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救済N/Destiny's Play - (2010/11/04 (木) 07:45:29) のソース
*救済N/Destiny's Play ◆7pf62HiyTE Chapter.04 Destiny's Play 「……別の人に変身する魔法はありますし、スカリエッティの戦闘機人の中にも変身能力を持っていた人がいました」 「……わかった」 かがみが意識を取り戻した時、真っ先に聞こえてきたのはそんな会話だった。 「あ……あれ……私……? それにここは……?」 周囲を見回すとそこは森の中。 「あ、気が付いた? 天道さん、かがみが目を覚ましました」 と、なのはと天道は足を止めた。今現在かがみはなのはの背に背負われている状態だ。 「……あれ……それじゃあさっきまでのは……?」 状況を把握し切れていないかがみを余所になのはは彼女を降ろす。一方で天道は周囲の警戒を行っている。 「う……痛……」 と、地面に降ろされたものの両手足に激痛が奔り上手く立つことが出来ず腰を下ろした。 「大丈夫? このカードを使えば……」 と、なのははかがみにデュエルディスクの使い方を説明し、かがみは手際よくセットされているカードを発動した。それにより大分痛みが和らいだ。もっとも手足の違和感まではまだ完全には治らないが。 「あの……なのは……」 「ねぇ、今までに何が起こったか覚えている?」 「うん……あの関西弁のあの子に斬られた後……なのは達が……そうだ、こなた達は!?」 「大丈夫、今さっき放送があったけどこなたの名前は呼ばれなかったよ」 「お願い急いで! 早くしないとこなたがあの子に……!」 かがみの言い分では急がないとはやてにこなたが殺されるらしい。それが確かならば急がなければならないが、 「落ち着いて、今までに何があったのかもう一度話してくれる? 私と別れた後、一体何があったのかを……」 「それは……」 「あの時も言ったけど、辛い事は今度こそ私が受け止めるから……」 それはこの場で最初に出会った時と同じ真剣な眼差しだった。 「うん……あの後……」 そしてかがみはあの後に起こった事について語り始めた。ベルトの力に呑まれ暴走しなのは達と別れた後、銀髪の男性とシグナム、他1人の男性が戦っている現場に出くわし彼等に戦いを仕掛けた。 その後、かがみ自身はあっさり倒されたものの気が付くと銀髪男性、シグナム、そして関西弁の少女が和解する会話が聞こえた。どうやらシグナムと関西弁の少女は家族だったらしい。 「はやてちゃんだ……」 「でもそれを私は……」 が、それに苛ついたかがみは攻撃を仕掛けシグナムを惨殺、そしてはやてが手にした小刀の力によりかがみは再び倒されたのだ。 意識を取り戻した時にようやくベルトの力が切れ正気に戻っていたもののその時Lに拘束されており、ベルトもデッキもLに奪われていた。その後Lの所から何とか逃げ出したもののモンスターに追いかけ回されたことを語った。 そして何とか万丈目と遭遇したが彼の持っていた千年リングに宿るバクラによると彼は眼帯の少女を襲った危険人物と語っていた為、彼の持っていたデッキのモンスターの餌にしようかと目論んだが逆にデッキを押しつけられ逃げられた。 これまでに多くの人々に痛い目に遭わされ決定的な裏切りを受けた事で皆殺しにする事を決めたと語った。 その後、参加者の1人に襲いかかったがそこでタイムリミットを迎え餌にされそうになったものの銀色の巨人メビウスによってモンスターが倒された事で何とか助かったのだ。 メビウスから逃げ出した後、Lに奪われていたデイパックを運良く回収出来デッキもかがみの手に戻った。かがみは生き残るため参加者を皆殺しにしようとバクラの助言に従いつつエリアの端を超えてホテルに向かった。 その後ホテルからデュエルアカデミアに向かいスバル達と遭遇・襲撃しその際に眼帯の少女をモンスターに喰わせ殺した。 スバルに逃げられた後、煙の立ち上ったレストランに向かいそこで漆黒の鎧姿と緑の怪物の2つの変身体を持つ男性と浅倉と戦ったものの惨敗し浅倉にデッキを奪われた。 なんとかあの場で別の変身ベルトを手に入れ助かったが、ホテルに戻った後いきなり奇妙な場所に引き込まれた。 