「楽園への小道」(2009/01/07 (水) 15:24:42) の最新版変更点
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*楽園への小道 ◆Qpd0JbP8YI
かつ、かつ、かつ、と
夜の暗がりにある通りで、靴音が響き渡る。
そこには長い髪を流麗になびかせながら歩く二人の美女がいた。
「あの、それでインテグラ卿、どちらに向かわれているんですか?
アーカードさんという方がどこにいるか見当がついていらっしゃるんですか?」
暗闇の中を何の迷いなく悠然と歩いていくインテグラの姿を疑問に思い、彼女の背中に向かってギンガは訊ねた。
しかし、返ってきた答えはギンガの予想とはかけ離れたものだった。
「ギンガ、お前は劇というものが見たことがあるか?」
「は? 劇……ですか?」
「そうだ。ウィリアム・シェイクスピア、ベン・ジョンソン、オスカー・ワイルド。
我が英国が生み出した天才たち。いずれも人間の内奥に踏み込み、それを作品に表した素晴らしい作家たちだ」
質問の意にそぐわない答えにギンガは困惑した。
自分はどこに向かっているかを訊ねたはずなのに、それに対する彼女の答えは劇云々。
ひょっとしてインテグラ卿は現状に恐怖するあまり、狂ってしまったのではないだろうか。
俄かにギンガの心に不安が押し寄せた。
「あの、仰る意味がよく分からないのですが……」
「なに、簡単なことだ。どんな劇であれ、役者とは舞台の中央で踊るもの。
この殺し合いという劇において、花形である化け物がわざわざ舞台袖で自分の番が回ってくるのを待っているはずがあるまい」
「……え? あの、それが答えですか?」
「他に何か必要か?」
細められる瞳からは揺ぎ無い意思が放たれ、ギンガを圧倒した。
間違いなくそれだけの理由で彼女は動いている。
そんな狂気とも取れる彼女の言葉に対してギンガは何と言ってやるべきか悩んだ。
あなたは狂っている。そんなことを直接言うのは言語道断。却って事態をややこしくしてしまう。
大切なのは彼女を正気に戻し、ちゃんとした判断能力を戻すこと。
ギンガはそのための言葉を模索していると、やがて件の彼女から笑い声が漏れているのが聞こえてきた。
前にいるインテグラを見ると、彼女は顔を俯かせ、眼鏡のブリッジを中指で支えながら、笑い声を押し殺していた。
「冗談だ、冗談。そっちの世界の管理局員とは頭が固いものなのだな。
ウチのスバルやティアナとは大違いだ」
「なっ!」
インテグラの物言いに思わずギンガは素っ頓狂な声を上げてしまう。
そして人の冗談を真にとってしまったことを知り、恥ずかしさからわずかに頬が上気する。
だけど続いて彼女に湧き起こったのは純然たる怒りだった。
「こんな時に何を冗談を言っているんですか、インテグラ卿! 状況を考えて下さい!」
ギンガの説教に対してインテグラは溜息一つ、悪びれることなく謝り、言葉を続けていった。
「すまんな。だが、それも理由の一つであることは確かだ。
奴が舞台の脇に立つ端役に興味を持つはずがあるまい」
「……では他に何の理由があるんですか?」
心に感じる憤りを何とか抑えながら、ギンガは訊ねる。
「ギンガ、お前は地図を見たか?」
「あ、はい、一応は確認しました」
「ならば、そこにお前の知る施設は記されていたか?」
「はい、地上本部に機動六課隊舎です」
「そうか……こちらも私の知る施設も書かれていた」
無言でギンガはインテグラの次の言葉を促す。
「…………HELLSING機関、それが地図の上にあった」
「HELLSING機関……確かインテグラ卿が治めている機関の名前でしたよね?」
「ああ、そうだ。加えてご丁寧に私の名前が記された名簿も入っている。
幾らあいつが化物とはいえ、文字は読めるし、物だって考えることも出来る。
そしてアーカードと私を繋ぐものは、この空間において一つしかない」
「それがHELLSING機関である、と?」
「ああ、そうだ。他にも理由が必要か?」
「いえ、十分です」
彼女が狂っているわけではない。
ギンガはその認識に到達して、ホッと安堵の息を吐いた。
ならば自分のすることはそこに辿り着くまでインテグラ卿をしっかりと護衛することだろう。
