「Wolkenritter」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「Wolkenritter」(2009/01/07 (水) 11:49:13) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
*Wolkenritter ◆9L.gxDzakI
頼りない月明のみが周囲を照らす薄暗闇の中、灰色のジャングルが広がっていた。
建ち並ぶ巨大なビルの群れ。賑やかな街並みの面影を残したそこは、しかし人っ子1人すらいないまま静まりかえっていた。
夜中という時間帯もあるが、それでもまだこれくらいなら、ネオンも光っているだろうし、車も走っていてもいい頃である。
そしてそれらすらもない無明の街の中、ヴォルケンリッターの湖の癒し手の姿は随分と浮いていた。
「あれがフェイトちゃんのお母さん、プレシア・テスタロッサ……」
歴戦の勇士たるシャマルは、その穏やかな性格の割には冷静に状況を分析する。
この異常自体の中、その様子は逆に異常なものにさえ見えた。
クロノやユーノからは、プレシアは目的のためには自分達以上に手段を選ばない、過激な人間だと聞いている。
しかし同時に、元は聡明な魔導師であるとも聞いている。何の考えもなしに荒事を起こす馬鹿ではないことは、容易に想像できた。
であれば、行動に見合うだけの理由があって人々をここに集め、殺し合いをさせているということか。
(……今のところ、それはどうだっていいか)
首を振りながら、頭の中の思考を払いのける。
今重要なことはそこではない。この殺し合いのふざけたゲームを生き残り、同時に大切な人を救い出すこと——それが考えるべきことだ。
名簿の中には、確かに「八神はやて」の名前があった。自分達守護騎士の守るべき、夜天の主の名が。
「……いいえ」
微かに、目を伏せる。
まぶたの裏に浮かぶ人影は、はやての姿だけではない。
シグナム、ヴィータ、ザフィーラ。長き時を共に過ごしてきた、大切な家族達。
なのは、フェイト、スバル、ティアナ、エリオ、キャロ……機動六課という同じ屋根の下の、大切な仲間達。
この手の中には、いつの間にか——“こんなにたくさんの守りたい人達ができた”。
今一度、己自身に問い質す。
自分の使命は何だ。
我々守護騎士に課せられた役割とは何だ。
守りたい者達を守れずして、何がヴォルケンリッターか。
「……みんなを守ることくらい、私達にもできるはずよね」
言いながら、シャマルは顔を上げる。
そして、確固たる意志と共に、その一歩を踏み出した。
“全ての仲間達を守り抜くために”。
都心のビル街から少し離れれば、そこは一転して住宅街となる。
それでも街の寂しさは変わらず、いやむしろ、更にそれを増しているようにさえ感じられた。
ヴォルケンリッターの烈火の将は、その中で手にした得物を振り回していた。
身の丈をも凌ぐ巨大な剣を、その勝手を確かめるように振る。刃の広い大剣が、鋭い音と共に空気を切り裂いた。
(あの女……かなり高位の魔導師のようだな)
シグナムは未だ身体に残るバインドの感触を思い返す。
少なくとも、自分と互角のSランクには相当していただろう。あれだけの大魔導師には滅多にお目にはかかれない。
しかし、自分達に殺し合いを要求するとは一体どういう了見なのだろうか。そこだけがどうにも解せなかった。
お互いに顔も知らぬ相手をわざわざ殺そうとするだろうか? そもそも、それならそれでこんなまどろっこしい手段を取るだろうか?