「かがみもあそこに……」 そこで浅倉によってつかさを目の前で惨殺されかがいは自暴自棄になり戦った。その後気が付いたら再びホテルに戻りヴァッシュと遭遇。 かがみはヴァッシュを利用しようと思い、後からやって来たスバルと戦わせた。そして自分と緑の怪物に変身する男の計4人を交えての乱戦になり敗れ、 「気が付いたら目の前にあの時の女の子がいた……それで……刀を突き付けられて……」 洗いざらい喋らされ、お前がシグナム達をを殺したんだと両手足を斬られ更に腹を刺されたと語った。 ちなみに今回なのはに語った内容はかがみの主観によるものではあるが、かがみ自身による一方的な決めつけによる要素は少なくなっており、自分から襲った部分に関しても概ね事実を述べている。 「そこに私達が現れたと……」 正直な所、同じ24時間でここまで悲惨な経験をしているとは予想外だった。遠くから周囲の警戒をしながらかがみの話を聞いていた天道の表情も真剣そのものだ。 一方のなのはもかがみの話には色々と思う事はある。 正直な所謝罪されても許されない部分は多分にある。幾ら状況がそうさせたといっても不可抗力と言って良いのはメビウスを襲った所までだ。 それ以降――チンクを殺しスバル達を襲った辺りからはそういった言い訳は通用しない。バクラの存在があったとしても最終的に行動を起こしたのはかがみである以上、当然彼女にも責任はある。 「……幾つか確認して良いかな? スバルはかがみをどうしようとしていた? スバルは一方的にかがみを襲ったの?」 「それは……」 かがみはスバルの言葉を思い出す。 『こなたは言ってました……貴方は怒りっぽいけど、根は優しい人だって……だから……』 『……こなただって、諦めずに戦ってるんだよ……それなのに』 『それでも、こなたがかがみさんの友達だって事に変わりはないでしょう!? 自分の世界の、自分の知る相手でなくとも、変わらず接してくれた人を、私は知ってる!』 何度と無く殺そうとした自分に対しずっと説得を続けて来た。あの時は口喧しい言葉だと思っていたが彼女はずっと自分とこなたを再会させようとしていたのは理解出来る。それを自分は…… 「違う……スバルはずっと私を説得してこなたと私を再会させようとしてくれた……」 「そっか……」 実の所、なのはははやてやフェイトが危険人物になっているという話を聞いて不安な気持ちで一杯だった。 普通は有り得ないと斬って捨てる事だがこの状況どうなっているかは未知数、更に言えばはやてががかみを拷問する事実が余計に不安にさせた。 もしかしたらスバルやユーノも危険人物になっているのではないかと……本人が聞いたら怒りそうな事を内心で考えたのだ。 だが、かがみの言葉が確かならばスバルはずっと諦めずに戦い続けていたという事になる。ならば彼女の憧れの対象である自分もそれに応えなければならないだろう。 「もう一つ聞かせて……かがみははやてちゃん……その関西弁の女の子に何か言わなかった?」 はやてがかがみを拷問した事は恐らく紛れもない事実だろう。シグナムの家族でなおかつ関西弁を話し自分の事を『なのはちゃん』と呼ぶ者など彼女しかいない。 しかし、幾らシグナムを殺したとはいえヴィータならばともかくあのはやてが復讐のために一方的に拷問するとは思えなかった。 勿論これは自分の色眼鏡も多分にあるのは承知している。それでもここまでの凶行に至ったのは他に決め手がある様に思えた。 「……そういえば自分の行動を悪いと思っているのか聞いてきたけど……でも私は……自分は悪くなくてスバル達が悪いって……」 そう答えるまでは本心はどうあれ脅し程度にしか小刀を使わなかったが、以降は憎悪を隠すことなく怒りをぶつけてきた。 「はやてちゃん……」 はやての行動はやり過ぎ、それは変わらないもののそういう受け答えをされれば彼女が怒るのもある意味仕方がない。何しろ、自分自身そうやって返されて憤りを感じないわけがないのだ。 しかし、やはり友人だからこそはやての行動には何処か腑に落ちない点がある。 本当に復讐ならばいっそひと思いに殺せば良いのに何故死にかけの状態で放置したのだろうか? それ以前に復讐が目的だったのだろうか? だが、かがみからの証言ではこれ以上はわからない。こればかりははやて側の言い分も聞かなければわからないだろう。 