辺りに警戒を張りながら、歩みを進めていくが、
念のためにと発した探知魔法によりギンガは違和感を覚えた。
「あの、インテグラ卿。つかぬことをお聞きしますが、普段と比べて身体におかしなとこは感じませんか?」
「いや……普段と比べて頗る不愉快な気分だという以外は何も感じないが、何故そんなことを聞く?」
「はい、先ほど周りに人がいないか探知魔法を使ってみたんですが、いつもと比べて発動を困難に感じたので……。
勿論、今の私にはデバイスがないですし、探知を始めとした補助系の魔法はあまり得意としてはいないのですが、
それでも何か拭い切れない違和感というか…………。
それでひょっとしたらこの空間にいる人全員に同じような……とまではいかないにしても、
何かしらの処置が施されているのではないかと思いまして」
「なるほど。確かお前は怪我をしていたところを治療させられて、ここに連れてこられてのだったな」
「はい」
「だとしたら、何かしらの処置が施されていても不思議ではないな」
「はい……そうですね。こういった違和感は私だけなのでしょうか?」
「確かに私の身体に違和感はないが、それでもそれはお前だけに特別施された処置を意味するとは思えないな」
「どういうことですか?」
「簡単なことだ。化物や魔導師のように私には戦う力がないからな。そのような処置を施す必要がないということだ」
「つまり……非戦闘員が勝ち残るチャンスを与えるためですか?」
「おそらくはな」
「でしたら、私以外の魔導師、そしてアーカードさんにもそのような処置が施されているということでしょうか?」
当然の疑問を放つギンガをインテグラはねめつけた。
「ギンガ、お前はアーカードを何だと思っている?
能力を制限する? 首輪をつけた? 首を爆破する? そこいらの吸血鬼と彼を一緒にするなよ!
そんなモノでは死なない! プレシアとやらが例えどんな対化物法技術を駆使しようとも
彼はヘルシング一族が100年間かけて栄々と作り上げた最強のアンデッド、吸血鬼アーカード!
この私以外にあの化物を御することなど出来はしない!」
声を荒げ、まくし立てるインテグラにギンガは圧倒され、気おされた。
だが確かに不死の怪物を制限することなど彼女に想像もつかぬことではあった。
魔法の発動を困難にするというのはAMFという既知の知識で説明ができるが
それ以外のことは現状、彼女には理解が及ばぬことであった。
とはいえ、この空間では何があってもおかしくない。
不死の怪物を制限することも出来るかもしれない。
だけど、何があってもおかしくないというのなら、
まさしくインテグラの言っていることこそが正しいことなのかもしれない。
「そう……ですか……」
化物アーカードを想像しての恐怖からだろうか、ギンガはやっとそれだけの言葉を口からこぼすことが出来た。
そんなギンガを見て、インテグラは幾らか言葉の調子を落ち着かせて言った。
「ギンガ、お前はゲームというものしたことがあるか?」
「あ、はい。管理局に入ってからはそういった時間はありませんでしたが、
子供の時に妹のスバルとよく一緒にしたことはあります……が、それが何か?」
「なら、知っているだろう。いや、知らなければならない。
どんなゲームにもプレイヤーの、ゲームマスターの意を超えたジョーカーがいるということをな」
「それがアーカードさんであると?」
「そうだ。そして常にゲームを面白くするのもジョーカーの役目。
奴に能力の制限など無意味! 奴に魔法など無意味! 奴に死を与えることなど不可能!
例え山のように死屍累々が築かれようと、雨のように血肉が降り注ごうと奴の歩みは止まらん!
ただ目の前の障害を押し崩し、踏み潰し、進んでいく! それだけだ!
奴にあるのはただ一つ、見敵必殺! その言葉のみ!
プレシアごとき雌豚が何をしようと、そのルールを壊すことなどは不可能!
何故なら奴は我がヘルシング一族が用意した最高の鬼札(ジョーカー)なのだからな!」
そこでインテグラは一旦言葉を切ると、不敵に笑いながら高らかに告げた。
「さあ、盛大にこのゲームを盛り上げてプレシアを楽しませてやろうじゃないか!