(……今はそれは重要ではないな)
静かに思考を振り払うと、剣を振る手を止めて自身の肩に預ける。
今重要なことはそこではない。この殺し合いのふざけたゲームを生き残り、同時に大切な人を救い出すこと——それが考えるべきことだ。
名簿の中には、確かに「八神はやて」の名前があった。自分達守護騎士の守るべき、夜天の主の名が。
「……いや」
微かに、目を伏せる。
まぶたの裏に浮かぶ人影は、はやての姿だけではない。
ヴィータ、シャマル、ザフィーラ。主を優勝させるためには互いに果てねばならない、捨て駒達。
なのは、フェイト、ユーノ、クロノ。主を救うための闇の書完成を阻む、倒すべき敵達。
この目の中には、誰一人として——“殺さずに済む者など存在しない”。
今一度、己自身に問い質す。
自分の使命は何だ。
我々守護騎士に課せられた役割とは何だ。
守るべき主君を守れずして、何がヴォルケンリッターか。
「……待っていてください、主はやて。必ず貴方を守り抜いてみせます」
言いながら、シグナムは顔を上げる。
そして、確固たる意志と共に、その一歩を踏み出した。
“全ての敵を打ち倒すために”。
同じ使命を持った同志達。
2人は同じ街の中。
湖の癒し手は東へ歩み。
烈火の将は西へと進む。
全ての命を救うために。
全ての命を奪うために。
数百年の歴史の中では、小さな点にもひとしき10年という時間。
それがあるかないかの、ほんの小さな違いだけで。2人の騎士の道は分かれてしまった。
枝分かれした2人の道は、二度と交わることはないようにさえ思えた。
【1日目 深夜】
【現在地 F-4】
【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状況】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、ランダム支給品1〜3個
【思考】
基本:はやてを含めた、全ての仲間を守り抜く。
1.まずははやてとの合流が最優先
2.できればヴォルケンリッターの仲間達とも合流したい
【備考】
シグナムが10年前の世界から来ていることに気付いていません。
【現在地 F-3】
【シグナム@魔法少女リリカルなのはA's】
【状況】健康
【装備】バスターソード@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使
【道具】支給品一式、ランダム支給品0〜2個
【思考】
基本:はやてを優勝させるため、全ての敵を排除する。
1.まずははやてとの合流が最優先
2.できればヴォルケンリッターの仲間達とも合流したい
【備考】
シャマルが10年後の世界から来ていることに気付いていません。
|Back:[[それは最悪の始まりなの]]|時系列順で読む|Next:[[武人と魔女]]|
|Back:[[少女の泣く頃に〜神流し編〜]]|投下順で読む|Next:[[武人と魔女]]|
|&color(cyan){GAME START}|シャマル|Next:[[幻惑の銀幕]]|
|&color(cyan){GAME START}|シグナム|Next:[[火神——マーズ——]]|
*Wolkenritter ◆9L.gxDzakI
頼りない月明のみが周囲を照らす薄暗闇の中、灰色のジャングルが広がっていた。
建ち並ぶ巨大なビルの群れ。賑やかな街並みの面影を残したそこは、しかし人っ子1人すらいないまま静まりかえっていた。
夜中という時間帯もあるが、それでもまだこれくらいなら、ネオンも光っているだろうし、車も走っていてもいい頃である。
そしてそれらすらもない無明の街の中、ヴォルケンリッターの湖の癒し手の姿は随分と浮いていた。
「あれがフェイトちゃんのお母さん、プレシア・テスタロッサ……」
歴戦の勇士たるシャマルは、その穏やかな性格の割には冷静に状況を分析する。
この異常自体の中、その様子は逆に異常なものにさえ見えた。
クロノやユーノからは、プレシアは目的のためには自分達以上に手段を選ばない、過激な人間だと聞いている。
しかし同時に、元は聡明な魔導師であるとも聞いている。何の考えもなしに荒事を起こす馬鹿ではないことは、容易に想像できた。
であれば、行動に見合うだけの理由があって人々をここに集め、殺し合いをさせているということか。
(……今のところ、それはどうだっていいか)
首を振りながら、頭の中の思考を払いのける。
今重要なことはそこではない。この殺し合いのふざけたゲームを生き残り、同時に大切な人を救い出すこと——それが考えるべきことだ。
名簿の中には、確かに「八神はやて」の名前があった。自分達守護騎士の守るべき、夜天の主の名が。
「……いいえ」
微かに、目を伏せる。
まぶたの裏に浮かぶ人影は、はやての姿だけではない。
シグナム、ヴィータ、ザフィーラ。長き時を共に過ごしてきた、大切な家族達。