「最後にもう1つだけ質問させて……はやてちゃんに聞かれた質問、あの時はそう答えたんだろうけど……今ではどう思っているの?」 「……」 暫しの沈黙……かがみの脳裏にはこれまでの出来事が浮かび上がる。流石に浅倉や万丈目の事等に関しては素直に認められないものの、シグナム達3人を殺した事やスバル達に仕掛けた事に関してはそうではない。 「私が……悪かった……と思う」 「じゃあ、かがみはこれからどうしたい?」 「……あの子……はやてって人や、エリオ達の友達、それにスバル達に謝りたい……今更許して貰えるなんて思えないけど……それから、こなたにも……」 その言葉通り、再び出会った所で復讐されるだけかもしれない。それでもそれがかがみの心からの答えだ。それを聞いたなのはは、 「わかった。大丈夫だよ、例えはやてちゃんがかがみを殺そうとしても私はかがみの味方、絶対に守ってみせるから」 笑顔でそう答えた。はやての真意が何であったとしても、かがみがシグナム達を殺すという許されざる罪を犯したとしても、その為に彼女が殺されるなんて誰が何と言おうとも、それが当事者のはやてであっても認めることは出来ない。 勿論、なのは自身かがみの罪を許す事は出来ない。それでもかがみがその罪と向き合い生きていこうとするならばそれを支えていきたいと思う。 ――それが彼女をここまで追いつめる切欠を作ってしまった自分に出来る事なのだから。 どれぐらい時間が経過しただろうか? まだ放送から20分も経過していないぐらいだろう。 かがみの証言から考えはやて達がF-9にあるホテルから北上したのは確か。そして会場のループを使いかがみをD-1に置き去りにした事を踏まえはやて達の集合場所はループ地点であるD-9に近いC-9のスカリエッティのアジトと言った所だろう。 なお、スーパーに向かったという話だが先程まで自分達が戦っていた危険な場所なのでその部分ははやてがすぐにアジトに向かわせるのを避ける為の偽装だろう。 早急にそこに向かいはやて達と合流しその後ヴィヴィオを助ける為にゆりかごへ向かわなければならない。 しかし状況は芳しくない。生き残っている参加者は残り12人。なのは、天道、かがみを除けば残り9人、 この場においても無力な参加者を守りこの殺し合いを打破するために戦っているスバル、 なのは自身が魔法と出会う切欠を与えたユーノ、 聖王となって暴れてはいるが何とかして助け出したいヴィヴィオ、 友人ではあるがかがみに対する凶行の真意が気になるはやて 善良な性格らしいが暴走する力が気に掛かるヴァッシュ、 かがみの友人でスバルがずっと保護していたらしいこなた、 別れた後の動向がずっと不明瞭で信用しがたい金居、 自分達を掻き回し殺し合わせ様とするキング、 妹達を殺され修羅の道に落ちたアンジール、 それ以外の者は皆死亡した。それについて思う所はあるが今はそれについて想いを馳せる余裕はない。 9人の内味方及び保護すべき対象と言えるのはスバル、ユーノ、こなたの3人、 危険人物ではあるが何とか助け出したいのがヴィヴィオ、 一応味方といえるが完全に信用出来ないのがはやて、ヴァッシュ、金居の3人、 出来うる事ならば説得したいが厳しいと思われるアンジール、 そして最悪の敵とも言うべきキング。 この中で現状明確な危険人物はヴィヴィオ、アンジール、キングの3人。なのはとしては当然ヴィヴィオは助けるつもりであったし前述の通りアンジールも出来れば説得したい。 しかしキングだけは確実に打倒しなければならない存在と言えるだろう。殺さなければならない相手と言って良い。 殺しをする事に抵抗が無いといえば嘘になるしそれが受け入れがたい事に変わりはない。それでもキングの為に何人もの参加者が死に更に殺し合いを煽ろうとしている以上殺すという選択もやむを得ないだろう。 一方で金居に関しても気になる所がある。金居の言動を思い返した所、銀色の鬼やペンウッドを疑ってかかっていた。 憤りは感じるもののそう思う事自体は問題ではない。しかし情報を纏めた所銀色の鬼ことミライやペンウッドが悪人という事はなかった。 勿論、金居が知り得ない事であり警戒心が強かったからと片付けられないこともない。しかしどうにも学校でのやりとりは完全に金居が主導権を握っていた事から踏まえても何かが引っかかるのだ。 そう、まるで金居が自分達の間に不和を起こして分裂させる事を狙うかの様に……勿論これだけならば趣味の悪い妄想だろう。 