この盤上を引っくり返してな!」
インテグラは言うだけ言うと、先ほどよりも確かな足取りで暗闇を押し分け、進んでいった。
そんな彼女を頼もしく思いもしながら、ギンガは一つの不安に駆られていた。
もしインテグラが言うような化物——制限を受け付けず、見敵必殺を旨とし、決して死なない吸血鬼——が存在し、
彼女の手綱を放れることになったとしたら、どうなるか。
それはプレシア以上に恐ろしい敵となるのではないだろうか…………。
ギンガはその不安を振り払うように、インテグラの後を急いで追いかけていった。
【1日目 深夜】
【現在地 G-7 T字路のあたり】
【ギンガ・ナカジマ@魔法妖怪リリカル殺生丸】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、ランダム支給品1〜3(確認済)
【思考】
基本 この殺し合いを止め、プレシアを逮捕する
1.インテグラを護衛し、アーカードを捜索する
2.殺生丸とは今度こそ話をつけたい
3.できることなら誰も殺したくはない
4.可能ならば、六課の仲間達(特にスバル)とも合流したい
【備考】
・なのは(A's)、フェイト(A's)、はやて(A's)、クロノの4人が、過去から来たことに気付きました。
・一部の参加者はパラレルワールドから来た人間であることに気付きました。
・「このバトルロワイアルにおいて有り得ないことは何一つない」という持論を持ちました。
・制限に気がつきました。
・インテグラがいなくなった後のアーカードに恐怖を抱き始めました。
・アーカードを暴走させないためにも何としてもインテグラを守るつもりです。
【インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲート・ヘルシング@NANOSING】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、ランダム支給品1〜3(確認済)、葉巻のケース
【思考】
基本 この殺し合いを止め、プレシアを叩きのめす
1. 地図上のHELLSING本部に向かう
2. アーカードと合流し、指揮下に置く
3. その後は殺生丸の捜索に向かう
4. できることなら犠牲は最小限に留めたいが、向かってくる敵は殺す
【備考】
・同行しているギンガが、自分の知るミッドチルダに住む人間ではないことを把握しました。
・一部の参加者はパラレルワールドから来た人間であることを把握しました。
・葉巻のケースは元々持ち歩いていたもので、没収漏れとなったようです。
・アーカードは参加者に施されているであろう制限の外にあると思っています。
|Back:[[残る命、散った命(後編)]]|時系列順で読む|Next:[[誰がために彼の者は行く]]|
|Back:[[残る命、散った命(後編)]]|投下順で読む|Next:[[誰がために彼の者は行く]]|
|Back:[[特別捜査、開始]]|ギンガ・ナカジマ|Next:[[童子切丸は砕けない(前編)]]|
|Back:[[特別捜査、開始]]|インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲート・ヘルシング|Next:[[童子切丸は砕けない(前編)]]|
*楽園への小道 ◆Qpd0JbP8YI
かつ、かつ、かつ、と
夜の暗がりにある通りで、靴音が響き渡る。
そこには長い髪を流麗になびかせながら歩く二人の美女がいた。
「あの、それでインテグラ卿、どちらに向かわれているんですか?
アーカードさんという方がどこにいるか見当がついていらっしゃるんですか?」
暗闇の中を何の迷いなく悠然と歩いていくインテグラの姿を疑問に思い、彼女の背中に向かってギンガは訊ねた。
しかし、返ってきた答えはギンガの予想とはかけ離れたものだった。
「ギンガ、お前は劇というものが見たことがあるか?」
「は? 劇……ですか?」
「そうだ。ウィリアム・シェイクスピア、ベン・ジョンソン、オスカー・ワイルド。
我が英国が生み出した天才たち。いずれも人間の内奥に踏み込み、それを作品に表した素晴らしい作家たちだ」
質問の意にそぐわない答えにギンガは困惑した。
自分はどこに向かっているかを訊ねたはずなのに、それに対する彼女の答えは劇云々。
ひょっとしてインテグラ卿は現状に恐怖するあまり、狂ってしまったのではないだろうか。
俄かにギンガの心に不安が押し寄せた。
「あの、仰る意味がよく分からないのですが……」
「なに、簡単なことだ。どんな劇であれ、役者とは舞台の中央で踊るもの。
