奏でる。 彼女がそばで歌ってくれている。 それだけで、俺は満たされて幸せになれる。 これからもずっと… MEIKOとともに みんなといっしょに かなでていこう    ずっとずっとみんなで Fine

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