だが、ある一件が気になるのだ。かがみから聞いた所デッキには説明書が付属していたらしい。しかしなのは達もデッキを手にしてはいたが説明書は存在しなかった。 C.C.が持っていたデッキの説明書はフリードリヒによって使用不能になったとして、自分達が学校で手に入れたデッキの説明書は何処に行ったのだろうか? デイパックはそのまま残っていたから中に残っているのが自然だ。だとすれば――誰かがなんらかの理由で処分したという可能性がある。 状況から考えて学校でデッキを使っていた人物はクロノと考えて良い。しかしあのクロノが説明書を処分するとは思えない。では処分した人物は誰なのか? 説明書を処分しなければどうなるのであろうか? 説明書にはモンスターに生きた参加者を喰わせなければ所有者が喰われるとあったらしい。それがあったからこそ万丈目はかがみにデッキを押しつけたのだろう。 それを知らずに平然と持っていれば持ち主がモンスターに喰われるだけという事だ。 なのはとペンウッドはそれを知らずにデッキを持っていた。放置すれば自分達が餌になるのは言うまでもない。つまり、説明書を処分した人物は2人を死なせる事を狙っていたという事だ。 そしてその容疑者はあの場で別行動をした弁慶と金居のどちらかに絞られ、言動などから考慮して金居がそれを行った可能性が高い。 金居は表向き自分達に協力してくれていた。しかし、味方の中に入り込んで内部から潰すという手法は存在する。 金居は本当は優勝を狙っていたのではなかろうか? いや、出会った当初はともかく放送を聞いたことで優勝狙いに切り替えた可能性もあるだろう。こちらが動揺している間に色々仕掛けていたということだ。 以上の事は推測レベルの話、確たる証拠があるわけではない。勿論、出来うる事ならば信じたい所だ。しかし思考停止し無条件に信用して取り返しの付かない事になるのだけは避けなければならない。 何にせよ、金居をこのまま味方として信用する事は避けるべきだ。もしかしたらアンジール、はやて、ヴァッシュ以上に危険な存在かも知れない。 「天道さん……」 移動を再開するため近くで周囲を警戒していた天道に声を掛け、 「話は聞いていた。それより、動けるのか?」 「私なら大丈夫だから……お願い、こなたを……」 かがみ自身生きていたいと思っても今更許されるとは考えていない。再びはやてと再会した所で殺されても文句は言えないだろう。 だが、自分の行動が原因でこなたが殺される事は望まない。せめてこなただけは助けて欲しい、それがかがみの本心である。 なのははそんなかがみの言葉を聞いてかがみ自身本当は優しい子だと感じだ。だからこそこなたは勿論のことかがみも助けようと思う。例えはやてと対立する事になってもそこを譲るつもりはない。 「わかったよ……でも、こなたはかがみが死ぬことを望んだりしないよね? だから……」 「うん……私も諦めない……」 とはいえまだ完全回復には至っておらず、それ故なのはに背負われている状態だ。それでも、彼女の言葉からは確かなる意志が現れていた。 そしてここ暫くの間殆ど沈黙を保っていた天道も只沈黙をしていたわけではない。 そもそも当初の予定では放送を聞いた後、かがみの意識が戻り彼女から事情を聞いてから移動を始めるつもりだった。しかし実際はかがみ覚醒時にはすでに移動途中だった。 天道が移動を前倒しした切欠は漠然としていれば見落としかねないある事が起こったから。それは0時丁度になっても放送が始まらなかった事だ。 天道自身最初の放送は聞き逃していたが2度目と3度目の放送は共に12時、18時丁度に行われた。にも関わらず今回は0時丁度から2、3分過ぎても放送が始まらなかった。 何故これまでは定時に行われた放送が今回に限って行われなかったのか? 定時に放送を行えない事情があったのではないのか? つまり、主催側でこのデスゲームに関わる重要な事が起こった可能性だ。 となればこのまま只時間を潰すのは得策ではない。状況が大きく動いたのならば急がなければならない。最悪殺し合いをやっている事態では無くなっている可能性もあるのだから。 故に移動を前倒しする旨を話しなのはもそれに賛同し移動を始めたのだ。動くとなればその足は速く早々に西端を越えて仮説通り東端の森に到達した。 