この殺し合いという劇において、花形である化け物がわざわざ舞台袖で自分の番が回ってくるのを待っているはずがあるまい」
「……え? あの、それが答えですか?」
「他に何か必要か?」
細められる瞳からは揺ぎ無い意思が放たれ、ギンガを圧倒した。
間違いなくそれだけの理由で彼女は動いている。
そんな狂気とも取れる彼女の言葉に対してギンガは何と言ってやるべきか悩んだ。
あなたは狂っている。そんなことを直接言うのは言語道断。却って事態をややこしくしてしまう。
大切なのは彼女を正気に戻し、ちゃんとした判断能力を戻すこと。
ギンガはそのための言葉を模索していると、やがて件の彼女から笑い声が漏れているのが聞こえてきた。
前にいるインテグラを見ると、彼女は顔を俯かせ、眼鏡のブリッジを中指で支えながら、笑い声を押し殺していた。
「冗談だ、冗談。そっちの世界の管理局員とは頭が固いものなのだな。
ウチのスバルやティアナとは大違いだ」
「なっ!」
インテグラの物言いに思わずギンガは素っ頓狂な声を上げてしまう。
そして人の冗談を真にとってしまったことを知り、恥ずかしさからわずかに頬が上気する。
だけど続いて彼女に湧き起こったのは純然たる怒りだった。
「こんな時に何を冗談を言っているんですか、インテグラ卿! 状況を考えて下さい!」
ギンガの説教に対してインテグラは溜息一つ、悪びれることなく謝り、言葉を続けていった。
「すまんな。だが、それも理由の一つであることは確かだ。
奴が舞台の脇に立つ端役に興味を持つはずがあるまい」
「……では他に何の理由があるんですか?」
心に感じる憤りを何とか抑えながら、ギンガは訊ねる。
「ギンガ、お前は地図を見たか?」
「あ、はい、一応は確認しました」
「ならば、そこにお前の知る施設は記されていたか?」
「はい、地上本部に機動六課隊舎です」
「そうか……こちらも私の知る施設も書かれていた」
無言でギンガはインテグラの次の言葉を促す。
「…………HELLSING機関、それが地図の上にあった」
「HELLSING機関……確かインテグラ卿が治めている機関の名前でしたよね?」
「ああ、そうだ。加えてご丁寧に私の名前が記された名簿も入っている。
幾らあいつが化物とはいえ、文字は読めるし、物だって考えることも出来る。
そしてアーカードと私を繋ぐものは、この空間において一つしかない」
「それがHELLSING機関である、と?」
「ああ、そうだ。他にも理由が必要か?」
「いえ、十分です」
彼女が狂っているわけではない。
ギンガはその認識に到達して、ホッと安堵の息を吐いた。
ならば自分のすることはそこに辿り着くまでインテグラ卿をしっかりと護衛することだろう。
辺りに警戒を張りながら、歩みを進めていくが、
念のためにと発した探知魔法によりギンガは違和感を覚えた。
「あの、インテグラ卿。つかぬことをお聞きしますが、普段と比べて身体におかしなとこは感じませんか?」
「いや……普段と比べて頗る不愉快な気分だという以外は何も感じないが、何故そんなことを聞く?」
「はい、先ほど周りに人がいないか探知魔法を使ってみたんですが、いつもと比べて発動を困難に感じたので……。
勿論、今の私にはデバイスがないですし、探知を始めとした補助系の魔法はあまり得意としてはいないのですが、
それでも何か拭い切れない違和感というか…………。
それでひょっとしたらこの空間にいる人全員に同じような……とまではいかないにしても、
何かしらの処置が施されているのではないかと思いまして」
「なるほど。確かお前は怪我をしていたところを治療させられて、ここに連れてこられてのだったな」
「はい」
「だとしたら、何かしらの処置が施されていても不思議ではないな」
「はい……そうですね。こういった違和感は私だけなのでしょうか?」
「確かに私の身体に違和感はないが、それでもそれはお前だけに特別施された処置を意味するとは思えないな」
「どういうことですか?」
「簡単なことだ。化物や魔導師のように私には戦う力がないからな。そのような処置を施す必要がないということだ」
「つまり……非戦闘員が勝ち残るチャンスを与えるためですか?」
「おそらくはな」
「でしたら、私以外の魔導師、そしてアーカードさんにもそのような処置が施されているということでしょうか?」
当然の疑問を放つギンガをインテグラはねめつけた。
「ギンガ、お前はアーカードを何だと思っている?
能力を制限する? 首輪をつけた? 首を爆破する? そこいらの吸血鬼と彼を一緒にするなよ!
そんなモノでは死なない! プレシアとやらが例えどんな対化物法技術を駆使しようとも
彼はヘルシング一族が100年間かけて栄々と作り上げた最強のアンデッド、吸血鬼アーカード!
