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2.4.　社会主義建設とアマチュア芸能振興（1945年～）

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2.4.0.　社会主義建設とアマチュア芸能振興（1945年～） 　戦後のモンゴルは社会主義の建設、引き続きソ連との関係強化により、工業、農業面で発達し、またチョイバルサン批判により一時期の雪解けを経験した。しかし一方で、限られた外交関係と、官僚主義、ソ連型の産業振興政策をそのままモンゴルに適用したことなどによる社会的矛盾が噴出してきた時期であった。そしてその中で芸術、芸能は党政府がその手法と目的を明確に規定することで、政治的な統制下に完全に組み込まれていった。音楽も例外ではなかったことが、筆者の行ったロブサンシャラフへのインタビューで分かる。 2.4.1.　第２次大戦の終結からモンゴル版「ペレストロイカ」までの歴史 　この時代の歴史を、Ts.バトバヤルの著書<a title="" href="#_ftn1">[1] </a>をもとに、まとめていきたい。この時期にもいくつか転機があった。それは1956年のチョイバルサン批判、1962年の「雪解け」とそれに対する弾圧、中ソ関係の悪化、ツェデンバル指導体制の確立である。 1939年首相となったチョイバルサンは戦時中を通じてソ連に忠実に、またソ連を支援した。対ドイツ戦に支援物資を送り、対日参戦にも足並みを揃えた。その結果スターリンの後押しと、モンゴル国内の国民投票でモンゴル独立にほぼ100パーセントの支持を得たことを受け、中国国民党からモンゴル独立の承認を得た。中華人民共和国からも「中ソ協力同盟関係での重要な緩衝国<a title="" href="#_ftn2"> [2] </a>」として、モンゴル独立の承認を得た。しかし一方でチョイバルサンはスターリンと同様、個人崇拝を強めていった。 　1956年にフルシチョフがスターリン批判の秘密報告を行った直後、Dダンバにより1951年に没していたチョイバルサンへの批判演説が不徹底ながら行われた。これを機会に粛清された人々の名誉回復が進んでいくことになる。またその演説で行われた個人崇拝批判を機に、知識人に国家の発展のための自由な意見の提出を求めたが、彼らのうち何人かは、「人民を『知的な混乱』に巻き込ん<a title="" href="#_ftn3"> [3] </a>」だとして党によって地方に追放された。この事件の知識人たちの「黒幕」として告発されたD.ダンバはツェデンバルによって失脚している。またこの50年代は中国との関係が良好であり、中国から経済援助、労働力の派遣などが行われていた。 　1960年にモンゴルは新憲法を採択し、その中で「人民革命党を社会の『唯一の指導勢力』とし、社会主義の資産を国家唯一の経済基盤であると規定した<a title="" href="#_ftn4"> [4] </a>」。また翌年の人民革命党第14回大会では国家が社会主義への移行を達成し、新しい時代に入ったことを宣言した。60年代に入るとスターリン批判以降悪化していた中ソ関係はさらに険悪になっていった。モンゴルは一貫してソ連を支持することによって、多大なる経済援助をソ連から引き出した。この頃のソ連はフルシチョフ体制による、いわゆる「雪解け」の時代だった。1962年にはモンゴルでもこの空気の中、1962年、チンギス・ハーン生誕800周年記念祝賀を、科学アカデミー歴史研究所を中心に、党中央委員会のD.トゥムルオチルらが音頭をとって行うことになっていた。しかしこの祝賀はソ連の圧力によって危険な民族主義だとして中止された。ソ連と対立を深めていた中国では、逆にチンギス・ハーンを中国史上の英雄として称揚し、内モンゴル人統合の手段としていた<a title="" href="#_ftn5"> [5] </a>。ツェデンバルはこの機会を利用し、自分に批判的だったトゥムルオチルら、そして自分に対する忠誠心の疑わしい幹部を次々と失脚させ、自らへの権力集中を進めていった。ツェデンバルはソ連から得た多大な経済援助、経済協力をもとにモンゴルの工業化、農業化を推し進めていった。1970年代末には工業農業国に移行するつもりだったという。様々な工場が建てられ、機械化農業の導入が進み、テレビ放送が1967年に開始された。ソ連との科学、文化に関する協力協定も調印され実行された。一方、対中国防衛のため、ソ連のモンゴルの戦略的価値は上がり、モンゴルへの駐留軍を増大させた。無理な農業は土地の風食作用を引き起こした。ソ連、コメコン各国への依存が強まり、ツェデンバル独裁体制や、官僚主義の弊害、ソ連への批判は封じ込められた。この状況が1980年代まで続く。 　 2.4.2.　第二次大戦後のモンゴル音楽 　第二次世界大戦後のモンゴルでは西洋音楽の技法を体得した音楽家たちが現れ、国家の主導の下、オペラ劇場が建てられ<a title="" href="#_ftn6"> [6] </a>、モンゴル人自身がオペラやオーケストラ、また西洋音楽の技法を応用した歌の活発な演奏、創作活動を行っていくことになる。またそれらはラジオなどを通じて根付いていく。ジャズやポップ・ミュージックも戦後のモンゴルでは演奏されるようになった。また伝統音楽にも変容が加えられていった。以下、ジャンツァンノロブの2つの著作<a title="" href="#_ftn7">[7] </a>をもとに、戦後モンゴルの音楽史を駆け足で見ていこう。 　1950年代からはジャンツァンノロブによれば「現代音楽の第三の大きな時代の始まりの時代<a title="" href="#_ftn8"> [8] </a>」であるという。1942年にB.スミルノフと共にオペラ《悲しみの三つの丘》を書いたB.ダムディンスレンはそれに続くオペラの創作を行っていった。特に1951年のオペラ《幸福の道》は二重唱やアリア、間奏曲も魅力的な、傑作であるという。またオペラだけにとどまらず、バレエ、音楽つきの舞踊も発達した。その最初の試みは優れた馬頭琴奏者G.ジャミヤンによる舞踊組曲《我々のネグデル員》(1953)であった。管弦楽法の習得に関しては、ナムスライジャブ<a title="" href="#_ftn9"> [9] </a>の《革命英雄行進曲》(1950)が最初の成功した作品であるとされる。これは３つの革命歌をもとに仕立てられた。作曲の面で最も指導的立場にあったのはモスクワ音楽院S.ゴンチグソムラー(1915-1991)<a title="" href="#_ftn10">[10] </a>で、彼はイルクーツクとモスクワ音楽院で学んだ<a title="" href="#_ftn11"> [11] </a>。ジャンツァンノロブによるとゴンチグソムラーは交響的序曲《叙事詩》(1950)やオペラ《真実》(1957)、舞踊劇《ガンホヤグ》(1958)などで、19世紀の西洋とロシアの作曲技法をモンゴル的な旋律の中で消化することに成功を見せたという。これに、ベートーヴェンの古典的形式をモンゴル人の精神の中で消化したL.ムルドルジ(1919- )<a title="" href="#_ftn12">[12] </a>、音楽の旋律的な面だけでなく、形式や構造の面で独特のものを作り上げていったE.チョイドグ(1926-1988)<a title="" href="#_ftn13">[13] </a>、民族的な要素を音楽の外面にはっきりと示してきたこれまでの考えに対し、民族的要素を作品の内部に細かく織り込んで、内省的で抽象的な作品をものしたZ.ハンガル(1948-1996)<a title="" href="#_ftn14">[14] </a>と続く。 　合唱曲、室内歌曲の分野では上で挙げた作曲家の他に、D.ロブサンシャラフ(1926- )が活躍している。ロブサンシャラフは数多くの著名な作家と共同作業で作品を作り上げていった。彼自身の言によれば、面識のない作家の詩に音楽をつけることはほとんどなく、共同作業で作った方が「曲と詩がより一体化してよい作品が生まれる<a title="" href="#_ftn15"> [15] </a>」とのことである。 　作品だけではなく演奏のレベルも向上した。1950年ごろには、指摘されていた「有機的」な技術の不足は克服されていき、混声合唱のレベルが上がった。オペラ歌手Ts.プレブドルジ(1929- )は国立中央劇場の合唱クラスの出身だが、チャイコフスキー・コンクールの声楽部門の審査員にまでなった。 　またこの時期から海外の作品が盛んに演奏されるようになった。1960年代の国立オペラバレエ劇場<a title="" href="#_ftn16"> [16] </a>のレパートリーを見てみると、S.ラフマニノフのオペラ《アレコ》、チャイコフスキーのオペラ《エフゲニー・オネーギン》などのロシアの作品が多かったようだ。逆にモンゴルの音楽家が国際的に知られるようにもなっていった。J.