そのタイミング、定時より10分遅れて4度目の放送が流れた。放送自体はプレシアが行っておりその内容に特別な情報は何も無かった。 いや、『特別な情報は何も無かった』事こそが異常であった。 定時より10分遅れての放送にも拘わらず仮眠を取ったから自分が行うという話だけで遅れについては何も言及していない。これまで厳密に行ってきた割にあまりにずさんではなかろうか? 遅れるにしても一言程度でも言及する方が自然だ。 そもそも本人が定時に行えない事情があるならば前回の放送同様、オットー辺りに放送を任せれば済む話だ。本人が出て直接何かしたわけではないのだからそれで十分事足りる。 では、なぜ10分遅れてでもプレシア自身で放送を行わなければならなかったのか? 少なくても前述の通りプレシアが行う必然性はない。 が、ここで見方を変えてみよう。放送を行う人物は『プレシアでなければならなかった』と考えればどうだろうか? 主催がプレシアである以上、プレシア以外が行ってもプレシアは健在だとだれもが考える。しかし、今回に限ってはプレシアの存在を無理にアピールしているかの様に思える。 そう、まるで『放送を行っているのはプレシアです。何も問題はありません』と無理に見せているかの様な――それが意味することは1つ、『放送を行ったのはプレシアの姿を借りた誰か』という事だ。 つまり、何者かがプレシアの姿を借りて放送を行ったという事だ。そうまでしてプレシアが健在であるかの様に見せるという事は―― 主催側で何かが起こり、プレシアが主催の座から転落した―― 天道がその仮説に至れたのは彼の世界にいるワームの存在があったからだ。ワームは人間に擬態する能力を持っておりその際に記憶や人格をも引き継ぐ――そう、肉親が実はワームだったという話もあり得るという事だ。 つまり、放送を行った者はプレシアに擬態したワームという可能性もあるという事だ。 もっとも、天道の世界の常識だけで物事を計ってはならない。天道はなのはに全くの別人に偽装する能力や魔法が存在するかどうかの確認を行った。 なのは自身も放送の異常は感じており、天道の問いかけで彼女も同様の仮説に至る事が出来、天道に変身魔法の存在及び、スカリエッティの戦闘機人の中に変身能力を持つドゥーエがいる事を話した。 これにより、主催側の異変・プレシアの転落の可能性が非情に強まった事になる。となると、最早このデスゲームは瓦解寸前、脱出のため行動を急がなければならないだろう。 勿論、これらの事は完全に断定出来たわけではない。単純にプレシアが此方を攪乱するために10分遅らせただけという事もあり得る為、罠の可能性も考慮に入れなければならない。 しかし、どちらにしても早々に動かなければならないだろう。放送の真相が何であれ、参加者の中にはこの異常に気付き行動を起こす者が出てくるからだ。 天道は多くを語らない。それ故に放送やかがみの証言等から何を考え最終的にどうするつもりかまではなのは達の視点からはわからない。 だが、その瞳にはこのデスゲームを打倒し参加者達を救うという強い意志が宿っている―― 残り人数は12人、10分もの謎の放送遅れ、それらから鑑みてこのデスゲームは終盤に入ったと考えて良いだろう。 終焉を告げる歌は静かに奏でられ始めた―― そして、異なる運命を持った役者達はある一点へと集おうとしていた―― 運命が繋がる―― 【2日目 深夜】 【現在地 D-9 森林】 【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康 【装備】とがめの着物(上着無し)@小話メドレー、すずかのヘアバンド@魔法少女リリカルなのは、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式×2、グラーフアイゼン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ホテル従業員の制服 【思考】 基本:誰も犠牲にせず極力多数の仲間と脱出する。絶対にヴィヴィオを救出する。 1.アジトに向かい仲間達と合流する。 2.天道と共にゆりかごに向かい、ヴィヴィオを探し出して救出する。 3.はやてからかがみを守る。 4.出来れば片翼の男(アンジール)と話をしたいが……。 5.極力全ての戦えない人を保護して仲間を集める。 