この私以外にあの化物を御することなど出来はしない!」
声を荒げ、まくし立てるインテグラにギンガは圧倒され、気おされた。
だが確かに不死の怪物を制限することなど彼女に想像もつかぬことではあった。
魔法の発動を困難にするというのはAMFという既知の知識で説明ができるが
それ以外のことは現状、彼女には理解が及ばぬことであった。
とはいえ、この空間では何があってもおかしくない。
不死の怪物を制限することも出来るかもしれない。
だけど、何があってもおかしくないというのなら、
まさしくインテグラの言っていることこそが正しいことなのかもしれない。
「そう……ですか……」
化物アーカードを想像しての恐怖からだろうか、ギンガはやっとそれだけの言葉を口からこぼすことが出来た。
そんなギンガを見て、インテグラは幾らか言葉の調子を落ち着かせて言った。
「ギンガ、お前はゲームというものしたことがあるか?」
「あ、はい。管理局に入ってからはそういった時間はありませんでしたが、
子供の時に妹のスバルとよく一緒にしたことはあります……が、それが何か?」
「なら、知っているだろう。いや、知らなければならない。
どんなゲームにもプレイヤーの、ゲームマスターの意を超えたジョーカーがいるということをな」
「それがアーカードさんであると?」
「そうだ。そして常にゲームを面白くするのもジョーカーの役目。
奴に能力の制限など無意味! 奴に魔法など無意味! 奴に死を与えることなど不可能!
例え山のように死屍累々が築かれようと、雨のように血肉が降り注ごうと奴の歩みは止まらん!
ただ目の前の障害を押し崩し、踏み潰し、進んでいく! それだけだ!
奴にあるのはただ一つ、見敵必殺! その言葉のみ!
プレシアごとき雌豚が何をしようと、そのルールを壊すことなどは不可能!
何故なら奴は我がヘルシング一族が用意した最高の鬼札(ジョーカー)なのだからな!」
そこでインテグラは一旦言葉を切ると、不敵に笑いながら高らかに告げた。
「さあ、盛大にこのゲームを盛り上げてプレシアを楽しませてやろうじゃないか!
この盤上を引っくり返してな!」
インテグラは言うだけ言うと、先ほどよりも確かな足取りで暗闇を押し分け、進んでいった。
そんな彼女を頼もしく思いもしながら、ギンガは一つの不安に駆られていた。
もしインテグラが言うような化物——制限を受け付けず、見敵必殺を旨とし、決して死なない吸血鬼——が存在し、
彼女の手綱を放れることになったとしたら、どうなるか。
それはプレシア以上に恐ろしい敵となるのではないだろうか…………。
ギンガはその不安を振り払うように、インテグラの後を急いで追いかけていった。
【1日目 深夜】
【現在地 G-7 T字路のあたり】
【ギンガ・ナカジマ@魔法妖怪リリカル殺生丸】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、ランダム支給品1〜3(確認済)
【思考】
基本 この殺し合いを止め、プレシアを逮捕する
1.インテグラを護衛し、アーカードを捜索する
2.殺生丸とは今度こそ話をつけたい
3.できることなら誰も殺したくはない
4.可能ならば、六課の仲間達(特にスバル)とも合流したい
【備考】
・なのは(A's)、フェイト(A's)、はやて(A's)、クロノの4人が、過去から来たことに気付きました。
・一部の参加者はパラレルワールドから来た人間であることに気付きました。
・「このバトルロワイアルにおいて有り得ないことは何一つない」という持論を持ちました。
・制限に気がつきました。
・インテグラがいなくなった後のアーカードに恐怖を抱き始めました。
・アーカードを暴走させないためにも何としてもインテグラを守るつもりです。
【インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲート・ヘルシング@NANOSING】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、ランダム支給品1〜3(確認済)、葉巻のケース
【思考】
基本 この殺し合いを止め、プレシアを叩きのめす
1. 地図上のHELLSING本部に向かう
2. アーカードと合流し、指揮下に置く
3. その後は殺生丸の捜索に向かう
4. できることなら犠牲は最小限に留めたいが、向かってくる敵は殺す
【備考】
・同行しているギンガが、自分の知るミッドチルダに住む人間ではないことを把握しました。
・一部の参加者はパラレルワールドから来た人間であることを把握しました。
・葉巻のケースは元々持ち歩いていたもので、没収漏れとなったようです。
・アーカードは参加者に施されているであろう制限の外にあると思っています。
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