チョローン(1928-)<a title="" href="#_ftn17">[17] </a>のヴァイオリンとオーケストラのための《2つの民謡を主題とする変奏的小品》(1949)は1973年カザフ共和国アルマアタで開催された第3回アジア音楽シンポジウムで選ばれてユネスコに登録され、ラジオで放送され、国際的に知られるようになった。また1952年のプラハの春音楽祭には多くの作曲家、歌手、演奏家が参加した。 　これらのような戦後の西洋音楽のモンゴルでの発展に貢献した人の多くが留学経験者であった。まず先に挙げた作曲家ゴンチグソムラーがそうであるし、オペラ歌手G.ハイタフ(1926- )もゴンチグソムラーに見出されてモスクワ音楽院に留学した。作曲家L.ムルドルジも作曲家で指揮者のTs.ナムスライジャブも作曲家で合唱指揮者のD.ロブサンシャラフもモスクワ音楽院である。B.ダムディンスレンはオペラをいくつか書いた後1954年にレニングラード市立音楽院に留学した。歌手Ts.プレブドルジは同じくソ連のスヴェルドロフスクのウラル音楽院に学んだ。1940年代以降に生まれた世代にはこのウラル音楽院出身者が多いようだ。他にも北京に留学した者がいたという。彼らはソ連、中国の共産圏で学び、それをモンゴルに持ち帰ってきたのである。 　オーケストラもモンゴルで組織される。1940年代から劇場のオーケストラは存在したが、1957年にはコンサートのためのオーケストラである、ラジオ放送局付属のモンゴル国立放送交響楽団が誕生した。これは現在のモンゴル国立フィルハーモニック交響楽団の前身である<a title="" href="#_ftn18"> [18] </a>。 　いわゆる芸術音楽以外にも目を向けてみよう。1945年には国立の「エストラーダ<a title="" href="#_ftn19"> [19] </a>」の組織が設立されロシア歌謡的なポップ・ミュージックを演奏した。1948年にはこれに付属してジャズ・バンド<a title="" href="#_ftn20"> [20] </a>が組織されている。モンゴルでのこのような軽音楽の下地になったのは1941年に組織されたサーカスのバンドだと言われている。その後1960年代から徐々にモンゴルのポップ・ミュージックが盛んになっていき、ビートルズも聴かれたという。 　もちろん民族音楽が廃れたわけではなく、モンゴル民族文化の象徴として奨励された。ただし、民族音楽演奏家の養成システムが整ったことで西洋音楽のような技術的な均一化が図られたり、楽器の改良が行われたり<a title="" href="#_ftn21"> [21] </a>、様々な形態の新しいアンサンブルが生まれたり、と変容されていき、「舞台芸術」としての発展をみた。 以上、ジャンツァンノロブの著作により、戦後から80年代までのモンゴル音楽の状況を簡単に概観した。 　なお以上のような音楽の中身や形態だけの問題ではなく、メディアにも革新が起こる。それまで、中央から地方への文化の発信はクラブでの活動や、巡回音楽会などであった。しかし1931年ラジオ放送が開始され1947年には国立ラジオ放送委員会を設置<a title="" href="#_ftn22"> [22] </a>、1960年にはラジオの普及率は4～5世帯に1台となっていたという<a title="" href="#_ftn23">[23] </a>。1967年にはテレビ放送も始まった<a title="" href="#_ftn24"> [24] </a>。 2.4.3.　戦後モンゴルの音楽と政治 1950年にそれまで国歌として歌われてきたS.ボヤンネメフ作詞の《モンゴル・インターナショナル》に代わって、新しい国歌が制定された。D.ツェデブによれば、《モンゴル・インターナショナル》は1922年にモスクワで開催された「青年共産主義インターナショナル」第3回大会にモンゴル国代表として参加したボヤンネメフが第三インターナショナルつまりコミンテルンの思想<a title="" href="#_ftn25"> [25] </a>を反映させて作ったものであるという<a title="" href="#_ftn26"> [26] </a>。ボヤンネメフが粛清されてから時間のたっているのに、国歌が新しく制定された背景には、1943年のコミンテルン解散があるのだろう。ソ連はこれまでのコミンテルン路線が否定された後の1944年、すでに国歌を《インターナショナル》<a title="" href="#_ftn27"> [27] </a>から《ソヴィエト連邦国歌》に変更していた。ただ、なぜソ連よりさらに数年遅れたのかは今回調べられていない。 また1950年代まではチョイバルサンの個人崇拝が強い時期であった。文学でもTs.ダムディンスレンにより《チョイバルサン元帥生誕50周年に捧げる祝詞》(1945)といったものが書かれていた。またロブサンシャラフによるとチョイバルサンについての歌が党政府により奨励されたこともあったようだ<a title="" href="#_ftn28"> [28] </a>が、筆者が集めた1980年代の出版物の中には確認できなかった。チョイバルサンの後、指導者となったツェデンバルは自らに歌を捧げることを禁じたという<a title="" href="#_ftn29"> [29] </a>。チョイバルサンの下で政治家としてのし上がった彼としては、チョイバルサンの個人崇拝のイメージを払拭したかったのであろう。 モンゴルではジャズは抑圧の対象にならなかった。ジャンツァンノロブは著書の中で戦後のモンゴルでジャズ・バンドが活躍したことについて述べているし<a title="" href="#_ftn30"> [30] </a>、ロブサンシャラフもそう証言している<a title="" href="#_ftn31"> [31] </a>。ソヴィエトではジャズはアメリカ文化、資本主義文化の象徴として批判の対象となっていた<a title="" href="#_ftn32"> [32] </a>。しかしそれも中央のことであって、地方にはジャズ・ミュージシャンは存在しており、西側諸国とは違う独特のジャズが演奏されていた<a title="" href="#_ftn33"> [33] </a>。それはジャズというよりも、ダンス用の軽音楽のようであったという。モンゴルでジャズ・バンドが結成され演奏されていったのは、1960年代のフルシチョフの雪解け期でもない。むしろジダーノフ主導による文化統制が1930年代に続いて再燃した時期であった<a title="" href="#_ftn34"> [34] </a>1948年からのことである<a title="" href="#_ftn35">[35] </a>。これにどういういきさつがあり、ソ連の地方部で演奏されていたジャズと何か関係があったのか、今回は調べることができなかった。 放送の音楽について、今回筆者は詳しく調べることができなかった。今後、放送の記録などを調べていく必要があろう。ただし、このことに関して、上村明はラジオを通じて流された英雄叙事詩がモンゴル・ナショナリズムの象徴として機能したことを指摘している<a title="" href="#_ftn36"> [36] </a>。 上記の放送の項で英雄叙事詩について少し触れたが、民族音楽もまた党政府によりナショナリズムのよりどころと認知されており、モンゴル国の「民族文化」として発展させられていった。これは1930年代にモンゴルが導入したスターリンの「形式において民族的、内容において社会主義的」な文化が継承されていると言えよう。そのような民族音楽の中にホーミーがある。故郷を太い声で称えてからホーミーを歌う、もしくは英雄叙事詩を太く低い声で語るという口承文芸の一種であったホーミーが、いかにして現代のような民謡をメロディーだけホーミーで歌うという形になったのか、上村明<a title="" href="#_ftn37"> [37] </a>がそのいきさつを明らかにしているので以下に示そう。1954年にウランバートルで開催された「ホブド県芸能旬間」で、西モンゴルの英雄叙事詩の前に必ず歌う《アルタイ賛歌》を編曲した合唱曲《アルタイ・ハン讃詞》が発表された。これはD.ロブサンシャラフの編曲したもので、曲の中にホーミーだけのパートがあり、党中央委員会政治局にも高く評価された。《アルタイ・ハン讃詞》のこのホーミーの使用法が注目され、現代のホーミーの創出の直接の契機になったということである。この合唱曲自体が、ソ連に影響された新しい合唱文化の産物であり、そこから生まれたホーミーも「新しい『民族文化』創造の好例<a title="" href="#_ftn38"> [38] </a>」であるという。また新しい「民族文化」はホーミーだけではない。1956年に以下のような決定が人民革命党中央委員会政治局より出された。「モンゴル人民は古代から自民族音楽の芸術と共にあった。