《王鷲》(1966)


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救国英雄マンライバータル・ダムディスレンを主題としたオペラ。ダムディンスレンは内モンゴル、バルガのソムの長だった人で、1911年フレー(現ウランバートル)でモンゴル独立が宣言されるとバルガの代表として馳せ参じ、バルガのモンゴル国への合併を申し出て外務副大臣になり、モンゴル軍を率いて中国軍と戦い、尊敬をこめて「マンライバータル(さきがけの英雄)」と呼ばれた。

第一幕
第一場:ダムディンスレン(バリトン)ら率いるモンゴル軍はホブドの町を漢人の軍隊から解放し、勝利を祝っていた。清朝の役人ゴ・リン(テノール)が連れてこられ武装解除を行う。するとフレーからボグド・ハーン活仏の側近ナサンバト(バス)、その娘ノロブルハム(ソプラノ)、台吉のデムチグバル(バリトン)、高僧のゲンデンバト(バリトン)が使者としてやってきて、ダムディンスレンにマンライバータルの称号を与える。以前から好意のあったノロブルハムとモンゴル軍の小隊長チョローンバト(テノール)が仲を深めているのを知ったデムチグバルはこれを妬む。一方祝いの席は老兵士イェレンテイが祝詞を歌い宴たけなわである。第二幕第二場:1919年、首都フレーの広場。多くのモンゴル側領主たちが中軍軍閥に下っていた。これに憤ったダムディンスレンは再び軍隊を集めて外国勢力を一掃しようとナサンバトに持ちかけるが、ボグド・ハーン政府の決定に忠実なナサンバトは意に介さなかった。ダムディンスレンは一般民衆の共感を得ていった。一方6年前に降参したはずのゴ・リンが中国軍と手を組んでモンゴルの役所の看板を全て中国のものに挿げ替え、罪無き民衆を皆殺しにし始める。そのころ革命グループと接触したダムディンスレンはチョローンバトと共に民衆に檄を飛ばし、兵を集める相談をする。彼らの連絡係を引き受けたノロブルハムはナサンバトの屋敷で要人たちの会合があることを知らせる。チョローンバトとノロブルハムが愛し合っているところを見たデムチグバルは苦々しく思いながらノロブルハムを自分のものにしようと決める。第三場:ナサンバトの屋敷に要人たちが集っている。彼は貴族たちと政について話し合いながら入ってくる。ゲンデンバトの率いる聖職者たちはボグド・ハーン活仏のお言葉を待って、ガンダン寺で信者揃って厄払いの大法会を行うことを主張した。一方ナサンバトの率いる貴族たちは中国軍閥たちと和平交渉を行うことを主張した。チョローンバトが中国軍が狼藉を働いていることを話すとナサンバトは怒り彼を追い出す。客人全てが出て行った後、ナサンバトのところへデムチグバルがやってくる。彼が既に中国側に寝返っていることを知っていたナサンバトは不機嫌になり、これからどうすべきか大いに悩む。第三幕第四場:黄昏どきのトーラ河畔の柳の木の下。チョローンバトとノロブルハムはダムディンスレンを待っている。間もなくダムディンスレンが同志たちを連れてやって来て、中国軍の注意をそらしてその隙に武器庫を爆破し仲間を逃がす計画を話す。そしてサインビリグが武器庫爆破に成功し仲間と共に逃げてきたが、勘付いた中国軍がすぐに追ってくる。ダムディンスレンを見つけたゴ・リンは彼を捕らえさせる。チョローンバトは何とか逃げ切るが老兵士イェレンテイは殺されてしまう。民衆は祖国を救うため決起を誓う。第五場:中国軍の牢。ナサンバトやゲンデンバトも既に捕らえられていた。過酷な拷問を受けたダムディンスレンもそこに放り込まれる。ゴ・リンとデムチグバルが入ってきてダムディンスレンを再び取り調べようとするが、ダムディンスレンは頑として口を割らない。一方牢の外ではノロブルハムが父の釈放をゴ・リンとデムチグバルに願い出る。ゴ・リンがノロブルハムを見て気に入るが、自分には目もくれない彼女を逆恨みしたデムチグバルはノロブルハムを共産主義の協力者として捕らえさせる。再び牢の中、ノロブルハムまで捕まり、父ナサンバトはその不運を嘆くが、ダムディンスレンは毅然とした態度で皆を奮い立たせる。ゴ・リンとデムチグバルが入ってきてノロブルハムを奪い合い、ゴ・リンはデムチグバルを銃で撃ち殺してしまう。その隙に一人の囚人がゴ・リンに掴みかかり絞め殺す。度重なる拷問にダムディンスレンの心身は限界を超え「中国人の前で膝を折っては死なないぞ」と立ったまま息を引き取った。