【備考】 ※キングは最悪の相手だと判断しています。また金居に関しても危険人物である可能性を考えています。 ※はやて(StS)に疑念を抱いています。きちんとお話して確認したいと考えています。 ※エリアの端と端が繋がっている事に気が付きました。 ※放送の異変から主催側に何かが起こりプレシアが退場した可能性を考えています。 【柊かがみ@なの☆すた】 【状態】両手首の腱及び両アキレス腱切断(回復中)、腹部に深い刺し傷(回復中)、つかさの死への悲しみ、サイドポニー、はやて(StS)に対する恐怖、なのは(StS)に背負われている 【装備】とがめの着物(上着のみ)@小話メドレー、デュエルディスク@リリカル遊戯王GX、治療の神 ディアン・ケト(ディスクにセットした状態)@リリカル遊戯王GX 【道具】なし 【思考】 基本:出来るなら、生きて行きたい。 1.アジトに向かい、はやてやスバル達に謝りたい。 2.こなたを守る。 【備考】 ※一部の参加者やそれに関する知識が消されています(たびかさなる心身に対するショックで思い出す可能性があります)。 ※デルタギアを装着した事により電気を放つ能力を得ました。 ※変身時間の制限にある程度気付きました(1時間~1時間30分程時間を空ける必要がある事まで把握)。 ※エリアの端と端が繋がっている事に気が付きました。 ※第4回放送を聞き逃しました。その為、放送の異変に気付いていません。 【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状態】健康 【装備】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】支給品一式、スティンガー×5@魔法少女リリカルなのはStrikerS、カブトゼクター@魔法少女リリカルなのは マスカレード、デルタギア一式・デルタギアケース@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【思考】 基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。 1.アジトに向かう。 2.なのはと共にゆりかごに向かい、ヴィヴィオを救出、何としても親子二人を再会させる。 3.キング及びアンジールは倒さなければならない敵。 【備考】 ※首輪に名前が書かれていると知りました。 ※天道自身は“集団の仲間になった”のではなく、“集団を自分の仲間にした”感覚です。 ※PT事件とJS事件のあらましを知りました(フェイトの出自は伏せられたので知りません)。 ※なのはとヴィヴィオの間の出来事をだいたい把握しました。 ※放送の異変から主催側に何かが起こりプレシアが退場した可能性を考えています。 【チーム:スターズチーム】 【共通思考】 基本:出来る限り全ての命を保護した上で、殺し合いから脱出する。 1.まずは現状確認。 2.協力して首輪を解除、脱出の手がかりを探す。 3.出来る限り戦えない全ての参加者を保護。 4.工場に向かい首輪を解析する。 【備考】 ※それぞれが違う世界から呼ばれたという事に気付きました。 ※チーム内で、ある程度の共通見解が生まれました。 友好的:なのは、(もう一人のなのは)、(フェイト)、(もう一人のフェイト)、(もう一人のはやて)、ユーノ、(クロノ)、(シグナム)、(ヴィータ)、(シャマル)、(ザフィーラ)、スバル、(ティアナ)、(エリオ)、(キャロ)、(ギンガ)、ヴィヴィオ、(ペンウッド)、天道、(弁慶)、(ゼスト)、(インテグラル)、(C.C.)、(ルルーシュ)、(カレン)、(シャーリー)、こなた、かがみ、(つかさ)、(ミライ)、ヴァッシュ 敵対的:(アーカード)、(アンデルセン)、(浅倉)、(相川始)、(エネル)、キング、アンジール 要注意:(クアットロ)、はやて、金居、(矢車) それ以外:(チンク)・(ディエチ)・(ルーテシア)、(ギルモン・アグモン) Chapter.03 REBIRTH ~女神転生~ 何時まで経っても腕にも足にも激痛は奔らない。手足の感覚までおかしくなったのだろうか? それとも…… 「何のつもりや?」 振り下ろされた筈の小刀はある者の右手の指だけで止められていてそこからは僅かに血も流れている。 