しかしモンゴル国に広がった仏教のラマたちは民衆の音楽の種類、音使いを仏教思想伝道の武器として利用してから後、モンゴル民族音楽の楽器の大部分はラマの音楽となってしまったため、真正なる民族音楽の種類は減っていった。今日、我々の民族音楽が乏しくなっていることの原因がここにある。こうしたことから、我々の民族音楽の豊かな遺産を広く相続して活用することを求めていき、そして、モンゴルで昔使われていた音楽の歴史、関係資料、絵、旋律を研究し発展繁栄させる任務を早急に開始する必要があるというのが党中央委員会の見解である<a title="" href="#_ftn39"> [39] </a>」というものである。そして資料からの音楽の収集、民族楽器オーケストラ設立のために楽器の種類を増やすこと、民族音楽の歴史を明らかにすることなども同時に決定されている。合唱の中に民族文化を取り込む、またはそういった西洋音楽、ソ連音楽のアイデアをヒントに新しく「民族文化」を生み出し、それらを国家が奨励する、こういったことが民族音楽の分野でも行われていたのである。 このような「民族文化」は国家の重要行事にも披露されている。1971年の革命50周年記念式典の一環として「モンゴル民族芸能の夕」が行われた。そこで演じられたのは、専門学校生のヴァイオリン合奏や軍楽隊と合唱の演奏、モダン・バレエなどの西洋的な芸能のみならず、馬頭琴の合奏などの新しい民族芸能であった<a title="" href="#_ftn40"> [40] </a>。これは政治的パフォーマンスの場での音楽の効用を生かしたイベントでもあろう。 戦後のモンゴルはアマチュア芸能活動が盛んになったが、これもまた上からの組織化の活動であった。モンゴル人民共和国文化史<a title="" href="#_ftn41"> [41] </a>によると、1945年に「アマチュア芸能オリンピアード」が翌1946年には「革命25周年記念全国アマチュア芸能者コンテスト」が党によって行われた。これらのうち特に後者は革命記念日に一般公開され、全国から36のクラブ、156の「赤い部屋」が参加し、その総計は約4400人であった。コンテストの内容は演劇、民族音楽、舞踊、民話、祝詞、人形劇、サーカスなどで、これらのジャンルの才能ある人を発掘したという。このようなコンテストはたびたび行われた。上村明によるとこれらの戦後のアマチュア芸能活動の目的は戦前の啓蒙活動が主の活動とは異なり、「新しい国家に見合う新しい民族（国民）文化を創造する大衆運動として、より強く位置づけられ<a title="" href="#_ftn42"> [42] </a>」ていたという。 　海外で専門に音楽を学んだ人材が充実してきた1957年、「モンゴル作曲家同盟」が人民革命党中央委員会政治局の決定により設立された。その目的は「モンゴル民謡音楽の伝統に芸術を研究し豊かにすることと、世界およびロシアの古典音楽の諸作品を宣伝すること、ソヴィエト、中国および人民民主主義陣営の音楽組織と交流し、それらの国の作品を浸透させること、特に自国の音楽芸術を海外に宣伝し、作曲家の専門性を高めること<a title="" href="#_ftn43"> [43] </a>」であった。ソヴィエトの作曲家同盟は「ソ連音楽の委嘱、出版、演奏会企画の権限を担う唯一の団体<a title="" href="#_ftn44"> [44] </a>」であり、官僚による音楽の中央集権支配を確実にした組織であった。しかしモンゴル作曲家同盟がどのような具体的な活動を行っていたか、筆者は十分な調査ができていない。付属基金を設置しての内外の音楽作品を紹介するなどの音楽振興はやっていたようである<a title="" href="#_ftn45"> [45] </a>がそれ以外は今のところ不明である。 ただ、作曲家同盟を通じてか、そうでないかはともかく、ソ連のような作曲活動に対する検閲と制限はあった。2006年4月28日、筆者はモンゴルで現在最も尊敬を集めている音楽家の1人、作曲家で合唱指揮者、労働英雄のダグウィーン・ロブサンシャラフ氏(1926- )にインタビューを行った。彼はクラブで西洋音楽と出会い、当初は他の仕事をしていたがウランバートルの中央劇場で活躍するようになり、そこでF.I.クレシコに主に合唱を学び、モスクワ音楽院へ留学した。モンゴルでの主に合唱音楽の推進者として、音楽界の中心で働いてきた人である。ロブサンシャラフ氏が筆者に語ったところによると、作曲技法そのものについての制限はほとんどなかったそうである。これはなぜかというと党政府の役人は音楽に詳しくなかったからだそうである。また検閲の基準がしっかりしていなかったようで、担当者の好みで作品への評価が恣意的に下されることがあったという。しかし、歌の歌詞や曲のテーマについては明確に制限があったという。罰則が決まっているわけではなかったが、チンギス・ハーンのような文学で禁止されたようなテーマで曲を書くことは、自分の身に危険が及ぶかもしれず、しなかったという。他にもあまりに辛い生活を歌った歌、あまりに豊かな生活を求める歌も党政府に嫌われた。ロブサンシャラフ氏自身はこのような党政府の禁止したようなテーマの曲を書いても、党や聴衆に受け入れてもらえず、聞いてもらえないので一方で、社会主義イデオロギー、階級闘争、社会主義の下での中庸な生活、文化をたたえるような歌、スフバートルやチョイバルサンの歌、牧民英雄を賛美する歌が奨励されたという。またこれらに反抗した反体制音楽家はいなかったという。もし仮にいて、作曲技法の中に社会批判を織り込んだ音楽家がいたとしても、党政府の役人には見抜けなかっただろうとも語っていた。 モンゴルでは作曲家にソ連ほどの明確な縛りがあったわけではなかったことがロブサンシャラフ氏のインタビューより分かる。またソ連のように西洋音楽の長い歴史があって浸透していたわけではないため、政治家、官僚は西洋音楽に対する造詣がなかった。しかし、やはり作品を書く上での制限はあった。歌詞や曲のテーマに対し、制限されたテーマと奨励されたテーマがあったことである。結果としてソ連と同じような政治的色彩を帯びた「記念碑的作品」、例えばL.ムルドルジの交響曲第1番《わが祖国》(1955)、S.ゴンチグソムラーの管弦楽曲《党についての交響詩》(1955)、Ts.ナムスライジャブの管弦楽曲《英雄行進曲》(1950)、D.ロブサンシャラフのカンタータ《スフバートル讃歌》などが党政府によって称揚されたのだろう<a title="" href="#_ftn46"> [46] </a>。 　こうして見てきたように、戦後のモンゴルでは西洋音楽が、その技術的、媒体の面でも音楽に対する考え方の面でも普及していった。これには党政府の果たした役割が大きかった。反面、引き続き、音楽は国民統合の手段であり、音楽作品への干渉が、ソ連とは少し事情が異なった形で存在した。この他、未確認だが歌うのを禁止された歌が存在したという。これは「愛人」を歌った歌で、この主題が党政府の道徳的規範に抵触したからだろう。これに関してはまた調査する。 <div> <hr width="33%" size="1" align="left" /><div id="ftn1"> <a title="" href="#_ftnref1"> [1] </a>：Ts.バトバヤル(2002)前掲書 </div> <div id="ftn2"> <a title="" href="#_ftnref2"> [2] </a>：Ts.バトバヤル(2002)前掲書、p.69引用 </div> <div id="ftn3"> <a title="" href="#_ftnref3"> [3] </a>：Ts.バトバヤル(2002)前掲書、p.70引用 </div> <div id="ftn4"> <a title="" href="#_ftnref4"> [4] </a>：Ts.バトバヤル(2002)前掲書、p.75引用 </div> <div id="ftn5"> <a title="" href="#_ftnref5"> [5] </a>：岡田和行/上村明/海野未来雄編(1999)前掲書、p.84参照 </div> <div id="ftn6"> <a title="" href="#_ftnref6"> [6] </a>：この建設には旧満州の日本人抑留者も使われた。この劇場の現在の姿は写真１７参照 </div> <div id="ftn7"> <a title="" href="#_ftnref7"> [7] </a>：Н.Жанцанноров(1999)と(1996) </div> <div id="ftn8"> <a title="" href="#_ftnref8"> [8] </a>：Н.Жанцанноров(1999)前掲書、p.224引用 </div> <div id="ftn9"> <a title="" href="#_ftnref9"> [9] </a>：写真資料９ </div> <div id="ftn10"> <a title="" href="#_ftnref10"> [10] </a>：写真資料１０ </div> <div id="ftn11"> <a title="" href="#_ftnref11"> [11] </a>：Н.