シャンズ

シャンズ/ショドラガ

Шанз(s'anj'a)/Шудрага(sidurGa)
シャンズ(шанз)の語は漢語の三弦(san xian)または弦子(xian zi)に由来するとされる 。現代のモンゴル国でシャンズと同じ楽器を指す語としてショドラガ(шудрага)という語も用いられる。このショドラガの語は14世紀末にはあった言葉で撥弦楽器を指す語のひとつであった 。バドラハはショドラガは、より古い琵琶やホビスから生まれたとしている 。
ゴンチグソムラーによれば1939年当時すでに半音階を演奏できるよう左手の運指が示されているが、調弦は左からC4、D4、A4だった 。他にも地方や、伴奏するオルティン・ドーの種類によって8種類の調弦が知られている 。またバドラハは
民族楽器オーケストラで使われる調弦は、すでに1940年代スミルノーフによって変更された。現在広く使用されている民謡《叶わぬ恋》に基づく調弦、あるいはスミルノーフの調弦と呼ばれる、左からG3、D4、G4に調弦するものである。なお、1938年に劇場で勤務し始めたシャンズ奏者のダシドラムによれば、西洋音階の運指を覚えるために当時棹に線を描いて練習していたという 。
現在使われている楽器は、木製の棹と胴に蛇の皮が張られ、全長が117cmである。弦は細い第1弦がナイロン、太い第2、3弦が絹糸である。これを長さ10cmの細い竹の撥で弾く。ナイロン弦の採用などがいつ行われたのかは不明である。スミルノーフ調弦では音域はG3からG6である。
1960年には早くもS.バザルラグチャーとリムベ奏者としても有名なツェレンドルジによってシャンズ教則本が出されている 。この教則本は、五線譜を使ってシャンズの演奏を習得するもので、調弦もスミルノーフの調が指定されている。中で用いられる音楽用語もоктав(オクターブ)、такт(タクト/小節)などのロシア語経由の外来音楽用語と、найруу эгшиг(和音)など1956年にJ.バドラーの作成した西洋音楽用語の翻訳語 が混合で用いられている。また同年、上記のダシドラムが音楽舞踊中学校で教え始め、多くの弟子を育てた。
モンゴル音楽事典楽器
最終更新:2012年10月13日 20:44