「おかしいなぁ……はやてちゃんどうしちゃったのかな……」 その凶刃を止めたのはなのはだ。 「え……なのは……?」 「はっ、何もおかしな事なんてあらへん。私は目の前でシグナム達を殺した阿呆餓鬼に同じ事をしているだけや」 「少し頭冷やして……そんな事、シグナムやエリオが望んでいると思う? 誰も望まないよ」 「望むか望まないかは問題やない。コイツは私ら家族の絆を踏みにじり沢山の人を殺しておきながら自分は悪くない悪いのは私らって言い切ったんや。そんな奴を許せる道理なんかあるかい」 「それは……」 「そもそも、コイツは妹が殺された復讐を正当化しているんや。私がやろうとしていることも正当化されて然るべきやと思わへん?」 かがみがつかさを殺した浅倉を許せず殺そうと考えた以上、はやてがシグナムを殺したかがみを許せず復讐しようとする事を一方的に否定される道理はない。 「なのはちゃんにしてもエリオ達を殺されているわけやろ。まさかとは思うけど、エリオ達は死んで良くてそれを殺したかがみは死んじゃダメなんてアホな事言うつもりやないよな?」 「エリオ達が死んで良いなんて誰も思わないよ。でも今も生きているかがみを死なせてもダメだよ」 「寝言は寝て言えや。コイツが今まで何をしてきたか理解して言っているんか? コイツは自分の悪行を正当化し悪いことは全部他人のせいにして、スバル達を騙し殺し合わせたんや。 シグナム達が死んでいるのにコイツが生きているのは理不尽にも程があると思わへんか?」 「私だって許せるわけないよ! だけど……死んだ方が良いなんて事も絶対にない!」 「そうは言うがなのはちゃん、あんたも助けようとしたけど裏切られたんやろ? スバルやエリオも助けようとして裏切られた……コイツはそんななのはちゃん達の善意をまた裏切るで」 そう……なのはに裏切られたと言っても冷静に考えてみればそれは誤解によるものに過ぎない。エリオとスバルはそもそも助けようとしていて裏切ってなどいない。 他の人に関しても裏切られていたと思っているのは自分だけで、本当は助けようとしていたのかも知れない。にもかかわらず自分はそれを歪曲して受け取りその想いを裏切り踏みにじってきたのだ…… バクラに誘導された? いや、そんな言い訳は通用しない。確かにそうし向けていた所はあったのかも知れないが最終的にその選択をしたのは自分だ。そう、悪いのは自分なのだ。 「言っておくが、コイツは自分の都合の良い風にしか物事を考えへん。今ここでなのはちゃんが助けようとしても、裏切るって思って信じたりなんかせん。そんな奴をこのまま生かしておいても良いと言うんか?」 そう、なのはが自分を助けようとしていても心の底から信じる事は出来ないでいる。 「それでも私は裏切らないよ! それにかがみにだって元の世界に友達や家族だっている。その人達はかがみの事を信じて待っているんだよ! それにかがみは本当は優しい子だよ! 家族や友達が死んで怒れるって事がその証拠じゃない! だから今からでもやり直せる、今からでも死んだ人達の事を忘れずに殺した罪を背負って生きていく事だって出来るよ! はやてちゃん達だってそうだったんだから……」 こんな自分を信じてくれる……まだやり直せると言ってくれる……なのはは本当に私を助けたいと思ってくれていた…… なのはだって本当はエリオ達を殺された事は許せない筈なのに……それでも私を助けたいと…… 正直な所、あまりに虫の良い話だと思うし今更皆に会わせる顔なんて無いと思う。 それでも、やり直せるならばやり直したい。今度こそきちんと罪と向き合って―― だって、こんなにも自分を信じて助けようとしている人がいるんだから―― 長い夢が終わる―― 彼女が目覚めた後どのような選択を取るのか―― その選択の末にどのような結末を迎えるのか―― それは今はわからない―― それでも―― 呪われた運命を変える力は誰もが持っている―― 今からでも生まれ変わる事は可能―― そう信じている―― |Back:[[救済N/EGO~eyes glazing over]]|時系列順で読む|Next:[[罪]]| |~|投下順で読む|Next:[[罪]]| |~|高町なのは(StS)|Next:[[罪]]| |~|柊かがみ|Next:[[罪]]| |~|天道総司|Next:[[罪]]| ----