Жанцанноров(1996)前掲書、p.21参照 </div> <div id="ftn12"> <a title="" href="#_ftnref12"> [12] </a>：写真資料１１ </div> <div id="ftn13"> <a title="" href="#_ftnref13"> [13] </a>：写真資料１２ </div> <div id="ftn14"> <a title="" href="#_ftnref14"> [14] </a>：筆者は彼の音楽はソ連の作曲家A.シュニトケ(1934-1998)ほどのモダンさを持っていると感じた。シュニトケはフルシチョフの雪解け時代に現代的な作品を書いて、1970年代のブレジネフ時代に作品が発禁処分を受けた。ハンガルは1960年代末にカザフ共和国に留学している。現代的な音楽の許される環境を経験したのであろう。写真資料１３ </div> <div id="ftn15"> <a title="" href="#_ftnref15"> [15] </a>：筆者がロブサンシャラフ氏に行ったインタビュー、2006/4/28。 </div> <div id="ftn16"> <a title="" href="#_ftnref16"> [16] </a>：写真資料１７参照 </div> <div id="ftn17"> <a title="" href="#_ftnref17"> [17] </a>：写真資料１４参照 </div> <div id="ftn18"> <a title="" href="#_ftnref18"> [18] </a>：なお、このオーケストラは2003年のアジア・オーケストラ・ウィークに参加するため来日し、演奏を行った。写真資料１５参照 </div> <div id="ftn19"> <a title="" href="#_ftnref19"> [19] </a>：ロシア語で、様々な大衆演芸を出し物とするショーのこと。ジャズや歌謡曲も重要な演目であった。鈴木正美(2006)『ロシア・ジャズ（ユーラシア・ブックレットNo.97）』東洋書店、p.3参照 </div> <div id="ftn20"> <a title="" href="#_ftnref20"> [20] </a>：当時のものではないが、モンゴルのジャズ・バンド『バヤン・モンゴル』について写真資料１６参照。 </div> <div id="ftn21"> <a title="" href="#_ftnref21"> [21] </a>：馬頭琴が改良されたことは前節で述べたが、他にも、例えばヤタグという琴は朝鮮半島のものが多く使われるようにもなった。 </div> <div id="ftn22"> <a title="" href="#_ftnref22"> [22] </a>：BNMAU-yn Shinzhlėkh Ukhaany Akademi(1990)”Information Mongolia”, Pergamon Press, Oxford, Tokyo、p.402参照 </div> <div id="ftn23"> <a title="" href="#_ftnref23"> [23] </a>：БНМАУ-ын Шинжилэх ухааны академи түүхийн хүрээлэн (1986) ” БНМАУ-ын соёлын түүх 2” Улаанбаатар、p.254参照 </div> <div id="ftn24"> <a title="" href="#_ftnref24"> [24] </a>：Ts.バトバヤル(2002)前掲書、p.84参照 </div> <div id="ftn25"> <a title="" href="#_ftnref25"> [25] </a>：レーニンの指導の下、「全世界の勤労者の解放を自己の任務と」し、そのために、世界初の社会主義革命を行ったロシアを支持し、模範とすること、国際組織コミンテルンを頂点に、各国の共産党が支部となって世界にプロレタリアートの社会を作ることに向けて活動することを定めた。岡崎次郎編(1980)『現代マルクス＝レーニン主義事典』、社会思想社、pp.682-684参照 </div> <div id="ftn26"> <a title="" href="#_ftnref26"> [26] </a>：Д.Цэдэв(1996)前掲書参照 </div> <div id="ftn27"> <a title="" href="#_ftnref27"> [27] </a>：こちらはフランス人の作詞作曲による有名な歌のロシア語訳であり、《モンゴル・インターナショナル》とは別物である。 </div> <div id="ftn28"> <a title="" href="#_ftnref28"> [28] </a>：前掲のインタビュー2006/4/28 </div> <div id="ftn29"> <a title="" href="#_ftnref29"> [29] </a>：前掲のインタビュー2006/4/28 </div> <div id="ftn30"> <a title="" href="#_ftnref30"> [30] </a>：Н.Жанцанноров(1999)前掲書、p.228-229参照 </div> <div id="ftn31"> <a title="" href="#_ftnref31"> [31] </a>：前掲のインタビュー2006/4/28 </div> <div id="ftn32"> <a title="" href="#_ftnref32"> [32] </a>：L.フェイ(1997)前掲書、p.18参照 </div> <div id="ftn33"> <a title="" href="#_ftnref33"> [33] </a>：鈴木正美(2006)前掲書、pp.30-31参照 </div> <div id="ftn34"> <a title="" href="#_ftnref34"> [34] </a>：F.マース(2006)前掲書、pp.498-511参照 </div> <div id="ftn35"> <a title="" href="#_ftnref35"> [35] </a>：Н.Жанцанноров(1999)前掲書、p.229参照 </div> <div id="ftn36"> <a title="" href="#_ftnref36"> [36] </a>：上村明(2001)「モンゴル西部の英雄叙事詩の語りと芸能政策」（『口承文芸研究 24』、日本口承文芸学会、pp.102-117） </div> <div id="ftn37"> <a title="" href="#_ftnref37"> [37] </a>：上村明(2001)前掲書参照 </div> <div id="ftn38"> <a title="" href="#_ftnref38"> [38] </a>：上村明(2001)前掲書、p.107引用 </div> <div id="ftn39"> <a title="" href="#_ftnref39"> [39] </a>：У.Загдсүрэн(1967)前掲書、pp.141-142引用 </div> <div id="ftn40"> <a title="" href="#_ftnref40"> [40] </a>：春日行雄(1971)「モンゴル人民革命50周年祝典報告会」（『日本とモンゴル6巻6号』、日本モンゴル協会、ｐ.42参照 </div> <div id="ftn41"> <a title="" href="#_ftnref41"> [41] </a>：БНМАУ-ын Шинжилэх ухааны академи түүхийн хүрээлэн(1986)前掲書、pp.231-233 </div> <div id="ftn42"> <a title="" href="#_ftnref42"> [42] </a>：上村明(2001)前掲書、p.106引用 </div> <div id="ftn43"> <a title="" href="#_ftnref43"> [43] </a>：У.Загдсүрэн(1967)前掲書、p.155引用 </div> <div id="ftn44"> <a title="" href="#_ftnref44"> [44] </a>：F.マース(2006)前掲書、p.409引用 </div> <div id="ftn45"> <a title="" href="#_ftnref45"> [45] </a>：У.Загдсүрэн(1967)前掲書、pp.274-278参照 </div> <div id="ftn46"> <a title="" href="#_ftnref46"> [46] </a>：モンゴル科学アカデミー歴史研究所編著/二木博史他訳(1988)『モンゴル史２』、恒文社、p.246参照 </div> </div>