なのは、フェイト、スバル、ティアナ、エリオ、キャロ……機動六課という同じ屋根の下の、大切な仲間達。
この手の中には、いつの間にか——“こんなにたくさんの守りたい人達ができた”。
今一度、己自身に問い質す。
自分の使命は何だ。
我々守護騎士に課せられた役割とは何だ。
守りたい者達を守れずして、何がヴォルケンリッターか。
「……みんなを守ることくらい、私達にもできるはずよね」
言いながら、シャマルは顔を上げる。
そして、確固たる意志と共に、その一歩を踏み出した。
“全ての仲間達を守り抜くために”。
都心のビル街から少し離れれば、そこは一転して住宅街となる。
それでも街の寂しさは変わらず、いやむしろ、更にそれを増しているようにさえ感じられた。
ヴォルケンリッターの烈火の将は、その中で手にした得物を振り回していた。
身の丈をも凌ぐ巨大な剣を、その勝手を確かめるように振る。刃の広い大剣が、鋭い音と共に空気を切り裂いた。
(あの女……かなり高位の魔導師のようだな)
シグナムは未だ身体に残るバインドの感触を思い返す。
少なくとも、自分と互角のSランクには相当していただろう。あれだけの大魔導師には滅多にお目にはかかれない。
しかし、自分達に殺し合いを要求するとは一体どういう了見なのだろうか。そこだけがどうにも解せなかった。
お互いに顔も知らぬ相手をわざわざ殺そうとするだろうか? そもそも、それならそれでこんなまどろっこしい手段を取るだろうか?
(……今はそれは重要ではないな)
静かに思考を振り払うと、剣を振る手を止めて自身の肩に預ける。
今重要なことはそこではない。この殺し合いのふざけたゲームを生き残り、同時に大切な人を救い出すこと——それが考えるべきことだ。
名簿の中には、確かに「八神はやて」の名前があった。自分達守護騎士の守るべき、夜天の主の名が。
「……いや」
微かに、目を伏せる。
まぶたの裏に浮かぶ人影は、はやての姿だけではない。
ヴィータ、シャマル、ザフィーラ。主を優勝させるためには互いに果てねばならない、捨て駒達。
なのは、フェイト、ユーノ、クロノ。主を救うための闇の書完成を阻む、倒すべき敵達。
この目の中には、誰一人として——“殺さずに済む者など存在しない”。
今一度、己自身に問い質す。
自分の使命は何だ。
我々守護騎士に課せられた役割とは何だ。
守るべき主君を守れずして、何がヴォルケンリッターか。
「……待っていてください、主はやて。必ず貴方を守り抜いてみせます」
言いながら、シグナムは顔を上げる。
そして、確固たる意志と共に、その一歩を踏み出した。
“全ての敵を打ち倒すために”。
同じ使命を持った同志達。
2人は同じ街の中。
湖の癒し手は東へ歩み。
烈火の将は西へと進む。
全ての命を救うために。
全ての命を奪うために。
数百年の歴史の中では、小さな点にもひとしき10年という時間。
それがあるかないかの、ほんの小さな違いだけで。2人の騎士の道は分かれてしまった。
枝分かれした2人の道は、二度と交わることはないようにさえ思えた。
【1日目 深夜】
【現在地 F-4】
【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状況】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、ランダム支給品1〜3個
【思考】
基本:はやてを含めた、全ての仲間を守り抜く。
1.まずははやてとの合流が最優先
2.できればヴォルケンリッターの仲間達とも合流したい
【備考】
シグナムが10年前の世界から来ていることに気付いていません。
【現在地 F-3】
【シグナム@魔法少女リリカルなのはA's】
【状況】健康
【装備】バスターソード@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使
【道具】支給品一式、ランダム支給品0〜2個
【思考】
基本:はやてを優勝させるため、全ての敵を排除する。
1.まずははやてとの合流が最優先
2.できればヴォルケンリッターの仲間達とも合流したい
【備考】
シャマルが10年後の世界から来ていることに気付いていません。
|Back:[[それは最悪の始まりなの]]|時系列順で読む|Next:[[武人と魔女]]|
|Back:[[少女の泣く頃に〜神流し編〜]]|投下順で読む|Next:[[武人と魔女]]|
|&color(cyan){GAME START}|シャマル|Next:[[幻惑の銀幕]]|
|&color(cyan){GAME START}|シグナム|Next:[[火神——マーズ——]]|
----
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: