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第2話


「貴方誰?」『君名前は?』

 私が質問する声と、男の人の声が重なった。私が思わずふきだすと、その男の人は大笑いした。だから、私も大笑いした。何分くらい笑っていただろう。しばらくして笑いがおさまると、男の人はもう一度私に問いかけた。

『君、名前は?』
「私は香音。かのんよ」
『俺は吸血鬼のリロン』
「へ~~。リロンか――」

 その後も、私とリロンの会話は続いた。そしてわかったのは、あの謎の声はリロンの声だったという事。あの壁をはさんで世界がわかれていて、私がいた方は人間界、リロンがいた方は呪界という事。あの壁の『血の色』の部分を、11時のトビラと呼んでいるという事。壁が11時になると血の色になるのは、呪界では1は魔の数字とされていて、人間界とつながっていると考えられているからという事。つまりは、人間界で4の数字は、死界というマイナスのイメージがある世界につながっているとされているように、呪界では、人間界はマイナスのイメージがあるのだ。だから、魔の1が人間界とつながる、という事だ。

「じゃあ、どうしてリロンは私をここへ呼んだの?人間界はマイナスのイメージがあるって言っていたのに。私は人間界の人間よ?」
『それは…』
「よう、リロンじゃないか」
『マーク』
「あれ、そちらのお嬢さんは?」
『ほら、あの人間界から連れてきた子だよ。名前はカノン』
「ああ…。始めまして、カノン」
「始めまして!」
『カノン、こいつは座敷蕨だよ』(ザシキワラビ)
「は?」
「そうともよ!聞いて驚くな?カノン!俺様こそあの座敷童が選んだ男!天下の座敷蕨、マーク様だ!」
「ざ…しきわらび…?ちょっとリロン!この世界なんなの!?人間じゃなくて、ざ、ざ、ざしきわらびって!」
『だから呪界だって言っただろ?俺だって人間じゃなくて吸血鬼だし』
「きゅ…吸血鬼――!?!?」

 そう、私はロンリの大切な一言を、右耳からいれて左耳から抜いていたのだ。『俺は吸血鬼の――』驚きもせずその先に会話を続けたのもその為。その後私は混乱していながらも、この世界に住む者達の事を質問した。そして、この呪界の事をさらに詳しく知った。
 呪界というのは人間界でいう『妖怪』が住む世界で、今私がいる場所は『様の森』の『吸血鬼の館』。様の森は吸血鬼が特に多い場所で、そこにある吸血鬼の館は、吸血鬼の頂点にたつ者が主になるという。そして、その館には様々な妖怪が現れ、吸血鬼の宝『イキモノノチ』を求める。

「ロンリがその主なの?」
『いいや。主はいない。一週間前に死んだ』
「へ、へえ…」

 私はドキッとした。私の両親が死んだのと同じ日に死んだとなると、動揺しないわけもない。

「じゃあさ、どうして座敷蕨?のマークがここにいるの?」
『あいつは俺の友人だから。吸血鬼の仲間なら、ここにとどまってもいい事になっている』
「へえ――」

 まだわからない事がありながらも、私はしばらくして眠ってしまった。