2.4.0.　社会主義建設とアマチュア芸能振興（1945年～） 　戦後のモンゴルは社会主義の建設、引き続きソ連との関係強化により、工業、農業面で発達し、またチョイバルサン批判により一時期の雪解けを経験した。しかし一方で、限られた外交関係と、官僚主義、ソ連型の産業振興政策をそのままモンゴルに適用したことなどによる社会的矛盾が噴出してきた時期であった。そしてその中で芸術、芸能は党政府がその手法と目的を明確に規定することで、政治的な統制下に完全に組み込まれていった。音楽も例外ではなかったことが、筆者の行ったロブサンシャラフへのインタビューで分かる。 2.4.1.　第２次大戦の終結からモンゴル版「ペレストロイカ」までの歴史 　この時代の歴史を、Ts.バトバヤルの著書<a href="#_ftn1" title="">[1]</a>をもとに、まとめていきたい。この時期にもいくつか転機があった。それは1956年のチョイバルサン批判、1962年の「雪解け」とそれに対する弾圧、中ソ関係の悪化、ツェデンバル指導体制の確立である。 1939年首相となったチョイバルサンは戦時中を通じてソ連に忠実に、またソ連を支援した。対ドイツ戦に支援物資を送り、対日参戦にも足並みを揃えた。その結果スターリンの後押しと、モンゴル国内の国民投票でモンゴル独立にほぼ100パーセントの支持を得たことを受け、中国国民党からモンゴル独立の承認を得た。中華人民共和国からも「中ソ協力同盟関係での重要な緩衝国<a href="#_ftn2" title="">[2]</a>」として、モンゴル独立の承認を得た。しかし一方でチョイバルサンはスターリンと同様、個人崇拝を強めていった。 　1956年にフルシチョフがスターリン批判の秘密報告を行った直後、Dダンバにより1951年に没していたチョイバルサンへの批判演説が不徹底ながら行われた。これを機会に粛清された人々の名誉回復が進んでいくことになる。またその演説で行われた個人崇拝批判を機に、知識人に国家の発展のための自由な意見の提出を求めたが、彼らのうち何人かは、「人民を『知的な混乱』に巻き込ん<a href="#_ftn3" title="">[3]</a>」だとして党によって地方に追放された。この事件の知識人たちの「黒幕」として告発されたD.ダンバはツェデンバルによって失脚している。またこの50年代は中国との関係が良好であり、中国から経済援助、労働力の派遣などが行われていた。 　1960年にモンゴルは新憲法を採択し、その中で「人民革命党を社会の『唯一の指導勢力』とし、社会主義の資産を国家唯一の経済基盤であると規定した<a href="#_ftn4" title="">[4]</a>」。また翌年の人民革命党第14回大会では国家が社会主義への移行を達成し、新しい時代に入ったことを宣言した。60年代に入るとスターリン批判以降悪化していた中ソ関係はさらに険悪になっていった。モンゴルは一貫してソ連を支持することによって、多大なる経済援助をソ連から引き出した。この頃のソ連はフルシチョフ体制による、いわゆる「雪解け」の時代だった。1962年にはモンゴルでもこの空気の中、1962年、チンギス・ハーン生誕800周年記念祝賀を、科学アカデミー歴史研究所を中心に、党中央委員会のD.トゥムルオチルらが音頭をとって行うことになっていた。しかしこの祝賀はソ連の圧力によって危険な民族主義だとして中止された。ソ連と対立を深めていた中国では、逆にチンギス・ハーンを中国史上の英雄として称揚し、内モンゴル人統合の手段としていた<a href="#_ftn5" title="">[5]</a>。ツェデンバルはこの機会を利用し、自分に批判的だったトゥムルオチルら、そして自分に対する忠誠心の疑わしい幹部を次々と失脚させ、自らへの権力集中を進めていった。ツェデンバルはソ連から得た多大な経済援助、経済協力をもとにモンゴルの工業化、農業化を推し進めていった。1970年代末には工業農業国に移行するつもりだったという。様々な工場が建てられ、機械化農業の導入が進み、テレビ放送が1967年に開始された。ソ連との科学、文化に関する協力協定も調印され実行された。一方、対中国防衛のため、ソ連のモンゴルの戦略的価値は上がり、モンゴルへの駐留軍を増大させた。無理な農業は土地の風食作用を引き起こした。ソ連、コメコン各国への依存が強まり、ツェデンバル独裁体制や、官僚主義の弊害、ソ連への批判は封じ込められた。この状況が1980年代まで続く。 　 2.4.2.　第二次大戦後のモンゴル音楽 　第二次世界大戦後のモンゴルでは西洋音楽の技法を体得した音楽家たちが現れ、国家の主導の下、オペラ劇場が建てられ<a href="#_ftn6" title="">[6]</a>、モンゴル人自身がオペラやオーケストラ、また西洋音楽の技法を応用した歌の活発な演奏、創作活動を行っていくことになる。またそれらはラジオなどを通じて根付いていく。ジャズやポップ・ミュージックも戦後のモンゴルでは演奏されるようになった。また伝統音楽にも変容が加えられていった。以下、ジャンツァンノロブの2つの著作<a href="#_ftn7" title="">[7]</a>をもとに、戦後モンゴルの音楽史を駆け足で見ていこう。 　1950年代からはジャンツァンノロブによれば「現代音楽の第三の大きな時代の始まりの時代<a href="#_ftn8" title="">[8]</a>」であるという。1942年にB.スミルノフと共にオペラ《悲しみの三つの丘》を書いたB.ダムディンスレンはそれに続くオペラの創作を行っていった。特に1951年のオペラ《幸福の道》は二重唱やアリア、間奏曲も魅力的な、傑作であるという。またオペラだけにとどまらず、バレエ、音楽つきの舞踊も発達した。その最初の試みは優れた馬頭琴奏者G.ジャミヤンによる舞踊組曲《我々のネグデル員》(1953)であった。管弦楽法の習得に関しては、ナムスライジャブ<a href="#_ftn9" title="">[9]</a>の《革命英雄行進曲》(1950)が最初の成功した作品であるとされる。これは３つの革命歌をもとに仕立てられた。作曲の面で最も指導的立場にあったのはモスクワ音楽院S.ゴンチグソムラー(1915-1991)<a href="#_ftn10" title="">[10]</a>で、彼はイルクーツクとモスクワ音楽院で学んだ<a href="#_ftn11" title="">[11]</a>。ジャンツァンノロブによるとゴンチグソムラーは交響的序曲《叙事詩》(1950)やオペラ《真実》(1957)、舞踊劇《ガンホヤグ》(1958)などで、19世紀の西洋とロシアの作曲技法をモンゴル的な旋律の中で消化することに成功を見せたという。これに、ベートーヴェンの古典的形式をモンゴル人の精神の中で消化したL.ムルドルジ(1919- )<a href="#_ftn12" title="">[12]</a>、音楽の旋律的な面だけでなく、形式や構造の面で独特のものを作り上げていったE.チョイドグ(1926-1988)<a href="#_ftn13" title="">[13]</a>、民族的な要素を音楽の外面にはっきりと示してきたこれまでの考えに対し、民族的要素を作品の内部に細かく織り込んで、内省的で抽象的な作品をものしたZ.ハンガル(1948-1996)<a href="#_ftn14" title="">[14]</a>と続く。 　合唱曲、室内歌曲の分野では上で挙げた作曲家の他に、D.ロブサンシャラフ(1926- )が活躍している。ロブサンシャラフは数多くの著名な作家と共同作業で作品を作り上げていった。彼自身の言によれば、面識のない作家の詩に音楽をつけることはほとんどなく、共同作業で作った方が「曲と詩がより一体化してよい作品が生まれる<a href="#_ftn15" title="">[15]</a>」とのことである。 　作品だけではなく演奏のレベルも向上した。1950年ごろには、指摘されていた「有機的」な技術の不足は克服されていき、混声合唱のレベルが上がった。オペラ歌手Ts.プレブドルジ(1929- )は国立中央劇場の合唱クラスの出身だが、チャイコフスキー・コンクールの声楽部門の審査員にまでなった。 　またこの時期から海外の作品が盛んに演奏されるようになった。1960年代の国立オペラバレエ劇場<a href="#_ftn16" title="">[16]</a>のレパートリーを見てみると、S.ラフマニノフのオペラ《アレコ》、チャイコフスキーのオペラ《エフゲニー・オネーギン》などのロシアの作品が多かったようだ。逆にモンゴルの音楽家が国際的に知られるようにもなっていった。J.チョローン(1928-)<a href="#_ftn17" title="">[17]</a>のヴァイオリンとオーケストラのための《2つの民謡を主題とする変奏的小品》(1949)は1973年カザフ共和国アルマアタで開催された第3回アジア音楽シンポジウムで選ばれてユネスコに登録され、ラジオで放送され、国際的に知られるようになった。また1952年のプラハの春音楽祭には多くの作曲家、歌手、演奏家が参加した。 　これらのような戦後の西洋音楽のモンゴルでの発展に貢献した人の多くが留学経験者であった。まず先に挙げた作曲家ゴンチグソムラーがそうであるし、オペラ歌手G.ハイタフ(1926- )もゴンチグソムラーに見出されてモスクワ音楽院に留学した。作曲家L.ムルドルジも作曲家で指揮者のTs.ナムスライジャブも作曲家で合唱指揮者のD.ロブサンシャラフもモスクワ音楽院である。B.ダムディンスレンはオペラをいくつか書いた後1954年にレニングラード市立音楽院に留学した。歌手Ts.プレブドルジは同じくソ連のスヴェルドロフスクのウラル音楽院に学んだ。1940年代以降に生まれた世代にはこのウラル音楽院出身者が多いようだ。他にも北京に留学した者がいたという。彼らはソ連、中国の共産圏で学び、それをモンゴルに持ち帰ってきたのである。 　オーケストラもモンゴルで組織される。1940年代から劇場のオーケストラは存在したが、1957年にはコンサートのためのオーケストラである、ラジオ放送局付属のモンゴル国立放送交響楽団が誕生した。これは現在のモンゴル国立フィルハーモニック交響楽団の前身である<a href="#_ftn18" title="">[18]</a>。 　いわゆる芸術音楽以外にも目を向けてみよう。1945年には国立の「エストラーダ<a href="#_ftn19" title="">[19]</a>」の組織が設立されロシア歌謡的なポップ・ミュージックを演奏した。1948年にはこれに付属してジャズ・バンド<a href="#_ftn20" title="">[20]</a>が組織されている。モンゴルでのこのような軽音楽の下地になったのは1941年に組織されたサーカスのバンドだと言われている。その後1960年代から徐々にモンゴルのポップ・ミュージックが盛んになっていき、ビートルズも聴かれたという。 　もちろん民族音楽が廃れたわけではなく、モンゴル民族文化の象徴として奨励された。ただし、民族音楽演奏家の養成システムが整ったことで西洋音楽のような技術的な均一化が図られたり、楽器の改良が行われたり<a href="#_ftn21" title="">[21]</a>、様々な形態の新しいアンサンブルが生まれたり、と変容されていき、「舞台芸術」としての発展をみた。 以上、ジャンツァンノロブの著作により、戦後から80年代までのモンゴル音楽の状況を簡単に概観した。 　なお以上のような音楽の中身や形態だけの問題ではなく、メディアにも革新が起こる。それまで、中央から地方への文化の発信はクラブでの活動や、巡回音楽会などであった。しかし1931年ラジオ放送が開始され1947年には国立ラジオ放送委員会を設置<a href="#_ftn22" title="">[22]</a>、1960年にはラジオの普及率は4～5世帯に1台となっていたという<a href="#_ftn23" title="">[23]</a>。1967年にはテレビ放送も始まった<a href="#_ftn24" title="">[24]</a>。 2.4.3.　戦後モンゴルの音楽と政治 1950年にそれまで国歌として歌われてきたS.ボヤンネメフ作詞の《モンゴル・インターナショナル》に代わって、新しい国歌が制定された。D.ツェデブによれば、《モンゴル・インターナショナル》は1922年にモスクワで開催された「青年共産主義インターナショナル」第3回大会にモンゴル国代表として参加したボヤンネメフが第三インターナショナルつまりコミンテルンの思想<a href="#_ftn25" title="">[25]</a>を反映させて作ったものであるという<a href="#_ftn26" title="">[26]</a>。ボヤンネメフが粛清されてから時間のたっているのに、国歌が新しく制定された背景には、1943年のコミンテルン解散があるのだろう。ソ連はこれまでのコミンテルン路線が否定された後の1944年、すでに国歌を《インターナショナル》<a href="#_ftn27" title="">[27]</a>から《ソヴィエト連邦国歌》に変更していた。ただ、なぜソ連よりさらに数年遅れたのかは今回調べられていない。 また1950年代まではチョイバルサンの個人崇拝が強い時期であった。文学でもTs.ダムディンスレンにより《チョイバルサン元帥生誕50周年に捧げる祝詞》(1945)といったものが書かれていた。またロブサンシャラフによるとチョイバルサンについての歌が党政府により奨励されたこともあったようだ<a href="#_ftn28" title="">[28]</a>が、筆者が集めた1980年代の出版物の中には確認できなかった。チョイバルサンの後、指導者となったツェデンバルは自らに歌を捧げることを禁じたという<a href="#_ftn29" title="">[29]</a>。チョイバルサンの下で政治家としてのし上がった彼としては、チョイバルサンの個人崇拝のイメージを払拭したかったのであろう。 モンゴルではジャズは抑圧の対象にならなかった。ジャンツァンノロブは著書の中で戦後のモンゴルでジャズ・バンドが活躍したことについて述べているし<a href="#_ftn30" title="">[30]</a>、ロブサンシャラフもそう証言している<a href="#_ftn31" title="">[31]</a>。ソヴィエトではジャズはアメリカ文化、資本主義文化の象徴として批判の対象となっていた<a href="#_ftn32" title="">[32]</a>。しかしそれも中央のことであって、地方にはジャズ・ミュージシャンは存在しており、西側諸国とは違う独特のジャズが演奏されていた<a href="#_ftn33" title="">[33]</a>。それはジャズというよりも、ダンス用の軽音楽のようであったという。モンゴルでジャズ・バンドが結成され演奏されていったのは、1960年代のフルシチョフの雪解け期でもない。むしろジダーノフ主導による文化統制が1930年代に続いて再燃した時期であった<a href="#_ftn34" title="">[34]</a>1948年からのことである<a href="#_ftn35" title="">[35]</a>。これにどういういきさつがあり、ソ連の地方部で演奏されていたジャズと何か関係があったのか、今回は調べることができなかった。 放送の音楽について、今回筆者は詳しく調べることができなかった。今後、放送の記録などを調べていく必要があろう。ただし、このことに関して、上村明はラジオを通じて流された英雄叙事詩がモンゴル・ナショナリズムの象徴として機能したことを指摘している<a href="#_ftn36" title="">[36]</a>。 上記の放送の項で英雄叙事詩について少し触れたが、民族音楽もまた党政府によりナショナリズムのよりどころと認知されており、モンゴル国の「民族文化」として発展させられていった。これは1930年代にモンゴルが導入したスターリンの「形式において民族的、内容において社会主義的」な文化が継承されていると言えよう。そのような民族音楽の中にホーミーがある。故郷を太い声で称えてからホーミーを歌う、もしくは英雄叙事詩を太く低い声で語るという口承文芸の一種であったホーミーが、いかにして現代のような民謡をメロディーだけホーミーで歌うという形になったのか、上村明<a href="#_ftn37" title="">[37]</a>がそのいきさつを明らかにしているので以下に示そう。1954年にウランバートルで開催された「ホブド県芸能旬間」で、西モンゴルの英雄叙事詩の前に必ず歌う《アルタイ賛歌》を編曲した合唱曲《アルタイ・ハン讃詞》が発表された。これはD.ロブサンシャラフの編曲したもので、曲の中にホーミーだけのパートがあり、党中央委員会政治局にも高く評価された。《アルタイ・ハン讃詞》のこのホーミーの使用法が注目され、現代のホーミーの創出の直接の契機になったということである。この合唱曲自体が、ソ連に影響された新しい合唱文化の産物であり、そこから生まれたホーミーも「新しい『民族文化』創造の好例<a href="#_ftn38" title="">[38]</a>」であるという。また新しい「民族文化」はホーミーだけではない。1956年に以下のような決定が人民革命党中央委員会政治局より出された。「モンゴル人民は古代から自民族音楽の芸術と共にあった。しかしモンゴル国に広がった仏教のラマたちは民衆の音楽の種類、音使いを仏教思想伝道の武器として利用してから後、モンゴル民族音楽の楽器の大部分はラマの音楽となってしまったため、真正なる民族音楽の種類は減っていった。今日、我々の民族音楽が乏しくなっていることの原因がここにある。こうしたことから、我々の民族音楽の豊かな遺産を広く相続して活用することを求めていき、そして、モンゴルで昔使われていた音楽の歴史、関係資料、絵、旋律を研究し発展繁栄させる任務を早急に開始する必要があるというのが党中央委員会の見解である<a href="#_ftn39" title="">[39]</a>」というものである。そして資料からの音楽の収集、民族楽器オーケストラ設立のために楽器の種類を増やすこと、民族音楽の歴史を明らかにすることなども同時に決定されている。合唱の中に民族文化を取り込む、またはそういった西洋音楽、ソ連音楽のアイデアをヒントに新しく「民族文化」を生み出し、それらを国家が奨励する、こういったことが民族音楽の分野でも行われていたのである。 このような「民族文化」は国家の重要行事にも披露されている。1971年の革命50周年記念式典の一環として「モンゴル民族芸能の夕」が行われた。そこで演じられたのは、専門学校生のヴァイオリン合奏や軍楽隊と合唱の演奏、モダン・バレエなどの西洋的な芸能のみならず、馬頭琴の合奏などの新しい民族芸能であった<a href="#_ftn40" title="">[40]</a>。これは政治的パフォーマンスの場での音楽の効用を生かしたイベントでもあろう。 戦後のモンゴルはアマチュア芸能活動が盛んになったが、これもまた上からの組織化の活動であった。モンゴル人民共和国文化史<a href="#_ftn41" title="">[41]</a>によると、1945年に「アマチュア芸能オリンピアード」が翌1946年には「革命25周年記念全国アマチュア芸能者コンテスト」が党によって行われた。これらのうち特に後者は革命記念日に一般公開され、全国から36のクラブ、156の「赤い部屋」が参加し、その総計は約4400人であった。コンテストの内容は演劇、民族音楽、舞踊、民話、祝詞、人形劇、サーカスなどで、これらのジャンルの才能ある人を発掘したという。このようなコンテストはたびたび行われた。上村明によるとこれらの戦後のアマチュア芸能活動の目的は戦前の啓蒙活動が主の活動とは異なり、「新しい国家に見合う新しい民族（国民）文化を創造する大衆運動として、より強く位置づけられ<a href="#_ftn42" title="">[42]</a>」ていたという。 　海外で専門に音楽を学んだ人材が充実してきた1957年、「モンゴル作曲家同盟」が人民革命党中央委員会政治局の決定により設立された。その目的は「モンゴル民謡音楽の伝統に芸術を研究し豊かにすることと、世界およびロシアの古典音楽の諸作品を宣伝すること、ソヴィエト、中国および人民民主主義陣営の音楽組織と交流し、それらの国の作品を浸透させること、特に自国の音楽芸術を海外に宣伝し、作曲家の専門性を高めること<a href="#_ftn43" title="">[43]</a>」であった。ソヴィエトの作曲家同盟は「ソ連音楽の委嘱、出版、演奏会企画の権限を担う唯一の団体<a href="#_ftn44" title="">[44]</a>」であり、官僚による音楽の中央集権支配を確実にした組織であった。しかしモンゴル作曲家同盟がどのような具体的な活動を行っていたか、筆者は十分な調査ができていない。付属基金を設置しての内外の音楽作品を紹介するなどの音楽振興はやっていたようである<a href="#_ftn45" title="">[45]</a>がそれ以外は今のところ不明である。 ただ、作曲家同盟を通じてか、そうでないかはともかく、ソ連のような作曲活動に対する検閲と制限はあった。2006年4月28日、筆者はモンゴルで現在最も尊敬を集めている音楽家の1人、作曲家で合唱指揮者、労働英雄のダグウィーン・ロブサンシャラフ氏(1926- )にインタビューを行った。彼はクラブで西洋音楽と出会い、当初は他の仕事をしていたがウランバートルの中央劇場で活躍するようになり、そこでF.I.クレシコに主に合唱を学び、モスクワ音楽院へ留学した。モンゴルでの主に合唱音楽の推進者として、音楽界の中心で働いてきた人である。ロブサンシャラフ氏が筆者に語ったところによると、作曲技法そのものについての制限はほとんどなかったそうである。これはなぜかというと党政府の役人は音楽に詳しくなかったからだそうである。また検閲の基準がしっかりしていなかったようで、担当者の好みで作品への評価が恣意的に下されることがあったという。しかし、歌の歌詞や曲のテーマについては明確に制限があったという。罰則が決まっているわけではなかったが、チンギス・ハーンのような文学で禁止されたようなテーマで曲を書くことは、自分の身に危険が及ぶかもしれず、しなかったという。他にもあまりに辛い生活を歌った歌、あまりに豊かな生活を求める歌も党政府に嫌われた。ロブサンシャラフ氏自身はこのような党政府の禁止したようなテーマの曲を書いても、党や聴衆に受け入れてもらえず、聞いてもらえないので一方で、社会主義イデオロギー、階級闘争、社会主義の下での中庸な生活、文化をたたえるような歌、スフバートルやチョイバルサンの歌、牧民英雄を賛美する歌が奨励されたという。またこれらに反抗した反体制音楽家はいなかったという。もし仮にいて、作曲技法の中に社会批判を織り込んだ音楽家がいたとしても、党政府の役人には見抜けなかっただろうとも語っていた。 モンゴルでは作曲家にソ連ほどの明確な縛りがあったわけではなかったことがロブサンシャラフ氏のインタビューより分かる。またソ連のように西洋音楽の長い歴史があって浸透していたわけではないため、政治家、官僚は西洋音楽に対する造詣がなかった。しかし、やはり作品を書く上での制限はあった。歌詞や曲のテーマに対し、制限されたテーマと奨励されたテーマがあったことである。結果としてソ連と同じような政治的色彩を帯びた「記念碑的作品」、例えばL.ムルドルジの交響曲第1番《わが祖国》(1955)、S.ゴンチグソムラーの管弦楽曲《党についての交響詩》(1955)、Ts.ナムスライジャブの管弦楽曲《英雄行進曲》(1950)、D.ロブサンシャラフのカンタータ《スフバートル讃歌》などが党政府によって称揚されたのだろう<a href="#_ftn46" title="">[46]</a>。 　こうして見てきたように、戦後のモンゴルでは西洋音楽が、その技術的、媒体の面でも音楽に対する考え方の面でも普及していった。これには党政府の果たした役割が大きかった。反面、引き続き、音楽は国民統合の手段であり、音楽作品への干渉が、ソ連とは少し事情が異なった形で存在した。この他、未確認だが歌うのを禁止された歌が存在したという。これは「愛人」を歌った歌で、この主題が党政府の道徳的規範に抵触したからだろう。これに関してはまた調査する。 <div> <hr width="33%" size="1" align="left" /><div id="ftn1"> <a href="#_ftnref1" title="">[1]</a>：Ts.バトバヤル(2002)前掲書 </div> <div id="ftn2"> <a href="#_ftnref2" title="">[2]</a>：Ts.バトバヤル(2002)前掲書、p.69引用 </div> <div id="ftn3"> <a href="#_ftnref3" title="">[3]</a>：Ts.バトバヤル(2002)前掲書、p.70引用 </div> <div id="ftn4"> <a href="#_ftnref4" title="">[4]</a>：Ts.バトバヤル(2002)前掲書、p.75引用 </div> <div id="ftn5"> <a href="#_ftnref5" title="">[5]</a>：岡田和行/上村明/海野未来雄編(1999)前掲書、p.84参照 </div> <div id="ftn6"> <a href="#_ftnref6" title="">[6]</a>：この建設には旧満州の日本人抑留者も使われた。この劇場の現在の姿は写真１７参照 </div> <div id="ftn7"> <a href="#_ftnref7" title="">[7]</a>：Н.Жанцанноров(1999)と(1996) </div> <div id="ftn8"> <a href="#_ftnref8" title="">[8]</a>：Н.Жанцанноров(1999)前掲書、p.224引用 </div> <div id="ftn9"> <a href="#_ftnref9" title="">[9]</a>：写真資料９ </div> <div id="ftn10"> <a href="#_ftnref10" title="">[10]</a>：写真資料１０ </div> <div id="ftn11"> <a href="#_ftnref11" title="">[11]</a>：Н.Жанцанноров(1996)前掲書、p.21参照 </div> <div id="ftn12"> <a href="#_ftnref12" title="">[12]</a>：写真資料１１ </div> <div id="ftn13"> <a href="#_ftnref13" title="">[13]</a>：写真資料１２ </div> <div id="ftn14"> <a href="#_ftnref14" title="">[14]</a>：筆者は彼の音楽はソ連の作曲家A.シュニトケ(1934-1998)ほどのモダンさを持っていると感じた。シュニトケはフルシチョフの雪解け時代に現代的な作品を書いて、1970年代のブレジネフ時代に作品が発禁処分を受けた。ハンガルは1960年代末にカザフ共和国に留学している。現代的な音楽の許される環境を経験したのであろう。写真資料１３ </div> <div id="ftn15"> <a href="#_ftnref15" title="">[15]</a>：筆者がロブサンシャラフ氏に行ったインタビュー、2006/4/28。 </div> <div id="ftn16"> <a href="#_ftnref16" title="">[16]</a>：写真資料１７参照 </div> <div id="ftn17"> <a href="#_ftnref17" title="">[17]</a>：写真資料１４参照 </div> <div id="ftn18"> <a href="#_ftnref18" title="">[18]</a>：なお、このオーケストラは2003年のアジア・オーケストラ・ウィークに参加するため来日し、演奏を行った。写真資料１５参照 </div> <div id="ftn19"> <a href="#_ftnref19" title="">[19]</a>：ロシア語で、様々な大衆演芸を出し物とするショーのこと。ジャズや歌謡曲も重要な演目であった。鈴木正美(2006)『ロシア・ジャズ（ユーラシア・ブックレットNo.97）』東洋書店、p.3参照 </div> <div id="ftn20"> <a href="#_ftnref20" title="">[20]</a>：当時のものではないが、モンゴルのジャズ・バンド『バヤン・モンゴル』について写真資料１６参照。 </div> <div id="ftn21"> <a href="#_ftnref21" title="">[21]</a>：馬頭琴が改良されたことは前節で述べたが、他にも、例えばヤタグという琴は朝鮮半島のものが多く使われるようにもなった。 </div> <div id="ftn22"> <a href="#_ftnref22" title="">[22]</a>：BNMAU-yn Shinzhlėkh Ukhaany Akademi(1990)”Information Mongolia”, Pergamon Press, Oxford, Tokyo、p.402参照 </div> <div id="ftn23"> <a href="#_ftnref23" title="">[23]</a>：БНМАУ-ын Шинжилэх ухааны академи түүхийн хүрээлэн(1986) ” БНМАУ-ын соёлын түүх2”Улаанбаатар、p.254参照 </div> <div id="ftn24"> <a href="#_ftnref24" title="">[24]</a>：Ts.バトバヤル(2002)前掲書、p.84参照 </div> <div id="ftn25"> <a href="#_ftnref25" title="">[25]</a>：レーニンの指導の下、「全世界の勤労者の解放を自己の任務と」し、そのために、世界初の社会主義革命を行ったロシアを支持し、模範とすること、国際組織コミンテルンを頂点に、各国の共産党が支部となって世界にプロレタリアートの社会を作ることに向けて活動することを定めた。岡崎次郎編(1980)『現代マルクス＝レーニン主義事典』、社会思想社、pp.682-684参照 </div> <div id="ftn26"> <a href="#_ftnref26" title="">[26]</a>：Д.Цэдэв(1996)前掲書参照 </div> <div id="ftn27"> <a href="#_ftnref27" title="">[27]</a>：こちらはフランス人の作詞作曲による有名な歌のロシア語訳であり、《モンゴル・インターナショナル》とは別物である。 </div> <div id="ftn28"> <a href="#_ftnref28" title="">[28]</a>：前掲のインタビュー2006/4/28 </div> <div id="ftn29"> <a href="#_ftnref29" title="">[29]</a>：前掲のインタビュー2006/4/28 </div> <div id="ftn30"> <a href="#_ftnref30" title="">[30]</a>：Н.Жанцанноров(1999)前掲書、p.228-229参照 </div> <div id="ftn31"> <a href="#_ftnref31" title="">[31]</a>：前掲のインタビュー2006/4/28 </div> <div id="ftn32"> <a href="#_ftnref32" title="">[32]</a>：L.フェイ(1997)前掲書、p.18参照 </div> <div id="ftn33"> <a href="#_ftnref33" title="">[33]</a>：鈴木正美(2006)前掲書、pp.30-31参照 </div> <div id="ftn34"> <a href="#_ftnref34" title="">[34]</a>：F.マース(2006)前掲書、pp.498-511参照 </div> <div id="ftn35"> <a href="#_ftnref35" title="">[35]</a>：Н.Жанцанноров(1999)前掲書、p.229参照 </div> <div id="ftn36"> <a href="#_ftnref36" title="">[36]</a>：上村明(2001)「モンゴル西部の英雄叙事詩の語りと芸能政策」（『口承文芸研究24』、日本口承文芸学会、pp.102-117） </div> <div id="ftn37"> <a href="#_ftnref37" title="">[37]</a>：上村明(2001)前掲書参照 </div> <div id="ftn38"> <a href="#_ftnref38" title="">[38]</a>：上村明(2001)前掲書、p.107引用 </div> <div id="ftn39"> <a href="#_ftnref39" title="">[39]</a>：У.Загдсүрэн(1967)前掲書、pp.141-142引用 </div> <div id="ftn40"> <a href="#_ftnref40" title="">[40]</a>：春日行雄(1971)「モンゴル人民革命50周年祝典報告会」（『日本とモンゴル6巻6号』、日本モンゴル協会、ｐ.42参照 </div> <div id="ftn41"> <a href="#_ftnref41" title="">[41]</a>：БНМАУ-ын Шинжилэх ухааны академи түүхийн хүрээлэн(1986)前掲書、pp.231-233 </div> <div id="ftn42"> <a href="#_ftnref42" title="">[42]</a>：上村明(2001)前掲書、p.106引用 </div> <div id="ftn43"> <a href="#_ftnref43" title="">[43]</a>：У.Загдсүрэн(1967)前掲書、p.155引用 </div> <div id="ftn44"> <a href="#_ftnref44" title="">[44]</a>：F.マース(2006)前掲書、p.409引用 </div> <div id="ftn45"> <a href="#_ftnref45" title="">[45]</a>：У.Загдсүрэн(1967)前掲書、pp.274-278参照 </div> <div id="ftn46"> <a href="#_ftnref46" title="">[46]</a>：モンゴル科学アカデミー歴史研究所編著/二木博史他訳(1988)『モンゴル史２』、恒文社、p.246参照 <a href="http://www5.atwiki.jp/mongolhugjim/pages/152.html">卒業論文目次へ戻る</a> </div> </div>

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